PCを持ち歩かないで済む日は果たして来るのか

※この記事は5年以上前に書かれたため、情報が古い可能性があります

普段似たようなことをよく考えているのでいい機会として自分でも考えをまとめてみる。

お題はこちら。

僕らはいつまでPCを持ち歩くんだろうか – 雑種路線でいこう
https://masanork.hateblo.jp/entry/2018/08/19/221320

タブレット化が進むWindows、キーボードが普及するiPadと、「PCとそれ以外」の境目がどんどん難しくなっていく昨今においてここでいうPCとはなんぞや、というところを考えると、本文読むに楠さんはiPadとPixelbookを持ち歩いており、

これはOfficeとともに開発環境、ことにXcodeでiOSアプリを開発する上ではノートPCが必要という話が残る気がする

という文章があることを考えるとここでいうPCはOfficeや開発環境といった「デスクトップアプリケーション」が動作するかどうかというのが1つの基準として考えられそう。

そして後半ではキーボードをフリックや音声入力が代替していくのでは、という話があることから「キーボード」のあるなしもPCかどうかの基準として考えられる。いやPixelbookはキーボードありますやんという突っ込みはあれど、これはあくまで現状ではキーボードが必要だけど未来では必要なくなるのでは、という議題提起ということで。

で、一番話がシンプルなキーボードははてなブックマークでもいろいろ意見が出ている通り、フリックがキーボードを代替できるはずがないし、音声入力がキーボードを取って代わるのも難しいんじゃ無かろうか。若者はフリックが早いというのはキーボードをまともに打てないからであり、それは自動車運転できないけど自転車早いよ、といってるに近い感覚を受ける。都内なら自転車も自動車並みに動けるかもしれないけどトータルで見たときに敵うもんじゃないよねと。

音声認識もある一面ではキーボードより早いのは間違いないけど、すべてを音声で入力するというハードルもかなり高い。雑音が多いところではかなり使いにくいし、会話が聞かれては困る場所でも使いにくい。一方で対面式のお仕事とかはその会話がそのまま入力されれば便利だったり、インタビューの書き起こし勝手にやってくれたりという点ではキーボードより明らかに効率がいい。

結局のところ「キーボード」というテーマにおいては「PC取り出さずにさくっと打てるフリック入力」「音声のやり取りをそのままテキストに落とし込め、時にはキーボード入力より早い音声入力」という場面に特化した入力方法はあれど、それはシーンによって使い分けるとキーボードよりも便利だね、ということであって、キーボードがなくてもいいというところまでは到達できないんじゃないだろうか。

余談ながら未来の入力方法として挙げられている

もっと先には思念だけで入力できるようになるのかも知れない

これも時折考えてみるんだけど、考えてることが全部入力される入力方法ってのも結構おそろしくて、仕事に集中している時にちょっとエッチなこと考えちゃったらそれが全部テキストになるのか、とか、ばりばり文字入力してる後ろから「銀行の暗証番号は?」と聞かれてその数字思い浮かべたらテキストになっちゃうのかな、とかいろいろ危険そうなので、実現したとして音声入力以上に場所を選ぶ方式になる気がする。

本題にもどってもう1つの「デスクトップアプリケーション」については、Officeについてはブラウザ版もアプリ版もあるし、画像編集もタブレット向けにPhotoshopがある。開発環境については専門外なのでいったん置いとくとして、OfficeもPhotoshopもあるにはあるけど、スマホやタブレットで使うのはあくまで簡易版であり、本格的に使うには足りない、というのが現状。

OfficeについてはGoogle ドキュメントが代替してくれるところもあるけれど、本格的に使おうとするとやっぱりOfficeには敵わない。単にGoogle ドキュメントが使いにくいというのもあるんだけれど、ファイルが重くなってくると途端にブラウザで開かなくなったりとかいうことを考えると、office並みのスペックを持つ人はやっぱりブラウザ完結では難しいのかな、と思ってしまう。

あとあまり使われないところとしてクラウドストレージもスマートフォンやタブレットだと結構厳しい。数MB、数十MBくらいのファイルならいいんだけど、仕事で使う数GBクラスのファイルをアップロードしようとするととたんにハングしてアップできなくなってしまうこともある。

このあたりは結局のところ端末のスペックが解決する問題で、つまりデスクトップアプリケーションは「スペック」の問題である、というところに落ち着くと思うのだけど、結局のところすべてはここで止まってしまう気がする。

まもなく国内発売のSurface Goは薄くて軽くてとても魅力的なんだけど、プロセッサはPentium Goldという、名前からするとすごそうだけど中身としてはCore Mクラスのスペックのプロセッサが積まれています。

 CPUはPentium Gold 4415Y。このCPUは、Coreプロセッサで言うところの第7世代(Kaby Lake)アーキテクチャで、Core M3-7Y30に近い仕様。

10型2in1「Surface Go」、国内は7月12日予約、8月28日発売 – PC Watch
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1132303.html

仕事でそこそこ使うにはCore i 5くらい欲しいなあ、難しいのかなあ、と思っていたけど、識者によればパフォーマンスの高いプロセッサは熱の問題で現在の技術では難しいのだそう。で、熱対策にファン入れてとかいろいろやりだすと大きく重くなってしまって、Surface Goのテーマである薄くて軽いは実現できなくなってしまう。

技術的な現実として、PCを捨てられるほどのスペックを持ったタブレットは現状では難しい。そしてここからが気になるポイントなんだけど、技術革新によってPC並みのスペックを持ったタブレットが実現できたとして、それはもうタブレットとPCと区別することが果たして意味があるんだろうか。おそらく前述の通りキーボードという仕組みは今後も残り続けることを考えるならば、スペックが高くてキーボード入力できるならもうそれはPCだなという。

いろいろ書きながら考えつつの結論として、タブレットはPCを代替するものではなくて、用途によって使い分ける特化型端末、という位置付けであり、それは未来永劫変わらないんじゃないだろうか。すでにライターの人ではiPadだけで仕事を完結する人もちらほらいて、そういう人たちにとってはすでにPCはタブレットが置き換わっているだろうし、一方でデスクトップアプリケーションが手放せない人たちにはいつまで経ってもタブレットだけでは仕事ができないだろうし。

「僕らはいつまでPCを持ち歩くんだろうか」というテーマについては、タブレットがPCに取って代わるということはきっと無いけれど、職業や場面においては少しずつタブレットやスマートフォンで代替できるようになってきていて、ただその棲み分けはシェアの増減こそあれ未来でも変わらないのでは、という割と当たり前の落としどころになってしまいました。

最近ではリモートワークだったりコワーキングという働き方が少しずつ認知されてはじめていて、オフィスにいない時でもオフィスにいるのと変わらない仕事ができる、という環境が増え始めています。そうするむしろ外出先でもオフィス同等のパフォーマンスを発揮するために、スペックが高くてキーボードが使える「PC」は、持ち歩かなくなるどころかもっと積極的に持ち運ぶことになるのかもしれません。

まあ何が言いたいかというとSurface Go欲しいけどLTE版待つのは長いなと悶々としている、ということです。


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