スペックが横並びとなりつつある昨今のスマートフォン業界において、虹彩認証とTransferJetという2つもの世界初を搭載した「ARROWS NX F-04G」。
とはいえ世間的には「目で見てロック解除」という近未来感あふれる虹彩認証に注目が集まっておりますが、どっこい個人的にはTransferJetこそがもっとも注目かつ期待していた機能です。
TransferJet|富士通|ARROWS NX F-04G スペシャルサイト
http://atfe.fmworld.net/at/arrows_sp/2015_sum/function_transferjet/
USB並みの高速転送をワイヤレスで実現するTransferJet
TransferJetとはそもそもどんな機能かといえば、「超高速でファイルをワイヤレス転送できる規格」です。スマートフォン初搭載ということでとても新しい技術のようにも思えますが、実はTransferJetは7年前の「2008 International CES」が最初の発表。2008年といえば世界初の商用Androidスマートフォン「T-Mobile G1」が発売された年でもあり、歴史だけで見ればAndroidとほぼ同じくらい前から存在する技術なのです。
Sony Japan | ニュースリリース | 新たな近接無線転送技術「TransferJet」を開発
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200801/08-002/index.html
ファイルをワイヤレスで転送するだけなら無線LANでもBluetoothでもできるのですが、TransferJetがすごいのはそのスピード。上記のリリースにもある通り、TransferJetの転送速度は理論値で560Mbps、実効速度でも375Mbpsというとんでもないスピード。たとえばUSB 2.0は理論値こそ480Mbpsですが、実効速度は速くてもだいたい40MB/s程度、Mbpsで表記すると約300Mbps程度となり、TransferJetはUSB 2.0を上回る転送速度をワイヤレスで実現できるということになります。
「外付け」が使うまでのハードルだった今までのTransferJet
そんな便利なTransferJetですが、今まではいくつか利用するためのハードルがありました。例えばデジタルカメラでは、ソニーがTransferJet対応のデジタルカメラを発売していますが、利用できるのはTransferJet対応のカメラおよびメモリースティックを組み合わせた時だけ。一時期、TransferJet機能を本体に内蔵することでTransferJet非対応のメモリースティックやSDカードも利用できる「DSC-TX300V」というモデルが発売されたのですが、その後TransferJet「対応」はあってもDSC-TX300Vのように「内蔵」したカメラはほとんど姿を見せなくなりました。
ソニーの新サイバーショット「DSC-TX300V」が気になる – カイ士伝
https://bloggingfrom.tv/wp/2012/02/09/7116
TransferJetのリリース直後はソニーが対応デジタルカメラやメモリースティックを発売していたのですが、最近TransferJetに注力しているのは東芝。2013年冬にAndroidとPC対応のTransferJetアダプタを発売、その後2015年3月にはiOS対応のTransferJetアダプタを発売しています。
PCとスマホの間でファイルを超高速転送できるTransferJetアダプタ買った – カイ士伝
https://bloggingfrom.tv/wp/2014/03/23/12273ついに登場したiOS向けTransferJetアダプタ – ケータイ Watch
http://k-tai.impress.co.jp/docs/column/todays_goods/20150402_695187.html
と、ここ最近になってモバイル向けのTransferJet環境はかなり充実したのですが、実際の利便性という面ではまだハードルがありました。
1つは転送時にUSBアダプタを装着しなければいけないこと。PCであればUSBポートがいくつもあるので装着しっぱなしにもできますが、スマートフォンではアダプタを付けっぱなしにして運用することが事実上難しく、TransferJetを利用するためにアダプタを抜き差ししなければいけません。
そしてもう1つが相性問題。PCやiOSは問題ないのですが、Android向けのTransferJetアダプタは機種依存が激しく、アダプタをせっかく購入しても使えない機種が結構あります。東芝のサイトでは細かく動作確認機種を公開してくれてはいますが、さすがに最新のラインアップまでは網羅できないようで、ARROWSはG型番が掲載されておらず、XperiaですがZ3が動作確認機種にありません。
対応アダプタ 動作確認機器一覧|東芝 Pocket Media
http://www.toshiba.co.jp/p-media/compati/transferjet_list.htm
「内蔵」で一気に便利になったARROWS NX F-04GのTransferJet
便利なんだけど使うには一手間かかる、そんな現状を打破してくれたのが今回のARROWS NX F-04G。TransferJetは内蔵なので動作確認の必要もなく、アダプタをいちいち装着する必要もありません。PCとのやり取りはアダプタが必要ですが、USBポートがいくつもある機種であれば差しっぱなしにもできる。うちではUSBをハブで拡張しているので、拡張したポートにアダプタに装着しています。
実際の転送はWindows側にTransferJetのソフトをインストールしておき、アダプタをPCに装着するだけ。ソフトはこちらからダウンロードできます。
ダウンロードとインストール方法について | 東芝 Pocket Media
http://www.toshiba.co.jp/p-media/transferjet/win_dl.htm
転送時にはWindowsのソフトとNX-04Gのアプリを両方立ち上げた上で、転送したい側からファイルを送ります。Androidから転送する場合はまずWindows側でTransferJetソフトを起動して待機状態に。
次にF-04Gからインテント機能を使ってTransferJetアプリを選択。写真を転送する場合であれば転送したいファイルを選び、画面上の共有アイコンからTransferJetを選びます。
あとはF-04GをPC側のTransferJetアダプタに近づけるだけ。本体のどの部分を近づけると転送できるのかは画面にでるのでわかりやすいです。
一覧の流れを動画にしてみました。こちらの動画は8Mピクセル設定で1ファイルあたり約1.4MB近くある写真5枚をF-04GからWindowsへ転送しています。カメラが追いつかないほど高速に転送が終わってしまいますが、音が鳴ったときがファイル転送完了のお知らせなので、音を聴きながら動画を見ていただけるとどれだけファイル転送が速いのかがおわかりいただけるのではないでしょうか。
今までAndroidで撮影した写真をPCに取り込む時はOneDriveなどのクラウドストレージを利用し、いったんクラウドストレージにアップロードしてからPCでダウンロードを待つ、という方法を使っていたのですが、ワイヤレスで手軽な反面ダウンロードには時間がかかっていました。その点、このTransferJetならワイヤレスな手軽さはそのままに、超高速でファイル転送できる。製品レビューや旅行の写真整理などにも大活躍しそうです。
【本モニター企画について】
富士通の最新スマートフォン「ARROWS NX F-02G」をブロガーが使い倒してブログで自由にレビューする企画です。通信料は各自の負担、モニター後は端末をそのまま使い続けることができるようになってます。