人生で初めてスマホの下取りを利用、そのためこれまで愛用していたPixel Foldがもうまもなくお別れということで、久々にごりっとガジェットレビューしてみたいと思います。
というわけでPixelブランドとして2機種目となる折りたたみスマートフォン「Pixel 9 Pro Fold」を発売日に入手。午前中に来るだろうと高をくくってたけど実際に到着したのはお昼過ぎ。同じヤマトなのにその日だけで3回も別々に宅配に来ていて配送の大変さを感じるとともに、念のため午前指定しとけばもうちょっと1日が効率よく回せたなとも思うので次回に活かします。
Pixel 9 Pro Foldの特徴は、「9」であり「Pro」であること。前モデルのPixel Foldは数字がついてない別物扱いかつ発売時期もいつものラインアップとは異なるタイミングだったこともあり、数ヶ月後に発売されたPixel 8シリーズよりもプロセッサがTensor G2と1世代古くなってしまいましたが、今回は9シリーズ扱いになったことで他の9シリーズとほぼ同時期に発売、プロセッサも最新のTensor G4を搭載しています。
また、Proシリーズという扱いなのでほぼPro相当の機能も搭載。ただカメラについてはメインカメラこそ48Mピクセルですがそれ以外が10Mピクセル相当であまりカメラの性能は高くない。なので完全にPro相当とは言えず、カメラ周りでも8Kの動画ブーストなど9 Proにしかない機能もあるので、完全にPro相当ではないことにご注意ください。
ハードウェアとして一番の変更は画面サイズで、横幅が広く開いたときには文庫本のようなデザインだったPixel Foldに対し、Pixel 9 Pro Foldは折りたたんだ状態はPixel 9とほぼ同じ見た目に。本体も国内の折りたたみでは最薄を誇る薄さのため、折りたたんだ状態はほぼほぼ普通のスマホに見える外観です。
また、細かいながらも人によっては嬉しいポイントがDP Alt Mode、USB-C経由で映像を出力できる機能です。Pixel 8シリーズでついに解禁されたこの機能は当然ながらPixel 9シリーズであるPixel 9 Pro Foldでもサポート。XREALやVitureなどARグラスを使う人にも嬉しい機能です。これを期にXREALかVitureの新モデル買おうかな。
と、ここまではカタログスペック見れば書けるような話ばかりなので、ここ数年5機種ほどずっと折りたたみスマホを使い続けている折りたたみスマホヘビーユーザーから見た実際の感想を。
操作しやすくなった画面サイズ。マンガアプリの対応はもう一歩
まず画面のサイズ変更はいい面も悪い面もありました。いい面はシンプルに操作しやすくなったこと。Pixel Foldは横に広いため、持った手と反対側の端に指が届かず、画面端のアイコンやボタンを押すために両手を使う必要があったのですが、Pixel 9 Pro Foldならほぼほぼ片手だけで画面を操作できる。縦長になったことで画面上部はちょっとタッチしにくいけど、多少持ち方を変えれば片手で操作できないことはない。
一方、横幅が短くなったため、Pixel Foldでは横5アプリ、縦5アプリ配置できたのが、Pixel 9 Pro Foldでは横4アプリ、縦5アプリと1列少なくなってしまいました。これまでPixel Foldに最適化してアプリを配置してきたのが全部やり直しで、画面も狭苦しい感じになってしまった。ホーム画面アプリ変えればいいという話もあるんですが、やっぱりサードパーティー製より本家の方が安定して動くので、できれば純正を使いたいんですよね。
画面サイズの変更で一番心配していた電子書籍表示はアプリによって異なっていて、ブックライブは開いたら見開き、閉じたら1画面表示と期待通りの動作。
Kindleは最初問題ないかなと思っていたけど、実は右端がなぜか切れるということをXで教えていただきました。Amazonはこういう細かいの直さなそうだけどどうなるんだろうな。まあ最近マンガはほぼブックライブでしか買ってないので個人的には問題なし。
ちょっと残念挙動だったのがジャンプ+で、画面を開いたときも閉じたときの動作が共通になっており、見開きメインにすると閉じてるときも見開き、閉じたときに読みやすい1ページ表示にすると画面を開いても中央に1ページ表示されるだけになる。このあたりは開発力の高いはてなさんなのできっとすぐに対応してくれると信じてしばらくは見開きで使い続けます。
そのほか自分が使っているマンガアプリではコミックDAYSとマンガワンも問題なし。現状アプリのないビッコミもブラウザ問題なく見開きOKでした。
細かいところで言うとコミックDAYSはChromeだと見開きできないのですが、タイトルをアプリで検索して開くか、Sleipnirに切り換えても見開き表示できます。また、ビッコミもChromeだとフルスクリーン表示できないんですが、Sleipnirはフルスクリーンでマンガに集中できるので、ブラウザでマンガ読む人にはSleipnirお勧めですよ。
画面が縦長になったことでコミックの読みやすさも変わるかな……、と思ってたけどそれも杞憂。上下の黒い帯部分こそ大きくなるものの、コミック表示領域はPixel Foldとほとんど変わりませんでした。むしろ後述しますが本体が軽くなったので読みやすさの体験としては向上しています。
本体は薄型よりも軽量化が魅力
本体は縦長になっただけでなく薄型軽量化も図られており、Pixel Foldの厚みは開いた状態で5.8mm、折りたたんだ状態で12.1mmだったのに対し、Pixel 9 Pro Foldは開いた状態で5.1mm、折りたたんだ状態で10.5mmになりました。
ただ、せっかくの薄型化もケース付けちゃうとさほど差が分からず……。Pixel Foldは薄型のアラミド使っているのでその違いが余計分かりにくいかもしれません。実際には薄型化より軽量化の方が効いていて、重量が283gから257gに軽量化されたことでだいぶ取り回しやすくなりました。
Foldシリーズの要とも言える見開き状態は、Pixel Foldが完全に真横には開けず少し曲がっていたのに対し、Pixel 9 Pro Foldは180度しっかり開いてディスプレイが真横になります。このあたりはあまり気にしたこと無かったのですが、いざピタッと180度開くディスプレイを使ってみるとなかなか気持ちいい。
2画面表示の機能は変わらずながらスペックアップで快適に
2画面表示は画面を上に軽くスワイプ、最近まで開いていてアプリを表示したい側に移動することで2画面にできるほか、アプリ一覧から好きなアプリを呼び出すこともできます。Pixel Foldが出たばかりの頃はアプリ一覧に検索機能がなく、任意のアプリを一覧から探すのが手間だったのですが、最近はアプリ一覧に検索ウィンドウがついたので該当のアプリも探しやすくなりました。
プロセッサ性能とメモリ容量が向上したためか、2画面の切り換え操作もサクサクになって使い心地が良くなりました。折りたたみというと大画面ばかりが注目されがちですが、実際にはMessengerで相手とやりとりしたスケジュールをそのままカレンダーに入力したり、Slackで返事を待ちながら片方でマンガ読んだり、待ち合わせ場所までの地図アプリ見ながらLINEで「いま向かってる!」と連絡したりとすごく便利なんですよね。
マルチタスクで切り換えれば同じことができるのですが、それを1つの画面で同時にできることの快適さこそが2画面の魅力。カレンダーに入れる予定をマルチタスクでちまちま切り換えるといったんは自分で記憶しなければならないのですが、2画面だったら記憶不要なので精度も上がります。2つのアプリをセットで登録することもできるので、Slackとカレンダーアプリ、みたいな組み合わせを作っておくのも便利。
欲を言えばLGの2画面やSurface Duo 2を使ってきた身からすると最初から2画面分割モードとかあると最高なのですが、そのあたりは今後のAndroidバージョンアップに期待したいところです。
見開きと折りたたみの挙動も新たな機能が追加。Pixel Foldは折りたたみから本体をたたんだときに画面が一度ロックされ、そのまま使い続けるには再度ロック解除する必要があったのですが、Pixel 9 Pro Foldはロック状態以外に「折りたたむと外側のディスプレイを表示」「折りたたんですぐに画面を上にスワイプすると画面をロックせずにアプリを継続」が選べるようになりました。
ワイヤレス充電は場所変更に注意。本体の発熱は大幅改善
想定外だったのがワイヤレス充電の仕様で、発売前に想定されていた仕様が変更になったらしく、発売前から出ていたなんちゃってMagsafeケースの位置がずれていて全滅状態。人気ケースのPIKATAは磁石の位置が違ったというお詫びの案内を出しています。
自分もなんちゃってMagsafe対応ケース買っていたのですが見事に場所がずれていて使い物にならず、仕方ないので磁石無しのケースを購入、Magsafe充電器で充電できるスポットを見つけてケースにマジックで位置を書き、そこに合わせて磁石を貼るというアナログなやり方で対応しました。以下の写真でどれくらいずれているかがおわかりいただけるかと思います。
一般的なスマートフォンよりも磁石が下にあることで、今まで使っていたケースは本体よりはみ出すようになってしまいました。Pixel 9 Pro Foldのケース関連周辺機器はこのあたりの仕様が落ち着くまで待った方が良さそう。
さらにこの充電の位置が変わったことで、Google公式の充電スタンド「Google Pixel Stand (第2世代)」もPixel 9 Pro Foldの対象外に。実際に置いてみると充電できず、少し持ち上げてあげると充電が一瞬始まるものの正しく認識されず充電されません。
なお、Google Pixel Stand (第2世代)自体が在庫切れになっており、もしかしたら第3世代のスタンドが出てきて対応してくれるのかも。Pixel 9 Pro Foldのワイヤレス充電は7.5Wと激遅なので、あんまりワイヤレス充電を使うメリットはないのですが、Pixel Standに置くとフォトビューワーになったりスマートホーム操作できたりは便利だったので残念。
Google Pixel Stand (第2世代)の販売終了?第3世代はいつ登場するか
https://mobilelaby.com/blog-entry-google-pixel-stand-2nd-discontinued-3rd-coming.html
電源周りでは発熱も改善され、Pixel Foldは重い動作をすると本体ががっつり熱くなっていたのが、Pixel 9 Pro Foldではその熱さをほぼ感じなくなりました。バッテリーも心なしか今までより持ちがいい気がしますがこれは経年劣化やプラシーボの可能性もあるので判断は保留。
カメラ性能は前モデルと同等。メインカメラ重視なら不満なし
カメラ性能はメインカメラが48メガピクセル、超広角と望遠がそれぞれ10メガピクセルで、スペックはPixel Foldからほぼ据え置き。以下は左がPixel 9 Pro Fold、右がPixel Foldですが、若干Pixel 9 Pro Foldのほうが明るく撮れる感あるもののほぼ誤差レベルです。
カメラだけで考えると、Pixel 9 Pro Fold以外の9シリーズはマルチカメラすべてが約50メガピクセルなので、カメラスペックを優先するなら折りたたみよりストレートモデルがお勧め。ただ、メインカメラは48メガピクセルでほとんど変わらないため、超広角や5倍以上の望遠でも綺麗な写真を撮れることに拘るかどうか次第かなと思います。
これまで1年Pixel Foldを使ってきて、2倍くらいまでは使うけど5倍以上はあんまり使うこともなかったので、望遠や超広角の画質が低いのは残念ではありつつ実用上ではあんまり困っていません。それよりは見開きと2アプリ同時利用の利便性のほうが勝るのでまあいいかなと割り切ってます。
折りたたんだら普通のスマホ、開いたら大画面と2画面という切り換えが快適
本体が縦長になって操作性が上がり、性能向上で動作もキビキビ、発熱も抑えられたことで、スマートフォンとしてはかなり使いやすくなりました。課題だった電子書籍のビューワーもジャンプ+以外はなんとか見開きで対応できているので大きな不満はなし。
他のスマホと比較したときに望遠と超広角のカメラ性能は弱いですが、それを補って余りある読書体験や2画面による快適さこそが折りたたみスマホの魅力。折りたたんだ状態では普通のスマホとして、開いたときはタブレットまたは2画面スマホとして活用できるというサイズ感のよさこそがPixel 9 Pro Foldの魅力です。
一方でPixel Foldと比べると、細やかに使いやすくはなっているもののから大幅な変化があったかというとそうでもない。そもそもいつもなら10月頃に発売される機種が2ヶ月前倒しで発売され、その結果OSも最新バージョンの15ではなく14で出荷されている状況なので、Pixel 9 Pro Foldが真価を発揮するのはもうちょっと先なのかもしれません。