Google+に寄せる期待と不安

※この記事は5年以上前に書かれたため、情報が古い可能性があります

もうすでにいろんなところであーだこーだ書かれているGoogle+ですが、あくまで自分はこう思っていた的な回顧録として現時点での自分の考えもここにまとめておきます。

Google+を利用するときに大前提として忘れてはいけないのは、Google+がサービス名称ではなくてプロジェクト名であるということ。ログインし続けているとなかなか気が付かないのだけれど、ログイン前の画面ではしっかりとGoogle+がサービス名称ではなく「ウェブ上の情報共有をもっと簡単に」をコンセプトとしたプロジェクトであることが明記されています。

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Google+は「プロジェクト」

 

そしてもう1つ大事なことが、サービス開始当初から利用できている人はユーザーではなくテスターであるということ。サービス向上や改善のためにフィードバックすることを目的として参加できているのであり、「このサービスつかえねー」と文句だけいうためにいるわけではないということですね。

Google、「Google+」のテスター招待を再開 – ねとらぼ
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1107/08/news021.html

数あるGoogleのサービスに新たな価値を「+」するためのプロジェクトがGoogle+であり、さらに現在の参加者がテスター段階であることを考えると、今我々が目にしているFacebookライクなコミュニケーションサービスがGoogle+の最終形態ではなくて、今後さらなる機能拡張の展開があるということ。そう考えると今のサービスはGmailとGoogle Talk、Picasa、そしてGmailビデオチャットに「+」したような状態であって、今後さらにGoogleの各種サービスが「+」されることを考えると恐ろしい存在になりうると思います。

Facebookとあれこれあって最近はFacebook利用から遠ざかっている私ですが、コミュニケーション的にはほとんど不自由していない。唯一Facebookをやっていなくて困るというよりもまわりから苦情を受けるのはメッセージでもゲームアプリでもチャットでもなくイベント機能。「Facebookでイベント開催したときに誘いにくい!」ということだけがFacebook利用していない立場で違いを感じるところです。

そういう意味ではコミュニケーションについてはTwitterでもメールでも代替手段は存在するわけで、Facebook非利用ユーザーにとってのキモであるイベント機能がGoogle+にやってきたら、自分としてはFacebookの存在がほんとに不要になってしまう。しかもGoogleにはソーシャルカレンダーとして何年もの経験を重ねているGoogleカレンダーがあるわけで、一向にリニューアルされなかったGoogleカレンダーがインターフェイスごと改善されたことを考えると、Googleカレンダーの「+」はそうとう楽しみなところ。

ちなみにあくまで完全に個人的な環境ですが、自分のまわりで「mixiにしかいない」友達はたくさんいるけど、「Facebookにしかいない」友達っていないんだよなあ。なんだかんだFacebookやってる知り合いはTwitterにもmixiにもいて、さらにはその多くがすでにGoogle+を使ってたりするので、「身近な知人のソーシャルグラフを抑える」という点ではまだまだmixi強いよなーと思う次第。

話を元に戻すと、ほかにもGoogleドキュメントをユーザー間で共有できても便利だし、Googleマップの位置情報を使えばもっとLatitudeがお手軽になりそう。繰り返しですがFacebookライクの投稿機能だけでなく、Googleの各種サービスが「情報共有」をより強化してGoogle+化していくと、Facebookやmixiのような「つながること」が主たる目的であるSNSとは一線を画すサービスになりそう。その点でもGmailをGoogle+の入り口にしてしまうインターフェイスはズルいというか最強というか、Googleの本気が見せつけられる気がしています。

Google+の特徴であるサークル機能は、自分のことは誰でも登録できるけど、自分が見せたい情報はこちらでコントロールできるという非対称なコミュニケーションと注目されていますが、この仕組み自体はFlickrも「コンタクト登録したら相手の写真見られるけれど、相手にフレンド登録されていないとフレンド向け写真は見られない」という機能と一緒だし、伝説のブログサービスであるVOXも同じように非対称な公開機能は搭載してたので、すさまじく斬新な機能というわけではないかな。

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Flickrも写真を見せる範囲をこちらでコントロールできる

けれどmixiやFacebookのような双方向のフレンド登録、Twitterのような片方向のフォロー登録が一巡したタイミングで登場したというタイミングはとても重要で、まだ若干わかりにくいけれどユーザー間の新たなつながり手法として定着はしそう。Flickrのコンタクト機能がとても気に入っていた私としてはこの形式が広まるのはうれしいと同時に、「Voxはいろいろ時代を先取りしすぎてたな……」と改めて思うのでありました。

個人的に一番熱いと思っているのはビデオチャット。ビデオチャットサービスはこれまでもいろいろ注目してきたのですが、「Windows/Macでチャットできるけど複数人でチャットできない(有料サービスはある)」Skypeと、「複数人でチャットできるけどMac OSのみ」というiChatはぢちらも一長一短だったところに、ブラウザベースかつOSに依存しないGoogle+のHangoutは強烈すぎる存在。しゃべっている人に自動でフォーカスする機能もすごいけれど、みんなで同じYoutube動画を操作しながら見られる機能はそうとうに熱い。将来的にここでUstreamのようなライブ映像が流れればスポーツ中継も楽しくなるし、動画じゃなくてWebサイトを表示できるようになれば遠隔会議もやりやすくなる。

唯一の課題は実名制度で、最初はニックネームでもよさげな空気を醸し出していたGoogle+も実名登録を強要するような向きもあり、今後がとても注目されるところ。まだテスター段階なこともあり、このあたりはとてもセンシティブだからこそ手探り状態なのだとは思いますが、ユーザーにとって気持ち良い場所になる良い落としどころを見つけてほしいものです。

個人的には実名ならなんでも反対というわけではなくて、Facebookみたいな実名の扱いが嫌いというだけ。たとえばmixiも本名記入欄はあるんだけれど、そこに入力した本名はマイミクだけに見せるといったプライバシーコントロールが可能。リアルな友達なら実名でつながるという発想自体は否定しないし、ちゃんと友達だけに開示されるのだれば喜んで実名も登録します。

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mixiは実名表示範囲をマイミクのみに限定できる

それに対してFacebookは「検索でひっかからない」設定は可能だけれどリンクすれば実名は見えてしまうし、そもそもリコメンド機能で友達かどうかもわからない人のところにまで自分の名前が表示されてしまう。実名のメリットを否定する気はないし実名が好きな人はそれでいいけれど、実名のデメリットも少なからずあって、そのデメリットはITリテラシが低い一般層にこそ大きくのしかかってくるものだと思います。Facebookの「人格は1つに」という思想は理解できなくもないけれど、そのための手段がはたしてインターネット上に広く実名をさらすことなのかという点が大きく疑問なのであって、人格の扱いに関してはmixiのほうが素晴らしいと思う次第です。

そういう点からもGoogle+が実名を貫くなら「登録した実名の表示をサークルごとコントロールできる」機能がほしいなあ。間違っても実名が強制表示されるような残念サービスにならないよう心なら願っております。

今のところはサービスの新しさも手伝ってGoogle+にいる時間が長くなり、相対的にTwitterへのアクセス時間は減っている状態。Google+内で+した情報をまとめて見られないとかまだまだ課題は多いところですが、それと同じくらい期待も大きいサービスなので、変な実名方向に振られずWebの未来を感じられるようなサービスとしてリリースされるよう今後も引き続き注目していきたいと思います。


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