東芝でSDXCについて学んできた

※この記事は5年以上前に書かれたため、情報が古い可能性があります

もう1週間も前のことになりますが、私が勤めておりますAMN開催で、東芝SDXCの座談会に参加して参りました。

ハイスピード・大容量の記憶メディアの未来 SDXC UHS-I|TOSHIBA
http://agilemedia.jp/sdxc/

SDXCというのは、簡単に説明してしまうと次世代のSDカード。現在使われているSDカードは「SDHC」という規格で、規格上の最大容量が32GBに制限されてしまうけれど、今度のSDXCは最大2TBという、もうHDD並みの大容量をSDカード1枚で実現できてしまうわけです。

SDXCの名前を初めて聞いたのは2009年のCESの時だっただろうか。ニュースで見たときは「きっとまだまだ先の技術なんだろうなあ」と思っていたら、容量こそ64GBとはいえたった1年で製品化されてしまうのだから、技術の進化するスピードを改めて感じる次第です。


TOSHIBA Premiugate UHS-I SDXCメモリーカード64GB SD-E064GUA

今までSDカードというと、デジタルカメラや携帯電話で普及はしているものの、コンテンツを収録するメインのメディアというよりも受け渡し用のメディアという印象が強かった。DVDが普及していた頃のSDカードは、少なくとも普及価格帯のSDカードでは容量的にDVDには適わなかったし、SDHCでやっと16GBが手頃になった頃にはメディアはDVDからBlu-rayに移行が進んでいて、地上デジタル放送などを保存するような記録メディアとしては想定されていないというのが現状でしょう。

しかしSDXCによって2TBの世界が実現してしまえば、Blu-rayどころか現行のHDDレコーダのほぼ最高スペック容量をたった1枚で実現できることになる。2TBが普及価格帯に入るにはまだまだ時間がかかると思いますが、その頃にはもう持ち運ぶデータの容量を気にしなくていい世界が来るんじゃなかろうか。SDXCが発表された時から、SDXCで実現しうる未来を想像してわくわくしていたし、そのSDXCを自分のお仕事として関われるのも嬉しいお話でした。

今回の座談会は上記の特設サイトでSDXCをテーマに寄稿いただいた方を対象に開催。恥ずかしながら私もブロガーの1人として寄稿させていただいておりますので、いつもだと司会の立場としての参加なのですが、今回は1ブロガーとして参加させていただきました。やー、やっぱりブロガーイベントは司会より参加するほうが楽しいよねえ……。

座談会ではSDアソシエーションにも参加されているという東芝の坂本さんから、SDXCを始めとするメモリのお話を説明いただく。SDアソシエーションという名前は前職で記者をしていた頃からよく聞く名前だったにも関わらず実際に触れたことがない謎の存在だったので、「おおSDアソシエーションの人だ!」と個人的に感動していたのはここだけの話です。

SDXCの細かな仕様はWebニュースなどで耳にしていたので一通りのことは知っているつもりでしたが、やはり座談会でその道の専門家から教えていただくことには新しい発見がいくつもありました。

まず1つは「ファイル容量上限である4GBの撤廃」。現行のSDHCで使われているFAT32では、1ファイルの容量が4GBに制限されているのですが、SDXCで新たに採用した「exFAT」ではこの4GBの制限がなくなるとのこと。4GBというととても使い切れない容量のように思えますが、動画を扱ったりしていると結構この制限に引っかかることあるのよね……。地味にこれはありがたい仕様だと思った。

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デジカメの電池が切れてしまい携帯で撮影したため画面が青いです……

なお、ファイルシステムが新しくなるため、SDXCは既存のSDHC対応機器では利用できないという課題もあります。ただし、PCに関してはWindows Vista/7であればドライバをインストールすることで既存のSDカードスロットでも利用可能。デジタルカメラなどはさすがにSDXC対応機器を待つ必要ありますが、さすがに64GBで6万円台のカードをいきなりデジタルカメラで使うってのは想像できないかな……。このあたりは普及に従って価格が落ち着いていくることを期待したいところです。

ちなみにSDXC対応の更新プログラムはこちら。

ダウンロードの詳細 : Windows 7 用の更新プログラム (KB976422)
http://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?displaylang=ja&FamilyID=3ee91fc2-a9bc-4ee1-aca3-2a9aff5915ea

ダウンロードの詳細 : Windows Vista 用の更新プログラム (KB975823)
http://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?displaylang=ja&FamilyID=2d1abe01-0942-4f8a-abb2-2ad529de00a1

転送速度の早さもSDXCのメリットですが、ポイントは「UHS-I」という仕様。これは「Ultra Hight Speed」の略なのですが、要はSDXC規格であってもこのUHS-Iに対応していないと高速な転送速度は実現できないのです。また、UHS-Iで実現できるバススピードは104MB/秒までで、SDXCの上限である300MB/秒を実現するためには「UHS-II」というさらに上の仕様を満たす必要があるとのこと。これはなかなかややこしい世界ですね……。

東芝のSDXCカードはこのUHS-Iにきちんと対応していて、座談会ではこのUHS-Iのスペックをフルに引き出したデモも見せてもらえました。UHS-Iの場合、あまりの転送速度の速さにUSB 2.0ではその真価を引き出せないようで、デモは試作機というPCI Express型のリーダーで実施。ちなみにUSBだと3.0対応であればUHS-Iの速度を実現できるそうですが、現状普及している接続インターフェイスだとまだフル性能は引き出せないってことですね。

しかしこのデモがほんとにすごかった。SDカードマニアの間では、東芝のclass 10に対応した白いSDHCカードは「白芝」との愛称で人気なのですが、白芝のスペックを遙かに上回り、スペック通りの数値を計測。前職でADSLとかに触れまくっていた身としては、「カタログスペックなんて理論値にすぎないよね」という偏見が強かったんですが、ほんとに60MB/秒とか実現できるもんなんだな……。

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座談会の後半はSDXCをどのように使いたいか、という話をブロガー発信でする予定だったのですが、プレゼンと質疑応答が盛り上がりすぎてあまりここらの話が出し切れず。なのでブログで書いておくと、やっぱりテレビ好きとしてはモバイル動画に使いたい。今までもテレビを携帯やスマートフォン用にエンコードして持ち歩く、というのはやったことあるんだけど、どうしても長続きしないんですな。やっぱりそれは「エンコード」だったり「レコーダからコピーする」という作業がどうしても面倒になっちゃうから。

でも2TBも容量があれば、地上デジタルの好きな番組を数ヶ月は持ち歩ける。SDXCを2枚用意しておいて、片方は常に録画、片方は持ち歩いて、1ヶ月ぐらいの単位で差し替える、なんて使い分けすれば、いちいち番組を取り出す手間は圧倒的に削減できそう。SDXCが普及するころにはHDDも大容量になっていて、とりあえず番組はかたっぱしから録画し、携帯とかで好きな番組を指定しておくと家に帰るとその番組だけをSDに保存しておいてくれるような連動ができるようになるといいなあ。

モバイルやブロードバンドの回線が発達するとクラウドだったりすべてネットで片付けられるという発想も生まれるんだけど、メールみたいな容量の少ないデータならともかく、動画クラスのデータをすべて通信で、というのは正直現実的ではない。大容量のカードこそクラウド的にデータをすべて集約してしまうと、通信環境に依存せずデータを扱えるようになるのですごく魅力的だと思いました。

もともと前職で記者なんて仕事をやってたのは、文章を書くのが好きなのではなくて、新しい技術に触れられるのがとても楽しかったんだけれど、今回の座談会は久々に新しい技術について根掘り葉掘り聞けてとても楽しい座談会でした。懇親会ではいろんな裏話も聞けたんだけど、そこはまあお酒の席ということで胸に秘めておきます。


東芝でSDXCについて学んできた” への4件のフィードバック

  1. ? 東芝でSDXCについて学んできた: もう1週間も前のことになりますが、私が勤めておりますAMN開催で、東芝SDXCの座談会に参加して参りました。 ハイスピード・大容量の記憶メディアの未来… http://bit.ly/coa73j #dncreco #dncaster

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