「AV Watch meeting with REGZA」で考えたテレビの未来

※この記事は5年以上前に書かれたため、情報が古い可能性があります

私の前職でありますImpress Watchが何やらイベントを自主開催、しかもそのテーマが愛用しておりますREGZAとのことで、勢いよく応募かつ参加して参りました。

AV Watch Meeting with REGZA 開催のおしらせ -AV Watch
http://av.watch.impress.co.jp/docs/common/notice/20110727_462981.html

イベントの会場は秋葉原コンベンションホール、人数は各回30名規模でしたが、REGZAの画質比較や機能紹介などの体験コーナーもたくさん用意してあったので会場はかなり広く贅沢な作りでした。

到着

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会場に用意されていた展示品の数々

イベントの詳細についてはAV Watchの記事に投げっ放すとしまして。

読者参加イベント「AV Watch Meeting with REGZA」開催 -AV Watch
http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20110809_466169.html

REGZAのテレビにとどまらないさまざまな機能を目の当たりにしていろいろ思うところ考えさせられるところも多かったので、イベントの感想も含めながらつらつら書いてみたいと思います。

イベントのモデレーターはAV Watch編集長臼田さん。自分が入社する前からの先輩でもあり、いろいろ相談したり背中を見て盗んだものも多かっただけにちょいと目頭が熱くなりますね。よ、編集長!

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登壇した東芝の開発陣。東芝はほかのメーカーに比べると珍しく開発者の名前が前に出ているメーカーで、「RDシリーズ」と呼ばれていた頃からのレコーダユーザーであれば片岡さんが登壇するというだけでドキドキもの。なんとも豪勢な出演陣であります。

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対するはImpress Watchのライター陣。イベントが始まるとモデレーターのバトンが本田さんに渡っていたような気もしつつ、東芝開発陣の説明に対してライター視点での現状を補完してくれるあたり、話にふくらみがでて面白かった。そもそも参加者のほとんどがREGZAユーザーという高いREGZAリテラシーで、こういう「わかっている」人たちが前提っていうイベントだと話が早くていいよなあってのも思ったり。

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東芝陣の登壇トップバッターはREGZAの仕掛人とも言われている本村さん。日経エンタテインメント初代編集長の品田さんに似て蝶と思ったのはここだけの話です。

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まずは東芝テレビブランドの歴史を紹介。自分が東芝のテレビをきちんと認識したのはfaceの頃で、いい名前だと思ってたfaceが突然「REGZA」と変更したのは当時とても驚いた記憶が。

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REGZAというテレビはいろいろとんがった機能が搭載されてますが、その企画コンセプトは「トレンドはむしろ作っちゃえ」というところにあるらしい。

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そうしたコンセプトのもと搭載されてきたREGZAの機能たち。HDD録画やタイムシフト、裸眼3Dなどかなり特徴的な機能をリリースしてきていますが、やっぱり一番の特徴は「HDDで録画できる」という点でしょうか。

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録画機能が注目されるREGZAですが、やっぱりテレビとして大事にしているのは画質である、ということを画質担当の永井さんが説明。「一日中好きなテレビを見ている楽な仕事」と本村さんに冗談がてら紹介されてましたが、画質チェックのためにひたすら番組を見るってそうとう大変そうだな……。

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そんな永井さんがこだわる画質は、4つの性能どれが欠けても美しくならないんだとか。しかし残念なことにあまり画質に興味がなく、そもそも録画も取り回しを重視してアナログで録画していたような私としましては、画質の追求というのは理解しつつも縁遠い世界でありました。

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REGZAの画質を支えているのがエンジン部分。東芝のテレビはパネルこそ他社製品を利用していますが、映像を映し出すエンジン自体は自社開発にこだわっており、会場では実際に最新のエンジン「レグザエンジンCEVO」が紹介されました。

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エンジン部分の開発を担当した住吉さん。

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エンジン周りの話はかなり難しいのでAV Watchのレビューに譲るとしまして。

読者参加イベント「AV Watch Meeting with REGZA」開催 -AV Watch
http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20110809_466169.html

面白いなとおもったのが住吉さんがアナログ技術出身なので「デジタルでは切られてしまう処理も大事にした」という話。自分がブロードバンドやガジェット系を対象としていたこともあって、記事の根拠というのはきちんと数値に示されていたり何回も測定された実験結果からはじき出されたもの、というのが当然の認識だったんだけど、絵や音の世界は数字では割り切れない「美しさ」という感性が必要になるんだよねえ。どうも映像や音の美しさという表現が苦手な自分としてはとてもまぶしいお話でした。

そして技術的にも面白かったのがゲームダイレクトモード。液晶というのは遅延が起きやすくゲームには不向きだと言われていて、最近ではいろいろな遅延対策技術が確立されつつありますが、REGZAで実現した遅延対策が数値的にはかなり恐ろしい。これも詳細はAV Watchのレビューに譲るとしまして、通常は映像のデータをメモリに一度書き込んでから読み出すという作業をほぼ同時に行なうことで、遅延の理論値限界である0.5フレームに対して0.7フレームまで縮めたとのこと。ゲーム好きにはかなり気になる機能なんですが、これZ9000からの機能とのことで、Z7000シリーズのユーザーとしてはちょいと涙目です。

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一般的なテレビのフレーム数は約2フレーム

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ゲームダイレクトはフレームの遅延を約0.7まで低減

 

そしてREGZA最新モデル「ZG2シリーズ」の目玉である30時間6チャンネルの録画機能。6チャンネルというと東京ならNHK+民放5局を常に撮り続けられる機能ということですね。

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多チャンネル同時録画のメリットは以前から使っているガラポンで味わっていたのでそのすばらしさは大変実感していて、それをテレビで実現したこのREGZAシリーズは興味ありまくりなんだけど、個人的には贅沢ながらもっと録画時間もチャンネルも欲しい。30時間っていうのは1日ちょっとなので次の日には見なくてはいけなくて、仕事が忙しくて週末に見たい! というニーズだとこれじゃ間に合わないんだよね。さらにはチャンネルも東京だとあと2つ、要はNHK教育+MXという番組も欲しいわけで、人の欲望は果てないものです……。

現行のREGZAも時間をゴールデンタイムのみにしたりチャンネルを減らすことで録画番組を増やせるんだけど、個人的には時間軸よりは「ドラマ全部」「アニメ全部」という撮り方ができるほうがうれしいな。ジャンルを全部抑えたいというニーズはこの2つくらいだと思うので、あとはコレに加えて30時間録画で「しまった今日あの番組だった!」と気づいた時、その番組だけを後で見るように残しておく、という使い方ができるともっと魅力的ですね。

あとは映像にすごいこだわっている開発陣には大変申し訳ないですが、画質はいいから録画時間のばしたい……。DVDクオリティでも十分にキレイに見られると個人的には思ってるので、容量を小さくしてそのぶん録画時間を延ばすという選択肢も欲しいなと思いました。

そして今回のイベントでもっとも興味深かったのがレグザAppsコネクト。かのRDシリーズを担当していた片岡さんが今夢中なのはこのAppsコネクトシリーズ群なのだそうで。

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トーク中に紹介された中で気になったのがタグ機能。録画された番組に対して、誰かがつけたタグをそのまま利用できるという機能で、たとえば音楽番組だったら誰かが出演者ごとにタグを付与しておくと、他の人が自分の見たい出演者の名前を選ぶだけでそこから視聴できるということですね。人力CDDBとでも言うべき機能です。こういうメタデータは大変可能性を感じるところで、みんながきちんとタグ付けすると、見たいアーティストや芸能人が出ている番組を後から探すこともできる。前述の全チャンネル録画機能がさらに発展して長時間の番組が録画できるようになり、このタグ付けの機能が広がっていくと、後から本当に見たい番組だけを探せるようになるなあとちょっとワクワクしますね。

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イベント後のデモでは片岡さん自らレグザAppsコネクトを紹介するというコーナーも。いやこれほんとファンには贅沢すぎる展開だぞ……。

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デモで紹介されたRZアートリモコン。押すと声優の声で反応する声優リモコンは有名ですが、こちらはまったくリモコンに見えない画面ながら、人や猫、月などに機能が割り当てられているという斬新リモコン。これ自体はたしかに相当奇抜なんだけど、タッチパネルを使えばデザインは自由自在で、今までの発想にとらわれない斬新なリモコンを作れるというのは目から鱗でした。ハードウェアで簡単リモコンを同梱するより、世代や使い方に応じた操作体系のリモコンデザインをスマートフォン経由で配布するってのは確かに理にかなってるし、こういうことであれば画面の大きいタブレットも宅内リモコンとして活きてくると思いました。

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ちなみに声優リモコンのほうは公開から3日で6万ダウンロードを記録し、Androidマーケットで1位、App Storeでも10位を獲得したとか。無料とはいえ恐るべき破壊力ですな声優っていうコンテンツは……。

もう1つ面白かったのがこの「RZ節電リモ」。電力会社から発表される電力の使用状況に合わせて節電状況をコントロールできるというアプリなんだけど、面白いのは節電部分ではなくて、外部の情報を自動で取得してテレビをコントロールできてしまうということ。この技術を使えば緊急ニュースが入った時だけニュース番組を録画するとか、外出先からの予約録画とかいろいろ応用が聴きそう。単なるアプリシリーズに見えて、Appsコネクトはテレビの使い方そのものを大きく変えてしまいそうな可能性を感じました。

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個人的に新モデルで気になっていた点もデモで確認できました。愛用中のZ7000は、録画した番組を再生中に二画面同時表示ができないのがちょっと気になっていて、最新モデルではそのあたりどうなってるのか気になっていたんだけど、ちゃんと録画番組を再生しながら外部入力を使うことができてました。ながら視聴が多い私としましては、テレビ見ている間に外部入力でゲームのレベル上げしたり、パソコンの画面表示したりっていう使い方をしたかったのでここはかなり気になるところ。ただし、新モデルZG2シリーズの売りである自動録画の場合はなぜか二画面で表示できないとのことで、今後のモデルではここが改善されるといいなあ……。

画質だけでなくテレビが使いやすいさまざまな機能を積極的に搭載してきたREGZAシリーズですが、多チャンネルはもちろんのこと、面白いなと思ったのはやはりレグザAppsコネクトの世界観。画質も多番組録画も基本的には今まであるテレビの世界観なんだけど、スマートフォンを通じてテレビに新しい使い方を付与するという使い方は、今までにはないテレビの可能性を感じさせます。

個人的にもテレビという言葉はいくつもの要素があると思っていて、その中でも期待したいのは映像を表示する大画面ディスプレイとしての可能性。テレビというのはテレビ番組だけではなくゲームもDVDも映し出すし、最近ではパソコンの画面も映し出すことだってできる。映像のコンテンツもテレビ番組だけがすべてではなくなる時代がすぐそこまでやってきていて、テレビ番組をいかに楽しく見るか、というステップからもっと先、家庭内にある大画面ディスプレイとしてすべての映像や画像を映し出す役割を期待したい。

たとえば8月1日よりバンダイチャンネルが月額1000円で110作品2700話以上のアニメを視聴できるとんでもないサービスを開始しているのですが。

月額1,000円見放題|アニメ・動画配信 / バンダイチャンネル
http://www.b-ch.com/contents/feat_monthly/index.htm

パソコンでもスマートフォンでも見られるけれど、やっぱりせっかくなら大画面のテレビで見たい。でもわざわざテレビにパソコンやスマートフォン相当の機能を搭載するのもコスト的に大変だから、スマートフォン経由でテレビに映し出す機能があればそれで十分。似たようなことはAndroidのDLNAソフト「Twonky」でもあるわけですが、ネットワークを経由して映像を映し出す機能とかもぜひAppsコネクトに実現して欲しい。テレビにすべての機能を詰め込まなくてもAppsコネクトで補完できるというのはとても面白いコンセプトで、極論を言えばREGZAも録画機能を内包するよりもそれを外に出し、ディスプレイとして家庭のあらゆる映像をインプットして映し出す役割を担うのも面白いのではないかと思いました。そうしたらユーザー的にもテレビを買い換えなくて済むし、メーカー的にも一度テレビを買った人に対して付加機能としていろいろな機能を販売できるわけで、このAppsコネクトの戦略は地味ながらも未来のテレビの役割を担う重要な存在だと思います。

REGZAの名前を冠し、なおかつ最前線の人を惜しみなく登壇陣に集めたという点でとても興味深いイベントでした。どうしてもブロガーイベントとかだと知らない人に向けて入門的な要素から始まることも多いんだけど、「もうREGZAのなんたるかは知ってるよね」という前提で始められると、短い時間でもより濃い話ができる。人数を集める課題はあるものの、一定のリテラシをそろえて参加するイベントもなかなか楽しそう。まあ、こういうのができるのもマニア層から大変に人気のある東芝ブランドだからという気がしないでもないですが。

今回はAV Watch初のオフラインイベントということなので、第2回、第3回に期待したいところ。テーマとなる製品はもちろんだけど、普段はなかなか聞くことができないライターや編集部の意見もいろいろ聞けるようなイベントを期待したいところです。


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