【書評】「読むキルラキル」こと「キルラキル脚本全集」はキルラキルを複合的に楽しめるファン必携の1冊

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KADOKAWAの中の人からアニメ「キルラキル」の脚本全集を献本いただきました。ありがとうございます!

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本作は読んで字のごとく、2013年10月から2014年3月まで半年がかりでテレビ放映されたアニメ「キルラキル」全話およびDVD/Blu-rayのみに収録される第25話、さらにはドラマCD4作品の脚本をすべて収録しているというmほぼ全部入りと言っていいボリュームの脚本全集です。

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キルラキル自体は、大好きなアニメである「天元突破グレンラガン」スタッフが手がける長編テレビアニメということで、普段テレビアニメはあまり見ないながらも珍しく第1話から前のめりで期待していた作品でした。

TVアニメ『キルラキル KILL la KILL』オフィシャルサイト
http://www.kill-la-kill.jp/

ただ、第1話から世界観も目的付けもキャラの立て方もパーフェクトに近く、序盤で一気にストーリーが盛り上がったグレンラガンに比べると、キルラキルは演出は派手で勢いがありキャラも立ってはいるし、伏線ぽい話もいくつもちりばめられてはいるものの、核心に迫るストーリー展開になかなか入らなくて中だるみを感じてしまい、正直を言うと途中でいったん脱落。

しかしながら知人に「10話を超えるまでがんばって見た方がいい」というアドバイスをいただき、録りためていたキルラキル視聴を再開したところ、物語のキーパーソンである針目縫が登場したあたりからストーリーが急展開。序盤の伏線もしっかり回収しつつ、さすがグレンラガンスタッフというべき怒濤の展開が始まり、テンション高まってそのまま一気見してしまいました。

欲を言うと前半に時間を割いたせいか、ラスボス戦があまりにも駆け足だったのがちょっと残念だったかな。前半をもう少し減らして後半のラストバトルを見たかったなという思いもしつつ、トータルで見るとさすがのグレンラガンスタッフ、納得のすばらしい作品でした。

話を元に戻して今回のこの脚本全集は、前述の通りキルラキルの脚本がたっぷり詰まった1冊なのですが、面白いのが単に脚本を収録しただけではないということ。具体的に言うとこの脚本はテレビアニメになる前のシナリオであり、実際に放映された作品とはいくつかのポイントでシナリオの構成や台詞が異なっているのです。

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それがもっとも端的なのが第十五話「どうにもとまらない」と、続く第十六話「女はそれを我慢できない」のシナリオ。第十五話は関西全面戦争が舞台なのですが、当初の脚本ではシナリオが長すぎたため、バトルシーンを第十六話の冒頭に持ってくる予定だったのが、実際のアニメではストーリーをまとめるために第十五話で戦いに決着をつけるシナリオに変更されました。

そうしたアニメと脚本の違いを、キルラキルの脚本を手がけた中島かずきさんが1話1話丁寧に解説していくれているので、「ああなるほど、このシナリオはこういう設定だったのか!」という裏側がわかってとても面白い。すべての回でこの解説がついているので、脚本家自ら手がけた解説本としても十分に楽しめます。

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また、キルラキルの登場キャラクター全員が全員とっても濃いキャラばかりだったことが、文字だらけの脚本全集にも活きてくる。ともするとアニメと違って一切イラストのない脚本は味気ないことになりそうですが、実際にキルラキルを見てから読むとどの台詞もあのキャラクター達の声で脳内再生されるのがすごいw

テレビでは語られなかった第二十五話の脚本も収録されているのだけれど、これはさすがに映像で見てから楽しみたいかなー。むしろ映像で見た作品をテキストの脚本で読むと、映像とは違った味わい深さがあります。アニメだと映像だけで描かれて視聴者が自分で見つけなければいけないようなシナリオや設定もテキストだと丁寧に書かれているから、答え合わせみたいな感覚でキルラキルを改めて複合的に楽しめる。

キルラキルが面白かった人はDVDやBlu-rayもいいんだけど、この脚本全集もまた新しいシナリオの楽しみ方ができてお勧めです。とはいえやっぱり第二十五話は映像で見てから脚本読みたいので、まあDVD/Blu-rayと脚本全集をセットで買うのが一番いい楽しみ方ですかね。


キルラキル 脚本全集 (アニメ関係単行本)


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