ネタバレ全開で「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」を肯定していく


42年に渡るスター・ウォーズシリーズの最終作、映画館で見届けて参りました。

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ネタバレしないよう事前知識はほとんど入れずに行ったのですが、すごくよかった。ちなみに今回の3部作では新作の予告編として素晴らしいエピソード7、突っ込みどころありすぎながらカイロ・レンだけが光っていたエピソード8、というのがここまでの感想です。

映画終わった後に人の感想読むのが楽しみなのですが、割とファンからは酷評されているっぽい。まあこれだけの大作は何やっても文句言われる宿命だとは思いますが、個人的には十分以上に楽しかったので、こういう肯定意見もあるよというのを思うまま書いてみます。

前提

スター・ウォーズファンなら当然知っている話ですが、エピソード7から9までの3作は監督が異なり(正確には7と9が一緒ですが)、すべてのエピソードは一貫したストーリーに基づくのではなく、前のエピソードが終わってから次の監督が新しくストーリーを作るというリレー方式で作られています。

前作までの世界観を受け継ぎつつ「詳しくは次のエピソードで!」と丸投げした予告編チックなエピソード7、そしてそんな7とは真反対のごとく予定調和を否定して裏切りまくったエピソード8までは次があるからできる自由度だったわけですが、エピソード9はここで終わらせなければいけないという制限がつく以上、7や8ほど自由にはやれない。面白さはもちろんのこと「話として全部拾った上で着地する」という課題についてエピソード9はすごくうまく着地したし、これだけバトン方式でやってきたシリーズ締めくくる最後としてはお見事すぎると思います。

古くで言えば和歌の世界、最近で言うならラップバトルのような、相手に対して歌を返しながらストーリーを紡いでいき、結果として1つのシナリオにうまく着地したその流れそのものはすばらしいし、最初からシナリオが決まっていない中で、しかも途中で別の監督が描いた真逆の世界感を捨てることなくなんとかキャッチしながら大団円したという手腕はすばらしかった。

うまいこと着地したという意味ではレイア姫のエピソードもすごい。元々まったく別のシナリオを想定して収録した、たった8分の映像を別のシナリオへ見事に溶け込ませていた。この記事読むまで8分制限があったなんてまったく気がつかないくらいレイアは自然に登場していて、JJさすがすぎる。

『スター・ウォーズ』レイアが「最後のジェダイ」の予定だった ─ 『スカイウォーカーの夜明け』出演時間は8分以下か | THE RIVER
https://theriver.jp/leia-last-jedi/

もちろん、最初から最後まで計算しつくされたエピソード7〜9を見てみたかった気持ちはあるけれど、ないものねだりしても仕方ない。そしてそんな前提踏まえても普通にうまい展開だし映画として面白かったし、ちゃんとスター・ウォーズ締めくくってくれたよなという点で評価は高いです。

あとそもそもとしてスター・ウォーズはそもそも新しさを求めるべきなのか、世界観を守りつつ王道を貫くのかで言うとこの作品は後者でいいのではというスタンスでもあります。新しいことそのものに意味があるのではなく、新しかろうが古かろうがいいものはいいわけで、新しくないからだめ、っていうのもそれはそれで偏りではないかなと。もちろんこれがデヴィット・フィンチャーの映画だったら話は別なわけですが。

前置きが長くなりましたが、今回のエピソード9で気になる部分を順不同でコメント。他にも思い出したら追加するかもです。

やっぱり今度もパルパティーン

パルパティーンの登場は「話が唐突すぎる」というのと「結局パルパティーンかよ」という2つの突っ込みどころがあるわけですが、前者に関しては今までのエピソードもそんなもんなのでそこは攻めても仕方なし。エピソード5見た後のエピソード6はストーリー飛びすぎてわけわからなくありませんでした?

そして後者については、前作のエピソード8でスノークが真っ二つにされるわけですが、あんな雑魚なやられ方、どう見ても本体じゃなくてラスボスいるでしょ。そしてスノークを超えるボスとしてのパルパティーンは、新しさがないという点を除けばこれ以上ふさわしいキャラはいないわけで。エピソード7、8とボスだったスノークに対してそれを超える新キャラがいきなり出てきても微妙だし、あるとしたら「スノークの本体は別にいた」くらいのオチだろうけど、だったら「パルパティーンがあやつってた」のほうがシナリオとしてはしっくり来るかな。

スパイはフォックス

露骨にプライド将軍をカメラで抜いてくるあたり「ああこの人スパイじゃないな」と逆にわかりやすい構図。7からでてきたフォックスがスパイ、というのはオチとして面白いのですが、これについてはなー、レジスタンス応援したら自分も死ぬんだぞ? というところで若干納得がいかないものの、それでも恨みを晴らしたいくらいカイロ・レンを憎んでいたことと、レンさえ落とせればなんとかなるという短絡的な発想しかできない小物でしたという意味でなんとか消化するしかない感じではあります。

レイがパルパティーン

これについては「8でフォースに血筋は関係ないのに結局血筋なのかよ」という感想が割と見られたのですが、血筋という意味ではあのパルパティーンの孫娘という血筋を裏切ってジェダイの道を進んだわけで、ずっと自分の血筋にこだわっていたレイが乗り越えた壁としての意味は大きいのでは。あとフォースは8の最後でも少年が使っているし、9でもどうやらフィンがフォース使えるらしいという描写があるので、「フォースは血筋ではなく信じるものが得られる」という線もきっちり残していると思う。まあ映画的には8の少年にもうちょい活躍してほしいなとは思いましたが。

レイがスカイウォーカー

自分を守ってくれた親の名前じゃないの!? という意見もありつつ、顔もほとんど覚えていない親より、短い時間とはいえ大事なことをいくつも教えてくれたレイアとルークを取るのは仕方なし。親を否定したわけではなく、自分をまもってくれた親も大事な存在だけど、それ以上に尊敬する2人を思ってのスカイウォーカーだったのかと。

ハン・ソロとランド

個人的にはウルトラマンで別の兄弟が助けに来たりするの大好きなので、この2人がまた見れたのは普通にうれしい。無理矢理感もそこまでなかったし。

レンが結局改心

エピソード7から9までの大きなテーマは「カイロ・レンの厨二感」にあると思っているので、結局「改心したいけど言い出せなかった」という厨二感まるだしのオチは、レンの厨二感が最大の見所であった8の流れをうまく拾ってすごくいい。あの強くてかっこいいのに小物感あふれるカイロ・レンがとてもたまらない。

レイとレンのキス

さすがにあれは蛇足かなーとは思った。結局そこなのかよ! という。そしてフィンが言おうとして言わなかったのはやっぱりそういう言葉だったんですかね。結局は別のヒロイン登場しちゃってうやむやになりましたが。恋模様としてはいろいろ微妙だったけど、まあスター・ウォーズに恋愛求めてもな……と言うところもあるかもしれません。

結局元通りのC-3PO

R2-D2が信用できないなんて発言、完全に元通りになるよねフラグでしかないので。

死んでないチューバッカ

どうせ死なないだろというのは想定内、ただちょっと登場早すぎたけど、あそこまでフラグだったら後で出てきても全然驚かないのでとっととネタバレしてしまってよかったんじゃないですかね。

復活するパルパティーン

ここは結構大事なポイントかなと思ってるのですが、パルパティーンの「自分を殺せばお前が皇帝になる」はブラフだったのでは。そういってもレイは結局殺すことができず、レイを助けに来るであろうレンのことまでがパルパティーンのシナリオで、2人そろったところでエネルギーいただくのが狙いだったんじゃないかなと思う。だって自分の孫娘が皇帝になって喜ぶようなタマではないでしょパルパティーン。

なので実はあの時にレイがパルパティーンの言うとおりたたき切っていたら実はパルパティーンは死んでいた(元々死んでるけど)のかも、という説に加えて、レイを皇帝にするのが当初のシナリオだったけどレンが改心したことで「この2人まとめていただけたら俺が生き返れてよりいい展開!」と方向性変えるのもなくはない。まあそのあたりもうちょっと説明してほしかったなと言う気持ちはありますが。

最後に

ストーリー的な矛盾はそこまでないし、暴れ馬だったエピソード8を拾いつつも着地したという点ではすばらしい。あとは本作がよく言えば王道、悪く言えば安直なストーリー展開であることをどう思うかで評価が分かれるのでしょうか。

ただ個人的にキン肉マンはすぐ超人生き返ってほしいし、男塾で谷底に落ちていったらハッハーンこれは生き返るなってわかるからいいので、王道で安直なことは必ずしも悪いことではなく、好みの問題なのかなと。ナンバリングタイトルは王道であり、シナリオやキャラクター描写はサブのタイトルで、という位置づけとしてはすごくよい着地だったし楽しく見られました。

ただ、ルーカスがやるかどうかは別として、最初からシナリオをきちんと練ったエピソード7から9を見てみたさもある。エヴァンゲリオンみたいに監督自らリメイクする方法もあるので(実際にはリメイクと言うよりちゃんとした続きという設定もあるようですが)、「シン・スター・ウォーズ」みたいな展開もちょっと見てみたいところです。

そして余談ながら今回見てきたグランドシネマサンシャイン、音もいいし席も前の人が気にならないしネットでチケット買ったら現地で発券不要だしですばらしかった。これから映画はグランドシネマサンシャインメインで見たくなるくらいいい映画館でした。


ネタバレ全開で「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」を肯定していく” への2件のフィードバック

  1. アナキンの父は明かされなかったのですね。ep.8,9は未観です。backspaceFMの急遽出席回よりブログなどを拝見しています。ep.7,8,9のまとめ上映でもあったら見に行くかもです。
    ありがとうございました。

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