「WordCamp Tokyo 2015」行ってきた


1年に1度の祭典、「WordCamp Tokyo」行ってきました。WordCamp自体は別の地域でも定期的に開催されるのですがまあそれはそれ、東京は1年に1度ということで。

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WordCampとは、人気のブログツール「WordPress」をテーマにしたイベント。エンジニアもデザイナーもWeb制作者もマーケティング担当者もブロガーも、WordPressのみならずWebサイトに携わる人を幅広く対象とした1年に1度の大規模イベントなのです。

WordCamp Tokyo 2015 | 2015年10月31日(土)と11月1日(日)の2日間、「More Publishing」をテーマに WordCamp Tokyo 2015 を開催します!
https://tokyo.wordcamp.org/2015/

2011年には運営にがっつり参加し、2012年はライトニングトークに参加、2013年はイベントのみ参加で懇親会タイムは場所を離れて会場とはちょっと離れた隠れ家でしこたま飲みつぶれた、というのが直近でのWordCamp Tokyoの思い出。昨年はあまりイベントのテーマにピンとこなかったというのもありお休みだったのですが、今年はベルサール神田へ会場を大幅に拡大したことに加え、公開されていたプレゼンの内容が面白そう、ということで参加してまいりました。

当日の参加キットはこちら。オリジナルのネックストラップにトートバッグ、懇親会参加を示すタグとかなりの充実。WordCampも大きなイベントになったなーとしみじみしてしまいました。

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オープニングは安定のAutomattic直子さんによる基調講演。

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WordPressが世界的なツールになったということもあり、基調講演はWordPressそのものの機能についてよりも、もっと幅広く「Webで情報を発信すること」にテーマを定めたプレゼンテーション。後ろに座ってた人はあまりWordPress知らない人だったようで、プレゼンの最中に時おり感嘆の声が聞こえており、この狙いはお見事だったのかなーと。

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贅沢を言うと、「なぜWordPressを選ぶのか」というお題に続いたのが、WordPress 4.4の細かな新機能だったので、なぜ選ぶのかというポイントちょっとわかりにくかったかも。「WordPressは常に最新の機能にキャッチアップしてるからです、その事例として4.4紹介しますね」というほうが通りがよかったかなと思いつつもかなり些細な点なので全体的にはとてもすばらしい安定の基調講演でした。

プレゼン資料はSlideShareに上がっていたのでぺたっと貼り付けておきます。

講演の中で興味深かったポイントをいくつか。WordPressの圧倒的なシェアは相変わらずで、Web全体では約24%、CMSとしてのシェアでは約59%とほぼ6割近い。そりゃWordCampもこれだけの大規模になるよなー。

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本筋では無いけど興味深かったのが、新バージョンである4.4のリリースリードを担当するScottさんのチケット処理データ。上が新規チケット、下が解決チケット、その合計が黒いグラフなんだけど、チケットの処理能力が半端ない数過ぎてちょっと感動した。チケット処理するのがすべてではないものの、これだけガンガン処理できるのはすごいなー。

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基調講演に続いて参加したのが宮内さんの「オープンデータとオープンソース、そしてWordPress」。

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正直なところ知り合いのプレゼンだからという理由で選んだこのセッションでしたがこれが非常に面白い。行政もオープンデータ、オープンソースで大きく変われるという話を実例織り交ぜながら紹介。アメリカでは議会でGithubが使われていて、法改正の議論をプルリクエストとマージを繰り返しながら展開、最終的にGithubベースで議論された法律が実際に採用されたんだとか。これは熱い!

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そんな試みは日本でも起きていて、国土地理院がオープンデータ化したり、和歌山県がGithubを開設してみたりとちょっとずつ変化が。国や行政はあまり表に出ないところで着実にデータを集めていて、そうした膨大なデータを民間で使えるというのは非常に面白い試み。自治体が把握している市区町村データとか、これ一般で使えるだけで相当いろんなことができそう。

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こんだけ面白いのに惜しいのはタイトルが硬すぎて内容がわからないところ、というのを本人に伝えたら「じゃあタイトル考えてくれ」とブーメラン喰らってしまったので僭越ながら何かしたらタイトルつけるなら「Githubで法律を改正!? オープンデータとオープンソースが生み出す行政改革」とかどうですかね。実際には行政にかぎらなそうですがそのあたりはカスタマイズの範疇ということで。

そんな宮内さんのスライドはこちら。ただ、トークメインのスライドなので資料だけだとわかりにくいかな。個人的にも資料よりトークでなんとかするタイプなので、オープンデータの話題の中で恐縮ながら個人的にはスライドシェアではあんまり公開しなかったりします。資料も一人歩きしちゃうしね。

続いてのセッションはメイン会場で行なわれた西川さんの「GPL: WordPressの4つの自由とビジネスモデル」。

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GPLについてとても丁寧かつわかりやすくまとまっているセッションでした。一方でGPLというとやっぱり「GPL違反」の話題がついて回るので、もうちょっとそのあたりつっこんでくれると「これってGPL違反なんだ!」という体験ができてよかったかも。こちらもタイトルもっと攻めようよとコメントしたら反撃受けたので、そうですね、「まだGPLで違反してるの? 正しいGPLが生み出す自由とビジネスモデル」とかどうでしょ。

こちらもスライドが公開しているのでどうぞ。まあスライド公開前提だとあんまりGPL違反を攻め込みにくいという気持ちもちょっとわかるw

ランチを挟んで参加したのが、toruさんの「レスポンシブ・イメージのWordPressへの実装と4.4」。最新バージョンの4.4で実装されるレスポンシブ・イメージの話で、具体的な話をいろいろと聞きたかったんだけどいかんせん時間が10分と短すぎた。観客も席が満員になるほどだったので、これはもっと大きなセッションで聞きたかったなー。今度個人的にいろいろ聞いてみよう。

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こちらもスライドをぺたりと。

メイン会場に戻り、WordCamp kobeの頃から楽しみにしている高橋さんのプレゼン。小説家として自らWordPressで電子書籍販売サイトを作り出した一連の破天荒なエピソードも交え、笑いも学びも最高すぎた。この人はWordCampが発掘したモンスターだよなー。いつWeb業界でもっと大きくブレイクしても不思議ではないと思うし、電子書籍関連の人はもっと高橋さん取材しに行くといいと思う。

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「kindleという閉じた暗黒世界」wwwww 大体からして自分の団体にも会社にも「破滅派」と名付けるそのセンスがもう破滅的すぎる。

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笑いの絶えないプレゼンの中で面白かったのが、もはやWebですらオープンではなく閉じているのではないかという指摘。LINEのようなグループチャットが市民権を得たことで、すべては閉じた世界となりつつあり、チャットだけで活きる世代にとってはもはやWebですら閉じた世界ではないかという指摘はなかなか考えるところが多かった。

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最後にすごいいいこととかも引用するんでこのセッションほんとに油断ならないw

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そんな高橋さんのプレゼン資料はこちら。「やったじゃん」が何度見てもツボるw

続いてはセキュリティ界の大御所、徳丸さんのセッション。実は経歴あまり存じ上げなかったのですが京セラの人だったのかー。

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今回のためにWordPressを使って実際に目の前でハックしまくるという事例が大変に痛快で面白かった。そして不正ログイン対策は「良質のパスワード」という非常にシンプルな提言もすばらしかった。

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「良質なパスワード」のためのコツ。IDなんてadminでいいというのは、不正アクセス者にとってIDくらい簡単に突き止められるからさほど意味がないとのことでこれも腑に落ちた。

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そして不正アクセスに大事なのは何よりもバージョンアップとのこと。うちも重い腰あげてやらないとな……。

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そんな徳丸さんのプレゼン資料はこちら。当日は隠し漏れてた某ポップの不正アクセス事件がしっかりマスクされてるw まああの事件は「自分達の非を他人のせいにして第一報を展開する」という学ぶべき悪例として今後も語り継がれるべき事例だとは思いますはい。

一通り聞きたいセッションを堪能したタイミングで、気分転換とばかりに徒歩10分程度のところで開催されていた大江戸ビール祭りでクラフトビールをちょいとばかし堪能。

神田の期間限定イベント「大江戸ビール祭り2015」がお値段手頃でいいかんじだった – カイ士伝
https://bloggingfrom.tv/wp/2015/10/31/14451

その後戻って最後に参加したのが「ライターと制作者のメディアの作り方」。かつては編集記者、いまでもライターの端くれとして、今時のメディアのあり方とはという興味で参加してみました。

懇親会で「厳しいことでもフィードバックは嬉しい」という感想をいただいたこともあり、このセッションの登壇者の方々は面識ないながら正直な感想をお伝えするなら、今回のセッションで一番満足度の低いセッションでした。

これはコンテンツそのものの問題というよりどちらかといえばパネルディスカッションという仕組みの問題。資料を作り込まなければいけないプレゼンと比べて、パネルは人を呼んでおけばとりあえず開催はできてしまうのですが、そのデメリットとして、複数の人が話すために話の流れを首尾一貫統一しにくい。かといって話す内容を一から十まで決めておいてもパネルとしては面白くないわけで、登壇者の中である程度方向性を決めつつ当日は自由に、というバランスがパネルディスカッションは非常に難しい。

そういう視点でいうと正直にこのセッションは単なる準備不足で、登壇者がどこに向かって話すのかがまとまりきらないままただただしゃべっている感じであまり内容が伝わってこなかった。あとはメディアのあり方という定義というより「PVを稼ぐには」という話に終始していたのも消化不良気味だった一因でしょうか。個人的には「あり方」とまで定義するならPVの先に何があるのか、という話を期待していたのですがそこもちょいと残念。

その後の懇親会は最初の1時間だけ参加し、近くで開催されていたスマートフォン王国のイベントに参加したのち、懇親会2次会から再度合流。久々に顔を合わせるメンバーと暑苦しい議論を交わす楽しい飲み会でした。

初めて参加したWordCamp Tokyoは100名程度の規模だったけど、WordPressの成長とともにいまや参加人数は当時の10倍まで拡大。ここまでの大きいイベントは運営側もいろいろと大変だと思いますが、コンセプトも各セッションもとても楽しい内容でした。ベルサール神田という大規模会場で展開した翌年はいったいどうなるのかと気になりつつ、未だこのブログでも愛用しているWordPressの動向をしり、コミュニティに参加するという意味でこれからの開催も楽しみにしています。


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