マイケル・ジャクソンという人間について

※この記事は5年以上前に書かれたため、情報が古い可能性があります

先日書いた勢いありあまりまくりのマイケルエントリーについて、一部の方から「もっとやれ」というご意見をいただいたので、米国ではまもなくマイケルの追悼式がおこなわれるというタイミングでマイケルについてつらつら語ってみる。

といっても音楽だのダンスだのというのはマイケルが亡くなったことでテレビやラジオでかかりまくっており、接触機会はかなり増えているので今さら何をいうこともない。さらにいうと音楽の価値観というのはどんなに自分が好きであっても押しつけては意味がないもので、それは中高時代マイケルに夢中になりすぎたものの周りの友達はだれも理解をしてくれないという人生を送ったからこそ痛感している事実であり、「マイケルいいよいいよ」というのはあまり興味がないのであります。自分が好きなら他にファンがいなくったっていいじゃんくらいの勢いだしね。

一方で、マイケルといえば音楽やダンスの評価と同じ、もしくはそれ以上に騒がれるのがスキャンダル。顔が白いだの整形で鼻がまがっただの少年虐待疑惑だの、挙げればきりがないほどで、マイケルをそういうイメージでしか見ていない人も多いんじゃないだろうか。

個人的にはそういう見られ方を否定する気はなくて、というのも自分も最初はマイケルを「整形で気持ち悪い人」としか思ってなくて、どちらかというとバカにしていたフシもあったから。それがNHKのマイケル特集見てふきとんで、「ああ自分はなんて偏見の目でみてたんだろう」と痛感させられたことが、今の自分の価値観にも大きく影響を与えていることは間違いない事実であります。

なのでマイケルが白かろうが整形しまくってようが、少年虐待を実際にはしていようが、あまり自分には関係がない。いや少年虐待は犯罪なのでもしやってたとしたらだめなんだけど、自分がマイケルに対して感じている尊敬の念やあこがれみたいなものはそれが1つのゆるぎない価値であって、そこに魅力を感じている以上は他のことはどうでもいい。マイケルの言葉を借りればIt doesn’t matter if you’re black or whiteなのであります。

とはいえども、マイケルを好きになりすぎるあまりマイケルに関する文献を読みあさった自分としては、マイケルがああなってしまったのも正直言ってわかるなあ、という思いが強い。あれだけの人生を歩んできた人間が、言葉は悪いかもしれないけれどまっとうな人生はとても送れないよね。マイケルを知れば知るほどそういう重いが強くなる。

自分が知った知識はあくまでマイケルについて書かれた書物であって、それが事実かどうかを知るすべはないんだけれど、そうした書物をいくつも読むことで自分が感じたマイケル・ジャクソンという人間の人間像みたいなものを、この深夜のタイミングでダラダラ書いてみたいと思います。しかし前置きながいなおい。

子供の頃からスーパースター

11歳でジャクソン5のリードボーカルとしてデビュー、全米No.1を4曲も生み出したのち、ジャクソンズ当初はやや低迷したものの、「Destiny」で改めてブレイクしたのち、ソロアルバム「Off The Wall」移行はソロでもブレイクしたマイケル。以来スーパースターとして音楽会の最先端に居続けたためにまともな子供時代なんてとても送れるはずがなく、学校もまともに行けない日々が続いていたらしい。

ただ、そんなのは子供時代から有名だった芸能人には良くある話。海外でいえば麻薬でボロボロになってしまったマコーレー・カルキンもそうだし、日本だって美空ひばりは幼い頃からスーパースターだった。しかしマイケルほどの奇人変人ぶりをみせたかというと、なかなかあそこまで到達した人はいないわけで、子供の頃からスーパースターだったことも影響しつつ、他にもたくさんの要因があったからこそ、マイケルのああいう性格が生まれたんだろうな、というのが自分の解釈。

父親のDV

これはもう有名な話ですが、ジャクソン5時代から父親ジョー・ジャクソンの子供への仕打ちはひどかったらしい。殴る蹴るは当たり前で、中には銃を突きつけられた息子もいたほどとか。遺言状に母キャサリンの名はあっても父の名前がなかったことから分かるとおり、父親への愛情というのは「許す」という感情こそあれ、それはもう「愛」ではないみたいです。

思春期の第二次性徴

子供の頃は愛らしい顔だったマイケルも、成長期にはニキビが大量に発生して大変だったらしい。それを兄弟や父親にからかわれることですっかりマイケルはふさぎ込み、同時に子供の頃ほど高くは出なくなっていった声も含めて、明るくあどけない少年だったマイケルは、この時期すっかり内気な青年に変わってしまったらしい。

性への接触

これももう書籍にあった伝聞ではあるものの、この要因が実は一番だったんじゃないかなと思う。ジャクソン5でブレイクした当時マイケルはまだ11歳で小学校高学年程度でしたが、その兄たちは中高生くらいの年齢で、十分に恋愛できる年頃。実際ファンもたくさんついていたようで、いろいろ恋愛のすったもんだはあったらしい。

ただ、それだけならいいんだけど、一番強烈だなと思ったのは、兄弟相部屋でマイケルが寝ているにもかかわらず、兄たちがファンの女の子を連れ込んでキャッキャウフフしていたらしいという話。まだ性のなんたるかもしらない年頃の中、同じ部屋の中で兄たちが性に精を出しているところを毎晩のように体験するというのはあまりに衝撃すぎると思う。

幼い頃から仕事ばかりで子供らしく遊べない、親の愛を知らない、知っているのは父親の鉄拳制裁だけ、そして幼い頃に無理矢理知らされた性の体験。こんなことが子供の頃にしまったら、彼が子供の殻に閉じこもってしまうのも仕方ないんじゃないんかな。数々の書物を読み終わったのち、自分の中に残ったのはそんな気持ちでしかなかった。

家に遊園地を作ってしまったり、欲しい物を大量に購入してしまったり、そういう大人げない、ある意味で子供っぽい行動をとってしまうのは、彼がまさに子供時代を失っているからだろうし、子供が大好きなのは自分がそんな人生を送ってしまったからこそ、多くの子供たちにそんな人生を歩んで欲しくないから(と信じたい)。そもそもとして彼自身の感覚がとても子供に近いからこそ、ああやって子供と遊んでいるのが楽しいんじゃないかな。

肌の色や整形に関しても、黒人ではなく白人になりたかったんだとかいうよりも、親兄弟にからかわれたニキビ顔ですっかり自分の顔が嫌いになってしまい、「自分ではない何か」になりたかったんじゃないかな。そういう意味では白とか黒とかはまさに関係なくて、自分がなりたい顔になりたいという気持ちがあの結果であって、無理矢理作ったゲルマン民族的なあごの割れ方がそれを何よりも示している気がする。

かわいそうな人生だから同情しなよという気はなくて、どんなに理由があれども気持ち悪いと思う人はいるだろうしその感覚は正しい。一方で彼がどんな顔をしていようが、どんな人生を歩んでいようが、彼の作った作品や彼のダンス、彼の歌の評価が下がることはまったくない。くだんの少年虐待疑惑真っ最中にリリースされたシングル曲「Will You Be There」は、なんだかんだいいながらじわじわと全米7位まで上がっていき、やっぱり米国は懐深いなあと思った。たぶん日本のチャートだったらランキングどころかCDも出させてもらえないよねきっと。

僕が音楽に目覚めたのはマイケルのおかげだし、未だに一番血湧き肉躍るのはマイケルの作品。それはきっとこの先も一生変わらないだろうし、マイケルが死んでもその作品のクオリティは一切陰らない。人はいつか死ぬもので、マイケルはそれがちょっと早く来てしまっただけ。むしろ今までこれだけたくさんの作品を生み出し、そのつもりはないにせよ、僕に音楽というものを好きにさせてくれたマイケルは一生僕のスーパースターで、僕だけのチャートで常に1位で輝き続けるのだと思います。

あああとこの勢いで秘蔵の映像や音源は全部製品化してほしいなあ。とりあえずHIStoryツアーとBADツアー、マイケルソロデビュー30周年あたりのDVD化をお願いしますはい。


マイケル・ジャクソンという人間について” への6件のフィードバック

  1. 私も同感です。最初は気持ち悪いと感じていましたが、スマスマにでていた時の なんとも言えない 優しい人柄がきになり、色々調べていくうちに ファンになっていきました。

  2. 私はマイケルが亡くなってから彼の音楽に触れ、ファンになりました。追悼番組で流れたスリラーのビデオをみてものすごい衝撃を受け、以来CDやDVDを買い漁っています。26日の朝に死亡のニュースを聞いた時には有名人の死に少し驚いただけという感じでしたが、好きになるにつれだんだん彼の死が悲しくて仕方なくなりました数日後の追悼式のニュースを不思議な気持ちで見ていました。彼と同じ時代を25年間も生きていたことの尊さに、彼の死をもってしか気づかなかったこと…後悔しています

  3. 私もマイケル全盛期を知る一人です。ビデオや来日コンサートでのあの圧倒的なオーラ。一度きりだけだったけど生のマイケル(しかも輝いてた時)を目に焼きつけられて幸せだと思う。が、もう二度と見られないと思うとさみしい。子供の頃から気の休まることがなかったマイケル。どうか安らかに。

  4. やっぱりさびしいな…マイケルがいないと…。まだ心にぽっかりと穴が空いてる感じ。さびしいけど半面、マイケル気が楽になってるよね…。
    どうか、安らかに眠ってください。

  5. 他のファンブログとかでマスコミがよく出す彼のひどい写真と同じ時期の写真比較とかみると、マスコミがいかにひどい写真を使っていたかわかります
    それでもやっぱり晩年は青年期と比べると顔面の変化は大きかったですが、、、

    マスコミの影響力ってすごいなあと思います
    こんな素晴らしいアーティストを奇人おじさんイメージにできるんですから、、、

    ジャニーズのような巨大な力を持つ組織にマイケルは嫌われて潰されたのかな?
    などと勘ぐってしまいます

  6. わたしは今高校生ですが、マイケルジャクソンを小学校の2年生くらいからいつも車で聴いていて、今でも大好きです!そして今日、ラジオでマイケル・ジャクソン特集を聴き、本当にマイケル・ジャクソンは優しい方なのだな、と思いました。この記事を書いた方の考え方も、大好きです!

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