えふしんさん自ら献本いただきました。御礼!
日本におけるTwitterのモバイルクライアントとしては代表的なサービスでもある「モバツイ」運営者であるえふしんさんが自らの考えをまとめた1冊。名前からするとモバツイの運営ばかりに思えますが、実際にはTwitterを中心にここ数年におけるWebサービスの動向をえふしんさん視点で語った内容になってます。開発秘話と思うよりもえふしんさんによるコラムっていう受け止め方のほうが認識としては合ってそう。
内容としてはとってもえふしんさんらしいというか、流行のサービスをただ単に「はやってるよね」とまとめるのではなく、なぜそれがはやっているのかを自分の中で咀嚼した上で分析した上でまとめられてます。物語はいわゆる「Web 2.0」の頃からスタートしてえふしん解説が入っているので、ここ最近のWeb動向を改めて読み直す1冊としてもいいかも。
最近ではすっかりメジャー化したTwitterですが、日本で流行り始めた頃は携帯電話で使えないしクライアントソフトなんてなくてGoogle Talkで使ってたし半角スペースが入るとエラーが発生したりとほんとにまともな状態ではありませんでした。携帯から手軽につぶやけるなんていい時代になったもんだよね……。
しかしながら徹底的なAPI公開により、Twitterにはない機能を補うサービスがいくつも生まれ、そうした周辺サービスによってユーザーがアクティブになり、結果としてTwitterがさらに成長するという点では、ユーザーと開発者、そしてTwitterという3つの関係が他には類を見ない形で成立していたのがTwitterのおもしろいところ。そして日本におけるモバイルでのTwitter文化を生み出し、それを下支えしたのは間違いなくモバツイのおかげでした。
これも今となっては当たり前(といっても公式の対応はついこの前だけど)となった画像投稿も、当時はサードパーティーを経由しなければ投稿することができずじまい。PCからは今でも利用されているTwitPicなどがあったけれど、携帯電話から画像を投稿できていたのもこれまたモバツイの大きな功績。モバツイがなかったら今みたいに携帯で手軽につぶやく楽しさを味わうことができるようになるまでそうとう時間がかかっていたんじゃないでしょうか。
そのモバツイ自体も多くのユーザーに支えられていて、サービスのデバッグをユーザーに協力してもらったり、サービス運営基金の寄付に多くのユーザーが賛同したりと、ユーザーに愛されて成長してきたサービスであることがこの本から伝わってきます。
Twitterを中心にここ数年のWebを振り返るという意味でもわかりやすい本書。そのわかりやすさの理由はえふしんさんが読者に読みやすい言葉をちゃんと選んで執筆しているからかな。もちろん自分がWeb関係のお仕事をしているということもありつつ、さらさらっと読み終えることができました。
100万人から教わったウェブサービスの極意 ?「モバツイ」開発1268日の知恵と視点