富士通のARROWSシリーズ代名詞とも言えるのが指紋認証。指紋認証自体はもともと東芝のブランドだったREGZA Phone T-01Dで初搭載された機能ですが、ARROWSシリーズもARROWS X F-10Dで指紋認証を搭載。その後もさまざまな機能拡充を経て最新モデルであるARROWS F-05Fにも搭載されています。
あらかじめ指紋を登録した指でセンサーをなぞると、ロックをすぐに解除できるスマート指紋センサーを搭載。パターン入力やパスワード入力の必要がなく、認証後にわざわざ持ちかえる手間もかかりません。指紋認証だけでなく、画面ON/OFFのスイッチとしても使えます。
スマートフォン・タブレット・携帯電話(F-05F) 製品情報 – FMWORLD.NET(個人) : 富士通
http://www.fmworld.net/product/phone/f-05f/info.html?fmwfrom=f-05f_index
しばらく指紋認証は富士通の独壇場でしたが、アップルのiPhoneも最新モデルのiPhone 5sでついに指紋認証を搭載。さらにサムスンのGalaxy S5も指紋認証に対応するなど、ここに来て一気に指紋認証の対応が充実し始めました。
iPhone 5sでは、より速く、より簡単で、ちょっと未来的な方法でロック解除ができるようになりました。新しい指紋認証センサー、Touch IDの登場です。
Apple – iPhone 5s – 特長
https://www.apple.com/jp/iphone-5s/features/
画面ロック解除やオンライン決済を指1本で可能になる指紋認証機能が、GALAXYシリーズとして初めて搭載される。
防水防塵で指紋認証つき、撮影後にピントを変えられる「GALAXY S5 SC-04F」 – ケータイ Watch
http://k-tai.impress.co.jp/docs/news/20140514_648255.html
というわけで今回はARROWS NX F-05FとiPhone 5s、Galaxy S5の指紋認証を項目ごとに比較。単に指紋認証でロックを解除できる機能と思いきや、ちょっとした実装の違いが使い勝手に影響していたりなかなか面白いです。
指紋認証センサーの場所
iPhone 5sとGALAXY S5は本体前面のホームボタンが指紋認証センサーを兼ねているのに対し、ARROWSは本体背面に搭載。このあたりはロック解除方法にも関係してくるので詳細は後述します。
ロック解除方法
iPhone 5sはホームボタンに一定時間指を置くことで解除。
GALAXY S5とARROWSはセンサーを指でなぞる形式ですが、本体前面と本体背面なので操作感感がかなり異なります。GALAXYは本体前面下部のセンサーをなぞる方式。
一方のARROWSは本体背面のセンサーをなぞります。
操作感
iPhone 5sは本体前面のホームボタンに指を当てるだけなのでいつもの操作とほとんど変わらない感覚で使える。認証時もホームボタンを親指で押し、残りの指で本体をホールドできるので安定感あります。
同じく本体前面にセンサーがあるGALAXY S5ですが、こちらはセンサーをなぞらなければいけない上に、ホームボタンのエリアが縦に短く、持ち方が若干不安定。片手持ちでささっとロック解除、みたいな使い方には不安が残ります。設定画面には人差し指を縦になぞるアニメーションが表示されるので、そもそも片手ロック解除は対象外なのかも。
センサーをなぞるという操作はARROWSも同様ですが、こちらは本体背面にセンサーがあることで、両側を指でしっかりロックした状態でセンサーを解除できます。
安定感という点ではiPhone 5s、ARROWSが同じくらい、持ち方が不安定になるGALAXY S5は若干下がるかな、というところ。
スリープオンオフ
ARROWSは指紋センサーでスリープのオンオフが可能なのに対し、iPhone 5sとGALAXY S5の指紋センサーはスリープ解除のみでスリープへの移行はできません。スリープ解除はホームボタン、スリープ移行は電源ボタンと持ち替えが必要なのでちょっと面倒。この点、一度本体を持ったら持ち替えが不要なARROWSが便利です。
指紋登録数
iPhone 5sは5個まで、ARROWSは10個まで、GALAXY S5は3個まで。指紋登録は右手左手、縦持ち横持ちだけで4つ、さらに精度を高めるために同じ指を何度も登録するという裏技を使いたい場合はもっと登録したくなるので登録数はあればあるほどいい。iPhone 5sの5個はまだしも、GALAXY S5の3個はちょっと少ないかなー。前述の通り持ち方によって認証しやすさが変わるGALAXY S5だけに、登録数はもうちょっと欲しかったところ。
指紋認証で使える本体機能
本体ロック解除を指紋認証で行えるのは3機種共通ですが、その他の機能は指紋認証に早くから取り組んでいるだけあってARROWSが強い。アプリを個別にロックしたり、特定の写真や動画、メールや電話帳も隠せる上に、隠していることすら隠せるこだわりっぷり。
iPhone 5sが使える本体機能は基本的に本体ロック解除のみで、しかも端末が再起動した時はかならずパスコード入力になるため指紋が使えません。
GALAXY S5は本体ロックのほか、画像やファイルなどを隠せるプライベートモードを搭載しています。
ただし、ARROWSのようにアプリの個別ロックやメール、電話帳を隠したりはできない。そうした機能が必要かどうかは別として、指紋認証を使った多機能さという点ではARROWSに一日の長ありといったところです。
指紋認証で使えるサービス
一方、サービス面で強いのはグローバル展開しているiPhone 5sとGALAXY S5。iPhone 5sはApp Storeのダウンロードに指紋認証を利用できます。
AndroidのGoogle Playはそもそもパスワード入力をオフにできてしまうので手軽さではAndroidのほうが上なのですが、セキュリティを高めつつダウンロードは簡単にできるというのは便利。
また、公開が予定されている最新のiOS 8では指紋認証がサードパーティーに公開されるそうなので、指紋認証を使った新しいアプリも登場しそう。こういう点は全世界に対応アプリを作ってくれる開発者がいるiOSならではですね。
アップル、iOS 8でTouch ID指紋認証APIを解放。サードパーティーアプリから利用可能に – Engadget Japanese
http://japanese.engadget.com/2014/06/02/ios-8-touch-id-api/
一方のGALAXY S5もPayPalと連携し、PayPalの決済を指紋認証で行える。国内だとPayPal対応サービス少ないですが、こうやって外部サービスに対応しているという点は魅力的。
GALAXY S5の指紋認証で安全・迅速なPayPalモバイル決済 – ケータイ Watch
http://k-tai.impress.co.jp/docs/news/20140515_648663.html
こうしたグローバル展開するスマホに対してARROWSは外部サービスにはほとんど対応していません。パスワードマネージャーというパスワード管理機能を搭載してはいるものの、これIDとパスワードそれぞれ個別に呼び出さないといけなくて、実際に使うときは「ID入力欄にカーソル」「パスワードマネージャー起動」「IDを選択」「パスワード入力欄にカーソル」「パスワードマネージャー起動」「パスワードを選択」という手順を踏むのが面倒。また、パスワードも事前に設定しておかなければいけないのでちょっと使いにくいかな・・・・・・。
とはいえChromeブラウザのようにブラウザ側でIDとパスワードを保存してPCやスマートフォンで共有できるサービスを使えば、そもそもパスワードをいちいち入力する必要もなし。パスワードをネットで共有するのが怖いという人でもなければ、こうしたブラウザを使えば指紋認証を使う以前の段階で簡単にログインすることもできます。
まとめ
指紋でロックを解除という点だけ見れば共通な3機種も使い勝手でいうとかなり違いが見えてくる。前面の触れるだけiPhone 5s、本体しっかり持ちつつ背面をなぞるだけARROWSに比べると、前面をなぞらなければいけないGALAXY S5は若干操作面で使い勝手で劣る印象です。最初にARROWSが背面にセンサー搭載したときは不思議だったけど、こうやって使い比べてみるとなるほどという感あるなあ。
対応機能もARROWSが充実。ただしサービスとなると国内のみで展開するARROWSはやや苦しい。今後iPhoneはiOS 8のリリースによって指紋対応サービスがさらに広がりそうなこともあり、ARROWSもぜひ指紋認証の対応サービスを強化して欲しいところです。
【ケータイ会議NX!!!とは?】
ケータイ会議NX!!!とは、富士通の最新スマートフォンARROWS NX F-05Fをブロガーが使い倒してブログで自由にレビューする企画です。通信料は各自の負担、モニター後は端末をそのまま使い続けることができるようになってます。
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