進化と退化を併せ持った「PlayStation Vita」ファーストインプレッション

※この記事は5年以上前に書かれたため、情報が古い可能性があります

発売初日に購入しておりましたPlayStation Portableの次世代機「PlayStation Vita」、ゼルダとかゼルダとかあとゼルダのおかげでなかなか時間が取れずレビュー出遅れておりましたが、一通り使ってみた感想を遅まきながらレポート。

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PlayStation Vitaについては今更説明するまでもないとは思いますが、PSP、PSPgoという変遷を経て生まれた新たなPlayStationシリーズの携帯機。ハードウェア的にはDSの成功をふまえてかタッチパネルを搭載したほか、背面にもタッチセンサーを搭載。液晶や無線LANなど各種機能も大幅に機能を拡充した、まさに次世代のPlayStation Portableと言えるスペックです。

言いたいことは多すぎるのでハードウェアとソフトウェアそれぞれに分けてご紹介。まずは外観ですが、左側は前機種のPSPシリーズとほぼ同様で、十字ボタンにアナログスティック、PSボタンを配しています。今までのPSPだと十字ボタンそれぞれが独立していたのが、PS Vitaではつながったボタンになったので斜め入力が以前よりもやりやすそうかな。

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右側はアナログスティックが追加され、左右ともアナログスティックの操作が可能に。また、ボタン部の左上にはインカメラも追加されました。

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本体背面に模様が描かれているところがタッチセンサーで、本体を支えている指でタッチ操作が可能。細かい点のようなのはPSシリーズのボタンであります○△□×のマークです。

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今回購入したのは3G対応モデルで、標準でNTTドコモのSIMカードが装着されていました。プリペイド期間がもったいないので購入後はさくっと接続解除。

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本体上部は電源やボリュームのほか各種インターフェイスエリア。

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蓋を開くとカートリッジスロットとアクセサリー端子が現れます。PS VitaではPSPで採用していたUMDを排し、新たにカートリッジを採用したため、物理的にはPSPと一切互換性がないという強気の仕様になっております。

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本体下部は拡張端子とイヤフォンジャック、右端には専用メモリーカードスロット。

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専用メモリーカードはかなり小型で、サイズ的にはSDカードの1/4くらい。また専用カードですかと言われそうですが、端末のコピーガードとかを考えると専用のセキュリティを保持するのはそれほど悪いことではないかなと個人的には思ってます。値段もかなり安価で32GBでも1万円しないしね。

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むしろ気になるのは拡張端子。ここは充電に使ったりUSBでPCと接続したりするのに使うのですが、PSPでは一般的なUSB端子でよかったのが、PSP goで専用ケーブルを介してのUSB接続になり、PS VitaではPSPgoとも違う専用端子を採用。いちいちUSB接続するのに専用端子を使わなければいけないというかなり使いにくい仕様になっております。

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左がPSPgo、右がPS Vita

UMDを排して専用カードとしたことは大賛成だし、メモリーカードもセキュリティ面から独自仕様化はわかるんだけれど、PSPの頃は普通のUSBでよかったのがなぜ後継機で専用ケーブル化してしまうのかがとても残念。またしばらく充電のために専用ケーブル持ち歩く日々が続くのか……。

ハードウェアはこのくらいにしてソフト面へ。タッチパネルを搭載したことで、PS Vitaの操作はゲームを除けばすべてタッチで操作することになっています。

スタート画面は右上にめくれている部分からタッチでめくる動作をすると……。

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実際に画面がめくれる描画の後にホーム画面が現れます。

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ホーム画面は今までのXMBとは一線を隠したスマートフォンライクな画面。アプリを長押しすることで場所移動できたりと実にスマートフォンな思想のUIです。

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カメラも搭載していますが画面サイズはVGAどまりのパンフォーカスとなっており、実用度はかなり低め。

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撮影した画面も基本的には表示するのみで、画像経由での投稿などは対応せず。

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PlayStation Storeはコンテンツが充実しており、VitaソフトやPSPソフトのほかに動画コンテンツも購入できます。

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体験版が充実しているので、しばらくは本体だけでもゲームには困らないかも。

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ブラウザはWebKitベース。表示はPC並みですが機能はかなりシンプルで、今のところできるのはお気に入り登録くらい。

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文字入力はQWERTYのみ。以前のPSPにはあったテンキー入力がないのが残念。

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数字を入力する時のみ10キーになるのですが、これは使いにくいよな……。

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自分のブログをサンプル表示。解像度が高いので900px以上を想定しているうちのブログもきっちり表示できます。

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試しにGoogle マップを表示。こちらも表示はできるのですがタッチ操作で移動ができず、ピンチ操作しても地図の倍率が変わらずそのまま拡大するので実用度は低め。

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Twitterは専用アプリを搭載。ツイートやMentsion、DM、リストの確認など一通りのことは行なえます。

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カメラで撮影した画像をTwitterから投稿することも可能。フォローを選んでメンション対象にもできるのですが、どうやら最近フォローした順にフォローが並ぶっぽく、検索できるわけでもないのでここも実用度は低いかな……。2012-01-02-161034

スマートフォンライクにアプリを追加することも可能で、torne連携アプリやニコニコ動画を視聴できるアプリが提供中。すでに開発者向けにはVitaのアプリを開発できるベータプログラムが展開されているので、ますますスマートフォンライクにアプリを追加することができるようになりそう。

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本体はマルチタスク対応で、ゲームしながらも他のアプリを起動したりすることも可能。PSボタンを押すことでホーム画面に戻り、さらにPSボタンを押すことで現在起動しているアプリを一覧表示できます。

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アプリを終了する場合は起動時と同様画面をめくる操作。かなりタッチに絞り込んだ仕組みです。

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タッチパネルでの操作対応やスマートフォンのようなアプリ対応などは非常に革新的なのですが、一方ですべての操作をタッチのみとし、ボタン操作が一切できない仕様なのが残念。スマートフォンと比較してハードウェア的に差別化できるのはボタン類だし、動画や音楽を聴くときですらボタンが使えないという仕様はとても残念に思います。

そしてさらに残念だなーと思うのがPC連携やコンテンツ関連。今回、ゲーム画面も含めてスクリーンショットが撮影できるようになるという革新的な機能を搭載した一方で、Vitaとコンテンツをやり取りするにはPCに専用ソフトをインストールし、USB経由で接続する必要があります。

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PCと接続が必須というだけならいいのですが、問題はすべての操作をVita側から行なう仕様になっていること。音楽を転送するにもスクリーンショットを取り出すにもすべてVitaから操作することになり、PCで操作するより格段に操作性が下がっています。

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音楽コンテンツもPCと接続した上で、PC上の取り込みたいソフトをVitaから選択することになっており、取り込みたい音楽が大量にあるときは操作が大変煩雑に。さらにPSPの頃は当たり前のように対応していたプレイリストにも非対応で、音楽を再生するにはアーティストかアルバムからでないといけない。プレイリストで「マイケル全部まとめ」とか聴いてた人にはかなり辛い仕様です。

悪名高かったSonicStageから一点して新たにリリースしたMedia Goは結構使いやすく愛用していたのですが、Media goに対応するのは難しかったのだろうか。音楽管理は圧倒的にPCから操作したほうがやりやすいので、Media Go対応とは言わないまでも、PCから一通りの操作ができるようになることを切に望む次第です。

BluetoothにはPSP goから引き続き対応しているものの、Bluetoothレシーバーで一時停止を押すと本体がスリープしてしまい、再度再生するにはVita本体を操作してスリープを解除し、改めてBluetoothをペアリングしないといけない。PSP goはこの点、一定時間内の一時停止ならレシーバーのみで復帰できたので、コンビニで会計するときだけ一時停止してすぐ戻す、なんてのもできたのですが、Vitaはこうした音楽関連の機能がかなり使いにくくなっています。

torneの対応も残念ポイントの1つ。画面が大きく美しくなったのはいいものの、それに合わせてtonreから転送する際の動画サイズはHD解像度決めうちになっており、PSPよりも解像度が高まった結果として転送時間が数倍かかってしまう。その対処として録画用の書き出しデータを別途作成する機能が追加されたのですが、それだったら画面小さくていいからPSPサイズの画面を書き出させてください……。なんか順番が違うよそれ……。

アップデートv3.50 | torne(トルネ)™ | プレイステーション® オフィシャルサイト
http://www.jp.playstation.com/ps3/torne/update/update_v350.html

全体的にハードウェアはスペックアップしたものの、OSをイチから開発したことでPSPでの遺産が組み込まれず、結果として使い勝手ではPSP以下になっているところが多々あるというのがいまのところの感想。このあたりはバージョンアップで対応していくところだと思いますが、ゲーム機だというのにゲーム機のボタンを一切使わないタッチセンサーのみの操作というのは、タッチ操作の対応に追われてそこまで開発に手が回らなかったのかなあと想像してしまいます。

一方でゲームビジネスとしての方向性はとっても高く評価しています。すべてをダウンロードコンテンツとしたPSPgoの潔さもすばらしかったのですが、やはり市場がついてこなかった。PS Vitaではダウンロードに重きを置きつつもパッケージ販売も用意することで、PSPgoの時にあった「やりたいゲームがプレイできない」という点も回避しつつ、ダウンロードできるゲームのボリュームも増えている。

実際プレイする側としても、カートリッジをいちいち交換しないですむダウンロード型はとっても素晴らしい。価格的にも今のところは定価の10%引きという量販店程度の販売価格を実現しているので値段的なメリットもあるし、ゲームを買っても中古にあまり売ったりしない立場としては、これだけダウンロードが充実しているのはかなりありがたい。

ゲームジビジネスにおける革新性は高く評価しつつ、PSPとは全く異なるハードウェアとしてはまだ生まれたての状態であり、もう一息作り込みを期待したいところ。幸いにもPSPのようなバージョンアップシステムを採用しているので今後はどんどん使いやすくなってくれることを期待しつつ、しばらくは手持ちのマイケルとかまいたちの夜に専念したいと思います。

ちなみに初週で32万台という販売台数は、UMDという前モデルでのゲームメディアを排して互換性を維持しない機器でありながら30万台という数値はいい線ななのではないかなというのが個人的な感想。一方で互換性がないというデメリットに加えてローンチタイトルもさほど強力なものがないというのが現状なので、3DSの値下げおよび強力なソフトラインアップ展開を前にして、今後のソフト展開次第ではしばらく苦戦を強いられるのではないかなーと思うところであります。


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