サービス開始時からユーザー登録して利用している電話サービス「楽天でんわ」記事広告のお話をいただきました。ちょうど先日リリースされた、NTTドコモの新プランに言及したいなと思っていたタイミングだったので、楽天でんわを中心に昨今のスマートフォンを取り巻く音声通話事情について長々と語ってみたいと思います。
楽天でんわとは、そのものずばり楽天が提供する電話サービス。スマートフォンのほか従来型携帯電話であるフィーチャーフォンにも対応しており、携帯電話キャリアよりも格安の通話料金で利用できます。
楽天でんわ: 電話アプリ
楽天でんわは携帯電話と同じ音声通話サービス
スマートフォン向けの電話サービスは楽天でんわのほかにも050番号を利用するサービスのほか、最近ではLINEも「LINE電話」というサービスを始めましたが、楽天でんわが決定的に違うのは「携帯電話の音声通話サービス」であること。050番号のサービスやLINE電話がインターネットを経由するのに対し、楽天でんわはスマートフォンの電話回線をそのまま使う、携帯電話の音声サービスなのです。
仕組みとしては一時期固定電話向けに流行した「マイライン」と同じで、発信したい番号に「0037-68-」を付与することで楽天でんわを提供するフュージョン・コミュニケーションズのネットワークを経由し、通話料金が安価になる仕組み。スマートフォンの場合は専用アプリを利用して自動的にこの「0037-68-」をつけて発信してくれるので、スマートフォンと普通に電話する感覚で通話料を下げることができます。
ここでは楽天でんわ、050番号サービス、LINE電話を簡単に比較してみました。なお、050番号のサービスはいくつか存在しており、NTTコミュニケーションズの「050 plus」も有名なのですが、ここでは「月額維持費がかからない」という点で楽天でんわと同様にフュージョンが提供する「SMARTalk」で比較しています。SMARTalkの詳細や050 plusとの比較は以前にも記事広告で執筆しているのでそちらをご参照ください。
サービス名 | 楽天でんわ | SMARTalk | LINE電話 |
---|---|---|---|
回線 | 携帯電話 | インターネット | インターネット |
番号通知 | 090/080 | 050 | NTTドコモ宛は通知不可それ以外は090/080 |
固定電話宛て | 30秒10円 | 30秒8円 | 1分3円 |
携帯電話宛て | 30秒10円 | 30秒8円 | 1分14円 |
かなりシンプルな比較ではありますが、ざっくり説明すると携帯電話の音声回線を使う楽天でんわに対し、SMARTalkもLINE電話もインターネットを経由するため、インターネットの回線状況が悪いと音声が遅延したりと通話品質は低め。そのぶん料金は安価に設定されています。
SMARTalkの場合は楽天でんわと比べるとそこまで料金が変わりませんが、スマートフォンの番号に加えて新たに050番号を追加で取得できるのがポイント。「スマートフォンとは別にもう1つ電話番号が欲しい」という使い方におすすめです。
LINE電話はインターネット経由ながらスマートフォンの電話番号をそのまま使えるという大胆な仕組みが特徴ですが、残念ながらNTTドコモの場合は仕様上携帯電話の番号が非通知になってしまいます。
LINE電話から電話をかけた場合、お客さまがLINEへ登録している電話番号が相手の方に表示されます。
※相手の方がNTT docomoの場合「通知不可能」または「非通知」と表示されます。
ヘルプセンター | LINE
http://help.line.me/line/ios/categoryId/10000329/pc?lang=ja
シェアが落ちてきたとはいえ未だに日本の半分はNTTドコモなので、せっかく番号通知できるメリットもこと携帯電話相手ではメリット半減。また、固定電話向けの通話は激安ですが、携帯電話宛てはそこまで安くないので、固定電話にかけることが多い人が向いているサービスかと思います。
楽天でんわを使うだけでスマホの通話料金が半額に。番号も090/080のまま
「スマートフォンの電話と同じならわざわざ使う必要もない」、そんな風にと思う人もいるかもしれません。しかし、昨今のスマートフォンは非常に通話料金が高騰しており、ほとんどのキャリアが距離や相手にかかわらず30秒20円(税別)という価格設定になっています。
このあたりは以前にSMARTalkの記事広告でもがっつり書いたのでご参照いただくとして。
月額基本料がゼロ円のスマホIP電話「FUSION IP-Phone SMART」でLTEスマホのコストを大幅に削減しよう – カイ士伝
https://bloggingfrom.tv/wp/2013/08/20/11049
楽天でんわなら30秒の通話料金は10円と携帯電話キャリアの半額。単純に考えて同じ通話料金でも倍の時間話すことができ、同じ通話時間なら料金は半分に削減。携帯電話回線を使うから音質も変わらず、使い勝手も楽天でんわのアプリを使えばスマートフォンの電話とほぼ変わらない。さりげなく高騰化したスマートフォンで音声通話使うならぜひ使っておきたいサービスです。
音声定額を導入したNTTドコモの新プランは基本料金が高額に
そして今回の本題となるのがNTTドコモの新プラン。NTTドコモが6月に開始予定の新料金プランはこれまでのシステムを一新。通話料という概念がなくなってどこにかけても24時間定額という非常に斬新なサービスを提供する一方で、通話プランの基本料金は大幅に値上がりすることになります。
新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」 | 料金・割引 | NTTドコモ
こちらも簡単に料金比較をまとめたのでご覧ください。なお、6月からの新プランは現行プランに対する追加プランではなく全とっかえとなる完全リニューアルであり、現行プランは今後新たに申し込むことができなくなります。
現行プラン | 新プラン | |||
---|---|---|---|---|
プラン名 | Xiパケ・ホーダイ ライト | Xiパケ・ホーダイ | データSパック | データMパック |
月データ量 | 3GB | 7GB | 2GB | 5GB |
基本料金 | 743 | 743 | 2700 | 2700 |
spモード | 300 | 300 | 300 | 300 |
パケット定額 | 4700 | 5700 | 3500 | 5000 |
月合計 | 5743 | 6743 | 6500 | 8000 |
11年以上 | – | – | – | 7400 |
16年以上 | – | – | 5900 | 7200 |
比較すると一目瞭然、現行プランのうち一般的な使い方でもっとも安価に抑えられる「Xiパケ・ホーダイ ライト」と比べ、新プラン最安値のデータSパックでも6500円と700円以上の料金差。Xiパケ・ホーダイ ライトは音声通話が含まれず、データSパックはどこにかけても通話料金は追加で必要ないという違いはあれど、そもそもあまり音声通話を使わない人にとっては厳しい価格設定です。さらに利用可能なデータ量もXiパケ・ホーダイ ライトの3GBより1GBも少ない2GBに制限されており、実質的な料金格差はもっと大きくなります。
データ容量が大きいプランも同様で、7GBも使えるXiパケ・ホーダイに対して5GBしか使えないデータMパックが1200円以上も高い。こちらも2GBのデータ容量プラス音声通話料金の価格差を考えると基本料金がかなり高めに設定されています。
もちろん、新プランではどこにかけても音声が定額なため、電話をばりばり使う人にとっては魅力的なプランではあります。とはいえ、昨今ではSNSやLINEのようなコミュニケーションが主流になりつつあり、プライベートでは電話でのやりとりがどんどん少なくなっている上に、音声通話もLINEやSkypeのような無料通話が存在感を高めていることを考えると、あまり実情に沿った料金プランとは思えないのが正直なところ。
また、新プランでは長期契約者の割引や、家族でデータ容量を共有するプランも提供されてはいますが、長期契約は11年以上または16年以上と10年選手以外は対象外。11年契約ってことは2003年ですよ、NTTドコモがかたくなに写メール文化を拒否しつつ、ようやく実装したら画像ダウンロードする仕組みという251iシリーズを出した頃、つまりFOMA以前の端末ですよ。さらに16年以上ともなると1998年、画面はモノクロの206シリーズとか、携帯電話黎明期の頃から使っている世代ですよ。それだけドコモ一筋でも最大800円しか割り引かれないっていうのはあまり割引感を感じないのは私だけでしょうか。
さらに家族のデータ共有も「あまったら分け合える」ではなく「家族で一定量を共有する」仕組み。前者なら自分が使える最低限の容量は確保しつつ余りを家族に分けられますが、後者は家庭の中で1人でもデータをたらふく使ってしまう人がいたら残りの人がしわ寄せを受けてしまう。このあたりも個人的になんとも解せない部分です。
NTTドコモの現行プランは今後も継続利用が可能。楽天でんわとの組み合わせが料金を抑えるコツ
上記を踏まえると、NTTドコモの新プランは音声電話をたくさん使う人、そしてパケット通信をほとんど使わない人には魅力的ですが、音声通話はほとんど使わないけどパケット通信はそこそこ使う人にはかなりの値上がりになってしまう。どちらが自分に合うは人それぞれですが、毎月7GB制限をぎりぎりまで使い込むけど通話料金は数百円程度、という極端な後者である自分には今回の新プランがまったっくもって魅力的に映りません。
とはいえこの新プランは6月1日から開始してしまうのですが、重要なのは8月いっぱいまで現行プランも並行して提供されること。そして9月1日以降も現行プランは新規受付こそ終了するものの、プラン自体は9月以降も継続して提供されるということ。新プランが自分の使い方にあわないという人は、いまのうちに好きな現行プランを選んでおけば、プラン変更しない限り現行プランを使い続けられるのです。
現在提供中のXi(LTE)向けの各種料金プランは、8月末で新規受付を終了する予定。現ドコモユーザーは、今の契約を継続して利用し続けることもできる。
[ドコモの新プラン「カケホーダイ&パケあえる」はおトク?] 6月開始の新料金プランをチェック – ケータイ Watch
そして音声通話に今回のテーマである楽天でんわを組み合わせれば、音声通話の品質や番号はそのままに料金を半額まで削減できる。基本料金こそ安いものの通話料金は高い現行プランを使い続けるのであれば、楽天でんわを含めた電話サービスをうまく活用するのが総合的に料金を抑えるコツです。
ほとんど電話感覚で使える楽天でんわアプリ。無料通話の相手先だけ要注意
ほぼほぼ言い尽くした感もありつつ最後に楽天でんわの使い方や基本的な機能をご紹介。Androidではすでにユーザー登録が終わってしまっているので、今回はiPhone 5sを使ってユーザーの新規登録から試します。
まずは楽天でんわを利用する前にユーザー登録を行ないます。楽天でんわを利用するには楽天のIDに加え、楽天でんわの利用登録も必要なのですが、アプリからユーザー登録はできないので事前にWebサイトから登録を行なっておきましょう。
楽天IDをすでに持っていてクレジットカード情報も登録してあれば、楽天IDでログインするだけで基本情報の入力は引き継がれるので、楽天でんわで携帯電話番号を入力するだけと登録は手軽。登録が完了したら楽天でんわのアプリをダウンロードすれば自動的に楽天でんわが利用できるようになります。
登録には多少のタイムラグがあるようで、登録してすぐアプリから通話しようとすると「まずユーザー登録してください」というガイダンスが流れます。とはいえ数分もしないうちに登録が完了されて発信できるようになったので実利用ではあまり心配いらない程度でしょうか。
こちらが楽天でんわアプリ。本体標準の電話アプリとさほど使い方は変わらず、発信したい電話番号をダイヤルして通話するだけ。
発信時には自動で「0037-68-」がつきますが、相手側には自分の電話番号がそのまま通知されるので「この番号だれだかわからない!」という心配はありません。
本体の電話帳と連携することで、今まで使っていた電話帳をそのまま楽天でんわで利用することもできます。その場合も頭に003768をつけて発信するので操作はかなり手軽。
実際に発信する時は楽天でんわからスマートフォン標準の電話アプリに切り替わり、頭に「0037-68-」がついた形で発信されます。つまり楽天でんわとは電話機能を持ったアプリではなく、「0037-68-をつけて発信する操作を代行してくれる」アプリというわけですね。
発信履歴からからのリダイヤルも可能。なお、iOSの場合、着信に関しては標準の電話アプリで受けることになる仕組み上、楽天でんわアプリからは着信履歴を確認できません。
ではiOSで着信履歴から発信したい場合はどうするかというと、ちょっと手間ですがまずは着信履歴を開き、電話番号を長押しして番号をコピー。
続いて楽天でんわを起動し、「よく使う項目」を開くと一番上に先ほどコピーした電話番号が表示されているのでタッチして発信できます。ちょっと手間ですがこれはもうOSの仕様なので仕方ないかな。タッチ操作だけで発信できるので実際はさほど面倒ではないです。「よく使う項目」は他にも利用頻度の高い連絡先を登録しておくことも可能。
ちなみにAndroidの場合、実際の電話は標準の電話アプリを使うところは共通ですが、着信履歴については楽天でんわアプリ内でチェックすることもできます。
なお、ちょっと気をつけなければいけないのが、スマートフォンの無料通話相手。ほとんどの携帯電話キャリアは、家族だったり同じ携帯電話キャリア同士の通話が無料になりますが、楽天でんわは楽天の回線を経由するため、通常であれば無料であるはずの同じキャリア間通話も有料として課金されてしまいます。
それを防ぐためには無料通話の相手を事前に登録しておきましょう。「設定」「無料通話リスト」から相手を登録しておくと、楽天でんわを使わずに発信するため、キャリア間の無料通話を適用できます。
基本的に使い方はシンプルな楽天でんわですが、ここだけがちょっと使い方難しいところかも。スマホ標準の電話機能なら「たまたま電話した相手が同じキャリアで無料だった」という恩恵にもあずかれますが、楽天でんわはあらかじめ指定しておかないと無料にはならない。
とはいえ、家族や恋人などあらかじめ長時間電話する相手が決まっていれば事前に登録できるし、そうでないとしても「たまたま通話料が無料」という確率と「常に電話代が安い」というメリットを比べたときどちらがトクと思えるかがポイントでしょうか。
NTTドコモの音声定額プランを契約する人「以外」は要注目。5月には丸1日通話料金が無料のキャンペーンも
以上、楽天でんわおよびそれを取り巻く電話サービスの概況も含めてまとめてみました。6月から始まるNTTドコモの音声定額プランを契約する人にとって楽天でんわはまったく意味のないサービスですが、現行プランを継続する人および他キャリアの人にとって、月額維持費用は無料ながらも音声通話料金を半額にできる楽天でんわは活用して損はないサービスと思います。
とはいえ新しいサービスはなかなか手を出しにくいという人もいると思いますが、そういう人にお勧めなのが、5月25日に予定されている「楽天でんわ 春のかけ放題キャンペーン」。5月25日0時から23時59分までは、楽天でんわで発信した30分以内の電話がすべて無料になるという太っ腹キャンペーンが展開されます。
楽天でんわ: 春のかけ放題キャンペーン
http://ac.ebis.ne.jp/tr_set.php?argument=sNcRNvKw&ai=AMN_01
さらに5月16日から5月26日午前9時までに新規登録したユーザーは通話料金が100円割り引かれるキャンペーンも適用。割引額の100円に満たない場合は翌月の通話料金も適用対象になるということで、こちらもとりあえず抑えておいて損はないキャンペーンです。
個人的にもNTTドコモの新プランはまったく魅力的に思えないので、現行プランを維持しつつ音声通話は楽天でんわでしのぐ予定。NTTドコモユーザーの人にとって現行プランを選べるのは8月までなので、今からいろいろ準備しておくことをおすすめします。