このたび縁あってサイボウズさんから記事広告のご依頼をいただき、無料で使えるグループウェア「サイボウズLive」をレビューすることになりました。
チャットもグループウェアも無料で使えるサイボウズLive
https://live.cybozu.co.jp/
サイボウズLiveは、ソフトなどのインストールは必要なくブラウザだけで利用できるクラウド型のグループウェア。カレンダーや掲示板、オンラインストレージやToDoリストなど多彩な機能を搭載し、無料ながらも1グループにつき最大300人まで使えるという大盤振る舞いなサービスです。
サイボウズLive自体は今のところ完全無料で提供されており、企業向けの有料サービスとしては「サイボウズOffice」というサービスが提供されています。サイボウズLiveとサイボウズOfficeの大きな違いは、「管理者がユーザー管理できるかどうか」。サイボウズLiveは使う人が自分でユーザー登録しなければいけないのに対し、サイボウズOfficeは管理者がそれぞれのアカウントを発行できるようになっています。
シェアNo.1グループウェア「サイボウズ Office」 | cybozu.com(サイボウズドットコム)
https://www.cybozu.com/jp/service/office/
カレンダーもストレージもToDoリストもある「全部入り」のグループウェア
グループウェアはサイボウズLiveのような総合型のほか、最近ではチャットに特化したチャット型のサービスなどいくつもありますが、サイボウズLiveの特徴は、「誰もが使えるサービス」ということ。
たとえばチャット特化型サービスの場合、スケジュールやファイルを共有するにはカレンダーサービスやクラウドストレージなど他のサービスを使わなければいけない。
リテラシがある程度高い人たちだけで使うのであれば「カレンダーはGoogleカレンダー、オンラインストレージはDropboxね」というように複数のサービスを使い分ければいいけど、そういう使い分けが大変な人にとっては複数のサービスを利用するのが負担になってしまい、結果としてサービスを使わなくなってコミュニケーション取れなくなってしまう、なんてことも。
その点サイボウズは掲示板やカレンダー、オンラインストレージにToDoリストと一通りのサービスを取りそろえており、最近では新たにチャットサービスも搭載しました。
サイボウズのアカウント1つだけあれば、グループウェアに必要な機能が一通り揃っている。グループウェアというのは1人でも使えない人がいるとコミュニケーションの意味がなくなってしまうので、ITリテラシがばらばらな人たちとグループウェア使う時こそサイボウズLiveの真価が発揮されそうです。
ガラケーユーザーも見捨てない
「誰もが使える」という意味では「ガラケー」と呼ばれる従来型携帯電話のサポートもポイント。最近はスマートフォンが流行したおかげでスマートフォン対応のサービスが急速に増えている一方、ガラケーに関しては非対応として切り捨てているサービスも多々あります。
でもまだまだ世の中にはスマートフォンを使っていない人もたくさんいるし、使いこなせないのではなくあえてガラケーな人だっている。そういう人にとってスマホのみ対応のサービスは使うことすらできないけど、サイボウズLiveならパソコンもスマートフォンもガラケーもみんなでコミュニケーションできる。
誰もが使える、そして誰も切り捨てないし見捨てないサービスという点も、他のサービスと比べた時にサイボウズが優れる点でしょう。
注目は新機能のグループチャット
とはいえ逆もまた真なりといいますか、自分のように便利なWebサービスはほいほい使うタイプのユーザーばかりで、スマートフォンユーザーのみで構成されているグループでは、すべてをサイボウズLiveに乗り換えるというのもなかなか難しい。
実際、サイボウズLiveに関する説明会の時も、担当の方から「みなさんのような方はきっと継続して利用しないと思いますが」と実に正直なコメントいただいてしまって思わず苦笑してしまいました。実際のところDropboxやGoogleカレンダーを愛用している自分としては、すべてを捨ててサイボウズLiveってのは正直厳しいよね……。
しかしながら今回個人的に注目したのは、サイボウズLiveが新たに搭載したチャット機能。
サイボウズ株式会社は2月26日、無料グループウェア「サイボウズLive」にチャット機能を追加したと発表した。利用は無料。
無料グループウェア「サイボウズLive」、チャット機能を追加 -INTERNET Watch http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20140226_637059.html
以前に「僕がLINEを使わない3つの理由」というエントリーでも書きましたが、個人的にはパソコンとスマートフォンなどさまざまな環境で使えるグループチャットは非常に興味ある分野で、サイボウズLiveのチャット機能も以前から気になっていたのです。
余談ですが、複数端末でログインできてデータも同期しつつ、パソコンでも使えるチャットアプリって意外とないのよね。
僕がLINEを使わない3つの理由 – カイ士伝
https://bloggingfrom.tv/wp/2013/03/21/8770
いろいろグループチャットは試し歩いていますが、現時点ではプライベートでFacebookチャットを使いつつ、仕事ではチャットワークをメインに使っており、チャットワークは以前にこんなエントリー書いたほど便利に使っています。
仕事でのチャットはチャットワークが界王拳並みにはかどる件 – カイ士伝
https://bloggingfrom.tv/wp/2012/07/19/7636
しかしながらチャットワークも2年ほど使っているといろいろ課題も感じており、最近は「他のグループチャットで乗り換えられるサービスないかなあ」とちょこちょこ調べているところにやってきたこのタイムリーな企画。総合的なレビューは他のブロガーの方々にお任せしつつ、このブログではここ最近乱立するグループチャットの中でサイボウズLiveチャットがどのような使い勝手か、チャットサービスを今回はレビューしてみたいと思います。
他のAMNパートナーブロガーによるサイボウズLiveの感想はこちらをご覧ください。チャットに特化した私より全体的なグループウェアの使い勝手がよくわかると思います。
手軽にはじめられる無料のグループウェア・サイボウズLive(インストラクターのネタ帳)
http://www.relief.jp/itnote/archives/pr-cybozu-live-free-group-ware.phpだれも置き去りにしない情報共有ツール、サイボウズLive | Lifehacking.jp
http://lifehacking.jp/2014/03/cybozu-live1/
グループウェアとは独立したグループチャット
はじめに断っておくと、サイボウズLiveのチャットは、少なくとも現状サイボウズLiveとは連動していない、ほぼ独立したサービスといってもいい仕組みになっています。
ログインこそTwitterログインやFacebookログインに加え、サイボウズLiveのIDとパスワードが使えますが、チャットのメンバーはサイボウズLiveで作成したグループとは別に作成する必要があり、グループのメンバーでチャットをしたい場合も個別に招待しなければいけません。チャットメンバーの追加はグループごと一覧表示できるので、同じグループに参加している人の追加漏れはなさそうではありますが、現状は完全に別のサービスになっています。
インターフェイスもチャット独自になっており、サイボウズLiveでは画面上部に「イベント」「ToDoリスト」「掲示板」といったナビゲーションが並んでいますが、チャット画面ではナビゲーションが表示されておらず、グループへ戻る導線も用意されていないので、一度チャットにアクセスすると元に戻れないようになっています。
最初はかなりとまどいましたが、これはサイボウズLiveとは関係ない別のチャットサービスと考えると、チャット単体としては左側にグループチャットやチャットメンバーが並ぶインターフェイスがシンプルでわかりやすい。インターフェイスについては後ほど改めて言及しますが、個人的にはサイボウズLiveとはまた違う独自インターフェイスのチャットということは今後を考えると大きなメリットにもなりそうです。
グループチャットはiOS、Androidに加えてガラケーにも対応
グループチャット自体はブラウザに加え、AndroidとiOS、そしてサイボウズならではの特徴であるガラケーにも対応。個人的にそろそろLINEに対応してほしい複数端末での同時利用についても、AndroidとiOSという異なるOSでも同時に利用できています。
左がAndroid、右がiOSアプリ
グループチャットでAndroidとiOS両対応というサービスは珍しくありませんが、ガラケーまでサポートしているというのは珍しい。もちろんスマートフォンのような新着通知はありませんが、新着があるとチャット一覧画面で該当のチャットに色がつくので新着があることはわかります。グループチャットも新しいチャットが上に来るというパソコンやスマートフォンとは逆の表示順になっていますが、画面の表示量が少ないガラケーではこの順序の方が使いやすそう。
アプリほどの使いやすさは正直ないですが、ガラケーでもちゃんと内容が見られるというのは非常に大きい。その一方で、ガラケーならではの物理ボタンによるショートカットに対応するなど使いやすさも考えられています。グループチャットメンバーにガラケーのみのユーザーがいるなら、サイボウズLiveはその一点だけでも使う価値あるのでは。
アプリの安定動作が魅力。画像投稿も「いいね!」もできる
個人的に興味あるのはやはりスマートフォンやパソコンで使う時のチャット機能ですが、これは他のサービスと比べると一長一短といったところ。
まず良いところからいくと、アプリがしっかり作り込まれていること。チャットワーク使っているとAndroidアプリがあまりに不安定で、新着が正しく表示されなかったり謎の落ち方したりと結構苦労するのですが、サイボウズLiveのチャットはiOSはもちろんAndroidアプリもかなりよくできていて、動作はサクサクで安定している。普通にチャットアプリとしてかなり使い勝手いいです。
ちなみにサイボウズLiveのチャットアプリ、iOSもAndroidもたった1人が開発してるんですってよ。それでこの安定感とクオリティはとんでもないな……。しかもiOS、AndroidともにフレームワークとしてTitanium使っているとのことで、Titaniumって手軽にできるけどあまり高度なことできないと勝手に思っていたイメージも変わりました。
チャットの投稿1つ1つに「いいね!」がつけられるのも地味に好感触。
グループチャット使っていると、仕事のいい報告だったりがんばった話だったりには何か前向きなリアクションしたくなるのですが、Facebookだと「いいね!」アイコンが連打されてしまうし、チャットワークも絵文字くらいしかない。それをやり過ぎると無駄にチャットが流れてしまうので、「いいね!」くらいの軽いコミュニケーションはグループチャットだとかなり有効です。
最近リリースされたグループチャット「Typetalk」も投稿単位でのお気に入り機能ついていますが、こういう「いいね!」機能は個人のコミュニケーションよりむしろビジネスのグループチャットのほうが活きるのではないかと思うくらい便利に感じています。
また、サイボウズLiveのチャットでは「いいね!」に加えて「お気に入り」にも登録できます。このお気に入りに登録したチャットはまとめて一覧できるので、「この投稿あとで見返したい」という時に重宝します。
今までチャットワークでは後で見返すチャットをコピーして自分のチャットに貼るという運用してたのですが、お気に入りなら1クリックするだけで後で見返すことができる。お気に入りは複数チャットにまたがって一覧できるので、「どのチャットでお気に入りつけたっけ……」と迷うこともありません。
iOS、Androidアプリともに画像が大きく表示されるのもうれしい。チャットワークの場合、iPhoneだと画像は投稿できるものの引用扱いで表示は小さく、Androidは表示以前に画像を投稿することすらできません。サイボウズLiveだと画像がかなり大きく表示されるので視認性が高く、AndroidでもiOSに引け目を感じることなく写真が投稿できる。これもまた「誰も切り捨てない」サイボウズLiveのいいところですね。
チャットワークのiOSアプリは画像アップロード対応も画像が小さめ
サイボウズLiveのチャットはiOS、Androidともに画像アップロードに対応。写真も大きくて見やすい
ちなみにチャットで利用できるファイル容量は1ユーザーごと1GBまで。サイボウズLiveのグループではグループ単位で1GBまで利用できるのに対し、チャットは1ユーザーごと1GBなのでかなり多めに使えることになります。また、チャットでアップロードした画像は横1,000ピクセル程度でリサイズされるので、元が3MB近いファイルも100KBくらいの容量に圧縮されていました。今のところチャットで利用できるファイルは画像のみなので、1GBあれば容量としては十分そうです。
チャットの通知周りが課題。グループウェアとの連携も期待
と、ここまではいいところをまとめてきましたが、一方でここは使いにくいなと感じるところも正直に書いておきます。
まずは通知周りから。通知に関してはチャットへの返信でも新規投稿でもすべてが通知されてしまうため、チャットが盛り上がると通知が連続してやってくるのでかなりやっかいなことになります。できれば同じグループのチャットでも自分に関係ない話題の時はそっとしておいて欲しい。
そのためには通常のチャットは通知しないと同時に、他の人が意図的に通知したいときにユーザーIDを指定することで通知できるメンション機能が欲しいところ。話を伺ったところによるとメンション機能はサイボウズの他製品ではすでに実装されており、サイボウズLiveでも今後対応する予定はあるとのことなので、関係ない話と関係ある話をうまくつかいわけられるようなインターフェイスを含めて楽しみにしております。
また、通知機能は初期設定で夜はオフになるように設定されているため、夜型のグループチャットだと新着に一切気がつきません。ここはデフォルトは24時間通知にしておいて、必要な人だけ夜の通知をオフ、とかにして欲しい。自分があえてオフにしているのならいいのですが、知らないうちにオフになっていると通知そのものに気がついてもらえない可能性もあるので。
なお、通知の時間間隔は最短で15分、初期設定では2時間となっていますが、チャットに関してはほぼリアルタイムで通知が届きました。おそらくこの通知時間はグループウェアのほうで、チャットに関してはほぼリアルタイムなのではないかと思いますが、ややこしいのでこのあたりは時間設定の説明もう少し補足して欲しいところです。
グループウェアの各種機能との連携がないのも、せっかくのグループウェアなのにもったいない。画像を投稿できて「いいね!」もつけられるグループチャットとしてはかなり使いやすいですが、ToDoやイベントをチャットから設定することができません。
また、パソコンでアクセスするサイボウズLiveのチャットは独立したインターフェイスなのに、アプリのチャットはメニューを見ると他のサービスと並列に並んでおり、このあたりもチャットがリリースされたばかりということで整理が行き届いていない印象。メニューからグループウェアにアクセスできても、チャットからToDoやカレンダーを設定できないというのはパソコン版と変わりません。
「独立したチャット」だからこそ感じる可能性
個人的にはチャットのコミュニケーションを中心にタスクを割り当てている仕事スタイルに慣れてしまっているので、チャットそのものは使いやすいながらもグループウェアとの連携がないサイボウズLiveには物足りなさを感じるところもあるのですが、その一方でこれだけシンプルにそぎ落とされたチャットは、ある意味で新しい可能性を感じるところもあります。
サイボウズというのはサーバーインストール型の頃からユーザーを抱える歴史の長いサービスであり、インターフェイスを簡単に変えようものなら、従来のインターフェイスになれている既存ユーザーが困ってしまう。実際、サイボウズLiveを初めて見たときも、「以前使っていたサイボウズそのままだな……」と驚かされたほどだったので、あのインターフェイスは既存のユーザーにとっての使いやすさを重視しているのだと思います。
しかし、今までのグループウェアになかったチャット機能であれば、従来型のインターフェイスに縛られず新しいコミュニケーションの形を築くことができる。従来から使っている人には独立した新機能としてチャットを見せつつ、新たにサイボウズLiveを利用するユーザーにとっては、チャットを媒介にしてグループウェアの各種機能を連携することで、歴史の長いサービスが陥りやすいイノベーションのジレンマもうまく克服できるチャンスとして有効活用できるのではと期待しています。
ガラケーユーザーも仲間はずれにしないグループチャットが独自の魅力
以上、チャット機能を中心にサイボウズLiveを見てきましたが、チャットに関しては必要最低限の部分がしっかり作り込まれているのでかなり使いやすい。今後対応予定というメンション機能に加え、画像以外のファイルアップロード機能も搭載されれば、ビジネス用途のグループチャットとしてもかなり有力な候補になる気がします。
一方、大元であるグループウェア部分に関しては、幅広いユーザーをターゲットとしているぶん、機能が多すぎてちょっとわかりにくいというところも正直なところですが、ガラケーユーザーも利用できるという間口の広さはサイボウズLiveならではの武器。スマートフォンとガラケーが混在するグループでのグループウェアとしては最有力候補になると思います。
参加ユーザー数も最大300人と規模が大きく、「もうこれ以上ユーザーが追加できない……」というユーザー数の制限に悩むこともなさそう。個人的にはグループチャットとして必須だと思っている複数端末のログインにも対応し、ガラケーユーザーともコミュニケーションできる間口の広さを持つサイボウズLiveは、グループチャットを選ぶ際の有力な候補になりそうです。
編集後記
最後にちょこっとだけ、サービスとは関係ない今回の記事広告に関する感想をば。今回の記事広告に関する説明会の場で、「みなさんのような方はきっと継続して利用しないと思いますが」とのお言葉をもらったというのは前述の通りですが、実はその話には「きっとみなさんのブログを読んでいる人も使わないと思いますw」という続きがありました。
では何のためにこの記事広告があるのかというと、その狙いは「サイボウズLiveという存在を知って、選択肢の候補に入れて欲しい」ということ。自分も含め、このブログを読んでくれているような人たちはきっといろんな人たちから相談を受ける層が多いだろう。そんな人たちがグループウェアの相談を受けたときに、決してサイボウズLiveを勧めなくてもいい、ただ選択肢の1つとして認識してもらえればいい、それが今回の記事広告の狙いなのだと。
記事広告というとやっぱり成果が求められるもので、それは単純にPVで換算されることが多いのだけれど、こうやってブログの属性を理解し、さらにその読者にまで視野を広げた上で、単なるサービス加入のコンバージョンではなく、「読者に読んでもらうこと」をゴールにしてもらえるというのは、いちブロガーとして地味ながらも嬉しいお話でした。
だからといって決して変に持ち上げたりということをするつもりもないし、このブログを読んでくれている人もそうであって欲しいと思いつつも、何かのきっかけに「あ、そうだサイボウズLiveもあるな」と選択肢に加わることがあれば、それはとってもうれしいなって思う次第です。
どこからサイボウズサイトにとべかわかりません