耳を塞がないイヤフォン「SBH82D」でイヤフォンの理想形にたどり着いた

※この記事は5年以上前に書かれたため、情報が古い可能性があります

 

発売自体は数カ月ほど前ですが、d払いキャンペーンで期間限定dポイントが9月30日に入ったこと、そしてこの日に買い物すればギリギリ増税前でさらに2%安いことになるな、という判断で、前から気になっていたソニーのワイヤレスヘッドセット「SBH82D」を購入。実際に使って見ていろいろ課題もあるものの、ああ自分が求めていたヘッドセットはこれだったんだ……、という理想形にたどり着いたな、という個人的な主観を淡々と語るエントリーです。

SBH82D | ヘッドホン | ソニー
https://www.sony.jp/headphone/products/SBH82D/

SBH82Dは、最近トレンドになりつつある、耳を塞がないことで外の音もしっかり聞こえるヘッドセット。昨年発売された完全ワイヤレスの「Xperia Ear Duo」と同じ形状ながら、左右のイヤフォンはケーブルで接続されている首かけ型のワイヤレスで、そのぶん価格は1万円を切るお手頃設定になっているのが特徴です。

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ソニー SONY ワイヤレスオープンイヤーステレオイヤホン SBH82D : Bluetooth/ながら聴き/NFC対応/マイク・操作ボタン付 2019年モデル ブルー SBH82D L

音質にさほどこだわりがなく、そこそこいい音ならそれ以上は追求しない、それよりも外の音が聞こえなくなるのが苦手、というのが自分のイヤフォン嗜好なのですが、最近のイヤフォンは耳の穴にすっぽり入れるカナル型が主流。その筋の人に聞くとカナル型は構造が簡単なため低価格で音質を高めやすい、という理由もあるらしいのですが、カナル型の耳にすっぽり入る装着感や、外の音がほとんど聞こえなくなる遮音性がどうしても苦手でした。

そんな自分にとって「これなら使える!」と感じて初めて購入した独立ワイヤレス型のイヤフォンが、今では装着している人を見ない日はないくらいの人気モデルとなったアップルのAirPods。独立ワイヤレスであること以上に、カナル型主流時代においてオープン型と呼ばれるイヤフォン形状なので外の音もそこそこ聞こえそう、というところが気になったポイントでした。

そのときの使用感はこちらのレビューに詰め込んだのですが。

【ミニレビュー】“音楽を身に着ける”感覚がうれしいAirPods。左右分離だけじゃない“解放感”がもたらすもの – AV Watch
https://av.watch.impress.co.jp/docs/review/minireview/1075312.html

実際に使って見るとカナル型に比べて圧迫感が少なく、外の音も適度に聞こえてくる、そして何より完全ワイヤレスならではの自由な装着感が非常に魅力的だったのですが、本体操作でできることが少ないことに加えて、メイン端末がiPhoneではなくAndroidであることから「もうちょっと本体操作でいろいろできるモデルが欲しい」と思って次に購入したのが、ソニーの独立型ワイヤレスイヤフォン「WF-SP900」。

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ソニー SONY 完全ワイヤレスイヤホン WF-SP900 : Bluetooth対応 左右分離型 防滴 防塵 4GBメモリ内蔵 2018年モデル イエロー WF-SP900 YM

WF-SP900 | ヘッドホン | ソニー
https://www.sony.jp/headphone/products/WF-SP900/

AirPodsに比べると接続の安定性が若干落ちること、装着の手間など課題もあったものの、本体で操作できることが非常に多く、外の音を取り込む機能も搭載されていて基本的には満足していたのですが、使い続けるうちに、独立型ワイヤレスそもそもの課題が見えてきました。それは耳から外したときの取り扱いが難しいということ。

家やオフィスについて音楽を聴くのをやめる、という時なら充電器にしまうのも苦ではないのですが、コンビニなどお店で店員さんと話すときなどちょっとだけ外したい、というシーンだとわざわざ充電器にしまうほどではなく、かといってポケットに放り込むのも微妙。外の音が聞こえるといっても、何も付けてない状態に比べればやはり音は聞き取りにくく、ちゃんと店員さんの話を聞きたい時はイヤフォンを外すようにしていました。

これが同じワイヤレスでもケーブル型だったら、耳から離してぱっと手を離せば首に掛かった状態でホールドできて、聞きたい時にまた耳に装着すればいい。独立型の自由度の高さも魅力なのですが、こまめに着脱する時の取り回しを考えたらやっぱりケーブルある方が便利だな……、と考えはじめたタイミングで悲しい事故が発生。酔った帰りに電車で音楽を聴きながら寝落ちしてしまったところ、椅子に耳をこすりつけたのかイヤフォンが片方だけ外れてしまい紛失してしまったのです……。

自分の管理が悪いのが問題なのですが、とはいえケーブル型だったらこんな不幸は起きなかったはず。取り回しの良さも含めて次はケーブル型にしよう、ということで次に購入したのが、またしてもソニーの「WI-SP500」でした。しかしイヤフォンはソニーに貢ぎすぎだな自分。

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ソニー SONY ワイヤレスイヤホン WI-SP500 YQ : Bluetooth対応 NFC接続対応 防滴仕様 2018年モデル イエロー

WI-SP500 | ヘッドホン | ソニー
https://www.sony.jp/headphone/products/WI-SP500/

このヘッドフォンは、独立型ワイヤレスにケーブルを足したような形状になっていているのが特徴。一般的なケーブル型は操作ボタンがケーブル部分にあるのですが、Wi-SP500の場合、操作類はすべてイヤフォン部分にあり、ケーブルは本当にケーブルだけ、というデザインなので、装着感や操作感は独立型に近いながらケーブル型の取り回しやすさや安全性も兼ね備えている。そしてイヤフォン部分もカナル型ではなくオープン型なので外の音も聞こえやすい、というのが魅力的でした。

これはこれで1つの理想形なのでは、と購入した当初は思っていたのですが、使っていくうちに形状の本質的な部分ではなく、ヘッドフォン固有の機能や性能面でいろいろと課題がありました。簡易的な収納バンドはあるけれど収納用のケースがないため収納が難しいこと、早送りや早戻しでのボタン押す時間が若干長く、結果として操作が心地良くないといった点に加えて、一番の課題はイヤフォン部分のカバーがすぐに取れてしまうこと。このカバーが無いと耳にはまらず抜けてしまうので必須なのですが、前述の通りケースもないため鞄のポケットとかに放り込んでいるといつの間にか取れていたり、耳に付けた状態からイヤフォン取るときにポロリと落ちていったりと不安で仕方ない。

いざ音楽聴きたいときに取り出すとイヤフォンカバーがなく、家やオフィスを探して見つかることもあれば仕方なくサイズ違いのストックで乗り切る、なんていうことがストレスになり、「カバーが取れる辛さから脱出したい……」ということで次のイヤフォンを検討したときに、「外の音が聞こえる」「ケーブル型である」というSBH82Dにたどり着いた、ということでやっとここからが本題です。

耳の穴を塞がないという構造は初めての体験でしたが、これが想像以上に心地良い。外の音をちゃんと聞きたいという点ではAirPodsやWI-SP500の比ではありません。そりゃそうだよだって耳の穴塞がないんだもの。

そしてこの構造は、外の音が聞こえるという以上に「耳の穴に何も入らない」という開放感も大きな魅力でした。AirPodsを装着したときの自由度の高さも感動だったのですが、SBH82Dの「耳の穴を塞がない」快適さはそれ以上。あくまで個人的な感覚ですが、AirPodsがメガネとするならSBH82Dはコンタクトレンズ、装着時のちょっとした違和感はあるもののそれ以上に「自然体で目が良くなった」と感じるような、そんな感覚がありました。

自分の中で課題だった店員さんとのやりとりも、ケーブル型だからさっと身から外せるし、そもそも音楽を一時停止すればイヤフォンを外す必要もない。そりゃそうだよだって耳の穴塞がないんだもの。AirPodsを初めとしたこれまでのイヤフォンは、ちゃんと会話するにはどうしても耳から外す必要があったのに対し、SBH82Dはそうした手間が必要なし。耳への装着は他のイヤフォンよりちょっとだけ手間なのですが、一時的に外す必要がほとんどないのでその手間もほとんど気にならなくなりました。

実際に街を歩きながら音楽を聴いている時も、外の音がしっかり聞こえるので、後ろから車や自転車が来ていてもすぐに気がつける。一方で外の音がそのまま入ってくるので、大通りで車が多いところなどではほとんど音楽が聞こえません。ただ、身の安全を考えるならそういう場所では外の音をしっかり聞けるほうがいい、と思うタイプなので個人的には問題なし。

それ以上に、外の音と音楽を一緒に聴けるという体験が新しい。知人が「ドラクエウォークの音楽を聴きながら街を歩くと本当にドラクエの世界に入ったみたい」と評していたのですがまさにそれ。今までのイヤフォンは音楽と世界が隔絶されていたのだけれど、音楽も世界も一緒に共存できるという点でSBH82Dは非常にユニークなイヤフォンです。

装着時の負担も少なく、今までのイヤフォンは長時間聞いていると耳が疲れて外してしまうことが多かったのですが、耳の穴を塞いでいないためイヤフォンというより部屋の中でスピーカーから音楽を聴いているくらいの感覚でいられる。耳の下側に取り付ける部分があるので、ちょっと重いメガネをしているような感覚はあるのですがそこはさほど気にならず。耳の穴を塞がないことがこんなにも負担を軽減するんだな、というのも新しい体験でした。

気になる音漏れも、最大音量にするとさすがに漏れますが、爆音が苦手な自分としてはちょうどいい音量にするとほとんど音漏れもない。屋外などではちょっと音量を大きめにしておき、電車などは音量を小さめにすることでちょうどよい音量で楽しめています。

難点を言うならボタン部分がちょっと大きいので取り回しが不便なこと。ちょっとしたことで絡まりやすいので、これWI-SP500みたいにボタン類がイヤフォン側にあるようなモデルが出たらまさに理想形なんだけど、この形状で耳に持ってくるのは難しいのかな……。とはいえ完全ワイヤレス型のXperia Ear Duoはそれができているので、次のモデルでボタン類をイヤフォン側にまとめてくれるモデルが出てくれるといいな。

外の音はちゃんと聞きたい、そしていざというときにさっと外せるケーブル型のワイヤレスという要望を満たすという点で、SBH82Dは自分の理想形にかなり近いイヤフォンだな、というのが今のところの感想です。

なお、ソニーの耳を塞がないイヤフォンは、前述の独立ワイヤレスタイプである「Xperia Ear Duo」とこのSBH82Dのほか、イヤフォンジャックに接続する完全有線タイプの「STH40D」というモデルがあります。Xperia Ear Duoも魅力的なのですが音楽再生時のバッテリーが最大4時間、SHB82Dは最大7.5時間と倍近い。また、STH40Dは有線なのでバッテリーの心配はなくより低価格なのですが、スマートフォンとケーブルでつながると取り回しが不便、という点で、SHB82Dが一番バランスよさそう。

また、耳の穴を塞がないという点ではambieという製品もあり、こちらはソニーとはまた違った装着方法になっています。

耳を塞がず音を楽しむイヤホン | ambie(アンビー)公式サイト
https://ambie.co.jp/soundearcuffs/info002/

価格も1万3,000円程度と、SBH82Dよりちょっと高い程度なのと、ポケモンデザインがあったりするのがちょっとうらやましい。それ以上にこの装着方法はSHB82Dとどのくらい違うのかな、というのも気になっており、自分の理想形はある程度見えたものの、より高みを目指して「耳の穴を塞がないイヤフォン」探求の旅を続けようと思います。


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