【書評】「ソーシャル・ネット経済圏」読んだ

※この記事は5年以上前に書かれたため、情報が古い可能性があります

ずいぶん前に読み終わっていたのにどたばたしてたら書くのが遅くなりました……。献本いただいておいてすみません!

といいつつこの本はとってもいい本というだけでなく、思うところも多々あったのでご紹介。


ソーシャル・ネット経済圏

日経BP書店|商品詳細 - ソーシャル・ネット経済圏
http://ec.nikkeibp.co.jp/item/books/P48400.html

本書は誰か特定の人がソーシャルメディアについて言及した本ではなく、日経ビジネスや日経デジタルマーケティングで特集した内容を1冊の書籍にまとめたもの。日経の記者さんが丁寧かつ丹念に取材した内容が詰まった1冊です。

個人的にソーシャル系の書籍というのはあまり好きではなくて、というのはソーシャル系サービスはとかく「自分の見える世界」がすべてのように見えてしまいがちだから。もちろんそれはネット上だけでなくて、東京に住んでいるとすべてが東京のように思えたり、社会人になると学生の気持ちなんてわからなかったりするというのはあるけれど、そうはいいつつ他人の情報がいやでも飛び込んでくる現実世界に対し、自分の友達だけで構成され、友達がすべてに見えてしまいがちなソーシャルサービスはそうなりがちな要素がとても強いと思います。

それに対してこの本は業界動向をふまえた上で取材をし、そのサービスがどんな実績をあげてどんな結果を出したのかという根拠を示した上で述べている。もちろんソーシャルの本なんだからある程度はソーシャルを持ち上げる話ではあるのだけれど、こんな試作をやったらユーザーがこれだけ反応した、とちゃんと根拠を示した上で述べているから腑に落ちる。

内容としてはこういう業界にいるから知っていることも多いんだけど、一方で女性向け業界での取り組みは新しく知ることも多かった。タイトルが「経済圏」というだけに企業のソーシャルに対する取り組みがテーマなんだけど、今ソーシャルで何が起きているかを知る本としてもとてもよいと思います。

本の中では期待の企業としていくつか知っている企業の名前もあがっていてちょっと嬉しくなりながら読んでいたら、後半になってWISHについても取り上げてもらっていた。やってる最中はすごい大変だったけど、こうやってメディアに取り上げられて評価されるためのお手伝いをできていたのは嬉しいことだなあ。

もう1つ、本筋とは関係ないところで改めて思うのはこうやってきちんと取材することの大切さ。ブログやソーシャルメディアの隆盛により、誰でも手軽に情報発信することができるようになった一方で、事実を確認しないままあたかも事実のように展開したり、おもしろおかしくネタにして盛り上がればいい、という情報も氾濫してきた。

でもこうやってきちんと取材をした内容を目にすると、きちんとした取材を行った上で得られた情報から論理を展開することの大事さが伝わってくる。今の世の中、こうした情報発信がなかなかビジネスになりにくかったりするんだけれど、最後にはこうやって「きちんと仕事したコンテンツが認められる」ようになるといいなあ、なんて読みながら思いました。

ちなみに同じ日経BPの本では、「フェイスブック 若き天才の野望」もかなりおもしろい。あくまでフィクションである映画「ソーシャル・ネットワーク」と違い、Facebookへ丹念に取材した結果であるこの本、ぶ厚いながらも読み飛ばせる部分がなく、とっても濃い充実した1冊です。まだ1/3も読み終わってないのですが、Webの世界でお仕事しているとワクワクしてくるエピソードがいっぱい。映画を観たらこっちも読むといいよ、というのがとても納得の1冊です。これも読み終わったら感想書きたいですね。


フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)


コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください