映画「Michael」で語られなかったエピソード


話題の映画「Michael」見てきました。

ストーリーについてあれこれはさておき、ほぼ2時間に詰め込んだことでかなりのエピソードが割愛されており、今回は映画で描かれなかったあれこれを脳内の記憶のまま綴ってみたいと思います。

なお子どもの頃からいろいろなマイケルに関する書物を読みあさっての感想なので記憶の思い違いやそもそも今だと事実が違っている可能性もあり、そういう箇所見つけたら優しく指摘してください。

ジャクソン5デビュー前

父ジョセフもバンドをやっていた

しかも兄弟で。働きながら弟とファルコンズというバンドを結成。映画だといきなりプロデューサーとして描かれるけど、自身も実は音楽をやっていたとなると少し見え方はかわるかも。

ジャクソン5はジョセフが生み出したわけではない

実際のところはジョセフの目を盗んでギターで遊んでいたジャクソン兄弟が、ある日ギターの弦を切ってしまって父にバレてしまい、激おこされているなかで自分たちの腕前を披露したところ息子の才能に気がついたジョセフが子供達にバンドを組ませたというのが経緯。

マイケルはそもそもメンバーでは無かった

初期メンバーはジャクソン兄弟のうち年上のジャッキー、テイト、ジャーメインの3人と近所に済んでいたメンバーで構成。一方でマイケルの才能に気がついていた母キャサリンが加入を勧め、兄マーロンと一緒に加入して全員ジャクソン家のメンバーで構成されることに。

ほぼ描かれない兄弟構成

ジャクソン5はジャッキー、テイト、ジャーメイン、マーロン、マイケルの5人だが他に弟のランディで男兄弟は6人。一方の女性陣はリビー、ラトーヤ、ジャネットの3人で、名前が出たのはジャーメインとラトーヤ、あと最初にちょっとリビーが呼ばれたかな?

なお女性陣3人とも歌手デビューしているけれど、実は一番うまいのはリビーという話もある。

モータウンより前に実はデビュー

地元のレコード会社スティールタウンと契約してリリースした「Big Boy」が本当のデビュー。しかしモータウンデビューの後Big Boyはほぼなかったことに。

ジャクソン5

ジャクソン5をモータウンにスカウト

映画ではジャクソン5を見いだしたのがスザンヌ・デパス(スザンヌ・デ・パッセとか日本語表記はいろいろ)となっているが実際にはモータウン所属のアーティストであるボビー・テイラー。まあボビー・テイラー経由でスザンヌに紹介され、スザンヌがベリー・ゴーディに紹介したのでドキュメンタリーの演出としてはあるあるではある。

ジャクソン5を育てたモータウン・アーティスト、ボビー・テイラー死去
https://www.udiscovermusic.jp/news/death-bobby-taylor-motown-artist-championed-jackson-5

当時のことをスザンヌ本人が語っている動画がこちら。

ダイアナ・ロスの存在

映画の中でマイケルに8歳と言わせるシーンがあったけど、それと同等かそれ以上の偽プロモーションが、当時人気だったダイアナ・ロスが発掘してきたという話。そのためジャクソン5のファーストアルバムは「Diana Ross Presents The Jackson 5」という名前に。

ダイアナ・ロスもマイケルの人生語るには大きな存在なんだけど完全にスルーでしたね。登場人物をほぼ両親とマイケルに絞り込んでいた。

デカ鼻

映画ではジョセフがマイケルに対して1度だけ発するけど、この「デカ鼻」はジョセフだけでは無く兄弟も揃ってマイケルをからかっていたキーワード。おかげでマイケルはとても鼻がコンプレックスになっていたらしい。マイケルが若い頃ニキビで悩んでいたときもそれをやたらとからかわれていたそうな。

まあそういう兄弟のネガティブなエピソードが一切出てこないのはエンドロールの監修陣見てお察しではあります。

マイケルはモータウンでもソロデビューしている

「Got To be There」でソロデビュー、続く「Ben」ではソロとしてマイケル初の全米ナンバーワンに。しかしその後はあまりヒット曲が出ず、当時マイケルはソロでは売れない、と言われていたという話も。

ジャクソンズ

EPIC移籍とジャーメイン離脱

モータウンでアイドル的扱いに嫌気が差し、自分たちで曲を作りたいとEPICへ移籍。ユニット名はモータウンのものだったので名前がジャクソンズに変わります。

また、メンバーのうちサブボーカルだったジャーメインは、ベリー・ゴーディの娘と結婚していたという理由でモータウンに残り、ジャーメインの代わりにランディが加入することに。

このあたりEPICという話がさらっと出てきたりジャーメインがただ残ったしか語られなかったけど、全体的にマイケル以外の兄弟は扱いが空気でしたね。

DESTINYのヒット

せっかく移籍したのに自分たちで曲を作らせてもらえず、交渉の末にセルフプロデュースした3rdアルバム「DESTINY」が大ヒット。このアルバムに収録された「Shake Your Body」なんかは未だにクラブとかで耳にするのではないでしょうか。

個人的には同アルバムの「Blame It On the Boogie」がジャクソンズ時代で最も好きな曲。溢れるマイケルの笑顔が最高ですね。

映画「ウィズ」

オズの魔法使いを原作に、出演陣を黒人アーティストで固めた「The Wiz」で、ダイアナ・ロスがドロシー、カカシをマイケルが演じる。ここでダイアナ・ロスが共演するだけでなく、この映画の音楽を担当したのがのちにOff the Wallでヒットを飛ばす名プロデューサーのクインシー・ジョーンズ。映画の挿入曲「You Can’t Win」「Ease On Down the Road」も名作ですね。

なお、マイケルのソロデビューというとOff the Wallと思われがちですが、前述の通りモータウンでもソロデビューしているのと、EPICでのソロデビューもこのYou Can’t Winだったりします。それだけOff the Wallのインパクトが強烈だったということですが。

本格ソロ期

実はソロデビュー何度もしているのですがマイケルのソロ黄金期はやはりOff the Wall以降、ということでこのような微妙な見出しに。

ソロとグループ、二足のわらじ

ウィズでのクインシーとの出会いによりついに名作「Off the Wall」期に。そしてここから時系列が若干ややこしくなります。

Off the Wallのリリースは1979年6月。映画では好きにしろという感じでしたが実際には家族に反対される中でのソローで一気にブレイクした一方、翌1980年にはジャクソンズとしての4thアルバム「Triumph」をリリース。ここからも「Can You Feel It」「Lovely One」などのヒット曲が生まれます。

初めての整形は怪我が理由

作中ではマイケルが自分の鼻を完璧にしたくて整形に踏み切ったと描かれていますが、実際には当時のステージで鼻を怪我した際に整形したのがきっかけ。マイケル自身鼻にコンプレックスがあったことを認めていますし元々整形したかったのかもしれないけど、原因としては当時の怪我にあります。

フレディ・マーキュリーとのデュエット

伝記映画ヒット作としての先輩であるフレディ・マーキュリーとマイケルは仲がよく、実は一緒に曲を収録したことも。マイケル側は「State of Shock」、フレディ側は「There Must Be More To Life Than This」という曲をそれぞれ提供して収録したのですが、残念ながら2人でのデュエットは公式には世に出ることがなく、前者はジャクソンズのアルバム「Victory」でミック・ジャガーとデュエット、後者はフレディのソロアルバムにフレディのみの楽曲として収録されています。

しかしネットというのはおそろしいものでこの2人のデュエットも流出しているんですね。2人がそれぞれ歌ったのを合成したという話もありますが、これ公式にリリースされていたらそれはそれで名曲だったろうな。

ポール・マッカートニーとのデュエット

そしてOff the Wallのヒットを踏まえてついにリリースされたのがモンスターアルバム「Thriller」ですが、アルバムの中で一番最初にリリースされたシングル楽曲はポール・マッカートニーとのデュエット「The Girl Is Mine」でした。こちらは秘蔵されずにしっかりリリース。

一方のポールは自身のアルバム「Pipes Of Peace」でマイケルとのデュエット「Say Say Say」を収録、こちらは全米1位のビッグヒットに。ポールとのデュエットとしてはこっちのほうが有名かもしれませんね。なおお騒がせお姉さんのラトーヤもこの曲のMVに出演しています。

なおマイケルはこういう有名人コラボが大好きで、時系列としては映画より後のBAD期になってしまいますが、スティービー・ワンダーとは自身のアルバムで「Just Good Friends」、スティービーのアルバムで「Get It」をそれぞれデュエットしています。Get Itも名曲なんだよなー。

実はジャクソン5の舞台だったムーンウォーク初披露

モータウン25周年を記念したコンサートに出演を依頼されたジャクソン5、しかしマイケルは出てもいいけど自分のソロ曲も歌わせろとリクエストします。モータウンのお祝いイベントでEPICの新曲歌わせろというすごい力技。

そしてコンサート当日、前半はジャーメインを含むジャクソン5の元メンバーにジャクソンズからのメンバーであるランディも途中で加入、I Want You BackからThe Love You Save、I’ll Be Thereという、のちの「Motown Medley」を披露して拍手喝采を集めておきながら、「昔の曲も好きだけど僕が好きなのは新曲だよ」とBillie Jeanを披露、そしてここで初のムーンウォークを投入して、前半のジャクソン5メドレーの勢いをかっさらってしまうという、パフォーマンスとしては最高だけどマーケティングとしては末恐ろしい戦略でした。

モータウン25での「失敗」

映画でも控え室で「失敗したよ」とマイケルが言うのですが、これはムーンウォークした後のつま先立ちが一瞬しかできずすぐに終わってしまったという箇所。この後何度もマイケルが反省として振り返ります。

Beat Itのバックダンサーはマイケルの振付師

映画だと全員がギャングみたいに誤解を招きそうですがセンター固めているのはちゃんとしたダンサーで、中でも白い服を着ているギャングのボスはマイケル・ピータースという当時の振付師。そしてその後爆発的なヒットとなった「Thrillerの振り付けを考えた人でもあります。

もう一方のギャングのボスもマイケルの振付師で、彼はかの有名な斜めに倒れるゼロ・グラビティを生み出した「Smooth Criminal」も振付を担当しています。

2人との記念写真がこちら。

豪華なBeat Itのギタリスト

有名人大好きなマイケル、Beat Itではギタリストにエディ・ヴァン・ヘイレン、TOTOのスティーヴ・ルカサー、そしてスティーヴ・ルカサーが担当。ソロパートはエディ・ヴァン・ヘイレンが担当しており、その点でロック好きの人からBeat Itを覚えているという人も。

Thrillerの原題は「STARLIGHT」

曲はそのまま、でも歌詞が全然違うSTARLIGHT。これはこれでいいんだけど、やっぱりThrillerであってこそのヒットな気がしますね。歌詞の前半は好きな子を脅かし、後半で守るよとトーンを変え、それをMVでは前半だけ、後半だけそれぞれつなぐのが実に秀逸なんだよな。

Thrillerの監督も名監督

何度目になるか分からない有名人好きのマイケル、Thrillerの監督は「ブルース・ブラザース」「狼男アメリカン」で知られるジョン・ランディスにお願いしました。作中でもさらっとマイケルのカメラワークへのこだわりを伝えるシーンで「ジョン……」と呼ばれてましたね。

エホバの証人に怒られたマイケル

母キャサリンが熱心な信者だったこともあり、お母さん大好きなマイケルも信者だったエホバの証人ですが、Thrillerの映像がけしからんと指摘が入り、仕方なくマイケル側はMVの冒頭に「これはマイケル・ジャクソンの個人的信条を反映したものでない」という一言が入ります。その後このこともあってマイケルはエホバの証人を脱退。未だにその一言はMVに入っていますね。

ペプシの替え歌

作中ではペプシと契約直後すぐに火傷してしまってペプシいいところなしなのですが、その後もペプシとの契約は長きにわたって続いただけでなく、マイケルはペプシのために自身の曲を替え歌にして提供しています。

実際、火傷するときのライブで歌っていたのがこの曲。

そしてこれもBAD期ではありますが、BADもPEPSIバージョンでの替え歌をリリース。これ見るとペプシとの仲がそこまで悪くなっていないことがわかるのでは。実際DANGEROUS期の「マイケル・ジャクソンあげます」プロモすごかったですしね。

そしておそろしいことにマイケルの火傷シーンも映像として残っていたりします。

ほぼマイケルソロライブだった「Victory」ツアー

Thrillerのビッグヒットの後にリリースされたVictoryですが、マイケルがリードボーカルを務めたのは「Torture」「Be Not Always」、そして前述のミック・ジャガーとのデュエット「State of Shock」の3曲のみ。それ以外は兄弟がそれぞれリードボーカルとプロデュースを担当する、割とバラバラな作りになります。

余談ですがこのBe Not Always、ギターとボーカルのシンプルな構成でマイケルの歌唱力という素材の良さを堪能できる屈指のバラードだと個人的に思ってます。マイケルはバラード歌わせても天才なんだよなー。

そして映画でも大きく扱われたVictoryツアーですが、セットリストを見るとマイケルのソロ曲が大多数を占めており、これほぼほぼ実質Thriller期のマイケルライブだったりします。

なお映画ではVictoryツアーの最中にマイケルが怪我をしたことになってますが、実際に怪我をしたのはペプシのCM撮影で、ツアーが始まるのはその後ですね。まあこのあたりもドキュメンタリーのご都合ということで。入院期間も1日程度と、火傷自体が重傷ではあったもののだいぶ映画版で演出がかけられている模様。

尋常性白斑

これも作中でちらりと言及されていましたが、マイケルは肌が白くなる尋常性白斑という病気にかかっており、それまでは白い肌を黒く化粧していたのがだいぶ病状が進行したことで、BAD期には黒い部分を白くすることで一気に肌が白くなりました。これ当時を見てた人はすごい驚いたんだろうな。

それゆえにマイケルは白人に憧れているなどいろいろ騒がれましたが、作中では褐色の肌のままジャファーが演じていましたね。これまあここだけ肌が白くても説明が不足するのでややこしくなりそうだなと思いつつ、見ていて違和感を覚えたシーンでもありました。

最後に

映画としてはデビューからVictoryツアーまでがメインで、その後はいきなりBADツアーに飛んだため、その間のWe are The WorldやキャプテンEOは描かれなかったけどそこは次回作で描かれるのかな。ただBAD期以降を描くとだいぶストーリーは辛いものになりそうだけど。

余談ですが本編のストーリーはさておき、曲のリリースもなのですがマイケルのダンス演出も時系列関係なくなっており、その頃のHuman Natureでその振り付けしないだろとか、BADでマイケルそんなにムーンウォークばっかしねえよというところばっかり気になってしまいました。まあそれ行ったらBeat Itの収録中ずっとあの謎鍵盤Tシャツばっか来てないだろとかいろいろあるわけですが。

長くなったので本編の感想についてはまたそのうちどこかで。


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