プロとアマの境界線を聞きに行ったら「超一流以外はアマ」という区分だったでござる

※この記事は5年以上前に書かれたため、情報が古い可能性があります

もうタイトルで以上な感じですが、昨日は下記URLのイベントに行って参りました。

東京編集キュレーターズ : 第4回テーマ「うまい編集ってなんだ?プロとアマの境界線
http://tokyo-edit.net/archives/25455733.html

以前まではWebニュース媒体で編集記者として働き、今もちょこちょこ原稿書いたりしている私ですが、最近ではNAVERまとめを代表とするまとめ系コンテンツや個人でもメディアを運営できるブログメディアの登場により、プロとアマの違いというのがちょっとわかりにくい状況に。さらに文章においても推敲しないとって出し文章がいいのか、きちんと編集された文章がいいのかみたいな議論もちょこちょこ起きており、そういう点でこの「プロとアマの境界線」は非常に良い議題設定だなーと思い、下北沢のB&Bまでお出かけしてきました。

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今回のゲストは佐渡島庸平さん。週刊モーニング編集部で「バガボンド」「ドラゴン桜」「働きマン」「宇宙兄弟」などヒットどころか大ヒット作といっていい作品を手がけてきたプロ中のプロ。現在は講談社を退社し、作家のエージェント会社「コルク」を立ち上げています。コルクについては下記インタビューも参照のこと。

コルクの船は世界へ漕ぎだす??佐渡島庸平インタビュー|古賀史健|cakes(ケイクス)
https://cakes.mu/series/512

今回は話を聞きつつ自分でもしっかり考えたかったので、内容をメモで細かく取らずトークに集中していたためイベントの書き起こしはlivedoor NEWS編集部あたりに期待するとしつつ、全体を通して話のテーマは「プロとはなんぞや」という話。編集者は作家の鏡である、作家の助けになることはなんでもやる、1対1でひたすらに向き合うからこそ編集者は作家の能力を引き出せるみたいな、超一流のプロの話ばかり。

確かにプロはそうあるべきというすばらしいお話なのですが、すべての編集者がそこまでの高みに上れるのだろうか、そうした才能ある編集者以外は駆逐されていく存在なのだろうかという疑問が沸き、「超一流以外はアマ」なんていう核心に近づいた言葉もいただきながら「読者モニターみたいな編集システムが登場したら編集者ってどうなるんでしょうか」的な質問をしたところ、「そもそも編集者が必要なプロなんて100人ぐらいしかいない」という回答が導き出され、「ああ、なるほど今回は徹底して超一流のプロについてのお話だったのだな」とすべてが腑に落ちたイベントでありました。

話としてもプロの編集者はかくあるべしという点で大変にすばらしいお話だったのですが、前述の通り話の内容は超一流のプロによるプロ視点のお話であって、超一流以外はすべてアマ、という点での境界線は引かれたものの、職業としてのプロである編集者と、ユーザー主導によるアマの編集、という議題設定にはちょっとそぐわなかったな、というのが結論。

そういう意味では話の理論も矛盾なく一貫したすばらしい講演であったのですが、求めていたお話と違うという点で若干の消化不良でした。なんというか、バイキング料理食べにいったら一品料理しかなくて、でもそれがすんごいおいしいクオリティなんだけど「あれ、俺バイキング食べに来たんだけど、でもこれはこれでおいしいし、むむう・・・・・・」みたいな。

全体的に佐渡島さんの話を田端さんがひたすら受ける形だったので、もう少し田端さんがあくまで議論の中において仮想アマ側としての質問をなげかけるか、もしくはアマ編集側の人をもう1人登壇してもらい、田端さんは進行に徹するか3人で議論する鼎談(ていだん)方式にしたほうがよかったのかなと思いました。

あと、あらためて思ったのはイベントメモもいいんだけど、やっぱりちゃんと話に集中すると見えるものも聞こえるものも違いますね。僕がイベントのメモをアップする理由は、Twitterで140文字ずつ分割しながら書いていく中継よりは1つのテキストで書き起こすほうが遙かに読みやすいよねというTwitter中継に対するアンチテーゼと、せっかくの面白いイベントがパブリックに残らないのはもったいないという思いだったりするのですが、改めてその行為が「運動会でひたすら子供をビデオで撮り続けるあまり、しっかり子供の姿を記憶に残せていない」みたいな状況になっているなと思いました。

そういう意味ではNAVERまとめやU-NOTEみたいな存在がどんどん登場してイベントをテキスト面でもサポートしつつ、しっかり聞くことに集中できる環境が生まれつつあるのはすばらしいことですね。もうこういうイベントは書き起こし系サービスとタイアップして、イベント自身が「書き起こしやるからしっかり話に集中していいよ!」って前置きしてくれるくらいになってもいいくらい。というわけでlivedoor NEWS編集部の書き起こし楽しみにしております。


プロとアマの境界線を聞きに行ったら「超一流以外はアマ」という区分だったでござる” への2件のフィードバック

  1. 一部の際立って特異な傾向を示す人達とそれ以外なんて分けておしまいってことは
    分類に関してはアマチュアなんでしょうね

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