6.4インチの大画面スマホ「Xperia Z Ultra SOL24」に続き、auの2014年夏モデルにおけるXperiaシリーズ最新作「Xperia ZL2 SOL25」を発売前にレビューさせていただくことになりました。
Xperia™ ZL2 SOL25 | ソニーモバイルコミュニケーションズ
http://www.sonymobile.co.jp/xperia/au/sol25/
Xperia Z2をベースとしたラウンドフォルムのオリジナルモデル
すでにグローバルではXperia Z2という端末が発表されており、国内ではNTTドコモが「Xperia Z2 SO-03F」として発売する予定になっていますが、このZL2は基本的なスペックはZ2とほぼ同等ながら細かなところで日本向けにカスタマイズが行われている独自モデル。2014年の夏モデルではauのみのオリジナル端末になります。
Z2との最も大きな違いは本体デザイン。Xperia Z以降ソリッドで角張った本体デザインが続いていたXperiaシリーズですが、ZL2は背面がラウンドフォルムになっており、2013年の夏モデル「Xperia UL SOL22」に近いデザイン。ただ、ラウンドフォルムといっても背面の角がわずかに丸くなっている程度で、Xperiaらしいソリッドなたたずまいも兼ね備えた印象です。
本体カラーはブラック、ホワイトに加え、最近のXperiaシリーズで特徴的だったパープルに入れ替わりターコイズを採用。今回試用させていただいているのはブラックですが、端末説明時に見せてもらったターコイズはとても綺麗な色で、女性はもちろん男性でも違和感のないカラーでした。
画面サイズもXperia Z2の5.2インチに比べて5.0インチとわずかに小さく、本体サイズもXperia Z2が縦147mm、横幅73mmに対し、Xperia ZL2は縦137mm、横幅72mmと主に縦方向が小型化。ラウンドフォルム形状の効果もあって片手で握りやすくなっている一方、厚みはXperia Z2の約8.2mmに対しXperia ZL2は約10.8mmと2mm近く厚く、重量もXperia Z2の約163gより4g重い167gになっています。
バッテリー容量もわずかながら違っており、Xperia Z2の3,200mAhに対してXperia ZL2は3,000mAhと200mAh少ない。3,000mAhを超えた大容量バッテリーだともはや誤差に近い数値ではあるものの、バッテリーはあればあるだけいい、という人にとってはちょっと残念なポイントかもしれません。
スペックダウンとなっているのがインカメラで、アウトカメラはXperia Z2、Xperia ZL2ともに有効画素数約2,070万画素と共通ですが、インカメラはXperia Z2が約220万画素に対してXperia ZL2は約31万画素。このあたりは本体の小型化ゆえの犠牲かと思いますが、個人的にはインカメラほとんど使わないのであまり気にはならないかな。
2.3GHzクアッドコアや3GBメモリ、4K動画カメラなど充実のスペック
上記以外の大まかなスペックはほぼほぼXperia Z2を踏襲。Android OSは最新の4.4を搭載し、CPUはついに2GHz超えのMSM8974AB 2.3GHzクアッドコア。メモリもAndroidでは最大クラスの3GBを搭載しており、ハイスペックモデルでも2GBが主流の中で頭1つ抜けた容量です。内蔵ストレージは32GBで、外部ストレージは128GBのSDXCまでサポート。
通信面では最大150MbpsのIEEE802.11a/b/g/n/ac無線LANに準拠するほか、4G LTEとWiMAX2+に両対応し、最適なネットワークへ自動で接続するauの独自技術「キャリアアグリゲーション(CA)」をサポート。今回の端末は開発機ということでキャリアの回線は試せなかったのですが、ここ最近はLTEが安定していると評価の高いauだけに、発売されたらどれくらい通信が快適なのか気になるところ。
防水/防塵のほか、フルセグやおサイフケータイ、NFCといった機能もほぼほぼサポートしつつ、かつては国内スマホの御三家的機能だった赤外線通信は非サポート。そろそろスマホも赤外線で電話番号交換する時代じゃなくなってるってことですかね。
Xperiaシリーズの特徴かつ武器でもあるカメラは約2,070万画素のCMOSイメージセンサーを搭載し、4K動画が撮影可能に。とはいってもXperia ZL2のディスプレイはフルHD(1,920×1,080ドット)解像度しかなく、フルHDの4倍にもなる4K動画をXperia ZL2で再生することはできません。4K動画を見たい場合は撮影ファイルを外部に取り出すか、MHL経由で4K対応テレビやモニターに接続して映し出す必要があります。
被写体に合わせて最適な設定で撮影できる「プレミアムおまかせオート」もさらに最適化が進んでおり、「ご飯がよりおいしく撮れるようになった」とのこと。
実際に写真をプレミアムおまかせオート中心でいくつか撮影してみましたが、確かにお任せにしておいてもいい写真が撮れる。カメラ周りはかなり興味深かったので別エントリでも触れておりますが、ここでもいくつかご参考までに写真載せておきます。
カメラに関するエントリーはこちらをご参照ください。
「ごはんがおいしく撮れる」は本当か。Xperia ZL2 SOL25の気になるカメラ機能をチェック – カイ士伝
https://bloggingfrom.tv/wp/2014/05/16/12557
マルチメディア関連ではノイズキャンセリングに対応し、ノイズキャンセリング対応イヤフォンやヘッドフォンを併用することで周囲の雑音を抑え、より音楽に集中して楽しめます。また、音楽関連ではハイレゾも対応しているのですが、ハイレゾ音源を再生するにはハイレゾ対応イヤフォンやヘッドフォンに加えてハイレゾ対応アンプも必要になるので、本体とイヤフォンだけで完結するハイレゾ対応ウォークマンに比べると若干ハードルは高めです。
ラウンドフォルムで持ちやすい本体
カタログスペックはこのあたりにして実際の使い勝手をば。まずは手に持ったファーストインプレッション。前述の通りラウンドフォルムを採用し、液晶も5インチサイズに収まっていることもあって本体は片手で握りやすい。手に当たる部分が角張っているのではなく丸みを帯びるだけで手に当たる部分が優しくなり、片手で包み込んだときにしっくり来ます。
一方で約167gの重量はどっしり感を感じる重さで、握りやすくはあるものの、文字入力など本体の片側しかホールドできない状態では若干バランスが悪く不安を感じます。本体左下にはストラップホールがあるので、ひとまず大事な貸出機ということもあってリングストラップを装着しました。スマホはいつなんどき不慮の事項で落っことしてしまうかわからないので、こうした安全対策はしっかり取っておくことオススメします。
本体は右側面に電源ボタンと音量ボタンのほか、カメラにこだわるXperiaだけにカメラ専用ボタンも搭載。カメラボタンはシャッターを切るだけでなく長押しでいつでもどこでもカメラを呼び出せます。本体がスリープ状態でも起動できるのはタッチ操作を気にしなくていいので、スマホでカメラを愛用する自分にとって地味ながらも大変に便利。
本体左側面はMicro USBポート、クレードル充電用の端子、microSDカードスロットとmicroSIMカードスロット。いずれも防水のためキャップ付きになっています。最近は防水でもUSBはキャップレスな端末も多く、モバイルバッテリーなどでUSB経由の充電が多い人は取り回しに若干注意が必要ではありますが、ZL2はかなりバッテリー持ちもいいので、自宅にいるときにクレードル経由できちんと充電しておけばさほどUSBを使う機会はないかも。
こちらがクレードルに装着したところ。バッテリー持ちは非常によく、1日中スマホを触りまくる自分のようなヘビーユーザーでも1日以上は余裕で持ちます。端末がLTEではなく無線LANで運用しているためバッテリー持ちがいいという要素もあると思いますが、置くだけで充電できるクレードルがあれば毎日自宅で充電するのも簡単になり、USBポートはほとんど充電で使わないで済みそうです。
5.0インチのディスプレイはひたすら美しい。フルHD解像度で5インチクラスというのは昨今のハイスペックスマホでは当たり前になっているので画素密度的な驚きはないはずなのに、Webサイトやカメラの写真がやたらきれいに映ります。
このあたりは液晶テレビ「BRAVIA」のノウハウを詰め込んだという「トリルミナスディスプレイ for mobile」のたまものでしょうか。Webサイトでは前モデルのXperia Z1よりも鮮やかな色表現が可能と紹介されていますが、それもなるほどと思えるほど鮮やかな色合いです。
ソニーが液晶テレビ ブラビアで培った映像技術と画作りのノウハウを凝縮した、トリルミナスディスプレイ for mobileを搭載しています。幅広い色域で豊かな自然の色合いや繊細な色の違いを再現することが可能です。
Xperia™ ZL2 SOL25 | DISPLAY | ソニーモバイルコミュニケーションズ
http://www.sonymobile.co.jp/xperia/au/sol25/function/display.html
Xperia Z Ultraの時は背面片方向のみだったスピーカーは本体前面かつステレオスピーカーに。ステレオでもスピーカーは本体背面という端末も多いのですが、やっぱり音を聞くにためにはスピーカーが前にあるに越したことはなし。ディスプレイに美しさに合わせて動画を楽しむのにぴったりです。
操作感は元々サクサクで定評のあるXperiaだけに何の不満もなし。2.3GHzクアッドコアに3GBメモリというトップクラスの組み合わせはもっさり知らずといっていいレベル。通信速度自体が遅いということはあれど、端末のスペックがネックになって動作がもっさりするなんていうことはほとんどありませんでした。
文字入力は新システムの「POBox Plus」搭載
続いてソフトウェア面の使い勝手をば。通知エリアは初期表示で通知のみですが、右上の「クイック設定ツール」から無線LANやBluetooth、画面輝度などのショートカットが利用できます。また、両手が使える場合は2本指で通知エリアを弾き出すと最初からクイック設定ツールが表示されます。
Xperia Z Ultraの時も便利だったスクリーンショットシェアも健在。画面左右の好きな位置から指を横にスライドするだけでスクリーンショットを保存できるので、画面キャプチャすることの多いブロガーには大助かり。マルチタスクで画面下部に表示されるアプリのショートカットも面積を有効活用していて地味にうまいですね。
文字入力はXperiaシリーズどころかソニー製品の伝統でもあるPOBoxの最新バージョン「POBox Plus」を搭載。
変換周りの仕様が新しくなり、文字を入力すると画面上部に「予測」「変換」「英数カナ」タブが表示されるようになりました。
ただ、個人的には予測変換をあまり使わずすぐに変換するタイプなことに加え、画面の一番上にタブが出るこの仕様だと指を伸ばすのが若干大変なため、結局は画面左の「変換」をメインに使っています。ここはタブを候補の下に表示するか、もしくは「変換」をデフォルトにする設定もちょっと欲しかったところ。
表示もカスタマイズでき、キーボードを画面左右どちらかに寄せることができます。そのぶんタッチできる面積も狭くなってしまうためタッチ精度は若干下がるため使い勝手は一長一短かな。左右に寄せたぶん上下にも伸ばせると面積が増えるので嬉しいなと思いました。
キーボード着せ替えにも対応しており、デフォルトでは「Standard」「Gummi」「Wood」の3種類が用意されているほか、Webからデザインを追加することもできます。普段利用頻度が高い文字入力だけにこういう遊び心は嬉しいですね。「Blocks」とかはとんでもないデザイン過ぎて飲み会受けがいいかも。
ノイズキャンセリングやステレオスピーカーで音楽・映像の臨場感が大幅に向上
Xperiaシリーズの特徴であるマルチメディア関連は、スピーカーが左右かつ前面に来たことで臨場感アップ。本体にはアメイジング・スパイダーマン2の予告映像がプリインストールされているのですが、美しい映像に加えて左右からきちんと音が聞こえてくるので迫力ある動画が楽しめます。これはHuluやらdビデオやらといったスマホ向け動画の視聴がはかどりそうですね。
音楽はソニーグループならではの連携でWalkmanアプリがプリインストールされているほか、ノイズキャンセリングにも対応。対応イヤフォンやヘッドフォンを用意すれば周囲の騒音を遮って音楽に集中することができます。
ノイズキャンセリングに関する設定は標準では表示されておらず、対応イヤフォンを装着した時のみ表示される仕組み。さらに設定からノイズキャンセリングを「ON(自動)」または「ON(常時)」にする必要があります。
ウォークマン対応かつXperia ZL2対応のノイズキャンセリングイヤフォン「MDR-NWNC33」を購入してみましたが、確かに音の迫力が違う。音質が上がるというより周辺のノイズが除去されるので再生される音楽にひたすら集中できます。試しにカフェでノイズキャンセリングしながら音楽を聴いていたのですが、ノイズキャンセリングをオンにしたとたん周囲の騒がしい雑音はもちろん店内を流れていたBGMすら聞こえなくなり、まるで別世界に来たかのような感覚に陥るほどでした。
それだけノイズ除去力が高すぎるため、移動中などは街の音なども一切聞こえなくなります。歩行中などは安全のためにノイズキャンセリングをオフにするといった心がけが必要ですね。ちなみにノイズキャンセリングをオンにしたまま電車に乗ったらいつも聞こえる音が違って聞こえてしまい、電車を降りるタイミングをミスって乗り過ごしてしまいました・・・・・・。ノイズキャンセリングは本当に集中したいときのみに使うことをオススメします。
また、せっかくノイズキャンセリングなのはいいのですが、Facebookやメールの通知音ってのはどうしても混じってしまうのですよね……。このあたりはスマホの宿命という気もしますが、「音楽を聴いているときは通知音を出さない」「一定時間は通知音をオフにする」というオプションも欲しいところです。
フルセグは引き続きサポートしますが、録画には対応しないほか、フルセグ用のアンテナも外付けになります。
とはいえうちの自宅では外付けアンテナをつけずとも室内でフルセグが再生できたので、「外付けアンテナがないとフルセグが見られない!」というほどではなさそう。
また、安定してフルセグを録画できるような環境にスマホをキープし続けるのも難しいので個人的には録画はできなくてもいいかなと思っています。ちなみにフルセグ用アンテナはノイズキャンセリングにも対応しているので、ノイズキャンセリングイヤフォンと一緒に使うこともできるようになっています。
DLNAやDTCP-IPもサポートしており、自宅のレコーダで録画した番組をネットワーク経由で再生できるのですが、今回の使用端末は開発機ということでDTCP-IPが利用できず。ディスプレイが非常に美しくスピーカーもよくなったので、録画番組を消化するのにも良さそう。Xperia Z Ultraの時も思いましたが、Xperiaシリーズはこと動画を楽しむのに非常に向いてるなと使っていて実感します。
音楽や映像を楽しむのに向いたハイスペックな1台。カメラ性能も
以上、Xperia ZL2 Ultraの機能や使い勝手を一通り見てきました。スペックの高さはもちろん、ノイズキャンセリングや美しいディスプレイ、ステレオスピーカーなど映像や音楽を楽しむ機能や、簡単に綺麗な写真が撮れるカメラなど、ハイスペックの代表格たるXperiaシリーズの最新モデルらしい使い勝手です。
Xperia Z2と比べてデザインは好みが分かれそうですが、手にしたときのフィット感はラウンドフォルムのほうが持ちやすく、ディスプレイが縦に短いぶん画面も操作しやすい。インカメラは自分撮りを多用する人には寂しいかもしれませんが、今までAndroid使っていてインカメラ使ったことなんて数回もない程度の自分にとってはほとんど気にならない。むしろアウトカメラの高画質かつ簡単に撮影できる機能のほうが魅力的。
むしろ背面カメラは、シャッターを押すだけで綺麗な写真が簡単に撮影でき、スローモーション動画やエレクト機能など面白い機能がいくつも搭載されているため非常に使い勝手があります。このエントリーではカメラに関する言及は相対的に少なめですが、実際にはカメラについて別エントリー立てるほど言及しているのでよろしければこちらもご参照下さい。
「ごはんがおいしく撮れる」は本当か。Xperia ZL2 SOL25の気になるカメラ機能をチェック – カイ士伝
https://bloggingfrom.tv/wp/2014/05/16/12557
ファンの多いXperiaシリーズだけにXperia ZL2を楽しみにしている人も多いかと思いますが、このレビューが購入を検討する参考になりましたら幸いです。