Amazon EchoとGoogle Homeの比較、そして今後の展望

※この記事は5年以上前に書かれたため、情報が古い可能性があります

発売日買いして絶賛愛用しているGoogle Homeに続き、招待なんだか抽選なんだかよくわからない販売方法で絶賛話題を集めているAmazon Echoも、運良く抽選に当たった人のご好意によりなんとか入手。その後のGoogle Home事情も含めて、今のところのスマートスピーカー事情を独断と偏見によりまとめてみます。

なお、先に結論だけまとめておくと、Echoはスキルの多さばかりが喧伝されているけど実用に足るものは少なく、機器連携で言うとGoogle Homeが上。あくまで現状は利便性という点で考えるならEchoよりGoogle Home、だけど両者始まったばかりなのでまだまだ今後に期待すべし、というのが現時点での個人的見解です。

まずはEchoの話題から。本来はEchoが欲しかったのですが抽選招待に漏れて悲しがっていたところに「Amazon Echo plusなら譲りますよ」という悪魔のささやき天からの声が届き、うんうん悩んだけれど後述するPlusならではの機能に期待したことに加え、時間を金で買うという自分を言い聞かせるといういいわけによってPlusを選択しました。

Google Homeとの比較。縦方向にデカい
Google Homeとの比較。縦方向にデカい

250を超えるAlexa対応スキルも実用度はイマイチ

Echoというと250を超えるAlexa対応スキルが公開されていることが注目されており、スキルの多さだけで「Echo最強Googleオワタ」などという声もちらほらと聞かれておりましたが、実際の使い勝手で言うと少なくともそれは半信半疑というところ。なぜならスキルの大多数がニュースコンテンツであり、そのニュースも指定して呼び出すというより「今日のニュースは?」と呼ぶと読み上げられるニュースを取捨選択できるという仕組みなので、ニュースの多さをうまく使いこなせない。

ほとんどのニュースが「今日のニュースは?」呼び出し
ほとんどのニュースが「今日のニュースは?」呼び出し

これが例えば「パソコンのニュースを教えて」といったらPC Watch、「ケータイのニュースを教えて」と言ったらケータイWatchのニュース、みたいなことができたらこのニュースの多さも役立つのですが、いまのところは「今日のニュースは?」で読み上げられるニュースサイトの順番を変えるしかないのと、読み上げるのもニュース本文を合成音声そのまま読みあげるだけなので聞きにくい。

この点、Google Homeはポッドキャストのニュースが再生されるので、聞きやすさはこっちの方が上。コンテンツ数は少ないけれど、ちゃんとした音声コンテンツとして作られているニュースは聞きやすさが段違いです。余談ですがそろそろ「石川温のスマホNo.1メディア」を「なんばーいちめでぃあ」と読むのは勘弁して差し上げて欲しいところ。

Google Homeのニュースはポッドキャスト
Google Homeのニュースはポッドキャスト

Echoでは買い物系のスキルもたくさんあるんですが、果たして音声だけで買い物できる勇者はどれだけいるのだろうか。前回の注文をリピートするくらいの限られたオーダーでないとちょっと怖くて使えない気がします。実際試しに「コーラを買って」を試したら24本注文されそうになったよ……。

個人的に期待していたQrio Smart LockのAlexa連携は、リリースを読むと「鍵を閉める」だけの機能でした。

Qrio Smart Lockが「Amazon Alexa」に対応、話しかけるだけで自宅の鍵を施錠 | Qrio製品情報・Qrio Store | Qrio(キュリオ)
https://qrio.me/article/release/2017/2203/

いや、わかるよ、鍵を開ける機能を提供しちゃって万が一の時に大変になったら困るっていうのはわかるんだけど、「家の中にいて音声で鍵を閉めたい」っていうニーズは正直ないよね……。友達が遊びに来たときに、声でドアを開けてあげる、というなら相当に便利だなと期待してたのですが、本人の利用許諾を十分に得た上で鍵を開ける機能もお願いしたいところです。

そのほか250というスキルをよく見ていくと「山に降る雨」「鳴り続ける雷」みたいな効果音も数十種類くらいありまして、誤解を恐れずに言うならコンテンツ数だけで勝負かけようとした楽天koboはその後どうなりましたっけ感があり、少なくともAlexaの魅力をスキル数だけで判断するのは時期尚早ではなかろうかというのが今のところの所感です。

これもまた1スキル
これもまた1スキル

基本機能である天気や検索、タイマー、アラームみたいなところは一長一短あるけれどさほど違いはない。細かいところで気づいた点では、天気はAlexaだと市区町村より先の地域でも教えてくれるけどGoogleは市区町村止まり、「○○について教えて」はGoogleだと教えてくれないけどAlexaはWikipediaを拾ってくれる、ただしGoogle Homeについては教えてくれない、みたいなところでしょうか。ただこのあたりはほんとに誤差のレベルで、基本機能はどちらも十分のため、ここで大きな差がつくような機能ではなさそう。

Alexaなら細かいエリアまで天気がわかる
Alexaなら細かいエリアまで天気がわかる

機器連携は現状Google Homeが優勢

個人的にスマートスピーカーがスマートたる理由は他サービスや機器との連携なのですが、その点ではGoogle Homeが圧勝。前回ブログにも書いたとおり、Google HomeはChromecast連携することでテレビのオンオフができたり、YouTubeを再生したりという連携ができます。

声でテレビを消せてToDoも登録できるGoogle Homeが予想以上に便利だった – カイ士伝
https://bloggingfrom.tv/wp/2017/10/09/15270

一方、Alexa日本語版は現時点でFire TVシリーズに非対応なのが実に惜しい。とはいえAlexaそのものは英語版でFire TVに対応しているので、日本語版もそのうち対応されるのではないかという期待はあります。Chromecast同様、テレビの電源オンオフにも対応している模様。

Note: For Amazon Fire TV and Fire TV Stick , this requires a connected TV that supports HDMI CEC. With HDMI CEC enabled, Alexa can power on your connected TV and switch to the HDMI channel for your Fire TV using the device’s HDMI connection. To learn more, go to Amazon Fire TV Settings Basics.

Amazon.com Help: Use Your Alexa Device to Control Your Fire TV
https://www.amazon.com/gp/help/customer/display.html?nodeId=202174250&ref_=pe_1840220_248269910

動画配信対応端末の機能としては、他社サービスにも積極的に対応しており、MiracastにもAirplayにも対応しているFire TVシリーズの方が優秀なので、日本語対応を切に望む次第です。

また、動画配信対応端末ではなく赤外線を搭載したリモコンとの連携も各社行っており、Google HomeにはNature Remoが、Echoにはグラモの「iRemocon」、リンクジャパンの「eRemote RJ-3」「eRemote mini」、ラトックシステムの「RS-WFIREX2」が対応を表明。いずれもWi-Fi経由で連携することで、エアコンやテレビの電源、リモコン対応の照明などをオンオフできます。

Nature
http://nature.global/

Amazon Alexaで家電を操作、3社のスマートリモコンが対応 – ケータイ Watch
https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/1090485.html

ただし、細かながらも大きな違いなのが、Google Home対応のNature RemoはIFTTT対応しているのに対し、Echo対応のリモコンはスペックを見る限りIFTTTには対応してない模様。この違いが何かというと、Nature Remoの場合はIFTTTを経由することで「Google Homeに話しかけたフレーズに合わせてテレビのチャンネルを切り替える」というところまで連携できるのです。

手のひらサイズのNature Remo
手のひらサイズのNature Remo
アプリ画面
アプリ画面

実際にはIFTTTをチャンネルごとに作成する必要があるため手間といえば手間なのですが、チャンネルの切り替えも音声でできるのは激しく便利。ただ、どういうフレーズで呼びかけるかは結構こつがあって、「TBSをつけて」と頼んだらTBSラジオがradikoで流れる、みたいな動作してしまうため、今のところ我が家では「テレビでTBS」という呼び方にしつつ、うまく認識できないときのために「テレビで6チャン」みたいなサブワードも設定しています。

我が家のアプレット。もっといいアイディア募集中
我が家のアプレット。もっといいアイディア募集中
クリックで拡大
クリックで拡大

Nature Remo使ってテレビのチャンネルも音声で切り替えたい! という人のために内で作ったアプレットを1つ載せておきます。フレーズはもうちょっとカスタマイズの余地ありですが。

Hueをコントロールできるスマートハブ入り「Amazon Echo Plus」

と、ここまでGoogle Homeばかり推しているように見えますが、最後の最後でEchoのPlusを購入した理由がここで生きてきます。Plusが高いのはEchoの機能に加えてスマートハブ機能を内蔵しており、わざわざハブを買わなくても他の機器と連携できるんですね。

スマートハブと言っても仕様はZigbeeなので対応機種は限られるのですが、現在のところ具体的に対応しているのはPhillipsのスマート照明「Hue」。HueをWi-Fi経由でコントロールする場合、Hueだけではなくスマートハブ機能を持ったHueブリッジという製品を買わないとWi-Fi経由でコントロールできないのですが、これが8000円くらいするんですね。

EchoがPrime割引で約8000円に対してPlusは割引なしの約18000円、差額は1万円なのですがハードを1つにまとめられるならHueのハブ買うよりよかろうと考えたのが、Plusを購入した理由の1つです。

しかしながら譲ってもらったため気がつかなかったんだけど、Plus買う人はHueがタダでついてくるのね……。これ考えるとHue前提の人にはPlusかなりオススメじゃないかと今更気がついたのですが、一番安いHueは3500円くらいなので悔しいのう悔しいのうと繰り返しながら諦めることにします。

【同時購入キャンペーン】

Echo Plusと同時購入でPhilipsのスマート電球(メーカー型番:929001276602)が追加費用なし 規約を読む

Amazon.co.jp: Amazon Echo Plus (Newモデル)、スマートホームハブ内蔵、ブラック: Kindleストア
https://www.amazon.co.jp/dp/B01J4IY8WE
設定は非常に簡単で、Hueを普通のランプと同じように装着したあと、Alexaアプリからデバイスを自動で検索して見つけてくれます。
スマートホームの設定から自動で検出
スマートホームの設定から自動で検出

名前は自由に変えられるので、うちでは「電気」というシンプルな名前にしておき、「電気をつけて」「電気をけして」でコントロール。明るさも「電気を20%にして」というフレーズでコントロールでき、一度設定した明るさはそのままなので、寝室で寝る前にちょっと布団の周りを明るくしておきたい、という使い方をしています。

明るさもパーセンテージでコントロール
明るさもパーセンテージでコントロール

ただ、これはEchoでしかできない話かというとそんなこともなく、Google HomeであればHueと一緒に前述のブリッジを買えばいいので、これを持ってEcho優勢というのも難しいところ。Hueを含めてこれから導入するならスマートハブモデルのPlusを買うのもありかもね、くらいでしょうか。

国内のスマートスピーカー市場は立ち上がったばかり。期待は今後

ここまで一通りEchoとGoogle Homeを比べてみた結果、スキルは数の大きさではなく本当に役に立つスキルがあるのかという点ではEchoは正直そこまでではなく、基本機能は一長一短、機能連携ではGoogle Homeが上、というのが繰り返しながらいまのところの感想です。

とはいえ日本のスマートスピーカー元年はまだ始まったばかり。これまた前述の通り、Fire TVがAlexa対応してくれれば映像サービスはEchoが一気に充実するので非常に期待してます。基本的に動画はYouTubeなChromecastに比べ、Fire TVはプライム・ビデオだけでなくdTVやNetflix、Huluといった他社サービスも幅広く対応しており、我が家でも大活躍しているだけに対応が待ち遠しい。

自社で完結できる範囲でいうならAmazonはやはりショッピングが強いけど、音声だけでのショッピングが果たしてどこまで実用的かというと個人的には利用シーンはある程度限定的にならざるを得ない。一方で音楽や映画、書籍などのコンテンツを一通り持っているのがAmazonの強み、なんだけどスマートスピーカーで使えるのは音楽と映画くらいでさすがに電子書籍は難しそうかな。

一方のGoogleはGmailを初めとするWebサービスが今後どんどん対応していくと面白そう。「こんな感じのメールなかったっけ?」みたいなふわっとした音声検索で該当のメール探し出して受信トレイに表示してくれるとか、そういうサービス面の連携はまだまだ強そうです。とはいえ音楽こそGogle Play Musicがあるけれど映像系が弱いので、その点ではAmazonがまだまだ優勢でしょうか。

どちらにしてもまだローンチして数ヶ月という段階でしかなく、スマートスピーカーは対応サービスが命ということもあってまだまだ本格的な戦いは先になりそう。赤外線やバッテリーなど独自仕様でがんばっているClova WAVEの猛追にも期待しつつ、しばらくスマートスピーカー周りはいろいろといじってみたいと思います。


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