半年前に引き続き、今回も出そろったキャリアの発表に感想など述べてみます。お仕事で見る立場も離れてしまったのであくまで独断と偏見込みということでよろしく!
携帯電話3キャリアの2010年夏モデル感想 – カイ士伝
https://bloggingfrom.tv/wp/2010/05/19/3748
半年前もだいぶキャリアの方向性が見え始めて面白かったのだけれど、今回はそれがより鮮明だったなーというのが全体的な感想。これまでいやというほどドコモの発表会にぶつけてきたソフトバンクがついに別の日を設定したあたりからもさりげなく感じ取れるわけですがw
今回もトップバッターで発表を行なったauは、事前の情報や前回のケースを考えると「イチオシのAndroidもおんなじモデルがドコモから出ちゃうんだろうな……」と思っていたんですが、まあそれは実際そうなっちゃったのはいいとしてw、予想外に面白くチャレンジングだったなーと思った。方向性だけ見ると一番面白かったのがauかも。
スマートフォンについては明らかに投入遅れだったことをついに認めてAndroidに本腰。さすがにビックカメラで「Androidを待て!」というキャッチコピーの元に売られているWindows PhoneのIS02を見ると涙を禁じ得ないのではありますが、過去の端末を犠牲にしてでもAndroid注力し、Android端末のラインアップ充実度では他キャリアと同等か上くらいまで集めた感あります。
最近は「フィーチャーフォン」なんて言葉が使われはじめた従来の携帯電話もなかなか面白い。ハイスペック全部入りG-SHOCK端末の「G’zOne TYPE-X」は他キャリアと比べてもトップクラスのスペック。これちょっとうらやましいわー。
13メガカメラにWi-Fi、“歴代最高スペック”の「G’zOne TYPE-X」 – ケータイ Watch
http://k-tai.impress.co.jp/docs/news/20101018_400364.html
機能として面白いのはこれ。撮った写真をPicasaにアップロードできるなんて機能がついてます。
SH010内蔵の写真閲覧アプリ「フォトビューアー」がPicasaウェブアルバムの機能を統合していて、フォトビューアー内の操作だけで任意の写真をアップロードしたり、本体内保存の写真と同じような操作でPicasa上の写真を閲覧したり、さらにPicasa上の写真についてはワンタッチ操作で共有用のメール作成も行えるようになっている。
14.1メガカメラ搭載の防水ケータイ、「AQUOS SHOT SH010」 – ケータイ Watch
http://k-tai.impress.co.jp/docs/news/20101018_400379.html
スマートフォンも大好きだけど通常の携帯電話も好きな自分としては、携帯電話に足りないのはタッチパネルだの高画質カメラだのといったスペックではなくて、こういう使い勝手の部分だと思うし、サービスとハードとソフトが連携していく未来ってのは面白い。過去の遺産があるだけに急激な変化は難しいかもしれないけれど、こういうところをきちんとやっていけばスマートフォンだのガラケーだのって論争は終焉してくんじゃないかなと期待してます。
アプローチとしていいなと思うのはこれも。
16.2メガ裏面照射CMOSカメラ搭載の「Cyber-shotケータイ S006」 – ケータイ Watch
http://k-tai.impress.co.jp/docs/news/20101018_400412.html
16.2メガというスペック自体は本気でどうでもいいのですが、おもしろいのはここね。
なお、すべての操作がタッチに対応しているわけではなく、メール作成などにはテンキーを併用する。
タッチパネルと携帯のカメラは相性がいいと常々主張している私ですが、タッチパネル搭載だからといってすべてをタッチできなくていいと思ってるし、無理してすべての操作をタッチで実現させるよりこの割り切りはいさぎいい。iPhoneやスマートフォン意識しすぎて全部タッチ対応しようというのはもうやめていいんじゃない? と思うこのごろです。
他にもモバイルルータだしてみたり、携帯電話のアタッチメントでモバイルルータ実現したり、デザイン重視のiidaラインアップしてきたりとかなり充実。インフラも新しい回線ではなく従来回線を束ねて高速化というあたりがかなり現実的な線で興味深い。
そうはいいつつも気になるはKCP 3.0の普及があまり進んでいないこと。まあKCP 3.0を実現するにはハイスペックCPUが必要という点で仕方のない部分ではあると思いますが、auは「もっさり」も1つの課題だっただけに、KCP 3.0非搭載の今季端末がどんなものかは気になるところです。
あとはWIN HIGH SPEEDの実力。3倍界王拳とはいえども、もともとauの定額データ通信はブロードバンドとは言いがたいスピードだったので、3倍値でどれほどの実力になるのか。このあたりもサービスリリース後のレビューを期待したいところです。
いきなりauで長くなってしまいましたが二番手のソフトバンクも、iPhone一強だったスマートフォンにAndroidを多数ラインアップ。まあいろいろな契約だったり看板でもあるiPhoneをいきなり切り捨てられないだろうけれど、どんだけ売ってもコンテンツでは儲からないiPhoneより、マーケットで課金できるAndroidのほうがそりゃいいよね。
一方で通常の携帯はあまり特徴のないというか、それなりのハイスペックモデルやカラバリ充実モデルはあるものの、「これは!」という端末があまり感じられない。まあ実際iPhoneとホワイトプランが人気のソフトバンクだと、auやドコモのように「普通の携帯電話ユーザー」っていうところがあまりターゲットにしにくいのかもしれない。
そしてソフトバンクも高速サービスをリリース。とはいえ、料金も何も不明だし、現状のインフラ見てるとソフトバンクにそこは期待できないよなあ、ってのが正直なところ。
DC-HSDPA方式/HSPA+採用、下り最大42Mbpsの「ULTRA SPEED」 – ケータイ Watch
http://k-tai.impress.co.jp/docs/news/20101104_404519.html
今もiPhone向けに定額パケットを低額で提供しているけれど、肝心のインフラは電波届かないつながらないという悲鳴が回りのiPhoneユーザーから大量に聴こえてきます。勢い良く例えてしまうと食べ飲み放題ちょう低価格かつ六本木あたりのオシャレなパーティーチケット購入したはいいものの、会場の食べ物と飲み物は参加者人数にとても行き渡りませんでしたよという悲しい状況と通じるところもあって、こればっかしは実際に買ってみるまでわからないところがまた困りどころ。光の道で勝負挑むのもいいですけど、何年も前から「インフラ改善!」と言い続けたままあまり結果が見えてないところがソフトバンク最大の課題でしょうか。
そして満を持して最後に登場したドコモは、正直期待しすぎていたところもあって肩すかしだった部分もあるのですが、実際問題一番確実に取るところ取りにきたなーという勝ち組な印象です。
スマートフォンはGalaxy Sが好調で、それ以外のAndroidも防水やQWERTYキーボード、3Dなど特徴的な端末を投入して他を牽制しつつ、実際にはまだまだ通常の携帯電話できっちり売れる「デザイン系」を大量投入。ハイスペックなPRIMEよりもデザインやコンセプトで売れているSTYLEがメインシリーズとして完全に位置付けられたあたりも、きちんと音声端末が売れているドコモならではな感ありです。
ただ、今回のシリーズ見るとSTYLEシリーズの中にもハイスペックとロースペックが現れ始めていて、この4ブランド展開が早くも破綻しかけている印象もあり。逆にPROシリーズは本当にとんがった端末がラインアップされるようになってわかりやすくなったなと思いますが、端末数もかなりしぼられてきたSMARTとSTYLEあたりをいったん統合しつつハイスペックロースペックで分けた方がいい気がしております。
端末に目を向けるとスマートフォンはやはり防水のREGZA Phoneが気になりつつ、通常携帯では意外にPROシリーズが面白い。中でもスマートフォンライクだけど中身がiモードというSH-05C、SH-06Cに興味津々です。
光学ズームも搭載するキーレス・フルタッチのiモード端末「SH-05C」 – ケータイ Watch
http://k-tai.impress.co.jp/docs/news/20101108_404827.html
プロジェクター搭載、フルタッチ操作のiモード端末「SH-06C」 – ケータイ Watch
http://k-tai.impress.co.jp/docs/news/20101108_404830.html
N-08Bを仕事で触らせてもらった時も痛感したけれど、携帯電話だからスマートフォンに劣っているなんてことは決してない。タッチパネルの操作感と、そもそもドコモがなんとかした方がいいと思うブラウザスペックが気になるところですが、携帯電話の仕組みだって端末のコンセプト次第でもっともっと可能性あると思うので、こういうアプローチは面白いです。
ただ、本気で欲しい端末があるかというと今回は「興味はあるけど……」どまりかなあ。、この数年ずっと使わせていただいている富士通携帯も、ハイスペックはストレートばかりで、スライドは自分の興味ないキー面積が低いタイプかつスペックも低めという展開でした。
今回はタッチパネルの高速化が売りらしいのだけれど、個人的に求めるのはそこじゃないんだなあ。高速ということだけで見ても、タッチパネルの反応だけが高速なんじゃなくて、速度の快適さというのは「ポケットや鞄から取り出して自分のやりたいことができる」までの時間なんですよね。
そういう点では自分の中でスライド最強だし、いくらタッチが快適でも二軸回転な時点でタッチ操作に進むまでで時間要してしまう。新端末発表直前までF-04Bをプロモーションしてたからセパレートはないと思ってたけど、今までの富士通シリーズらしいスライドがなかったのは正直ショックでした……。
そんな中で機能として興味を引かれるのはPRIMEのSH-01C。これまたカメラの画素数ではなく注目すべきはDLNA対応です。
エプソン製のプリンターで静止画をプリントアウトする機能にも対応。DLNAはサーバーとクライアントの両方をサポートし、SH-01Cで撮影した静止画や音楽などをテレビやパソコンで見ることもできる。無線LANのセットアップはWPSやAOSSに対応する。
14メガCCD搭載の防水フルスペックAQUOS SHOT「SH-01C」 – ケータイ Watch
http://k-tai.impress.co.jp/docs/news/20101108_404824.html
DLNA自体はまだまだニッチの域の出ないのが正直なところだし、これが現状正しいのかは難しいところだけど、未来としてはとても期待できる。今回は画素数アップで動画スペックも全体的に向上した結果、HDMI端子搭載なんて端末もちらちら出てきていますが、果たして答えはそこなんだろうかというのが正直なところ。だって携帯電話で写真見せるためにわざわざHDMI持ち歩く? 家で見るんだったらHDD貯めとくんじゃない?
そういう点でモバイルで持ちあるく端末をテレビに結びつけるためにはアプローチとして「ワイヤレス」のほうが正しいと思うし、DLNAもサーバーとクライアント両対応ってあたりが「見る」「見せる」をともに実現できてるので気になる。まあDLNA対応といっても実際には対応ファイル次第で大きく変わって来るので、このあたりは端末実際に触ってみたいところです。
端末の話以外ではついに出てきたLTE。ただ、料金が5GBでいったん上限なのは心理的障壁があるなあ。実際に5GB届かないのはわかるんだけれど、5GB超えたら料金上がる、と言われるとやはり腰が引けてしまうので「基本は定額だけどあまりに使う人は帯域制限しますよ!」ってほうが嬉しいなあ。
そして勝手に期待しまくってしまったもののあまり詳細が語られなかったiアプリ開放。これは何度も言ってるんだけれど、日本のケータイがスマートフォンに負けているのはブラウザの性能とアプリの自由度だと思っていて、実際にはアプリ開発が開放されてiPhoneアプリのようになれば、スペックいいだけにもっと面白いことできると期待しているので、このあたりはもうちょっと知りたかった。
といいつつドコモの発表全体から感じるのは「まだ準備段階」というところ。ドコモが本気を出すためのマーケット施策やコンテンツ展開はちょっとずつ進み始めているので、本命は来年の夏モデルあたりなんじゃないかなあと勝手に予想してみたりしています。
3キャリアに加えてイー・モバイルも、ついにAndroidを投入。ただ、未だにテザリングへの明言を避けてるんですが、明らかにデータ通信サービスとして使われているイー・モバイルでテザリング無しだったら勝負にならないと思うのでやらざるを得ないだろうなあ。
イー・モバイル、Android搭載スマートフォン「HTC Aria」投入 – ケータイ Watch
http://k-tai.impress.co.jp/docs/news/20101028_403137.html
端末の選び方はさすがイー・モバイルというか、あくまでデータ通信メインで使う人に取って小型で持ち運びしやすいことを主眼に置いてるのはなかなかにうまい。でもだからこそテザリングは最低条件だと思うので、せっかくモバイルブロードバンドを切り開いてきたイー・モバイルには「むしろテザリングアプリつけちゃう!」くらいの意気込みを見せてほしい。
とはいえ実際にはイー・モバイルがつながらなくなってきたという評判もあり、帯域制限も厳しくなってきたイー・モバイルとしてはそう帯域をジャブジャブ使えないよねという現実もあるし、だからこそテザリングに明言できないのでしょうが、3キャリアが次々高速サービスを展開しはじめるここがふんばりどころだと思うし、ふんばりきれず負けてしまったウィルコムのようにはならないようがんばってほしいなと思います。
もう1つの定額モバイルブロードバンドであるWiMAXは、現時点ですでにそうとう高速なのでこれ以上の高速はあまり期待してないかなあ。ここ最近はegg契約して実際に使ってるんですが、定点で使うにはいいもののモバイルでハンドオーバーしていくにはまだまだ穴が多くて、スピードよりも穴埋めをがんばってほしいというのが1ユーザーの気持ちです。さすがに原宿・渋谷間でつながらないのは無しだと思うぜ……。
まあテキストだらけで長くなりましたが、今週末に行なわれるドコモの新製品体験会は私も参戦予定ですので、端末はそこでじっくり見てきたいと思いますということで筆を置きたいと思います。