auとソフトバンクモバイルの2キャリアからiPhone 4Sが発売された2011年10月、注目のTCA契約者数が発表されました。
10月の携帯・PHS契約数、auが2年2カ月ぶりにMNP首位 – ケータイ Watch
http://k-tai.impress.co.jp/docs/news/20111108_489289.html
日経が先行して報じた通りMNPだけでみるとauが首位なんだけど、今回のTCAはなかなか面白い数値が踊っていて考察しがいがあるので個人的な視点含めてエントリーしてみます。
まずは純増値ですが、単純に純増だけ見るとMNPでこそ1位だったauを抑えてソフトバンクモバイルが1位。ああやっぱりiPhone 4Sはソフトバンクのほうが売れたのねー、と思いたいところですが、これ表にしてみるともうちょい面白い数字が見えてきます。
以下は4月からの4キャリア純増を並べてみました。1キャリアずつ見ていくとドコモはかなりの波があり、5月にストンと落ち込んだものの6月に回復、以降は9月まで好調なのに10月でまた10万を切りました。これ非常にわかりやすくて、落ちている月はどちらも新モデル発表の前月であり、新モデルが発表された月なんですよね。数値から明らかに買い控えが起きてるなーということが見えていて、11月後半からの新機種発売ラッシュでこのあたりは巻き返せそう。
docomo | au | SB | EM | |
4月 | 188,000 | 140,100 | 239,300 | 74,400 |
5月 | 63,000 | 110,900 | 299,000 | 75,000 |
6月 | 154,000 | 102,200 | 191,700 | 73,700 |
7月 | 195,500 | 108,100 | 245,000 | 85,000 |
8月 | 182,100 | 73,000 | 239,000 | 75,000 |
9月 | 200,800 | 125,300 | 275,700 | 78,000 |
10月 | 89,600 | 196,900 | 247,600 | 55,000 |
auは8月に謎の落ち方をしているものの、9月までは10万前半台をキープしていたのが10月には20万弱へ一気に増加。過去の平均値からして大きく伸びたのはauと言えます。その一方、10月の純増だけを見ると圧倒的勝利だったソフトバンクは前月のほうが純増数は高く、平均的に見ると24万の純増はいつも通りと言える数値。iPhone 4Sなしでもこのくらいをキープできたこと考えると、iPhone 4S効果は「今まで通りiPhoneシリーズ売ってますよ」という効果はあれど、新たな純増を生み出すパワーまでは至ってないように思えます。
もう1つ面白いデータがMNP、つまり他キャリアへ移った数。こちらも4月から並べてみました。
MNP | ||||
docomo | au | SB | EM | |
4月 | -28,300 | -23000 | 51400 | -100 |
5月 | -59,200 | -25500 | 84800 | -100 |
6月 | -33,900 | -18,800 | 52,800 | -200 |
7月 | -35,500 | -11800 | 47100 | 100 |
8月 | -25,300 | -12100 | 37300 | 200 |
9月 | -45,000 | 8700 | 35800 | 500 |
10月 | -75,400 | 68700 | 6600 | 100 |
MNPは「他のキャリアへ移った数」なので横軸での足し算がとてもわかりやすい。これまではドコモからの転出をauとSBで分け合う、またはドコモとauからの転出をソフトバンクが独占という状態になったのが、10月ではMNPの数がすべてauに移動しており、ソフトバンクへのMNPが極端に落ちています。
MNPがすべてiPhoneというわけではありませんが、この圧倒的数値を見ると「今までiPhoneが欲しかったドコモユーザーはソフトバンクしかなかったけれど、auを選べる状態になったらそのほとんどがauを選んでいる」という確率は相当に高そう。純増だけで見るとソフトバンク有利なようにも見えますが、MNPが圧倒的にauへ流れているこの状態はかなりau有利な気がしてきます。
10月の純増はもう1つ面白いデータがあって、それはiPhone 4Sが発売されてからの3週間、過去モデルの「iPhone 4」も地味にランク入りしているということ。
前モデルである「iPhone 4」がランクインしていることにも驚きです。
携帯電話販売ランキング、上位10機種中7機種をiPhoneが独占するという結果に! – 携帯総合研究所
http://xenonews.blog50.fc2.com/blog-entry-3266.html
7位に前モデルの「iPhone 4」32GBモデルがランクイン
携帯電話販売ランキング、auのiPhoneがソフトバンクモバイルを抜き首位に。 – 携帯総合研究所
http://xenonews.blog50.fc2.com/blog-entry-3277.html
9位、10位には前モデルである「iPhone 4」がランクイン
携帯販売ランキング、今週はソフトバンクの「iPhone 4S」がトップ3を独占! – 携帯総合研究所
http://xenonews.blog50.fc2.com/blog-entry-3288.html
10月中もコンスタントにiPhone 4が売れており、iPhone 4はソフトバンクしか発売していないことを考えると、ソフトバンクの純増のうちのある程度はiPhone 4ということになるわけで、純増では1位のソフトバンクも、iPhone 4Sのみの純増で見るとiPhone 4の影響を差し引いてauとの数値のバランスが純増ほどの比率にならないかもしれません。ここはあくまで推測ですけどね……。
そして10月で見ると一人負けのドコモも、今後については大きく期待できる要素があります。1つは5月にもあった買い控え要素ですが、もう1つが純増は伸びなかったもののXiの純増は引き続き9万件台をキープしているということ。10月にはXiタブレットが発売されたものの、6月からほぼ9万件台をキープし続けていることを考えるとタブレットの影響はさほど大きくなく、基本はルータやデータ通信カード需要と推測できます。
そう考えると11月に登場するXiのスマートフォンプランはかなり強力。4月まではキャンペーンでパケットが4410円に割り引かれたうえにテザリングもこの額に含まれるという激安価格。5月以降は割引が効かなくなるものの、それでも5985円という従来のパケ・ホーダイ フルと同等価格でテザリングできるという価格力は相当に魅力。Xiがきっちり9万キープしている需要を考えると、Xiルータとスマートフォン両方の役割を果たすXiスマートフォン発売月はドコモが大躍進しそうです。
「Xi」音声端末向けプラン発表、ドコモ内通話定額も – ケータイ Watch
http://k-tai.impress.co.jp/docs/news/20111018_484515.html
さらには上記記事にあるとおり音声定額も大きい。なんだかんだ言っても日本の携帯電話ユーザーの半分はドコモといっても差し支えないシェアを考えるとターゲットも多く、ソフトバンクやauのような24時間ではない定額と比べて完全に24時間定額というのも恐ろしい仕様。これがきっちりユーザーに認知されれば11月や12月はかなり面白いことになりそうです。
あと1つ気になるのがauの契約者数。ここ最近の数字見ても、EZwebやISNETといったauのISPサービス契約者数が、auのCDMA2000 1x契約者数より圧倒的に少ないんですよね。例えば10月だとauのCDMA2000 1x契約者数は20万2300件なのに、EZweb/ISNETが10万5800件しかない。通信モジュールが4万2900件あること差し引いても5万件くらいはEZwebもISNETも契約しない数値なわけで、これどっから来てるんだろうね。プリペイドとかなのかな……。このあたりは情報お持ちの方お寄せいただけると幸いです。
こうやって数値をいろいろ見てみると10月単月の純増こそソフトバンクが多いものの、MNP含めて考えるとiPhone 4Sで一番メリットがあったのはauという印象。そして買い控え&11月のXiスマートフォンリリースでドコモがどれだけの構成をかけてくるのか、来月のTCA発表も今から楽しみであります。