マイケル・ジャクソン幻のショートムービー「Ghosts」レビュー


念願のビデオデッキを無事お借りでき、家の中にあるマイケルコレクションを片っ端からデジタル化する作業をついにはじめたのですが、一発目のGhostsを見てたら思うところいろいろ出てきたのでブログで書いておきます。

Ghostsという作品はある意味でキャプテンEO並みとも言える幻の作品。スティーブン・キングとマイケルが共同で原案を担当し、40分程度の映像として制作したショートムービーです。

しかしその作品を見られる機会というのは大変に限られていました。最初にお披露目されたのは今は無き新宿のアイマックスシアターで行われた試写会。その後VHSでスペシャルボックスとして販売され、そこにはすでに販売されているアルバム「Blood On The Dance Floor」と、未発表曲「On The Line」とセットで販売されたのでした。


Blood on the Dancefloor/Ghosts Home Video Box Set: +CD Single

このボックスセットは1997年発売のようですが、その後いっさいDVD化もされておらず、かといって映画でもないからレンタルでも出回らないため大変希少価値の高い存在となっております。上記のAmazonなんて10万円の値段がついてるぜ……。まあこのGhostsが発表された頃は、少年虐待疑惑のまっさかりでマイケル人気がダダ下がりの時代であり、その当時を生きたという幸運と、その時代にもファンであり続けたことへ対する権利とでも思っておきましょうかね。

ちなみに同梱の「On The Line」に関しては、のちに発売されたマイケルのスーパーベスト盤「Ultimate Collection」に収録されております。このUltimate Collectionはほんとハンパなく、On The Lineをはじめとして、ペプシコーラの懸賞でしか手に入れられなかった「Someone Put Your Hand Out」など未発表音源がこれでもかというくらい収録されており、コレクター欲の強かったファンに対しては衝撃だったことと思われます。こちらも限定発売ではありますが、まだかろうじて手に入れられるくらいので、最近ファンになった人はとりあえず買っとけと言いたい。


The Ultimate Collection

さてそんな前置きはこのあたりにして、Ghostsの簡単な紹介を。「第2のスリラー」と評されることも多いこの作品は、お化け屋敷にすむ主人公と、それを追い出しにかかる住民の物語。「お前なんか出て行け!」という住民に対し、マイケルがお化けとともに住民をおどかして楽しむというのが大まかなストーリー。

この作品の見どころといえばやはり群舞。アルバム「HIStory」収録曲の「2 BAD」で踊る群舞はここでしか見られない群舞といっても差し支えないクオリティ。マイケルのダンスはある程度型が決まるとライブや他のパフォーマンスでも取り入れられることが多いんだけど、このGhostsで見られるダンスは他の作品でほとんどその筋が見られない。あえて言うならThis Is ItのThriller終盤で「Threatened」につながる部分のダンスが似ているかなあとは思うけれど、直線のビシっとした動きが多いマイケルダンスに対して、ゴムのようにぐにゃぐにゃと踊るその群舞は他の群舞とは明らかに違う。

そんなダンスのクオリティとは別に感じてしまうのがマイケルの悲痛なメッセージ。この頃は前述した通り少年虐待疑惑のまっさかりであり、その時の辛い心情はHIStoryの各曲にも見て取れるわけですが、Ghostは映像作品ということもあってその意思がとても強く見て取れる。

主人公であるマイケルは、お化けと一緒に住み、時おり遊びにくる子供をおどかして楽しむだけの存在。子供はとても楽しんで遊んで帰るけれど、大人はそれを「あいつはおかしい奴だ」と決めつけて「村から出て行け」と脅しにくる。少年虐待疑惑の問題はこの際置いておいたとして、常に奇人変人扱いされるマイケルにとって「人と違うだけでなぜそんなに非難するのか」という気持ちがひしひしと伝わってきます。

作品では結局マイケルのダンスと演出により子供だけでなく大人も心を開き始めるのですが、あくまで立ち退きを迫る住民代表の1人だけが決して言うことを聞かない。結果としてその代表はマイケルの脅かしに驚いて屋敷を飛び出してしまう(といっても窓ガラスを突き破っていなくなるので死んだということなだろうけれど……)。この結末はきっとマイケルの希望する終わりなのかな。いつまでも自分を攻撃する人はいるけれど、きちんと理解を示してくれる人もいて、いつかみんなわかってくれるさ、という。

確かにマイケルは奇人扱いされるけれども、そのパフォーマンスや歌唱力というのはきちんと評価されるべきもので、だからこそ自分はどんなにマイケルを悪く言われようとも好きで居続けたんだけれど、そんなマイケルが望むべき正当な評価は、マイケルが死んだことで実現されたというのはなんだかちょっと物悲しい。本当はThis Is Itが実際に公演されて、それが日本にもやってきていれば、そんな世界もマイケルの目に届いたのかもしれないと、Ghosts見てまた思うのでした。

そしてそれと同時に、このクオリティ高い群舞がファンの手に届かない状況はとても悲しいので、関係者にはぜひともDVDなりBlu-ray化をお願いしたいと切に望む次第であります。


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