私自身は熱心なiPhoneユーザーではないのですが、どうにも携帯電話キャリアの料金プランや端末代金がわかりにくいこともあり、今回の各キャリアからリリースされるiPhone新モデルについていろいろご質問いただくので、この機会に自分なりの見解をブログにしたためておきます。
月額料金について
本題に入る前に各キャリアとも見せ方がひどすぎる。特に4410円という学割価格が誰にでも適用されるかのような見せ方をするドコモは、これが日本最大の携帯電話キャリアがやることですかねと残念に思います。
そして本題の月額料金ですが、比較表などは各メディアやブログがやっているのでそちらにまかせておきつつコメントだけ。
iPhone 5s / 5c 端末価格、料金プラン、ネットワーク 各キャリア比較シート : ギズモード・ジャパン
http://www.gizmodo.jp/2013/09/iphone_5_113.html
携帯電話時代から基本的には変わりませんが、スマートフォンの料金プランは「音声通話プラン」「プロバイダー料」「パケット定額プラン」の3つで組み合わせるのが主流。このうちプロバイダー料は全キャリア共通の315円、パケット定額についても見せ方は多々あるものの基本的には5460円で各キャリア横並び、音声プランだけドコモが780円、ソフトバンクとauが980円と一見してドコモが安く見える、という形です。
ドコモが一見して安く見えるというのは、「ドコモダケ」同じキャリア内での音声通話定額が含まれていないから。ソフトバンクとauは1時から21時まで同じキャリア同士なら無料という仕組みが980円に含まれていますが、ドコモの場合は月額700円のオプション「Xiカケ・ホーダイ」を適用しないといけない。Xiカケ・ホーダイは24時間という違いはあれど、他キャリアと比較する場合は「差額200円で同じキャリアの無料通話を使うかどうか」にかかっているといったかんじ。
Xiカケ・ホーダイ | 料金・割引 | NTTドコモ
http://www.nttdocomo.co.jp/charge/discount/xi_kake_hodai/
また、auは料金プランを見るとパケット定額が5985円に見えますが、実際にはauのブロードバンド回線がある人はauスマートバリューで1480円引き、auの固定回線がない人もLTEフラットスタート割(i)の適用で525円割り引かれるため、パケット定額は実質各社横並びの5460円ということになります。
しかしAndroidユーザーとしては、iPhoneだけパケット料金特別扱いというのが全キャリアデフォルトになったのは正直いただけない。iPhoneのほうが通信データ量少ないとかならともかく、今は各ユーザーとも7GB上限が設定されて条件は同等なのに、なんともやりきれないです。
なお、これは後述しますが、ファミリー割引が2年縛りによって有名無実化し、LTEスマートフォンが無料通話プランを提供しなくなったため無料通話の分け合いもできなくなった昨今、家族にフィーチャーフォンユーザーが残っているのでもなければ、スマートフォン(特にLTE)ユーザーで同じキャリアに入るメリットは「音声定額の対象になるかどうか」くらいだと思います。最近ではLINEだったりFUSIONのIP電話だったりユーザー同士で無料の電話アプリも多いことと、音声通話よりLINEなどのテキストメッセージが中心、という人にはさほど必要ない話かもしれませんが。
端末代金について
こちらに関してはギズモードの表だとソフトバンクだけ月表示になっているためわかりにくいのでアスキーのまとめをば。各キャリアとも本当にいやらしい見せ方のため比較難しいですが、基本的にどのキャリア選んでも実質負担金額は大差なしです。
iPhone5sと5c 端末価格はドコモが優勢だが途中解約すると?
http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/171/171611/
とはいえアスキーのタイトルにもあるとおり、途中解約すると途端にお値段変わってドコモが高くなる。ドコモだけなんで端末高いんだよという話は憶測でしかないですが、これまた「ドコモダケ」がIIJmioやOCNといった月額1000円以下の低価格SIM使えるため、端末だけ入手できればいいやという人が多いのでしょうね。キャリアとしては2年間使ってもらわないと元が取れないからこうやって値段差つけてコントロールしてるのかなと。
しかしこれまた余談ですが、以前は端末代金が料金に含まれていたため「機種変更してばかりいる人の料金を機種変更しない人が負担しているのはおかしい」ということで今のような端末買い取り制度になったにも関わらず、今度はもともとの端末価格に差がつくというのは本末転倒な話。2年契約してくれる人にサービスを手厚くするならともかく、元々の端末代金に差をつけるというのは話が違うよなあと。
また、機種変ばっかりする人がオトクというのを是正するはずが、昨今のMNPに対する手厚い施策は結果として「MNPしまくったほうがオトク」という現状になっており、前述の通りファミリー割引も崩壊した今では長期契約者のメリットがほとんどありません。iPhone 5cを優先予約できるくらいのメリットしか残らない現状、メールアドレス捨てる覚悟さえあればガンガンMNPしたほうがオトクだと思いますよ。
各社サービスについて
iPhone向けのキャリアサービスなんてあまり気にしない人多そうですが、個人的にはdビデオのiOS対応はそうとう気になります。auのLISMOのような音楽サービスだったら、楽曲購入ならiTunesもMoraもあるし、定額サービスだったらレコチョクもMusic Unlimitedもあるしであまり意味ありませんが、dビデオとdアニメストアについては知る人ぞ知る定額動画配信サービスになっています。
海外ドラマもHuluほど最新のものはないけれど十分揃っているし、それ以外の邦画や洋画、アニメが充実して料金は525円というdビデオはかなり恐ろしい存在。当初はさすがにドコモダケ配信でしょうけれど、これiOS向けのフリーサービスが展開されたらドコモはかなり面白くなりそう。そしてHulu大丈夫かと心配になるところであります。
ドコモ回線について
ドコモユーザーだけにどうしてもドコモのサービスが気になるのですが、今回注目はiPhoneだけパケット定額料金が違うところ。今までAndroidはパケット定額プランが共通なのでSIMの差し替えが可能でしたが、iPhoneの場合は何かしらそれとは違う仕様になるはずです。
いまのところ想像できるのは
- AndroidとiPhoneでSIMが違う
- SIMは一緒だけど契約をチェックしているのでAndroidとiPhoneではSIMを交換できない
- そんなことなくて使い回せる
といった候補ですが、さすがのドコモで3番目はなさそう。このあたりどんな仕様になっているのか個人的に気になります。
SIMロックについて
各キャリアともドコモ含めてSIMロックかけてきましたが、ここまでは想定の範囲内。気になるのはドコモのアクセスポイントロックです。
というのもIIJmioやOCNのような低価格SIMは回線がドコモなので、SIMロックされてても問題なく使えるんですね。ただし、なぜかテザリングだけはAndroidの場合強制的にアクセスポイントをspモードへ接続する謎の仕様になっており、低価格SIMなどMVNOの回線ではテザリングが利用できません。
このアクセスポイントロックが果たしてドコモのiPhoneにもかけられているかどうかは低価格SIMユーザーにとって注目のポイント。海外のキャリアではテザリングをロックされるケースもあるため仕様としてはiPhoneに組み込まれているようですが、実際のところどうなっているのか要注目です。
キャリアごとの電波状況
エリアや基地局数だけではなんとも言えないし、使う人のエリアにもよるのであくまで一般論ですが、当面はau、今後はドコモ、ソフトバンクはイー・モバイルのLTEを利用してどこまで混雑を緩和できるかに要注目、でしょうか。ドコモの主力である2.1GHz帯は、Xi契約者数が1500万人を超える今かなり混雑しているので、東名阪中心の1.7GHz帯をどこまで整備するかが都市部エリアのユーザーの鍵でしょうか。実際、ドコモのXiは上りとか本当に遅いしね・・・・・・。
ただ個人的に忘れちゃいかんなと思うのは3Gエリアで、LTEがどんなに速くてもつながらなかったらアウトで、その時に役に立つのは今までの3Gネットワーク。都心部ならLTEで十分でしょうが、まだまだ3Gでしかつながらないエリアもたくさんある中で、3Gエリアが充実しているドコモという考え方もネットワークで選ぶなら忘れちゃいけないかなと。
どのキャリア選んだらいいのか
ざっくり言うと「とりあえずMNPしとけ」だと思います。MNPの優遇措置は数万円レベルで違ってくるし、繰り返しですが長期割引や家族割引が有名無実化している今、同じキャリアにとどまるのはメールアドレスを残しておきたい、ということくらい。もうソーシャルでつながるこのご時世、いざとなれば電話番号があるから電話もできるしSMSもつながるし、電話番号同じならLINEもあるんだしということで。
といいつつ個人的にはまだ主力回線はFOMAのフィーチャーフォンなのでなかなかスマートフォンにも移れないのですけどね・・・・・・。もうすぐ2年で月サポも解けるので、12月の新モデル発表に合わせていろいろ自分も身の回りの整理を考えたいと思います。