「ITが面白い時代が終わった」は「ブロードバンドが面白い時代が終わった」とたぶん同レベル


言いたいことはタイトルで言い切った感あるのであとは余談。

それはもう20年も昔、ただただインターネットの通信が高速でつなぎ放題にできるブロードバンドという存在そのものがキラーコンテンツだった時代がありました。通信速度がMbpsを超えるだけで話題になり夢が広がってた時代というのは、1Mbpsでも遅いと言われる今からするとまったく信じられない時代かもしれない。

ブロードバンドのキラーコンテンツと言えば動画と言われ、MORRICHが500kbpsでミュージックビデオ配信してわー高画質だねー、フレッツ網だからこそガンダムSEEDを1Mbpsの高画質で配信できるんだすげーと言ってたのがもう隔世の感あります。

そしていまやブロードバンドが面白いどころかブロードバンドなんて言葉を口にする人すらいない時代ですが、ブロードバンドの本質である「高速」「常時接続」と魅力はむしろそれが当たり前になった今こそ高まっていて、Netflixで4K動画を自宅で楽しんだり、SpotifyのおかげでCDをレンタルしたり買ったりせずに大量の楽曲に触れられるようになったり、自宅からビデオ会議でリモートワークなんてのも当たり前になったのは、言葉でこそ言われなくなったけどブロードバンドの本質そのもの。

ITも似たようなもので、ITがもはや当たり前になりすぎた結果、ITが面白いという時代ではないかもしれないけど、ITが当たり前になったことで面白いことはいっぱい生まれている。キャッシュレスのおかげで財布なくてもご飯や買い物できるようになり、車は人間の代わりにコンピュータが運転してくれる未来はもうまもなく来ていて、スマートロックで鍵をもたなくていいだけでなく、鍵の貸し借りも気軽になったり……、という好例は挙げてくのが大変なくらいたくさんある。

これはどのジャンルでもそうで、早くから見ている人にとっては普及しすぎてしまうと尖ったものを感じず面白くなくなってしまうけれど、それが広がったことで新しく生まれた可能性や未来もいっぱいあるよなあと。インディーズからデビューしたアーティストが世界で売れた後に何ができるか、みたいなことですかね。

もう1つ、早くからそのジャンルに接している人はリテラシが高いので多少の粗は気にならないしそれもまた粋だね、みたいに捉えるところもある気がする。代表格はthe SNS known as Twitterですが、日本語もまともに通らないしクライアントソフトもなかった、けどなんか面白いぞみたいなサービスが、あのままでは今のユーザー数は実現しなかっただろうなと。

どうしてもユーザー数が多くなればそれだけの人を満足させて理解させるには、サービスとして尖ってないような部分、それはヘルプページだったりサポートだったりみたいな裏方の部分の充実はどうしても必要であって、でもそこまでするからこそより多くの人に使ってもらうことで大きなことができるようにもなる。でもそれは尖った部分も含めて好きだったクラスタからするとつまらなく思えてしまうところもあるんだろうなと。

というのは大きくなったものに取り巻く共通の話ではありつつ、ITそのものの面白さにもう1回戻すと、個人的にまだまだITは技術としても楽しいけれど、ただ単にIT技術そのものを面白がれる時代ではなくなっているのかなとも思う。AIをChatGPTだけで見てしまうとただのチャットサービスなんだけど、AIと他の技術や既存のサービスが組み合わさると何が変えられるのか、みたいなところかな。

現状ではAIはエンジニアのプログラミングが捗るという点がわかりやすいメリットなのかもしれないけど、ITの進化によって複雑化しつつあるUIの解決策としてのAIも面白いと思うんですよね。端的に言うと、モバイルオーダーでメニュー頼むのが難しくて、「俺はただ牛丼並盛と味噌汁が欲しいんだけど」という人に対して「あなたの望むメニューはこれですね」と提案するのは、究極のUI/UX作るよりシンプルで効率いいんじゃないかなーと思う。個人的にはフレーズ作るのがめんどくさいスマートホーム関係もAIでもうちょっとうまいこといかないかななんて期待もあったりする。

昔は料理の技術が進んでなくて新しい魚や肉が手に入るだけですげえ! となってたけどもう食材は出尽くして目新しいものはない。でもだからこそ今度は料理の粋を超えて面白いことができるようになるのでは、みたいなことですかね、いいたいこととしては。

といいつつITが世をもっと面白くするのはまだまだ先だなというのも思っていて、例えばモバイルオーダーだったりキャッシュレスも導入はされたけどもっと面白いことできるんじゃないの? っていう期待がいっぱい残っている。割り勘はもっと簡単になっていいし、注文したメニューを覚えて次頼んだり新しい提案してくれてもいいし、アレルギー登録しておいたらどのお店でも安心な料理を注文できたりとか、もっともっとITが便利で面白そうなことを実現してくれる期待は残っていて、そんな未来へはまだまだ道半ばだなあと。

一部のリテラシー高い層が喜んでいたITが一般の人が当たり前に使えるところまで降りてきた。そしてここからはやっと普通の人が使えるようになったITの力をもっと高めて世の中を変えていけるんじゃないかなーというところで、個人的にまだまだITは面白いし楽しいし、ITに関わる仕事をしていきたいなあと思う次第です。


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