「auからiPhone」で考える携帯電話3キャリアの動向


この話が本当かどうか、本当だったとしてこれがメディアで展開されたことで交渉に悪影響を与えやしないかなど実際のところは発表されるかされないかまでわからないところですが、それぞれのキャリアの立場でいろいろ考えると結構面白いなと思ったので勢いエントリーしてみます。

KDDI、「iPhone5」参入の衝撃:日経ビジネスオンライン
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20110921/222726/?bv_ru

この話には関係ないもののずっとユーザーからは待望されていたドコモのiPhoneは、昔は可能性あったかもしれないけど今後発売される可能性はそうとう低いと思う。というのもすでにAndroidが好調だし、ドコモはスマートフォンでもドコモの世界を構築しつつあるところに、完全独自仕様かつ条件も厳しいiPhoneが入ってくると後々困ってしまうと思うから。

iモードというと閉じられた世界の代名詞的に思われてしまいますが、課金代行や携帯電話に最適化したコンテンツという意味ではとても素晴らしいサービスだと思います。今ドコモがAndroidで展開しつつあるのは、Androidの魅力であるアプリの世界はそのままにしつつ、spモードで課金代行したり、乱立するアプリの中からある程度クオリティ持ったものをまとめたり、もともとドコモが携帯電話で提供していたサービスをきちんとAndroidでも展開したり、とてもいい流れだなーと。spモード使わないと無線LAN周りの設定ができないとかいう矛盾点はありつつも、それは今後ちゃんと解消されることを期待しつつ。

そんな中でメールアドレスも使えずドコモの課金も使えず、アプリが売れてもキャリアが全然儲からないよというiPhoneのユーザーを抱えてしまうことは、キャリアの立場からすると一時的なユーザー増にこそなれ未来につながるユーザーとしては厳しいかなあと思うところ。インフラも少しずつですがLTEへの移行が着実に進みつつある中、iPhoneを取るメリットは少ないんじゃないかな。

また、ドコモとしてはAndroidスマートフォンが好調なのはもちろん、PlayStation Vitaを捕まえたのも大きい。初速はそれほどでなかったとしても携帯ゲーム機は数百万台単位の売上が見込めるハードであり、それにドコモの3G回線がバンドルされるというのは影響が大きそう。3G非対応モデルもあることと、現状発表されている3Gサービスの料金があまりにもひどすぎる(料金はいいけど利用期間の制限と再契約料が劣悪)という課題はあるものの、そこが解決されればここでもシェアを狙える強みがあると思います。

一方のauはと言えば、LISMOアプリとかは展開しているもののドコモほど強力にコンテンツやプラットフォームを展開しているわけではない。というか同じXperia acroなのにドコモは売れてau売れないという悲しい展開になっている中、Androidにそこまで固執するよりいかに契約者を伸ばすかのほうが大事のようで、それが証拠にauサービスにぜんぜん対応していないWiMAXスマートフォンやWindows Phoneをどしどしつぎ込んでいるので、iPhoneもその延長線上で問題はなさそう。

何よりauは、今まで築き上げてきたCDMAネットワークをLTEに移行するという大変なオペレーションが待ち構えているんですよね。

KDDI、LTE開始まで綱渡りの2年間 高速化競争の勝者は :日本経済新聞
http://www.nikkei.com/tech/business/article/g=96958A9C93819499E1E3E2E2828DE2E3E3E3E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2;p=9694E2EAE2E5E0E2E3E2EBE6E7E0

W-CDMAベースのLTEは、W-CDMA陣営であるドコモなら対応は容易で、現にXiも着実に進みつつある。auもなんかのインタビューで「そこまで難しくないよ」と答えてたけど(どこのインタビューかはわすれた……)、かつてIDO時代にcdmaOneへ切り替えた時もいろいろ苦労があったことを考えると、インフラ移行という大事業を前にしてひたすらユーザー集めておくって作戦はau的にありなんじゃないかなあと思う次第。あの頃と違ってLTE移行が技術的には難しくないのだとしても、大規模な工事だけに予期しない障害とかいろいろ可能性もありますしね……。

MMSとかSMS周りの話もこのエントリー見るとまあ対応は進めているらしい。

 キャリア内・キャリア間メールとして導入されている「Cメール」も、iPhone対応の準備を進めている。グローバル仕様に合わせ、SMS(ショート・メッセージング・サービス)・MMS(マルチメディア・メッセージング・サービス)に移行しているのだ。「WindowsPhone IS12T」など一部のグローバルモデルではCメールを送信できない状態が続いているが、これもSMS・MMS仕様にすることで対応可能になるという。

iPhone争奪戦の舞台裏 孫氏も世界の流れに勝てず KDDIには難路も :日本経済新聞

http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A90889DE1E7E2E2E5EBE7E2E0E0E2EBE0E2E3E3E2E2E2E2E2E2

あと残す問題は通話とデータ通信を同時にできないCDMAの仕様ですかね。

「マルチアクセス」とは:ITpro

http://itpro.nikkeibp.co.jp/word/page/10008617/

加えてWindows Phoneで初めてauネットワーク使って感じたのはauの通信速度はさほど早くはないなあということ。iPhoneが出たとして「ソフトバンクより快適!」と声を大にして言えるかは未知数かなあ。とはいえソフトバンクの「そもそも電波が無いよ」という問題についてはauのほうが快適そうですが。

さてさてiPhone独占が崩れたソフトバンクですが、個人的にはこれを気にAndroidや他の端末へシフトできるという点ではデメリットの中のメリットもあるのじゃないかなと思います。

たしかにiPhone独占によって加入者は増えているけれど、そのぶんトラフィックの負荷も高い。iPhoneはパケット料金が他の携帯電話よりも優遇されていることもあって収入面でもメリットが少ない。強力な加入者増の武器である一方、料金や端末を安価にしてきた戦略は体力的にはかなりしんどそう。

さらにもう1つ大きいのが有料アプリ。App Storeの場合、有料アプリは7割を開発者、残りをアップルが取るのでキャリアは一切儲かりません。

有料の場合は売上げの3割を手数料・ホスティング料としてアップルが徴収し、残り7割が開発者の取り分となる。

App Store – Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/App_Store

一方、Androidマーケットでは7割が開発者は同一なものの、残りの利益はキャリアも受け取れる。下記記事にはGoogleが一切受け取らないと書いてあるけどたしか5%くらいはGoogleが取っていたような……。まあ何にせよ2割から3割近い料金はキャリアが受け取れるというのが大きな違いです。

 有料アプリケーションの場合、開発元は販売価格の70%を受け取る。残りの30%はキャリアと決済代行の費用として徴収。グーグル自身はAndroid Marketから収益を得ないという。

iPhone App Store対抗のAndroid Marketが正式オープン ? @IT
http://www.atmarkit.co.jp/news/200810/23/market.html

App Storeでキャリアがもうけるにはキャリアが有料アプリを作るしかありませんが、Androidマーケットなら有料アプリが売れるだけでキャリアにお金が入る。同じトラフィック食いのスマートフォンでもこの違いは大きいし、アプリを積極的に使って欲しくもなるもの。

確かにiPhoneは人気の端末でソフトバンクの看板ではあるものの、こういう事情を考えるとソフトバンクもさりげなくAndroidに力を入れるタイミングとして実はいいきっかけなのかもしれません。今までは独占ゆえの厳しさもありましたが、もしauのiPhoneが実現して2キャリアになるのであれば、「お前らが独占やめるなら俺たちだってAndroid売っちゃうもんね!」という対応もとりやすいはず。

ただし問題はソフトバンクとメーカーの関係か。これまでもインターネットマシンを持ち上げておきながらその後はiPhoneぴったりだったり、OMNIAといういい端末を仕入れておきながらiPhoneばかりを宣伝して全然日の目を見なかったりという対応をしていたソフトバンクが、今更メーカーとよい関係を築けるのかどうか。シャープはそれでもAndroid端末を展開していますが、国産メーカーがソフトバンクからかなり離れてしまっている現状を見ると、今度の冬春モデルでどれだけ国産端末がラインアップされるかが勝負の鍵を握るんじゃないかなと思っております。

重ね重ねau iPhoneが本当かどうかはまだわからないものの、auからiPhoneが出る可能性というコンセプトから3キャリアの動きを妄想するのはなかなかいいきっかけだったということで。画像一切使わない長文エントリー失礼いたしました。


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