任天堂新型機「Wii U」への雑感

※この記事は5年以上前に書かれたため、情報が古い可能性があります

まわりでちょいちょい「Wii Uってどう思う?」って話になるので、今のところ自分が考えるWii Uへの思いをつらつらと書いてみる。相変わらずの長文であり、個人的な主観かつかなり偏った視点と思いますので話半分程度でお読みください。

話題を集めに来たコントローラは華麗にスルーしてまずは本体スペックで考えると、「Wiiリモコンプラスによる自己否定の再来」と言った感じ。当初のWiiリモコンでは結局思うような位置検知ができず、アタッチメントを経由して最終的には「Wiiリモコンプラス」という新リモコンを投入、「最初からそうしてればよかったのに」的な展開になったWiiリモコンでしたが、本体もHD対応、USB接続HDD対応、フルHDゲームを処理できるスペックと、「それ最初からやってたらよかったのに」と言わんばかりのスペックです。

もちろんこうした要素を排除して低価格化したからこそWiiは売れた、という見方もあると思いますが、コントローラを除けばWii本体のスペックが純粋なるブラッシュアップなだけに、予想以上に差がついてしまったHD対応の差を埋めるべく投入した新型機を、なんとかコントローラに注目して新世代機種と見て欲しい、という気がしちゃいました。

ハードスペックは現行のPS3よりも上とのことで、今まで「Wiiはスペックが低かった」と言われていた事実はここである程度払拭できそう。ただし、5年も前のゲーム機よりもスペックが上というのはある意味当たり前の話で、パソコンで考えたら「5年前の機種並みスペック!」ってかなり残念なお話になっちゃう。今後PS3やXbox 360の後継機がリリースされたらあっさり抜かされてしまいそうなのかな、という気もいたします。

とはいえ大事なのは本体スペック以上よりも本体の仕様。スペックが充実しても使いにくいシステムやサービスだったら意味がないのです。たとえばWiiだってSDカードは対応しているし、ゲームをSD格納することはできるようになったものの、未だにSDからゲームを起動する仕様はありません。外部メディアにそんな機能つけたくないところではありますが、USB接続HDDが同じような格納箱だったとしたら結局はまた残念展開になってしまうので、このあたりの結論は本体仕様が見えてきてからかな。さすがに今からリリースするゲーム機にそんな残念仕様はないと信じたいところですが……。

そうした今後のスペックを占う意味でも、現状最新のハードウェアであり、DSやWiiの反省が活きているであろうタイミングに発売された3DSは1つの試金石になると思うのですが、正直言って3DSの仕様を見る限りこのあたりはちょっと不安感がまだぬぐえないなあと言うのが正直な感想。

3DSユーザーはまだ少ないと思うのであまり共感いただけないと思うのですが、3DSはとても魅力的な機能が搭載されたものの、その仕様自体がちょいと残念な部分が見受けられます。たとえばDSから大幅に強化されたすれちがい通信は、同時に10人までしかすれ違いできないので、街を歩いていて10人超えてたらその人たちとはすれ違えません。また、すれ違いの10人を自分の3DSに取り込めばまた10人とすれ違えるのですが、それを取り込むためには1人1人と挨拶を交わす必要があります。

それだけならまだいいのですが、すれちがい通信で遊べるミニゲームも、すれ違った全員と行なう必要があってこれが地味にめんどい。すれ違った相手が持っているピースをはめていくことでイラストを完成させていくゲームでは、ボタン押してピース選んでそれをはめて、というアクションを人数回繰り返す必要があって、最初は楽しくてもそのうち作業感が発生するととても面倒になる。

似たようなところでは歩数計でためられるコインも上限が300枚であっという間に貯まってしまう。だったら使おうかなということで、すれちがい通信で遊べる「すれちがい伝説」でキャラクターを雇おうとしたら、1人ずつ2コインで雇えるキャラクターを1人ずつ雇わなければならず、しかも上限で10人までしか雇えないのでコインも全然減らない。これPSPなら人数上限はともかくとして「2コイン×○○人」で選べたんじゃないかな。

任天堂のインターフェイスはWiiあたりからとても宮崎駿化してきたといいいますか、ゲームのインターフェイスにメッセージ性が強く「こうしなさい!」という要素が強くなってきている印象を個人的に感じています。「Wiiはこうして使うもの!」というインターフェイスになっていて、そこに合わせていかないと楽しい世界に入れない。

たとえば前から言ってるけどWiiチャンネルはセンサーだけでなく十字ボタンでも動かせたらとっても幸せで便利なのに、あの画面は「ポインターで操作しなさい」というこだわりの仕様になってます。3DSでも、Wiiで作ったMiiを初回はダウンロードできず、必ず3DSでキャラクターを作らないといけなかったり。

そうした思想がうまくはまったときはいいんだけど、いったんずれてしまうととたんに世界に入り込めなくなる。本体スペックはPS3並みということですが、ゲーム機の魅力を決めるのは細かな仕様だったりするので、そのあたりの情報を待ちたいところであります。

そして一番の看板でもありましたコントローラですが、楽しみ半分、「どうやって料理するのかな?」という期待混じりの不安が半分というところ。コントローラに液晶搭載というところでドリームキャストのビジュアルメモリを思い描く人も多いと思いますが、あれは実際ゲームをプレイするというレベルの液晶ではないので、実際のイメージはゲームキューブとゲームボーイアドバンスの連携に近いんじゃないかなと思ってます。

その代表格が「ゼルダの伝説 4つの剣+」。ゲームキューブのソフトですがGBAと接続することで、ダンジョンや家の中に入るとリンクがGBAにやってきて、フィールドではテレビに戻るという使い方がとても斬新かつ単なる見た目だけに終らないシステムになっていてとてもおもしろかった。4つの剣はDS向けに無料配信されるそうですが、個人的には+の方をみんなでやってみたいよなー。

そういった経験があるだけに「テレビ+コントローラ側の液晶」はいろいろおもしろそうなことできると思うんですが、心配なのは「テレビ消してもコントローラで遊べる」発言。ゲームの作り方にもよると思いますが、テレビ消しても、ってことはテレビ相当のゲームもコントローラで遊べなければいけないし、あくまで補助的な役割のゲームしかできないならやっぱりテレビでやりたくなるよなーと思うわけです。話としては理想的だけどそれをゲームに落とし込むのは結構難しいんじゃなかろうか。結局どっちでも表示できるようにHD画面対応にしておいてそれテレビに表示するだけ、ってならないか、ちょっと不安が残るところです。

個人的にもっとも注目しているのは任天堂のオンライン対応。Wiiリリース時は「まだ早いだろう」と搭載しなかったら今になって大きな差が開いてしまったHD対応と同じく、今から出すゲームは数年後を見据えてオンライン対応がとても大事になってくるはず。スマートフォン普及や電子書籍など電子コンテンツ配信の仕組みが今後数年で劇的に変化するであろうことを想定すると、どれだけ柔軟なオンライン対応サービスを搭載してくるかは重要なポイントだと思っています。

ただし、今までの任天堂ハードはオンライン対応が意識的に弱すぎる。友達との協力プレイや追加コンテンツ配信あたりの仕様をきっちり盛り込むかどうかで魅力的なハードになるかどうかはとても大事なところなので、今のスペックだけではあまり判断しきれないものの、小さい子供のプレイも考えてあまりオンラインプレイへ踏み込んでこない任天堂がどこまでの仕様を搭載してくるのか。社長も「ソーシャルを無視できなくなった」なんて発言していることと、そもそもはGBモバイルシステムやランドネット、古くはディスクライターなどオンライン機能を積極的に搭載していた任天堂だけに、Wii Uではあの頃の積極性を取り戻していただきたい。

メディアプレーヤー機能も気になるところ。今回もどうやらディスクはオリジナルで、Blu-rayはおろかDVDにも非対応のこと。その理由は「DVDもBDももう欲しい人には行き渡っている」と社長が発言したそうですが、あれ、同じ理由でDVD非搭載にしたあとでDVD対応Wii出そうとしませんでしたっけ……。そしてDVD対応Wiiはどこいったんだ……。

まあそんな過去の話はさておき、任天堂がWiiで追求しようとした「ゲームのリモコンをゲームしない人にも触って欲しい」という考えは、それはメディアプレーヤーのリモコンとして使われるのでも同じことだと思うんですよね。実際、PS3でメディア機能使ってるとPS3の新着ゲーム情報が見えたりして、「おおこんなゲームあるんだ」と気がつかされることもあるわけで、とりあえず本体を起動してもらうためにもメディアプレーヤー機能はアリだと思う。

メディア機能を撤廃しておいて結局Wiiの間で映像配信始めたりするあたりも「最初からそういう機能乗せとこうよ……」という気持ちでいっぱいになってしまうので、BDはともかくとしても動画を再生できる仕組みとかも今後の配信サービス普及を鑑みて対応しておいてもらいたいところです。

いろいろ厳しいことを書いておりますが、個人的に任天堂はゲームハードにおいて2回目の転換期を迎えているのかな、と思っております。1回目というのは良質なゲームにこだわり、CDではなくカートリッジを採用すると同時にサードパーティーも絞り込みを始めた時期。結局流通や生産の問題でカートリッジは廃れてCDを採用し、サードパーティーも大事だねと門戸を開く方向に転換していくわけですが、今回はそれよりも大きな転換期に来ていると思います。サードパーティーに全然開かれてないじゃんというつっこみもあるかとは思いますが今回はとりあえずスルー。

で、2回目の転換期というのはやっぱりスマートフォンの登場。今まではゲームプラットフォームというのは専用機を作るメーカーがあり、ソフトメーカーがそこにゲームを展開していくという流れだったわけですが、スマートフォンの登場によって専用ハードではないゲームプラットフォームが登場してしまった。もちろんすべてのゲームがスマートフォンへ移っていくわけではないと思いますが、スマートフォンのスペックなら十分に楽しめるゲームがあることもまた事実。逆転裁判や太鼓の達人なんかはゲーム機にも負けない、むしろタッチ操作でよりおもしろい面もあるだけに、カジュアルゲームだけでなく今までゲーム機向けに展開されていたゲームも十分にスマートフォンプラットフォームへ展開される可能性があります。

今まではとりあえずハードを普及させてしまえばソフトメーカーはそのプラットフォームへ積極的にゲームを出す、という流れがありました。これが今のPS3やWiiのように圧倒的なシェアを取れなければタイトルが分散してしまうのはもちろんのこと、ゲーム専用機だけでシェアを取ってもスマートフォンのほうが普及してしまえばそちらでゲームがリリースされる可能性もある。まだスマートフォンゲームは大容量ゲームがそこまで広がってはいないと思いますが、このままスマートフォンのスペックがアップしていけばゲームの質もますます高まって行くはずで、今後はゲームのプラットフォームとしてスマートフォンも意識せざるを得ない時代がくると思います。

サードパーティーはプラットフォームが増えればそのぶんだけゲームを出せばいい、ということになりますが、ゲームハードを展開するメーカーとしてはうまいことスマートフォンも取り込みつつゲーム機も普及する、というのが理想的なシナリオで、そのためにPS陣営はPS Suiteというプラットフォームを展開してきた。ただ、PS Suiteでは単に「スマートフォンでもゲームができる」というだけでゲーム機へのつながりはありませんが、Wii Uならコントローラとしてスマートフォン対応すればまさにスマートフォンだけでなくWii Uの普及にもつながるはず。

今後その可能性もあるかなとは思いますが、スマートフォンをうまく取り込むシナリオとしてWii Uはかなりアリかなと思うので、個人的にはこのタイミングでスマートフォンにもバーチャルコンソールを展開してまずは門戸を開きつつ、Wii Uとの連動もしていくと理想的な未来だなーと個人的には思うところです。

とまあ長文でうだうだ書いてしまいましたが、一番重要なのは本体の細かな仕様とオンラインの仕様だと思っているので、総合的な評価はまだ待ちの状態。かつてファンタシースターオンラインでキーボード付きコントローラを使っていた身としては「横幅大きすぎるコントローラはゲームしにくい」点であまりWiiリモコン横持ちと変わらない気がするので、本質である本体機能の続報を楽しみにしております。


任天堂新型機「Wii U」への雑感” への1件のフィードバック

  1. 現行WiiのSDカード対応のくだりですが、
    http://www.nintendo.co.jp/wii/sd_card_menu/index.html
    >>SDカードメニューは、SDメモリーカード(SDHCメモリーカードを含む)に保存したWiiウェアやWiiチャンネル、バーチャルコンソール対応ソフトなどを、SDメモリーカードからカンタンに始めることができる機能です。
    この機能とは違う話なのでしょうか?

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください