獺祭の蔵元である旭酒造が毎年開催する「東京獺祭の会」、今年もきっちり参戦してまいりました。
獺祭の蔵元|旭酒造株式会社
http://asahishuzo.ne.jp/info/event/tokyo2013.html
このイベントは昨年初参加したのですが、米を磨きに磨いて作り上げた獺祭の三割九分、二割三分はもちろん、遠心分離やらおりがらみやら熱燗やらと、ありとあらゆる獺祭を楽しめるとんでもない贅沢なひとときを味わうことができ、「これは毎年参加せねばなるまいね!」と募集が始まったとたんに申し込みをかけていたのでした。
こちらが昨年の様子。
日本一のだっさいイベント「東京獺祭の会2012」が最高だった – カイ士伝
https://bloggingfrom.tv/wp/2012/02/18/7235
今年は会場入り口にピンクの獺祭ロゴが。参加者が帰りがけにここでパチパチと記念写真撮ってました。
テーブルの上には純米大吟醸50と磨き三割九分の獺祭、そして日本酒飲むときに忘れてはいけないやわらぎ水。獺祭を仕込む時に使っている仕込み水を味わえるというなんとも贅沢な話ですが、実際にはこれ以上の贅沢が会場じゅうにまちかまえているのでした。
今回はイベント開始の前に、獺祭を仕込む様子をビデオで鑑賞することができました。普段見ることのできない現場を垣間見ることのできる貴重な機会です。
お酒造りに大事な麹を一列になって振りかざす姿はなんとも神々しく、思わず食い入るように映像を見てしまいました。こういう様式美ってのもやっぱり大事よねえ。
映像の後は旭酒造の社長である桜井博志さんからのご挨拶。この挨拶が大変すばらしく、「獺祭はあえて『巨人、大鵬、卵焼き』」を目指す」という言葉に思わず感動してしまいました。
この話を聞いて思わず思い出したのはこのエントリー。
「ポップであることを恐れない」覚悟 – インターネットもぐもぐ
http://mogmog.hateblo.jp/entry/2013/01/08/011119
常に世界のトップであり続けなければいけないプレッシャーに苦しんできたマイケル・ジャクソンのファンだからこそ余計に思いを重ねてしまうかもしれないけれど、王道を進むことの勇気と、そして実際に王道に立ち続ける努力は並大抵のものではないでしょう。誰もがおいしいと言える酒を貫く強さがこのお酒に詰まってるのだなあ、と改めて気付かされました。
そんなすばらしいお話もおわりイベントはいよいよ本番。見よ、この獺祭だらけの乾杯。獺祭無双や!
こんなすばらしいイベントを開催してくれた会場にも御礼を込めて乾杯!
このイベントのポイントは最初に登場するお食事をいかに確保するか。「十分数は確保してありますので!」というアナウンスはあるものの、乾杯から10分もしないうちにすべての料理がなくなってしまう激戦なので、スタートダッシュは肝心なのですよ。
乾杯と同時にメンバーでエリアを分担し、お食事をきっちり確保。やっぱり日本酒楽しむには美味しい食事がないとね!
もちろん酔いすぎないための準備も万全である!
前回は二割三分の獺祭が楽しめるというだけでうきうきウォッチングだったのですが、今回は2回目の参加ということでさまざまな獺祭をじっくり味わうことに。まずは前回「いいお酒はあっためてもおいしいんだな」と熱燗の魅力を教えてくれた温め酒へ突撃!
二割三分や三割九分が好きなだけ飲めるという贅沢すぎるイベントの中で、ともすると削り具合が50というのは数だけで見劣りがちですが、これがなかなかどうして、熱燗は50がとても美味しい。無理をいって二割三分や三割九分も熱燗にして試させてもらったのですが、参加者一同「50の熱燗がいちばんうまいね」という結論に至りました。やっぱり削ってればいいというわけじゃなく、お酒には適材適所というものがあるんですね。
そして今回一番気に入ったのが獺祭48と獺祭45。どこぞのユニット名のように見えますが、これは獺祭の50と三割九分を合わせて作ったお酒なのだとか。
45のほうは50と三割九分が1:1の割合、48は50と三割九分が8:2の割合で混ぜられているとのこと。たしかに比べてみると45のほうがいくぶんすっきりした味わいに感じました。どちらも50に比べると若干の飲みやすさがあってすごくバランスのいい味。ご飯と合わせるなら三割九分よりこっちのほうが好きかもしれないと思うほど気に入った味です。
同じ磨き具合でも作り方によって味が変わる、というのを試すため、今回のイベントはできるだけ同じ磨きでお酒を比べて楽しむことに。こちらは50の遠心分離です。同じお酒でも圧力をかけてしぼるのではなく、遠心分離でもろみと酒を分離させることで味がすっきりするのだとか。たしかに飲み比べてみるとすっきり飲みやすさを感じます。もう単純に数字で比べちゃいけないんだなあ。日本酒は奥が深い……。
こちらはテーブルにも置かれている通常の三割九分。
そしてこちらは遠心分離かつおりがらみの三割九分。もろみを絞るときに細かい網でしぼることで、うっすらにごりつつもすっきりした味わいにしあげられるのだとか。
そしてこちらは50と同様遠心分離で絞った三割九分。さすがに目隠ししては当てられないだろうけれど、目の前で比べて飲むとはっきり味の違いがわかります。日本酒奥深すぎるで……。
そして獺祭の中でももっとも磨かれた二割三分!
も遠心分離!
からのおりがらみ! 普段は高くてここぞというときにしか飲めない二割三分をこんなに多彩なバリエーションで楽しめるとは……。ほんとにこのイベント至福過ぎます。
しかし今回のイベントは前回とは異なる謎の「試飲引換券」が。お一人様一杯限りという言葉になにやら胸が高鳴りますね……。
そして出ました! 幻の獺祭「獺祭 磨きその先へ!」。磨き度合いこそ非公表ながら、二割三分より磨いたという究極の獺祭! こんなものまでいただいてしまってほんとによいのでしょうか……。
「獺祭 磨きその先へ」は、ほんとに水のようなすっきりした味わいと日本酒の甘みの両方を保ったとんでもないお酒でした。二割三分と比べても確かにその澄んだ味がはっきりわかるおそろしいお酒です。いやこれガブガブのんじゃいけない酒やで……。
とはいえ、今回のイベントで改めて思ったのは「日本酒は磨けばいいってもんじゃない」ということ。実際に試させてもらった熱燗も意外に50のほうがおいしかったし、二割三分のすっきりした甘い味はとってもおいしいけど、ご飯と一緒に食べる時は三割九分のほうが自分としては好み。高ければいい、磨いていればいいじゃなく、本当に自分の好みや料理のシチュエーションに合わせて日本酒はいろんな楽しみ方があるんだなあ、と、2回目のイベントで改めて気がつかされました。
イベントが終わり、会場から集められた獺祭たち。これだけの獺祭を飲んで4,000円ってほんとに安すぎるぜ……。
最後には社長の桜井さんとも記念撮影させていただきました。「一番好きな獺祭は?」というわんぱくな質問に「二割三分!」と即答するあたりにも、王道を行く者の自負が感じられるすばらしい対応に感動。
会場に売られた獺祭関連のお土産も勢いよく購入。
会場で試飲できた「磨きその先へ」も販売されていました。二割三分とのセットでこのお値段って、1本あたりいくらするんだよこれ……。
磨きに磨き抜いた究極の獺祭を味わえただけでなく、磨きごといろいろな種類の獺祭をゆっくり味わうことができたすばらしいイベントでした。これからも日本酒の王道たる王道の獺祭を普段も堪能しつつ、来年もイベント告知と同時にきっちり申し込みたいと思います。興味ある方は年明けにホームページチェックしておけば、告知から数日程度であれば十分に申し込みこめるので、カレンダーにでも登録しておいてくださいませ。
旭酒造のホームページで公式のレポートもあがっていたのでこちらもどうぞ。しかしあの「磨きその先へセット」買った人いたんだな……。
獺祭の蔵元|旭酒造株式会社
http://asahishuzo.ne.jp/info/report/item_1686.html