富士通の携帯電話をレビューする「ケータイ会議」参加者向けにイベントとして開催され、ひと足早く端末に触ることができる「ケータイ会議内覧会」、今回は事前に注目しまくっている端末もあるということでいそいそと出かけてまいりました。だらだらと書いていたらまたかなりの長編になってしまいましたので、以降は「続きを読む」にてご覧くださいませ。
今期の富士通端末は、従来の携帯電話であるフィーチャーフォンはこれまで通りハイスペックなPRIMEシリーズを含めた3機種をラインアップしつつ、スマートフォンは富士通として初ということもありまずはだれもが使いやすい見っどレンジモデルを投入。ちなみにミッドレンジというのは搭載されている機能というよりも「価格的にお手頃」という意味だそうです。
そして端末発表時から一番注目していた防水スライドヨコモーションの「F-09C」。というか内覧会中ほとんどF-09Cばっかり触ってたけどね……。
本体カラーはオーソドックスなホワイトとブラックに加えてレッドの3色をラインアップ。やや黒ずんだ赤で好み分かれる色かなー。個人的にはちょっとこの色は……、って思ってしまったんだけど、隣の席の女性は「いいね!」連発してたので女性受けのほうがいいのかもしれません。母数2の小さな調査ですが。
電源を入れてみてびっくりしたのが、いつもの防水用注意メッセージの後にPRIME seriesのロゴが表示されること。え? いまさら? 遅くない??? ていうか来年くらいにはもうPRIMEとかのジャンル分けも微妙になってるんでない?
タッチ&トライの端末は一番無難な色であるホワイトを選択。F-06Bのブルーが好きだっただけに今回のカラバリはちと残念かな。手に取った感はやや大きめですが、使っていたら15分もしないうちに慣れました。
携帯電話の形状では最高傑作ではないかと個人的に大変評価しているスライドヨコモーションは、いったんスライドしてから液晶を横に90度回転し、横長の画面でも通常通りのキー操作ができます。これがカメラ操作で大変便利なんだわー。
ワンセグのアンテナは今までよりもだいぶ眺め。ストラップホールは側面ではなく本体上部になりました。
背面にはカメラと、これまた大変に愛用しております指紋認証センサー。また、電池蓋は前シーズンのモデルから採用しているという、電池蓋に防水用の蓋がくっついているタイプ。F-06Bは電池蓋を開けるとさらに防水用の蓋があってやや面倒だったのですが、この仕様はスッキリしていていいですね。
側面の仕様はF-06Bとほぼ変わらず、右側面にキーロックとマルチタスク、カメラキーを搭載。電池蓋の中にはmicroHDMI端子を搭載しているところがF-06Bとの違いでしょうか。
大きさ比較として絶賛愛用中のF-06Bと比較。写真ではあまり違いを感じないかもしれませんが、サイズ的にはF-09Cがやや大きく、F-06B慣れした手で持つと若干の違和感を覚えます。
キー部分はF-06Bとほぼ同じ。スライド端末だとキー部分の面積が小さいものも多々あるのですが、富士通のスライド端末はこの面積が大きく取ってあるのがいいところ。文字入力もキー操作も快適です。
スペック的にはF-06Bと比べてもと大きなパワーアップを遂げているF-09Cですが、注目ポイントはタッチ操作。F-01Cでも「激速タッチパネル」とタッチパネルの快適さをうたっていましたが、タッチ操作のために折りたたみを開いてから液晶を回転してまた閉じる、という機構のF-01Cではタッチ操作するにもひと手間かかってしまう。その点スライド端末のF-09Cならスライドを閉じた状態でもタッチパネル操作が可能なため、高速なタッチパネル操作がより活きてきます。
今回面白いのは待受画面のメニュー操作。タッチで画面下から機能一覧を引き出して表示するF-06CもかなりAndroidライクなインターフェイスでしたが、今回はよりAndroidらしさが強調されております。もう機能プレゼン見るたびに「それなんてiOS5じゃなかったAndroidですか」と吹きまくってしまいましたよ。
論より証拠ということで画面を使って紹介。今まで通り画面下から機能のショートカットを引き出せる操作方法に加え、画面上にタッチして指を下に動かすと、マナーモードやロック解除などの機能を一覧で操作できます。すげえ、こないだ発表したばかりのiOS5の機能を先取りしてる!!!
さらに待受け画面を長押しすると、右側にウィジェットが現れ、時計などの機能をデスクトップに貼り付けられます。張り付けた機能は長押しして右下のゴミ箱にドラッグすれば画面から消すこともできる。いやほんともうまるでAndroidですよ。
ちょっと変わり種なのはウィジェット選択画面で右のメニューを選ぶと、待受画面に文字が書けるということ。書いた文字はなぜか待受画面でうねうねと踊りだしますw しかし待受に文字を書けるってのは地味だけど結構便利そうなアイディア。F-04CやF-05Cあたりで搭載した手書き機能がうまいことF-09Cに反映されているなと思いました。
ここまでの操作を一通り動画でも撮影したので興味がある方は以下の動画もどうぞ。いやほんとにこれ新しいAndroidですかというような操作体系です。
しかしながらよい画面インターフェイスというのは積極的に対応していくほうがいいことには違いない。あのiPhoneですらiOS4でマルチタスクとフォルダ、iOS5でステータスバーとAndroidのいいところを吸収してバージョンアップしているわけですし、タッチならではのよい操作方法はどんどん反映されるといいなと思います。もうここまできたらWindows Phoneのフリックも対応して欲しいw
さてお次はカメラメニュー。今回は16Mピクセルという画素数よりも、多彩な撮影メニューが注目のポイント。露出の異なる写真を合成して1枚の写真を作成するHDRのほか、1色だけをワンポイントカラーにして他の色は白黒で撮影するクロマキーのほか、魚眼レンズ、ジオラマなど、デジタルカメラ並みの機能を搭載しています。
まずは普通に撮影した作例。室内なのであまり作例に適していないとは思いますが参考までに。まだ開発機なので製品版とは異なる可能性もありますが割といい感じに取れているかな。個人的には画質よりもホワイトバランスのオート精度が大事なので、もうちょっといろんなシーンでホワイトバランスを試してみたいところです。
続きましてはちょっといじった撮影方法。左は赤だけをワンポイントカラーで取り出したクロマキー、右はトイカメラ風の写真です。
下はどちらもジオラマなんですが、ジオラマは左側のように距離が写真だとそれっぽさが出ない。窓から撮った外の景色のほうがジオラマっぽく撮れてるかな。
左は魚眼レンズ、右は背景をぼかす機能。魚眼はいいとして右側はソフト的に処理しているからおかしなことになってますね……。背景がぼけてるほうがいい写真、てのはなんだか違う気がするし、わざわざソフト処理でここまでしなくてもなーという気はしますが「デジタル一眼っぽく撮りたい!」ってニーズはあるんでしょうね。
液晶が3D対応しているF-09Cでは3Dの静止画も撮影可能。ただし、カメラは1つしかないので3D静止画を撮影する時は以下の画面のように1枚写真を撮り、その位置から横にカメラを動かして撮影したもう1枚を合成して作成します。また、3D動画は同時に2枚を撮影するためカメラはツインカメラである必要があり、F-09Cでは3D動画を撮影できません。とはいえ液晶自体は3Dに対応しているので3D動画の再生は可能です。
3Dの形式はニンテンドー3DSと同じなので、F-09Cで撮影した3D画像を3DSで再生することもできました。以下にF-09Cで撮影した静止画を置いておくので3DSをお持ちの方はお試しください。撮影した感触では3DSよりも3Dが強く、3DSで撮影した写真よりも飛び出て見えました。また、3DSでは3D写真の度合いをスライドでアナログ調整できますが、F-09Cではスライドの位置に関係なく3Dと2Dのオンオフのみになるというところも細かな違いです。
カメラに続いて注目していたブラウザ機能。F-09Cではこれまで独占的に搭載されていたフルブラウザだけでなく、新たにChromeやSafariなどでも採用されているWebKitを使った「スマートブラウザ」を搭載しました。スマートフォンが携帯電話より高機能に見えてしまうのはブラウザの性能が低いのも1つの理由、という持論を展開していた私としては、ハイスペックな携帯電話にWebKitベースのブラウザが乗るという流れだけでもうwktkな展開です。
余談ですがその他の理由としてはアプリの拡張性の低さと、保存したファイルの管理性の低さが課題だと思っております>スマートフォンが高機能に見える論
実際にスマートブラウザを起動するとまずはじめにGoogleが立ち上がります。
ためしに自分のブログを表示するとPCデザインで表示。全部読み込むにはフレーム数が足りないといわれてしまいますが、デザインはほぼ再現可能。とはいえうちのブログはスマートフォン用デザインもあるのでそっちで表示したいなあ。
メニューはとても控えめで、UserAgentの切り替えなどはできません。iPhoneやAndroidもPCサイトをそのまま表示するのは負荷が高く、なんだかんだとスマートフォンに最適化したデザインのサイトが普及しつつある中、スマートフォン対応サイトもPC表示されてしまうのは惜しいなあ。
スマートブラウザの動作も動画に収めてみました。かなりサクサク動くので今までのフルブラウザよりも活躍しそうかな。
控えめな機能の中でも面白いのはWebキャプチャで、画面に表示されている領域を画像として保存できます。画面メモのスマートブラウザ版といったところですが、大きな違いは保存した画面をちゃんと画像として使えるところ。キャプチャした画面をネットにアップロードなんても可能です、たぶん。
地味な改善ながら嬉しい機能として、ヨコモーションの2画面表示ではついにワンセグとブラウザの同時表示が可能に。これでテレビ見ながらTwitterとかもやりたいほうだいですよ! ながら見に適しているテレビがより効果的に楽しめると思います。
もう1つ、画面を抑えてくるのを忘れてしまったのだけれど気になる機能が、インターネットには接続せずにF-09Cをアクセスポイント化する機能。F-09CがDLNA対応していることもあり、これもしかしたらF-09C内の画像をワイヤレスでPCに取り出したりできるのだろうか。実際に試してないのでここは希望でしかないのですが、スマートフォンに比べて写真の撮り回しが面倒だった携帯電話でそれができたらかなり利便性アップするはず。もっと早く気がついていれば動作確認できたのだが……。
ほとんどの時間をF-09Cに割いてしまったのですが、その他の端末もいくつか見てきたのでご紹介。まずは富士通ブランドとして初のAndroidでありますF-12Cです。
正直言ってすでにREGZA Phoneを持っている身としては、スペックで比較すると同じ防水モデルながらもワンセグが非搭載なF-12Cはわざわざ買いかえるほどの興味はもってなかったのですが、実際に触ってみるとわりとサクサクでよくできてました。ひょ順のメニューもかなりするする動くし、大きさもREGZA Phoneに比べると一回り小さくて手にしっかりなじむ。ワンセグ非搭載がさほど気にならないのであれば、今から持つAndroidスマートフォンとしては結構いいかしれません。
また、REGZA Phoneと比べてもうらやましいのが、ステータスバーにマナーモードや無線LAN設定があること。画面の上からするするっと下ろすだけでいいステータスバーにこういう機能があるのはほんと便利なんですよね。しかもここはアプリではいじれない領域なので、標準搭載されていることがとてもうらやましいですはい。
こちらもサクサク動作っぷりは動画で撮影しましたのでよろしければ。標準メニューでここまでサクサクだったらもう十分かなー。
つづきましては「変態」と呼ばれガジェット好きからとても注目かつ愛されまくっている、Windows 7とiモードをデュアル搭載した「F-07C」。
ちなみに私も気になってたのですが、型番はWindows 7搭載だから07ということはなくたまたまだそうです。
手に取ったところ。携帯電話としてはかなり大きく重さも手にずっしりきます。
一見するとスマートフォン型携帯電話のようですが、スライドするとQWERTYキーボードが現れます。
側面のWindowsマークを押すことでケータイとWindows 7を切り替え可能。2つのOSは独立しているので、同じ筺体を使ったまったく別の端末として動作します。
実際に切り替えたところ。ボタンを1回押すごとに携帯電話とWindowsが切り替わります。
スライド式のQWERTYキーボードはWindowsに準じていてちゃんとWindowsキーもある。Windows+DとかWindows+LとかWindowsキー組み合わせたショートカットが大好きな自分としてはかなり注目のポイント。また、操作は右側にあるトラックボールでマウスカーソルを動かせます。
Windowsとiモードの切り替えボタン以外は割とオーソドックスな側面ボタン。とはいえかなり大きくて重い端末なので操作感は別物でしたが。
この端末については当日の参加者でも賛否両論ですが、個人的には「もうちょっとこうだったら」というところはあるものの、こういう機能を実現しちゃうあたりは素直に拍手を送りたい。また、無理にWindows 7とケータイを連携させようとして無茶な機能になってしまうより、電話を着信するという最低限の機能は対応しつつも、OSの機能連携としてはもう開き直ってまったく別の端末にしちゃったという潔さも好感を持てます。たぶん無理にiモードと連携させようとしてたらいろいろ破たんしてたと思うんよねー。
カタログ通り「iモードとWindowsを1台で使える!」と思ってしまうと、ネットブック以下というスペックと画面やキーボードの小ささ、バッテリーの持たなさというさまざまな課題で大やけどする危険性大ですが、この端末のスペックを理解した上で「どうやって使いこなそうか」といろいろ考える人にはとても面白そうな端末だと思います。個人的にはHDMI対応しているので、テレビそばに充電台を置いておき、Bluetoothキーボードと連携して家ではワイヤレスホームPCとして使ってみたいところ。
あと惜しいのはディスプレイ出力。小型のWindowsとしては「プレゼン資料持ち歩きたい」というニーズは必ずあるはずで、そのためにも枯れたインターフェイスとはいえVGAディスプレイ出力は欲しかったところです。これがあるだけでビジネス用途はそうとう面白くなりそうだったのだが……。
重ね重ね、富士通が今まで出してきた端末の中でもトップクラスで人を選ぶ端末だとは思いますが、それをわかった上でいろいろもてあそぶ人にはとっても面白そうな1台。きっとWindows OS部分に他のOS入れようとかしちゃう人も出てくるんじゃないかなーとか妄想しちゃうところであります。
内覧会ではほかにも女子力アップの折りたたみF-10C、安価ながら機能も充実したF-11Cのほか、東芝との携帯電話事業統合効果によるau端末も並べられていたのですが、スライドヨコモーションのおかげでおりたたみの携帯電話には興味がもてなくなってしまった私は、時間がたりないこともあってレビューは割愛。F-11C担当の人が「今回参加される人はF-11Cに興味ないみたいですね……」と漏らしたセリフに心を痛めつつ、ここはやはりメンバーの力を借りましょうということで他の内覧会参加者によるレビューをお楽しみください、というところで筆を置きたいと思います。
“待望のスライドヨコモ新機種「F-09C」、富士通初のAndroid「F-12C」、Windows/iモードデュアル搭載「F-07C」触ってきた” への1件のフィードバック