知人が親族だというこぼれ話を聞いて以来「一度行ってみたい!」とおねだりしていた吉乃川酒造訪問、やっと念願かなって訪れることができました。
新潟の伝統ある蔵元 吉乃川 – 吉乃川株式会社
http://www.yosinogawa.co.jp/
吉乃川酒造はその名の通り「吉乃川」で知られる新潟を代表する酒蔵。お酒のおいしさはもちろん、お値段も非常に安価で手に取りやすい価格帯が中心ということもあり、新潟で好きなお酒の1つです。特に吟醸 の極上吉乃川は四合瓶で1,200円程度というリーズナブルさもあり、新潟でよく買って帰るお酒の1つでもあります。
吟醸 極上吉乃川 – 吉乃川株式会社
http://www.yosinogawa.co.jp/itemlist_detail.asp?vid=1
吉乃川があるのは長岡駅のお隣宮内駅。JR上越線またはJR信越本線に乗るのですが、この路線はSuica非対応なので要チェック彦一です。間違えて長岡からSuicaで乗って大変なことになったよ……。
駅の目の前には生姜醤油ベースでおなじみ長岡ラーメンの代表格青島食堂が。ランチはここ目当てで来るというのもよさそうですね。
通りを歩くと謎のお店も。なんだこのオブジェ気になりすぎるぞ……。
駅から15分ほど歩いて吉乃川に到着。こちらも前日に訪問した朝日山以上の大規模な面積で、なんと工場全体で1万坪もあるらしい。新潟はもちろん日本を代表する名ブランドはさすがの規模でした。
工場から細い通りを抜けて、今回の目的地である瓢亭へ向かいます。
江戸時代へタイムスリップしたかのような看板が目印。
右手を見ると風流な建物が。
そう、これが吉乃川の酒造資料館「瓢亭」です。
こちらの施設は一般向けの資料館となっていて、予約はいるものの入館は無料、今回体験させていただいた試飲ももちろん体験できます。
見学施設「酒蔵資料館 瓢亭」 – 吉乃川株式会社
http://www.yosinogawa.co.jp/corporate_hisagotei.asp
瓢亭の中には昔の酒造りで使われていた道具がいくつも展示されています。新潟来る前に夏子の酒で予習していたこともあって1つ1つが「あああのシーンで使ってた道具!」とちょっと感慨深い。
ずらりとならぶ吉乃川のトロフィー。関東信越国税局酒類鑑評会入賞は通算67回でそのうち首席第1位は5回と、トロフィーの置く場所が心配になるほどの受賞歴を誇ります。
瓢亭では吉乃川に関する歴史もいろいろとお伺いすることができました。面白かったのは吉乃川の由来で、元々吉乃川は『八重桜」という名前だったということ。
吉乃川自体は川上という一族が代々受け継いでいるのですが、大正時代の15代目である川上栄太郎が遊び人でまったく仕事をせず、代わりにその母である享寿(よし)さんが懸命に働いて蔵を支えていたことから、「おまえの所の蔵はよしで持ってるようなものだ」「よしの川上だ」と揶揄され、それがいつしか「よしのがわ」になったのだとか。そんな名前が今では日本を代表する日本酒に育つのだから世の中本当にわかりませんね……。
そういえば先日訪問した新潟市歴史博物館「みなとぴあ」でも、江戸時代から新潟では女性がよく働くことが有名で、他の土地から来た人がびっくりするほどだったなんていう記述もありました。元々新潟の土地風土がよく働く女性を生むというのもあったのかもしれません。
瓢亭の名前でもあり、吉乃川のトレードマークでもあるひょうたんは瓢亭のいたるところに飾られています。
酒造りの過程もビデオで見せていただいたのですが、残念ながらアナログテレビのインターレースなだけに撮影してもこんな状態に……。ここはそろそろデジタル対応のテレビ導入を期待したいところです。
映像を見ながら吉乃川の専務取締役に酒造りの解説もいただきました。新潟の軟水は吟醸に適していて、一方で灘は硬水だから吟醸よりも純米が得意とか、新潟は水や米はもちろん、適度な寒さや風がないことが日本酒造りにいいのだとか、現場で日本酒を造っている人ならではの話を聞けるのはとてもいい経験です。
その後は工場を見学。これは91,750リットルもの日本酒を蓄える巨大な桶。こうした大量生産のお酒は日本全国どこでも同じ味が楽しめるよう調整を加えつつ、純米大吟醸のような高級なお酒は杜氏による手造りで丁寧に作られており、大規模ながらも味のバランス考えているんだなあと実感。
奥に見える吉乃川酒造常倉は、なんと有形文化財に登録されたという貴重な建物。
鉄筋コンクリートで近代的な建物と思いつつも、その作り方が非常に珍しい存在なんだとか。
国指定文化財等データベース:主情報詳細
http://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails.asp
蔵としてはまだまだ現役で、中には大量のお酒が保管されています。面白かったのが吉乃川がビールも扱っていることで、日本酒の流通網持っているということもあって、新潟ではキリンビールを一番売っているらしい。日本酒の会社なのに日本酒にこだわらない間口の広さが面白い。
こちらは2008年にできたばかりの蔵「眞浩蔵」も。打って変わって近代的な蔵ですが、おいしい日本酒を安定して造り出すための最新機器が導入されているとのこと。もともと吉乃川は人手でしかできなかった日本酒造りの作業を機械化していったことでも知られており、この蔵でも吉乃川が開発したという自動製麹機に加え、東日本の酒蔵では始めて採用されたという「無風製麹機」が導入されるなど、機械化による味の安定に努めています。
日本酒というと手造りのものがいいとか純米が最高とか言う思考にともすると陥りがちですが、もちろんそういうお酒はおいしい一方で、そんなお酒ばかりだったらとても高くて飲めないし日本全体に行き渡るほどのお酒を造る事なんて不可能。こうやって機械の力を取り入れつつ、誰にでも手に取れる価格でおいしいお酒を日本中に提供するためには機械化は必要不可欠だし、そうした大量生産の一方で味にもこだわるという姿勢はすばらしいなと思いました。
そして工場巡りの後はお待ちかねの試飲タイム! これが目当てだったと言っても過言ではなし!
こちらは吉乃川ブランドの日本酒がずらり。中央の吟醸 極上吉乃川はお手軽なお値段でおいしくてちょいちょい新潟土産で買ったりしてます。
今回おもしろかったのは「杜氏の晩酌」というお酒。名前の通り杜氏が晩酌するために作ったお酒とのことで、晩酌にぴったりの飲みやすい味。ついつい飲み続けてしまいそうな飲みやすさに、ご飯に合いそうな味わいも併せ持っていてこれはなかなかのヒットでした。
?五百万石本醸造 「杜氏の晩酌」 – 吉乃川株式会社
http://www.yosinogawa.co.jp/itemlist_detail.asp?vid=51
こちらは瓢亭でしか飲めない限定の生酒。生酒らしいどっしりした味わいが魅力的でさくっとお土産購入決定。
試飲のおちょこがちょっとかわいい。
勢いに乗って超高級種の秘蔵酒も。四合瓶で5000円近くするかなりの高級酒。もちろん日本酒の最高峰、純米大吟醸でございます。さすがの純米大吟醸は甘くておいしゅうございました。
こちらは女性向けにちょっとカスタマイズした日本酒。ジャンルとしてはリキュールですが、ゆず味や紅茶味、カシス味などいろいろな味が楽しめます。
これらは吉乃川の女性向けイベント「吉乃川女子部」が作ったお酒とのことで、なるほどヒアルロン酸とかちょっと男にはできない発想かも。ゆずと紅茶のお酒はなかなか意外なおいしさで、これカクテルにして飲んだらかなりあいそうです。
たくさんの試飲はもちろん、吉乃川の歴史や蔵の紹介もしていただいて大変勉強になった1日でした。冒頭でも書いた通り普段は予約制ながら一般参加もできるとのことで、日本酒好きな方は新潟観光の1つに組み込んでみてはいかがでしょうか。