Clubhouseに関するいろいろ


ここ1週間ぐらいで爆発的に流行の兆しを感じ始めたClubhouse。iOS限定だというので最初は様子見してましたが、諸事情でアカウント必要になったためログインしてみたら、サービスそのものももちろんこの流行の動き方みたいなものも含めて存外に面白かったので、今の思いを順不同に書き連ねてみる。

まだごく一部のクラスタではあるものの流行の兆しを目の当たりにして思うのはTwitterが流行したときの熱量に近いものを感じる。あの頃ってTwitterが楽しくて1日中画面張り付いていたなあ。

ではいまTwitterをその頃の熱量で見ているかというとそうではないわけで、Clubhouseもこの勢いはいつまでも続かなそう。そしてTwitterに比べると拘束力が強い分、疲れを感じ始めると一気に負担が強まりそうでもある。

そもそもClubhouseの楽しさはコミュニケーションにあって、それはVRChatだったりAmong Usだったりも同じこと。そしてClubhouseを楽しんでいる人たちを見るとコロナ禍で人と話せなくて辛かった、さみしかったというタイミングの良さはありそう。

コロナ禍の影響でZoom使ったオンライン飲み会いくつもやってたんだけど、個人的にコミュニケーション体験はZoomと変わらない。ただ、Zoom飲み会のときにやりたいとおもっていた「入室前に誰がいるかを見てから入りたい」というニーズや「映像が絶対に出せない安心感」というのがClubhouseではうまく実現されている。

しかも入ったタイミングではミュートで観客状態から始まるという気軽さ。ただここは日本人的には匿名で入れて、匿名解除しないと音が聞こえない、とかになるとさらに入りやすそうかなとは思った。

日本人的でいうと、Clubhouseは退出ボタンがピースマークかつLeave Quicklyという表記で、「気軽に抜けていいよ」ということだとおもうんだけど、日本だとまだ「失礼します」と声駆ける感じがある。これは流行の度合いとクラスタにもよりそうだけど。日本語版出す時に「ドロン」ボタンにしたらいいんじゃないのと提案したら「発想が昭和ですね」とdisられた。

音声コミュニケーションなんて他にもあるでしょという声もあるんだけど、Clubhouseのうまさはいままでそこには手を出しにくかった人がつい入れるようなUX設計と、招待制による飢餓感のあおりにあるとは思う。招待2人という数字は絶妙だなと思った。

そしてTwitterが普及した頃はTwittterはなかったしFacebookもそこまでではなかったけど、ClubhouseはTwitterもFacebookもある。それゆえに拡散力が半端ない。アカウントの広がり方がTwitter普及の頃とは比べものにならない勢いで広がっている。逆にTwitterの頃ってブログとメッセンジャーでの広がりだったのでよくあそこまでひろがったなあ。

あと既存のSNSに新しい波を作ったという価値もあるなと思う。FbとかTwitterだとつながったはいいけど友達増えすぎて最近疎遠になっている、みたいなことも起きがちなんだけど、そこに新しいソーシャルグラフが来ることで、疎遠だった人に「ごぶさた!」と挨拶できるうれしさ。

ただこれは別にClubhouseでなくてもできたことなんだけど、ClubhouseのUX設計のよさがそこにうまくハマった感じ。

ユーザー招待に電話番号を使ったというのは戦略としてうまくて、いまではあまり使わないコミュニケーション手段の電話番号を用いることで昔のソーシャルグラフを持って来れた。懐かしい人が出会うというのはそこにも理由があるとは思う。

一方で戦略的にはうまいけど、ユーザーの連絡先をまるっと取ってしまうやり方は好きではない。自分の電話番号を知っている人がいると、自分がClubhouseやっていることや、Clubhouseで何人フォローいるかまでわかってしまう。このあたりはLINEも似たような話があるけど、LINEは設定で拒否できるのに対して、clubhouseは連絡先を渡さないとユーザー招待ができない。

この意見は完全同意で、自分だけでなく相手の電話番号をも犠牲にしてしまうこの仕組みはちょっと恐いなと思った。なので自分は連絡先が空のiPhoneを使って運用しています。

たまに引き合いに出されることも多いMEEET、ここもうちょっとうまくやれたのではないかなーと残念感はある。個人的に「3人でつなぐ」というコンセプトは面白かっただけに、出すタイミングと仕様がもったいなかった。

それはさておき今のところのClubhouseブレイクの理由は、海外で大型の資金調達して注目を集めたタイミングに、コロナ禍でちょっとした雑談したかったというアーリーアダプターの空気感と、そういうニーズに対して入りやすかったUXにあるのかなと。

その一方で音声コミュニケーションは拘束時間も長いし中毒性もあるので、いまはいいけどそのうち負担が大きそう。特にClubhouseはテキストチャットできない仕様なので、すべて音声でやることの負担は割と大きい。

結果としてClubhouseで音声コミュニケーション楽しくなったけど、やっぱりテキスト連動や非同期もいいよね、という流れにつながるのかなと。せっかくの情報が残らないし拡散されない、というのは、ブームが去ったあとの企業としてはちと飛び道具になりそう。なのでclubhouseのおかげで結果Podcastが盛り上がるのでは、という、期待感はある。

Clubhouseはかなり厳格にいろんなことを制限していて、その制限がいまはうまくハマってバズっている感あるけど、長期で使い続けようとしたら結局色々足りない、ということにはなりそう。そういう点でフォロワーとして隙を突ける部分はいろいろあるのかな。TwitterのSpacesとかはまだ使ってないけど、Twitter連動できる、という点で武器はあるとは思う。

でもなー、ソーシャルグラフって大きいところがやってもうまくいかないんだよなー。

先日こんな記事があって。

急拡大のポッドキャストが「音楽業界の敵」になるというデータ | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
https://forbesjapan.com/articles/detail/39300/1/1/1

ポッドキャストを聞く身からすると、確かに音を聞く時間の一部をポッドキャストに割いているので、ポッドキャストがブレイクすればこれは現実になりそう。そしてこれはまさにClubhouseにも言える話で、むしろ音声コミュニケーションのほうが音楽業界の的になるかもしれない。

世の中のエンタメは可処分時間の取り合いというけれど、音の可処分時間はちょっと特殊というか、音は音の中で可処分時間の取り合いになる。そしてポッドキャストはもちろん音声コミュニケーションがこうやってブレイクしていくと、トータルで音の市場は結構面白くなりそう。

知らんけど。


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