毎年楽しみにしているマンガ大賞発表、今年もこの時期がやってまいりました。
マンガ大賞2021
https://www.mangataisho.com/
今年は新型コロナウイルス感染症対策ということで実行委員も最低限の参加のみ。来年はいつも通り開催できるといいけど、とりあえずリアルで開催できたことが尊い。
会場には過去の大賞受賞作からのコメントと今回ノミネート作品。
実行委員会から大賞の趣旨説明。1月1日から12月31日に出版された 単行本の内、最大巻数が8巻までの作品が対象となります。
前回「ブルーピリオド」受賞の山口つばさ先生が来場。今年も安定のカエルです。
山口つばさ先生からのコメント
マンガ大賞はとても反響が大きくて、中学の保健室の先生からおめでとうが来た
読んではなかったけどテレビで見てもしかしてとおもって連絡したらしい
ブルーピリオドがCMに
テレビCMとかでメディア化してない作品とかを使って下さることって基本的にないことだとおもうので、なんで使ってくれたんだろうっていうくらいびっくり
アニメ化も発表
新しく解釈して下さって新しいアニメという作品に作り直して下さることも楽しみ
アニメの制作の末端に関わらせていただいている人間としても凄く楽しみ
マンガ大賞は漫画制作の助けになれている?
去年いただいたプライズが自分の制作の壁の目の前にかざらせていただいている
たまに見てがんばろうという気持ちになる
受賞作品
山口つばさ先生から発表、大賞は……。
葬送のフリーレン!
葬送のフリーレン
https://www.sunday-webry.com/detail.php?title_id=1093
両先生は顔出ししないとのことなので、担当編集 おぐらさんから登壇。
担当編集 おぐらさんから受賞コメント
小倉さんのお気持ちは?
素直に光栄、嬉しいの一言
作品が生まれた経緯について
最初は山田先生にネーム原作をお願い
打ち合わせ重ねる中でネーム1話目描いてもらって
それをアベ先生に読んでもらったら「描いてみたい」とのことだったので
それで書きすすめていただいた
山田先生はおひとりでも描かれているが、今回原作でお願いしようと思ったのは。
山田先生の前作、「ぼっち博士とロボット少女の絶望的ユートピア」は全2巻
担当としては名作だけど売れなかった
次どうしようかというときに作画をつけるアイディアが2人からでて
自然とそういう形になった
葬送のフリーレンはいろんな要素が含まれている
喜怒哀楽全てがあるという審査員もいた
どういうオーダーでこの作品に?
山田先生の勇者魔王ものが最初の受賞作
その方向で思考をリセットしてギャグの読み切りを書いてとオーダーしたら、描いていただいたのがフリーレンの1話ネームそのまま
まったくギャグではないなとわらってしまったがおもしろかったので前に進めたい
読み切りだったが編集部に回す時に短期集中連載で回した
そのときは作画は決まってない?
ネームがきまったときにアベ先生に打診
キャラをかいてもらって、すごくうまいのでおねがいしたい
1話を書いてもらって編集部に提出
アベ先生はどのように出会った?
山田先生は2009年、新入社員のときに担当
あべ先生は2014年、ネットで見かけて連絡先があったので連絡
2人とも最初から担当していた
この組み合わせでいこうと発案したのは小倉さん?
はい、はい、はい!
山田先生にはアベ先生のどういったものをみせたのか
ネームの1話を安部先生にわたして、何でもいいのでかいてみてもらえますかとお願いしたらA4サイズでフリーレンのバストアップの絵
個人的には凄く人間味があって感情が漂っている感じがあった
自信を持って山田さんに見せた
作品ができあがったときの手応えは?
ありました!
ネームで編集部で企画を提出して当然ながら不安もあったが1話2話上がって、とてもすてきな作品になるんじゃないかなという気持ちはとても強く持てた
山田先生の前作
作品の中で「ムフー」がかわいい
山田先生由来?
ネームの台詞や書き文字は山田先生
書き文字は先生が書き足すことも
タイトルの叙情感、雰囲気がある。誰がつけた?
若い編集者中心に編集部会議でタイトル案
そのとき僕の方から賞金1万円を自腹で出すといったら副編集長が参加
その中に葬送のフリーレンがあった
いくつかの候補の中でアベ先生、山田先生と決めた
副編集長は賞金をなんのアレもなく受け取っていた
RPGでいうならクリアした後の物語
はじまりの掴みからまったく違う作品
これは山田先生のアイディア?
100%山田先生のアイディア
今後どこまでやる?
編集個人の意見だが、とても応援してもらえている作品ではあるので、できるだけ長く自由に先生の無理のないように書いて欲しい
ただ、不要に長くして面白さがそがれてしまうのは違うかな
それは先生2人も同じ思い
スピードを保ちながら書いていただけるとおもっている
制作体制は?
お二人はお会いしたことがない
原作の山田先生からネームが上がって、私が見てアベ先生に共有して、アベ先生から質問があればメールだとCCいれながらハブになってやり取り
何の滞りもなく進めていただいている
今回の直筆サインはアベ先生は都内在住ではないのでスタッフが取りに行く
デジタルサインはあるけど直筆の2人のサインは初めてかもしれない
質疑応答
サンデー編集長は人間の業を書いているというお話だった
大人と子供で読むとちがうのではとも思う
読んでどのように感じてもらっていると感じてもらっているか
表面的には人の死
死は身近にあるものというのを丁寧に描いている
ほりさげたところには前向きさと肯定感
山田先生も意識して書いている、切ないけど読み心地はいい
なんとなく前向きで感情とか人生を肯定できる感覚
個人的にはほりさげたところにあるのは人の興味をうまくとらえて描いている作品なのかな
仲間の死が大きなポイントだと思うがこの作品を通して感じて欲しいこと、伝えたいこと
くりかえしになってしまうが
大切な人に対する死の捉え方は人それぞれかもしれないが、もしかしたら共通する部分もあるかもしれない
かけがえのないひとがいなくなったときの感情を異世界ファンタジーでこれだけ丁寧に描いているのは珍しいのかな
大切な人が今何をしているか思っているかを考える時間がきれいごとかもしれないけど尊い
編集としておどろくところは
シンプルだが山田先生がネームを書いていただいたときにほぼ直さない
よくこんなにうまく組み立てて考えてネームに落とし込めるというのがすごいしおもしろい
仕事としても楽しい
それをアベ先生に渡して、丁寧な作業で原稿にかいていただく
そのときもシンプルに驚き
このネームの絵からこういう絵をかくんだ、こういう表情を描くんだ
繊細の感情が綺麗な絵で、表情がうまい方
なんともいえない人間の複雑な感情、喜怒哀楽だけじゃない感情を詰め込まれて書いている
これをあの線で書いているのは毎回すごいなと笑ってしまう
週刊でこれは驚異的では
そうかもしれないですね
本当に頭が下がる思い
異世界ジャンルについて読んでいない、詳しくない人にも刺さるのではとおもっている
担当編集としてどう考えているか
異世界ジャンルが好きな方にも読んでいただけたら嬉しいが、特別作家さんもジャンルを絞っているつもりはない
普遍的なテーマを描いている
極端な話を言うと少年漫画だけど老若男女関係なく読んでいただける
普遍的な感情がたたずんでいる作品
Twitterでの反響について
先生に共有はしている
Twitterで紹介されて作品を知っていただけるのは多い時代
アベ先生ののTwitterから読者に届いたのはあったと思うが反響は予想以上だった
受賞おめでとうございます。葬送のフリーレン4巻は明日3月17日発売です!