最近話題のWeb3、場所によってはWeb 3.0とWeb3が一緒に扱われているのを目のあたりにすることがちょこちょこあるのですが、当時Web2.0を前線で追いかけており、最近はWeb3界隈にも足を踏み入れつつあるものとして軽くコメントを。
Web2.0はいわゆるブログやSNSなどが流行した時代で、当時はソフトウェアのバージョンが上がるようなイメージでWebも新しいバージョンに移行する時期だ、みたいな温度感だった。このWeb 2.0がキーワードとして流行したおかげでさまざまなジャンルでもほげほげ2.0と言い出し、ドコモが「ドコモ2.0」を名乗りだしたら「ドコモに移転ゼロ」と読まれてからかわれたのも懐かしい思い出。
DoCoMo2.0とは (ドコモニイテンゼロとは) [単語記事] – ニコニコ大百科
https://dic.nicovideo.jp/a/docomo2.0
そして当時から2.0の次としてのWeb 3.0みたいなことは盛んにいわれていて、その中でも特にWeb 3.0とはこれだ、的に言われていたのがセマンティックWebです。
セマンティックWebが「Web3.0」の扉を開ける | 日経クロステック(xTECH)
https://xtech.nikkei.com/it/article/COLUMN/20081030/318217/
このセマンティックWebはWebの生みの親とも言われるティム・バーナーズ・リーが提唱しており。
「セマンティックWebは着実に広がる」:ウェブの生みの親、ティム・バーナーズ・リーが来日 – CNET Japan
https://japan.cnet.com/article/20062001/
伊藤穰一さんも自身のWebサイトでこう言っています。
「Web3.0」は、いわゆる「Web2.0」の延長線上にあるセマンティックWebを指すのが一般的です。semanticは「意味的な」という単語で、次のように説明されます。
web3とは ──僕はこう思う – Joi Ito’s Web – JP
https://joi.ito.com/jp/archives/2022/06/08/005796.html
ただ当時Web2.0周りを追いかけていた身からすると、Web 2.0に比べてWeb 3.0=セマンティックWebである、というのはそこまで定着していなかった印象。むしろWeb 2.0の未来はこれだ! みたいな文脈でいろんな人がWeb 3.0というワードを使っていた感があります。
ここでは、Web 2.0型のコミュニティから得られる情報を検索に反映させる手法を「Web 3.0」と分類している
自然文検索などで次世代サービスを目指す、NTTレゾナントが説明会
https://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/07/26/16461.html
神田氏は、Web 1.0からWeb 3.0までの流れについて、「Web 1.0は“見るだけ”のWeb、2.0は“使う”Web、3.0では、より現実の社会と歩み寄っていくのではないか」とした。
「Web 3.0ではよりネットと現実社会が近くなる」、神田敏晶氏
https://internet.watch.impress.co.jp/cda/event/2007/05/10/15654.html
静的なホームページを「Web 1.0」、ブログやSNS、動画共有サイトなどを「Web 2.0」とするなら、「Web 3.0」は、それらすべてをまとめられるサービスであり、「Jimdo」で実現できると説明。
ドイツ発の無料ホームページ作成サービス「Jimdo」日本語版公開
https://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/03/25/22909.html
そんなこんなでWeb 3.0が何かというのはセマンティックWebである、といわれながら他のことを言う人もいる、だけど基本的なイメージとしては「Web 2.0のその先」とされていたのがWeb 3.0で、それが2000年代後半のことでした。
一方最近話題のWeb3は2010年代後半に大きく話題になったムーブメントで、Web 2.0の次、というよりもブロックチェーン技術をベースにして新しい価値を作り出しましょう、という流れ。Web 2.0のその先というより、Web 2.0とは別ですよ、というスタンスに近い。
Web3が本当に新しくてWeb 2.0時代と違うのか、という議論はさておき、少なくともWeb 3.0という概念は10年以上前に違う文脈で使われており、Web 2.0のその先の未来という同じ世界線で使われていた言葉なのに対して、Web 2.0の発展系ではなく別の世界線だということを表現するために、あえて小数点をつけない「3」を使うという用語の使い方自体は個人的にしっくりきています。
「Web 3.0はWeb3のことです」と言い出してしまうと、当時を知っていた人からすると歴史が違ってしまって、極論すると池田勇人とイケダハヤトは同じ人ですといってしまうような乱暴さを感じるので、Web3はWeb 3.0と言うのではなく、Web 2.0とWeb3、という表記の方が理解が進むのではないかと思いました。
なお、だからといって正しいというわけではありませんが、WikipediaでもWeb 3.0とWeb3は別ですよ、っていう表記があるんですよね。
Web3は、1999年にティム・バーナーズ=リーによって作られた「Web 3.0」とも呼ばれているセマンティック・ウェブの概念とは区別される[11][4]。
Web3 – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/Web3
日本人的にも「Web 2.0」は「うぇぶにーてんぜろ」、「Web3」は「うぇぶすりー」と読まれやすいので、言葉としても別物として理解しやすくなるかなーと個人的に思う次第であります。