記者と広報の不幸なすれ違いあるある【広報マーケアドベントカレンダー3日目】

※この記事は5年以上前に書かれたため、情報が古い可能性があります

最初に一番大事な話を。このブログは「広報マーケティング Advent Calendar 2016」の3日目として書いているのですが、明日4日目以降が大変にピンチであり、このブログで止まってしまう可能性も現状大きいだけに、ぜひとも広報・マーケティング界隈の人は4日目と言わずどこかしら執筆にご協力下さい。ユーザー登録もTwitterログインだけで簡単でしたので。

広報マーケティング Advent Calendar 2016 – Adventar
http://www.adventar.org/calendars/1929

そんな前置きはさておき、3日目のテーマは記者と広報の関係について。現在はCerevoというハードウェア・スタートアップで広報を初めとした事務系のお仕事をしておりますが、以前はインプレスという出版社でWebニュース記者を7年ほど担当しておりました。今は無き「Broadband Watch」という媒体を懐かしがってくれる人がどれだけいるのかわかりませんが、すでに死語と化したブロードバンドをテーマに、ネットにつながるありとあらゆるものを記事にしまくっていたのが懐かしい思い出。今もCerevoで仕事をしつつ、フリーランスライターとしての活動も主たる業務に影響を及ぼさない範囲で細々と行っております。

記者と広報というのは仕事としては相反する関係であり、なかなか相手の立場が見えにくい職種でもあります。いざ自分が記者から広報に転身してみて、2つの立場で考えると、お互いが近いようで遠くなかなかわかり合えてないことも多いなあと感じることも多く、そんな経験から今回のブログでは広報と記者のすれ違いあるあるをお届けしたいと思います。

発表会の出欠

広報となった今、デロリアンで過去に乗り付けて記者だった自分をぶん殴りたいくらいの気持ちですが、記者時代の自分はせっかくいただく新製品や新サービス発表会の案内に対し、そのほとんどに出欠の連絡を出さずに当日参加しておりました。それでも快く対応していただいた当時の広報の方々には今さらながら感謝の気持ちでいっぱいです。

で、自分が広報になってみて痛いほど感じるのが、参加者の数が見えない不安。広報としてはニュースバリューやジャンルを踏まえながら会場規模や座席を調整するわけですが、いざ案内をお送りしても返事がなかなか返ってこない。参加連絡いただいた方に対して1.5倍くらいの座席数だと、だいたい連絡なしに参加いただく方の分も用意できるかな、というのが肌感覚なんですが、ネタによっては想定の2倍くらいの記者さんにお越しいただくこともあり、慌てて無理矢理座席をこしらえる、なんていうことも時折あります。

一応記者、それもWebの記者視点でフォローしておくと、編集部には多種多様な発表会案内が届き、人数の少ないWeb編集部においてどの発表会に行くかというのはなかなか事前に決めるのが難しい、という背景もあります。記者時代は週の発表会案内は週末にまとめてチェック、それを翌週誰が行くのかを分担する、みたいなやり方をしていました。

とはいえ、広報の立場になってみると前日でもいいので参加連絡もらえるのはとても嬉しい。当日の会場準備というのはもちろんのこと、何より「人がこなかったらどうしよう」という広報の豆腐メンタルを大幅に和らげる効果があります。以前の私を知っている方からすれば「どの口が言うんだ」と思われるかもしれませんが、ぜひとも発表会の参加についてはご連絡いただけるよう、改めてお願い申し上げる次第です。

ちなみに最近では発表会の前日くらいに、改めて発表会の案内を再送するとその時点で出欠連絡もらえる方もいらっしゃいます。リマインドとしてお役に立てば、くらいの位置付けではありますが、地味に効果あるので広報の方にはお勧めしつつ、「2回も送ってくるなよ」という記者の方がいらっしゃいましたらぜひご意見お寄せ下さい。

ニュースリリース配信代行

起業したばかりのスタートアップはメディアとのつながりも薄く、リリースは配信代行にお願いせざるを得ないことが多いのですが、正直これが一番の悲しいすれ違いではないかと思うほど、配信代行サービスのリリースは記者の方に読まれません。記者時代はもちろん広報になってからも「基本的に配信代行のメールは読まない」と断言する記者の方には多くお会いしてきました。

これも自分の記者時代からすると、こうした配信代行系のメールというのは、依頼した企業からすると大事な大事な1通なのですが、受け取る記者側は大変な数のリリースを配信代行サービスから受け取っています。これらサービスは「お金を払って依頼すれば配信できる」という側面から玉石混交であり、中には「読むに値しない」と言われてしまうようなリリースも多々存在する、というのは自分の記者時代にも感じるところはありました。

けれどこれまでメディアのつながりがないから、こうした配信代行を使わなければリリースを送ることもできない、そもそもPRに対しての理解が低く何をしていいかさっぱりわからないというスタートアップが多く存在、いやむしろ大半というのも事実です。つながりがなくたってコンタクト取る手法はいくらでもあるけれど、製品やサービスをまず出すことに注力しているスタートアップにとってPRがそこまで手が回るものでもないし意識も高くないというのもまた現実であり、そんな思いから以前にはこんなブログも書いたりしていました。

スタートアップにおけるニュースリリースの重要性とメディアへのアプローチについて – カイ士伝
https://bloggingfrom.tv/wp/2014/12/19/13868

とはいえ現実として「リリース配信代行は読まない」と考えている人がいるということは、広報の知識として受け止めておきましょう。一方、取捨選択の効率化として一定の理はあるものの、「読者の求める情報を提供する」という視点から考えれば「読まないリリースにもしかしたら有益な情報があるかもしれない」という可能性と、そしてそうした配信代行でなければ情報を発信できないステージにいるスタートアップがいるということも、現役記者の方には頭の片隅に入れておいていただけると幸いです。

記事の事前確認

個別に取材いただいた記事の事前確認については記者や編集部によってスタンスは異なるものの、「事前確認はしません」という媒体があります。これも記者経験からすると、記事確認をお願いしたはいいものの、宣伝のような内容を押しつけられたり、せっかくインタビューで引き出したコメントを削除されてしまったり、挙げ句の果てには「いやそれ逆に日本語としておかしいだろ」みたいな謎修正を行われることも多々あり、さらには事前確認が全然戻ってこなくて掲載スケジュールが遅れる、なんて体験をすると、事前確認に対して否定的な気持ちになるのもわかります。

一方、広報の立場からすると、事前確認なしの記事はとても恐い。起承転結やストーリーを事前に設定し、想定問答集もあらかじめ用意できる発表会の記事であれば事前確認の必要もないのですが、個別インタビューなどは想定もしていないジャンルの話題だったり、言葉のニュアンスだったり、恥ずかしながら質問された数字や事実を間違って伝えているということも少なからずあります。しかも残念ながら取材いただいた方の勘違いやメモの間違いにより、こちらが伝えてもいない情報が記事に掲載されるなんてことも悲しいながらこれ現実だったりします。

配信代行の件でも触れましたが、記者がすべきは読者にとって有益で正しい情報を届けることであり、広報としてもそこに協力するという意味で「正しい情報」を補正するためにも事前確認という形で協力をしたい。もちろん前述の通り企業の要望を盛り込んでくるような校正は断固お断りすべきですし、そういう意味で「事実確認以外の修正は編集部判断、3日以内に返事がなければ掲載する」みたいな取り決めをかわした上でいいので、情報の精度を上げるという意味でも編集部への事前確認はお願いしたい所存です。

なお、弊社Cerevoの場合は前述の通り、事実確認以外の修正要望は一切行ないませんので、ぜひぜひ取材の際には事前確認もご検討ください。事前確認なしなら取材受けない、なんてことはしませんしそこは編集部の判断が優先ではありますが、「うちは事前確認しない方針です(キリッ」と言いつつ製品名すら間違ってるような記事を目にした時にはやり場の無い哀しみが生まれるという愚痴もちょっとだけこぼしておきます。

本当は5つくらい並べたかったのですがすでにボリュームが結構な量になっているので、以下は箇条書きにて。

  • 名刺交換した相手にリリース送る、は記者によってはいやがられる(でもそれが仕事だよねという話もある)
  • 「リリース送りました!」の確認電話も記者にはいやがられる(メール読めないとおもわれているのかな)
  • 明らかに日本語が残念な記事確認に対してどこまで手を入れるべきかという広報の葛藤
  • 「取材したいです!」と言われて話を聞いたら記事広告のご案内だったときどんな顔すればいいの
  • 非公開と明記した電話連絡先を掲載された結果大量の営業電話がかかってくるときの哀しみ

そしてこのままこのアドベントカレンダーが3日目で止まるのか、週末にも関わらず4日目を更新してくれる勇者がいるのか、ドキドキしながら次のバトンを空に放り投げてキャッチされるのを待ちたいと思います。


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