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まずは全体的な感想として、すごく綺麗なまとまり方と着地だった。以前の作品ではトウジの死によって止まってしまった同級生達が大人になって帰ってくるだけでなく、委員長は無事にトウジと結婚できて、ケンスケも村を支える立派な指導者として成長している。伝わりにくいかもしれない例えですが、ウルトラマン80で投げっぱなしてしまった先生設定をウルトラマンメビウスでうまく迎え入れたような綺麗さがあった。
とても重い思い出だった「まごころを、君に」のエンディングも新しく書き換える形できちんとフォローが入っていて、その他序破Qの設定も大筋はほぼほぼフォローされていて、まさに最後のエヴァンゲリオンにふさわしいまとめ方。とっちらかったスターウォーズ新三部作を最後でなんとかまとめきったエピソード9みたいな巧さを感じた。
だけどその巧さゆえにさみしさを感じてしまうと言うか、ああこれで本当に終わってしまうんだという感情と、綺麗にまとまりすぎているがゆえに何故か物足りなさを感じてしまうところもある。周囲の人間を振り回すだけ振り回してきたドラマのヒロインが最終回になっていきなりおとなしくなってしまったような感じというか。
すごいうまくまとまっていたが故のわがままな感想であるのは自覚しつつ、この不安定な感情に折り合いつけるにはひたすら考察を読みまくりつつあと何回か見るしかないのかもしれない。シン・エヴァに備えて序破Qも見直していたんだけど、シン・エヴァを見た上でもう1回見返したくなってるなー。
以下感想をエピソードやキャラごとに。
Qからのシン・エヴァ
戦闘シーンは最高にかっこよかったけどストーリー的にはとことん落とされたQ。これは最後で盛り上げるためにわざと落としているんだ、と信じていた思いは見事に昇華されて、ああQで凹んだ甲斐はあったよなーと素直に思えた。いまならQをもう少し前向きな気持ちで見られそう。
シンジ
ついに本当に自分の気持ちでエヴァに乗り、そして自分のやってきたことに対する責任も自分で取ることにしたシンジくん。もうこの成長こそがエヴァの最後だよなあ。しかしシンクロ率が無限大になるとマリのコックピットからワープしたりやりたい放題だったな。
あとSDATをゲンドウに渡すくだり、すごくいい設定だったけど、これ最初からなのか、シン・エヴァ作る時に考えた設定なのかは気になる。
そして大人の声でまさかの神木くん! でも緒方さんの声も聞きたかったなー。
ゲンドウ
もう1人の主人公とも言えたゲンドウ。ゲンドウの人類補完計画は今作でどう描かれるのか期待してたけどやっぱりユイに会いたいだけだったw。結局それかよという思いはあるものの、一方でこのゲンドウの小ささがシンジといい対比になっているわけで、ゲンドウが自らを認めたという点でもこれは最後のエヴァだよなー。結局は死んだ妻に会いたいオッサンに振り回された世界だった。
冬月
ユイに会いたいゲンドウの行動はそれでも理解できるけど冬月はなぜ最後までゲンドウを味方したのか。そして最後にはマリに協力するのか。最後まで冬月の心情が一番よくわからなかった。実はゲンドウを愛していた、とかなら一番しっくりくるんだけど、ユイに会いたいだけではあそこまでしないだろうし、こんな世界の終わりを望んではいないようにも見えるし。
レイ
Qで落とすだけ落とした上での村編! とてもいいレイでした。個人的には髪が伸びたレイもとてもよかった。最後に登場したときはシンジより若く見えたけど、一度死んでしまったレイは生まれるところからやりなおしてたのかな。
アスカ
まさかの使徒化! アスカは人間ではない設定だったけどこれはいつからだったのか。レイと違ってアスカには母親がいるので、ユイのコピーとして作られたレイとは訳が違う。ではどこで人間でなくなったかというとやっぱり惣流じゃなく式波という名前になった新劇場版からなのかな。最初は自分が人間ではないことに気が付いてはいなかったけど、破からQへの時間の流れの中で自覚してしまった、ということなのだろうか。
Qから続いてとげとげしかったアスカが、お弁当のお礼を言い、そしてシンジの告白に照れるところはアスカ派として最高でした。アスカも無事人間に慣れているといいんだけど。あとケンスケとはどうなるんだろうな。心は開いているみたいだけど付き合うまではいってはいないような……。
カヲル
今まで神の視点だったカヲルくん、無限大シンジのおかげでついに人の立場に。そしてカヲルだけ存在が謎だったけど、なるほど加持さんの上司という設定もうますぎる。アスカも使徒化したことで「元人間が使徒になる」という設定もちゃんと無理なく結びつくわけだし。ただいつ頃の上司だったんだろう。ゼーレ上層部とも仲良かったからゼーレの頃なのかな。
マリ
全体的にうまくまとまった中で一番存在として謎だったマリ。いや後半まではよかったんだけど、最後そこでシンジとくっつくのか! というところがとってつけた感があってもやもやが残る。とはいえただ手を引いただけだし別にシンジとマリがくっついたと確定したわけではないんだけども。
あとやたら古い歌を歌うマリ、コミックの設定上は1996年に16歳なので、仮に現代に生きていたとして41歳、その世代で水前寺清子はさすがにちょっと古いよということは同じ世代として強調しておきたい。
トウジ&委員長&ケンスケ
繰り返しだけどこの3人がきちんと登場したところの回収がきれいすぎて、「え、これエヴァ見てるの?」と不思議な気持ちにさせられた。エヴァにトウジが乗らない世界線だったところからもう決まってたのかなこの流れ。
新劇場版の世界線
テレビ版の海は青かったけど新劇場版は赤い、だから並行世界線ではなくループなのだという論が個人的にはしっくりきている。そのループを認識できていたのがカヲルくんということなのかな。
村編
ナディアの島編を見ているかのような感覚に陥った。平和な世界で幸せそうなレイを見るのがうれしくもあり、でもこれ長くは続かないんだろわかってるんだという気持ちと、幸せの終わりをどこか待ってしまっている自分がいて、気持ちいいけど気持ち悪い複雑な感情で見てました。これは2周目のほうが素直に楽しめるシーンかもしれない。レイをかわいがる周りの女性陣が最高だったな。
ミサト
Qでは別人だったミサトさんが、やっぱりシンジを大事にしているミサトさんで、眼鏡を外した姿も見られてホッとしたけど、結局最後にミサトさんだけ死んでしまった。ご都合主義で全員活かすこともないとはいえさみしさは残りつつ、天国で加持さんに会えているのかな。最後に思いを吐露したミサトさんをみると、Qのミサトさんがまた違った視点で見られそうです。
戦闘シーン
Qもすごかったけどシン・エヴァはそれ以上のかっこよさだった。最後ということで映画見ながらいろいろ考えてしまったけど、戦闘シーンは素直に「かっこいい!」という感情だけで見られたかも。
最後に
自分がエヴァに触れたのは最初の放送を録画した友達の「いいから6話まで見ろ」というビデオテープによる勧誘だったのでリアタイからはちょっと遅れるのですが、それでも25年近くも続いた作品を最後まで見届けられたのは感慨深い。テレビの最終回が印象的すぎて、そして「Air/まごころを、君に」がトラウマになるレベルでとんでもなかったからこそ、「本当に終わるエヴァを見たい」という気持ちでここまで来たよなあ、そういう意味ではあの頃にリアルタイムで「Air/まごころを、君に」を見られたこと、そしてQからシン・エヴァまでここまでまたされたこともいい思い出です。