「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」ファーストインプレッション

※この記事は5年以上前に書かれたため、情報が古い可能性があります

発売日初日から数時間ほどプレイし、序盤は終えてやっとメインストーリーに入った、というところでしょうか。現状の感想は「今までのゼルダとは違いすぎてまだ自分の中できちんと消化できていない。けれど現状は今までの作品を通じて感じた不安がぬぐい去れない」という感じ。この不安をクリアする頃にはぬぐい去ることができているならいいのですが。

あまり露骨なネタバレはしないつもりですが、ストーリーの先は一切知りたくない、という人はいろいろダンジョンやらなんやらの名前が飛び交いますので、このあたりで止めておかれることをお勧めします。

元々Wii Uタイトルとして開発されていたものの、度重なる延期を繰り返すことで次世代のハードであるNintendo Switchのローンチタイトルとなったゼルダの最新作「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」(BoW)。そういえば先日のエントリーにコメントもらって気がついたのですが、Wiiのローンチだった「トワイライトプリンセス」もゲームキューブ用に開発していたのが長引いた結果Wiiのローンチタイトルとなったのでした。しかもBoWがSwitchとWii Uで同時発売、トワプリがGCとWiiで同時発売というところまで一緒という。

ディレクターの青沼英二は宮本茂からWiiリモコンを使ったゼルダの開発の検討を持ち掛けられる。実際に弓矢の操作にWiiリモコンの操作を導入したところ新しい遊びが生まれたことを実感し、2006年末への発売延期とGC・Wiiの両機種での発売を当時の社長・岩田聡が決断した

ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BC%E3%83%AB%E3%83%80%E3%81%AE%E4%BC%9D%E8%AA%AC_%E3%83%88%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%88%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%82%B9

それはさておき、今回のゼルダは「オープンワールド」が1つのコンセプト。オープンワールドは最近のゲームにおけるトレンドで、街やダンジョンで画面が切り替わらず、すべてが1つのフィールド上に存在しているというゲームシステムです。例えるならドラゴンクエストではなくヘラクレスの栄光的なフィールドとでもいいますか。

オープンワールドになるとゼルダは何が変わるのか – All About NEWS
https://news.allabout.co.jp/articles/c/467555/

とはいえ、すべてが同じフィールド上にあるという意味では風のタクトやトワイライトプリンセス、スカイウォードソードなど同じような仕組みはこれまでのゼルダシリーズにもあったのですが、今回はそのオープンワールドにかなり力を入れている点が大きな違い。フィールドはこれまでとは比べものにならないくらい広い面積で、そのフィールドをひたすら歩き回るような構成になっています。

これまでゼルダのルールと化していたシステムも大幅に変更となりました。まずルピーやハートは草を刈っても出てこず、ライフを回復するには食べ物を食べる必要がある。その食べ物も複数の食材を組み合わせる料理システムになっていて、料理の組み合わせで回復量が違ったり特殊効果がつけられたり。

装備品もこれまで一部の防具くらいしか壊れることがなかったのが、今回は武器も防具も一定の寿命があり、使いすぎると壊れてしまう。いや使いすぎるとというレベルではなく、戦いを数回繰り返すだけであっさり壊れてしまうため、こまめに武器を補充しなければいけない。

このあたりは発売直前に公開された対談を読んでいただけるとどういうコンセプトでこのシステムが作られたのかもわかるとおもいます。本エントリーもこの対談を読んでいる前提で進むことあらかじめご了承下さい。

まず2Dゲームで開発、社員300人で1週間遊ぶ!? 新作ゼルダ、任天堂の驚愕の開発手法に迫る。「時オカ」企画書も公開! 【ゲームの企画書:任天堂・青沼英二×スクエニ・藤澤仁】
http://news.denfaminicogamer.jp/projectbook/zelda

こうした開発者の思いを読んだ上でプレイした新ゼルダですが、オープンワールド感は確かに面白い。料理作ったり、アイテム作るための素材を集めるために敵を倒していたり、自分の好きなようにフィールドを駆け回ったりという自由度の高さは、今までのゼルダよりも圧倒的に上。シナリオを意識しないのであれば、フィールドでひたすら敵や動物を狩ってアイテム集めるだけでも没頭できる。

なんだけど、これがストーリーを進めようとするととたんに雑になる。例えば序盤の4つの祠周り、ある1つの祠をクリアするにはどう考えても必要なアイテムがあるんだけど、そのアイテムをどうやって入手すればいいかというのは一切示されない。フィールドをひたすら歩き回るとそのアイテム入手のためのヒントがもらえるのだけれど、そこへの導線は「ただフィールドを歩き回る」でしかない。正確にはこのアイテムがなくても他のアイテムでなんとかできないことはないんだけど、普通にプレイするなら便利アイテムというより必須アイテムのたぐいだよねこれ。

どうも既視感あるなとおもったらこれ、風のタクトでこれがないとプレイにストレスたまりすぎて困ってしまうためほぼ必須アイテムと言える「快速の帆」が、まともなヒントもないのとほぼ同じだった。クリアのための必須アイテムか、快適なプレイのためのアイテムかという違いはあれど、この投げっぱなし感には共通項を感じる。

Wii U「ゼルダの伝説 風のタクト HD」で海を2倍速く進められる「快速の帆」入手方法 | カイ士伝
https://bloggingfrom.tv/wp/2013/09/29/11403

その後はちゃんと行く先がある程度示されていて、その途中で自分の好きなところにいったり、新しい村でのクエストこなしたり、と自分のスタイルで楽しんでいたけれど、シーカーストーンの壊れた機能を回復し、いよいよメインストーリーというところでまた投げっぱなしが勃発。四神獣に向かえ、というのはいいけれどそこまでのルートが全然示されない。地図上に場所は示されるけれど、それを頼りに広大なマップをひたすら歩いたにも関わらず、熱すぎて死ぬわ寒すぎて死ぬわで、結局なにをどうしていいのかわからずじまい。

すべての行き先を懇切丁寧に示せ、というつもりはまったくないし、フィールドを歩いて見つける楽しさというのももちろんあるんだけれど、あまりに広大すぎるフィールドでここまで投げっぱなしにされると、何のためにフィールドを歩いているのかわからなくなる。自分が好きで歩き回る分には楽しいけれど、シナリオを進めるための義務として歩き回るには無目的すぎて距離が長すぎてストレスにかんじてしまった。

4方向に何かがある、というのは3Dゼルダの金字塔である時のオカリナも同じ仕組みだったけれど、時のオカリナではその方向に行くと何らかのヒントが用意されていて、露骨な無駄足感はなかった。それに対して今作はあまりにも広すぎるフィールドで同じようなことをやった結果、たどり着くにも探し当てるにも無駄が多くなりすぎて疲れてしまう。まあ、その無駄こそが楽しいという人もいるかもしれないのでこれはあくまで個人の感想ですが。

例えば前述の4つの祠でも、攻略ルートで通りそうな場所にあのヒントを置いておくとか、四聖獣もマップの大まかな位置はわかるけれど、あの長い距離を進ませるのであればもう少し途中にポイントが欲しい。決してヌルゲー化して欲しいというわけではなくて、適度な難易度は望むところだけど、今のところは難易度というよりも投げっぱなしに感じてしまうというのが正直なところ。

とはいえ前述の対談のように、すべてのバグを取るよりある程度のバグは肯定する、という仕組みは理解できるし、そのためにオートセーブにして多少おかしくなってしまっても強制的に戻れるという、露骨にテレビゲームっぽくなってしまったシステムも理解はできたんだけど、要所要所にストーリー進めるためのポイントを置くのはバグとは関係ない話であって、少なくとも今のところ、自由度の高さと投げっぱなしでいうと後者の要素が強い感じ。

だからといってこれがつまらないというわけではなく、オープンワールドで好きにプレイすること自体は楽しいし、料理や素材集めしているだけでも時間が過ぎていくほど没頭もできている。そうした自由なところは楽しんでいる一方で、ストーリーとして義務的に進めなければいけない要素まで「自由度」の名の下に投げっぱなしにしすぎているような不安を感じているのでした。

まあまだ序盤なのでこれから最終的にどんな感想になるかはわかりませんが、いまのところは毎日夢中になって電源オンしてプレイしまくるほどではないかなあ。とはいえ4つの祠を終えて四聖獣に向かうまでのところはそうとうのめり込んだので、あのくらいのバランスで今後進むといいのですが。

いわゆるオープンワールドのゲームに慣れた人だとこれが当たり前、なのかもだけど、ゼルダ好きとしてはなんかこう相容れないというか、「大海原を冒険したい!」という気持ちはわかるけどその船の移動やらタライとホースやらはただの作業ゲー化してるだろうよ、という風のタクト感をすごく感じてしまった序盤戦でした。

ちなみに前述の通り本作はWii Uでも発売されているんだけど、Wiiのリモコン操作かGCのコントローラ操作かといった違いがあったトワプリに比べ、本作はあまりハードの違いを感じない仕様になっているので、スプラトゥーン2までSwitchはいいかな、と思っている人はWii Uでもよさそうです。まあそもそもWii U持っていない人はSwitch買った方がよいとおもいますが。

余談だけど本作はオープンワールドと言う呼び方ではなく「オープンエアー」という独自名称で展開されているんだけど、あんまりエアー感感じないよね。エアーというなら空と陸を切り替える前作のスカイウォードソードのほうがよっぽどオープンエアー感あった。


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