M-1グランプリ2009いまさら感想

※この記事は5年以上前に書かれたため、情報が古い可能性があります

去年の書き残しをきっちり回収していきますよ! というわけでもう語り尽くされている気がしないでもないM-1について、自分なりの感想を残しておきます。

ちなみに前回の感想はこちら。

M-1 2008所感 – カイ士伝
https://bloggingfrom.tv/wp/2008/12/22/924

M-1 2008主観入りまくりのまとめ – カイ士伝
https://bloggingfrom.tv/wp/2008/12/24/974

大前提としてM-1というのは松ちゃんが最後の感想で「いいソフトやね」とネタ的に漏らした通り、お笑い芸人を使ったコンテンツとして確立されている、というのが自分の認識。だからこそ他ではほとんど活躍しない笑い飯のみが9年8年連続決勝進出なんていう特別扱いをされるという目で見ている時点でかなり偏っていることご了承ください。

ただ、正直言って決勝進出まではけっこう演出込みで選ばれていると思っちゃってるんですが、決勝での投票の仕方は芸人が一般視聴者の前で点を公開するだけに(ごく一部の人をのぞけば)とても適正だとも思ってます。その点の付け方が非常に適正だからこそ、審査員の点数の付け方だけでM-1が盛り上がれるわけで、その点でR-1は非常に残念。

そんな偏った目で先に総評してしまうと、決勝進出の顔ぶれ見た瞬間に「ああ今年はパンクブーブーかな」と思ってた。それは実力はもちろんのこと、他のメンバーが「もうM-1で売れなくても」とか「M-1にはちょっと合わないかな」と言う風に消去法で消せてしまったから。さっきと食い違っちゃうように見えますが、点数の付け方は適正だと思う一方、M-1では全体的に「すでに売れている人」「M-1らしくない人」には点が付きにくい傾向もまたあると思っています。

そういう意味で敗者復活はNON STYLEが映った瞬間「優勝したのに活躍できなかったとネタにされたNON STYLEが実力を発揮して敗者復活で勝ち上がる」というシナリオが見えてしまったのですごくわかりやすかった。重ね重ね決勝も敗者復活も、進出者に関してはある程度演出が入っていると思ってますこときちんと表明しておきます。

というわけでここからファーストラウンド1組ずつ自分なりの偏った目で感想残しておきます。くれぐれも優劣というより自分にとって面白かったか面白くなかったか、なだけで、お笑いという人の感性によって千差万別なものに対して「正しい」「正しくない」なんて言う気はないのであしからず。

ファーストラウンド

ナイツ
審査員が自ら宣言している通り、1組目は基準点になるのでいい点をつけにくいという要素がある中、それでも1組目なのにかなりのいい点を取って全体で4位というのはさすが。ただ前回のM-1に比べると今回のネタは爆発力なかったかなあというのと、パターンがある程度決まりきってしまったのが逆にマンネリっぽくなってるかも。ちなみにナイツは塙のボケをきっちり回収してさらに広げる土屋のツッコミがすばらしいと思ってます。

南海キャンディーズ
正直、M-1でもっとも面白かった1人という意味では個人的に山ちゃん。もう山ちゃんのすばらしすぎるツッコミにわさわさ笑ってしまった。ただ昔はインパクトあったしずちゃんも世間的に見慣れてしまった今では、単に山ちゃんのシナリオの上で動く人でしかなくて、2人のおもしろさをほとんど山ちゃんがひっぱるバランスの悪さを感じてしまった。重ね重ね、今回のNo.1をユニットでなく人で決めていいなら自分は山ちゃんに一票です。

東京ダイナマイト
すごい好きなお笑いなんだけど、なんだろう、昔に比べて荒々しさがとれて落ち着いた感があるというか。昔はハチミツ二郎のツッコミに見えてボケる、みたいな「まさにハチミツ」というような自由闊達スタイルが好きだったんだけど、最近は松田のキャラにちょっと頼っちゃってる気がする。時間が少ないM-1の中で、最後の「感謝したい人」ももったいなかったかなあ。劇場とかで見るにはいいだろうけど、ああいう場には似合わないネタかと思った。

ハリセンボン
ひどい言い方をすると「女性芸人枠」かなあ。緊張しているのがテレビを通してもわかってしまうほどだったし、ネタとしてもあまり練り切れていないような……。個人的な感想からすると、女性芸人はすぐ「ブス」「デブ」ネタという芸とは関係ない部分に走りがちで、ハリセンボンはそういう要素もあるんだけどきちんとしたお笑いもやっているので、もっとネタの部分で勝負して欲しい。あ、今一番好きな女性芸人コンビは少年少女です。阿部ちゃんかわいいよ阿部ちゃん。

笑い飯
正直いってここ数年の笑い飯は全然おもしろいと思えなかったし、9年8年連続という意味だけで通されてるのではという思いも強かったけど、今回の笑い飯はすばらしかった。今までは「ダブルボケ」といいつつ単にボケとツッコミを交代しているだけというスタイルに頼り切りだった感があったのですが、今回の鳥人はネタがすばらしいし、それを2人の視点でふくらましたり、相手のネタを拾ってさらに広げるといった2人ボケのスタイルも生きていた。100点はやり過ぎというか9年間8年間お疲れ的要素も入ってるんだろうけれど、高評価は納得です。

ハライチ
「控えめなフック」はツボりまくったwww。ただネタの形式というか、同じスタイルを淡々と重ねていくだけ、というスタイルってM-1で受けにくい気がする。あのスタイルだと南海キャンディーズ同様、片方なんもしてないようにも見えるしね……。あといくつか面白いのもあったけど、全体を通すと「控えめなフック」ほどのネタの数が少なかった気がする。初出場なので今後に期待ということで。M-1に出たことで今後いろいろ活躍できそうだし、十分意味があったのでは。

モンスターエンジン
んー、それぞれのピンネタやあらびき団のネタは好きなんだけどな……。今回のは面白いボケとツッコミはあったものいの、スタイルが災いして単に口汚くののしってるだけにしか見えなくてもったいなかった。あとあの2人こそダブルツッコミダブルボケでいい気がするなあ。なんか片方だけツッコミ固定はもったいなく見える。個人的には大林の「笑福亭仁鶴師匠のさくらんぼ」が大好きです。

パンクブーブー
派手さはないかもしれないしすごく堅実なお笑いスタイルかもしれないけど、きちんと2人の実力を出し切った感じ。ツッコミだって誰でもいいわけではなくて、きちんとボケを拾ってつっこんでる2人の相性もすごくいい。ただ個人的に2回を通じて「バカ!バカ!」が出なかったのが残念。M-1放映前から「もう今年はバカ!バカ!だけ覚えておけばいいから」って触れ回ってたのがムダになったwww

NON STYLE
なんだかんだいって漫才がうまい。ただ「うまい」と思うけど自分の琴線には触れないんだけど評価が高いのは納得。自分の好みじゃないけど美人ってのはわかるよ、っていうグラビアアイドルの感覚に似てるかな。ただ、去年やってた石田のセルフツッコミがなくなってすっきりした気がする。あれいちいちネタの途中でひっかかる感があってもやもやしてたんだよね。

最終決戦

NON STYLE
ファーストラウンドから最終決戦まで2回連続になってしまったのは運が悪かったけど、ネタはやっぱりしっかりしていた。重ね重ね自分の琴線には触れないんですけどね……、なんでなんだろうな……。まあ1組にしか票を入れられない最終決戦では、2年連続になってしまうNON STYLEはそもそも厳しいよねとも思う。2年きっちり最終決戦まで残れるという意味で今後売れる素材になるだろうし、「M-1出ても売れない」という冠を今年こそ脱げるといいですね。

パンクブーブー
M-1優勝は2回ともクオリティの高いお笑いをやらないといけないけれど、それをきっちりやってた。自分の好きなコンビの指標として「ツッコミがちゃんとボケを活かしている」ところにあって、そういう意味で「楽しそうなの2つくら混じってる!」「よし弟子にしてやる!……とはならない!」とかいう膨らまし方がすばらしいなと思った。

笑い飯
ファーストラウンドとの格差がね……。チンポジを「自分たちの笑いにこだわった」と評する向きもあるけれど、やっぱりお笑いってのは相手ありきなんで、自分たちのやりたいことやって笑いにつながればいいけど、見ている人を困惑させたり不快にさせたりってのは評価低くて仕方がないと思う。よしんば面白かったとしてもそれ男にしか通じないネタだしな・・・・・・。でもああいうネタをわざわざやってきたところに、何か2人の考えもあるのかな、とも同時に思います。

結果として予想してた通りのパンクブーブー優勝だったし、その過程もすごく当然の評価だったと個人的なお笑いの感覚からもおもった。去年は優勝が当然と思いつつ自分ではあまり笑えないNON STYLEだったけど、今回は自分も好きなパンクブーブーだったのは嬉しいところ。そして自分の予想以上に南海キャンディーズの山ちゃんに笑わされて、やっぱあの人すごいわーと再確認したM-1でした。

再確認といえばやっぱり今田+上戸コンビはすばらしいですね。山ちゃんに対してきっちり「気持ち悪い」リアクションしてたり、「今年もCMの後です!」って引っ張る時の間の取り方とかほんとに上戸彩はうまいなーと思いました。


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