おサイフケータイ普及の壁


先頃おサイフケータイのエントリーを書いたら、おサイフケータイ普及に関するトラックバックをご指名いただいたのですが、ちょこちょこ自分にとっては違和感のある部分もあったので、ちょっとまじめに考えてみます。

Liner Note – 私がおサイフケータイ機能を使わない理由
http://note.openvista.jp/253/

詳細は上をお読みいただくとして、まず理由その1の「公共の場で使うのが恥ずかしい」ではこんな理由が挙げられております。

「シャリーン」やらなんやらの確認のための効果音がしますよね。単に自意識過剰なのかもしれませんが、僕はあの効果音が非常に苦手

支払いの時にも「おサイフケータイでお願いします」なる呪文を店員に言わないといけない

「シャリーンが恥ずかしい」は後の話題に絡むので後述するとして、「おサイフケータイでお願いします」に関してはクレジットカードも同じですね。「クレジットカードで」という一言は一緒なので、その直後の「クレジットカードで決済するようにもうちょっとシームレスに」という意味では違いはないと思います。むしろサインを求められるクレジットカードよりはもうちょい手続きはシームレスかな。もちろんサインレスのカードもあるといえばあるわけですが。

こういう比較をする場合は、比較対象を両方均等にみないと論点がずれる危険があります。「おサイフケータイがどうなのか」を考えるのであれば、今まで当たり前に使っていたものも同じ視点で見返さないといけない。

同じことは次の論点であります、「『財布』としての信頼性に欠ける」にも言えます。

Edyなんかは携帯電話を紛失した場合は面倒見ないよということになっているんですが、ちょっとそれはどうなのかな

電池が切れると(正確にはFelicaチップを起動させるための電力も完全に消耗すると)使えなくなるわけで、いつでもそこにあるリアル財布の信頼性には代え難い

確かにEdyは紛失でも面倒みてくれませんが、じゃあリアルのお財布はといったらこっちも同じ。むしろSuicaやnanacoは無くしたって中身が戻ってくることを考えると、信頼性はリアルの財布より高いように思います。Edyの場合、新しい財布買って中身を入れ替えようとしたらお金取られる的システムのほうが突っ込みどころ満載かな。まあこれも銀行口座で手数料取られているのと同じという考え方ができるといえばそうですが。

また、個人的にはクレジットカードのセキュリティってどうもなじめないんですね。あんなの暗証番号丸出しのカードと一緒な訳で、あの数字をメモったら簡単に悪用できる。それを店頭ならまだしもテーブルチャージとかで店員に渡すのなんてガクブルものですよ。なのでクレジットカード決済するんだったら、二度手間とはいえクレジットカードで入金したおサイフケータイの方が自分としては安心感ありです。

あと、匿名性についてはケータイ落としちゃった時点で仕方ないとしても、ICカードの部分については遠隔ロックもできます。リアルなお財布に比べたらむしろ信頼性の観点ではかなり優れているのではないかと。

おサイフケータイについて : セキュリティについて | サービス・機能 | NTTドコモ
http://www.nttdocomo.co.jp/service/osaifu_shopping/osaifu/about/security.html

電池の部分は指摘されている通りどうしようもない部分ではありますが、「落としても使わないようにロックできる」「無くしても返ってくる」というメリットを考えると相殺できるのかもしれませんね。まあここは「そんなんじゃ相殺にならん! 電池無くなったら使えないのが一番困る!」という人もいるでしょうから個人個人それぞれとは思いますが。

なので結局のところ、おサイフケータイが普及しないのは第3の理由に挙げられている「『財布』として使うためのコストが高い」につきるのかな、と個人的には思います。便利に使っている自分ですら、なんでクレジットカード必須やねんとか、オートチャージくらい対応せいよとかいろいろ文句あった上で、まあデメリットとメリットを考えると自分にとってはメリットが大きいかな、という理由なので、諸手を上げて「すばらしい!」とは言いがたいサービスのが現状ですね。

でもこれも結局のところは時間が解決する問題なのかなというのが今の認識。例えばカードリーダー1つ取っても「どのお店で使える」というほどは広がっていませんから必然的にクレジットカードほどは使えませんが、これがどこに行っても当たり前に使えるような環境整ってくれば利用率も自動的に高まるでしょう。きっとクレジットカードがまだ普及途上にあったときも、きっと同じ問題は抱えていたんじゃないかな。

前述の「音が恥ずかしい」問題も、利用率が低いから起きる現象というのもきっと理由にはあって、誰もが当たり前に音を立てる時代になったらそういう気持ちも薄れるかも。これまたその当時を生きてないからわからないけど、自動販売機でジュース買うと音が出るのが恥ずかしい、なんて人も当時はいたのかもしれないけど、今は自動販売機が「ピ!」なんて音たてて恥ずかしがる人もいないですよね。近いところでは携帯電話のシャッター音なんかもおんなじかもしれない。昔は携帯電話で写真撮るなんて! と言っていたのが今では当たり前ですからね。

ついでに決済音に関しては、個人的には鳴った方がいいと思う。というのは1つのケータイにいくつもの電子マネーを入れられるだけに、どれで決済するかは結構重要な問題ですから。マルチカードリーダーの場合、店員がどの電子マネーを設定するかですべてが決まりますから、自分がEdy決済したつもりがSuicaのオートチャージに設定されてた、なんて事態もおきかねない。その点音が鳴れば直感的に分かるから、早期にそうした事態を防げると思います。

システム面はいろいろ課題ありまくりですが、それはまだ普及途上にあるから仕方の無い部分も結構多い。ただ、システムの強化と決済システムの普及が進めば、それほど導入に大きな問題は無いんじゃないかなというのが自分の考えです。もちろんそれにはクレジットカード並みに「この電子マネーあればどこでも決済できる」という汎用性や、現金やクレジットカード、ポストペイ、オートチャージなどさまざまな入金方式に対応する必要はあると思いますが、各社バラバラとはいえ1つ1つは技術としてすでにできている話なので、SuicaやPASMOの連動、Suicaでの新幹線チケット購入といったトリガーを武器にちょっとずつ進んでいくことを期待します。

でも、それにしてもモバイルSuicaの年会費徴収は改悪だよね……。このままなしくずしに無料でいくのかと思ってたけど、入会者伸び悩んでるのによくあんな施策するよな……。


おサイフケータイ普及の壁」への1件のコメント

  1. 丁寧なレスをいただき、ありがとうございます。確かに問題提起としては荒いところや相対化できてないところもあり、ご指摘いただき参考になります。原因が利用率が低いことに起因しているのかもしれない、というのは私もそう思います。

    ところで最近は、大学の学生食堂に決済手段としてFelicaを入れる所がちょこちょこ増えてきているそうで、特にお昼の混雑緩和に一役買っているのだそうです。
    学生の内に囲い込みという話はビジネスの世界でよく聞く話ですが、おサイフケータイも大学で「使わないと不便」な状況ができたら、コストを乗り越えて案外みんな使うようになり、社会人になってからも使う=利用率が上がるようになるのかもしれないなぁと思っていて、その意味でちょっと注目している流れです。

    それと少し非現実的な話で恐縮ですが、個人的にはプリペイド型のサービスは相互にチャージしたお金を移動できるようになってほしいですね。ユーザにとっては鉄道(Suica)に使おうが、コンビニ(Edy)で使おうが同じ財布であることに代わりはないですし、電子マネー市場の拡大に向けて各社が競合するよりも手を取り合っていって欲しいなと思います。

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