発売日から遅れること約1週間、ようやく入手できたNintendo Switch 2についていろいろ思うところなど。

前モデルSwitchの時は発売日に3台も手に入ったことで根拠のない余裕をぶっこいていましたが、身の回りの目につく抽選予約はほぼ敗退し、ゲームキューブ以降久々に発売日入手ができない任天堂ゲーム機に。まあよく考えたらSwitchの時って抽選じゃなくて先着だったよな……。
任天堂公式の予約のみ購入できる多言語版は当選確率が高かったという話を聞き、それがわかった2回目以降は多言語版の確率も上がるだろうなと思いつつ、2万円という価格差を考えると通常版よりは引き続き確率高いんだろうということで2回目から多言語版に切り換え。それでも2回目は落選したものの、無事に3回目で当選と相成りました。2万円は痛手ではあるものの、この先も抽選落ち続けるメンタルを考えると心の平穏をお金で買ったということにします。これ以降もSwitch 2の抽選申し込んでいるけど全く当たらないものな……。
ハードは進化、ソフトは良くも悪くも変わらないiPhone感
前モデルのSwitchを手にした時は、思ったよりも「Wii Uの後継」だったなという感想でしたが。
Nintendo Switchはやっぱり「据え置き機」だった – カイ士伝
https://bloggingfrom.tv/wp/2017/03/06/15117
今回については当然ながら「Switchの後継」、もうちょっと手にした時の感覚で例えるなら「iPhoneみたいな後継」という印象でした。
これはいい意味でも悪い意味でもあるのですが、ソフト自体はほぼほぼSwitchで、画面だけ見ると新しいところを見つけるが間違い探しレベル。一方で4K対応や取り外しやすいJoy-Con 2、マウスになる新機構などハードレベルは新たな機能を搭載してきたところが、カメラやタッチセンサーなどハードスペックが向上する一方で、OSは新モデル手にしてもほとんど違いを感じないiPhoneのような感覚を覚えたのでした。
ハード面でのブラッシュアップはほんとに素晴らしいの一言。取り外しが面倒だったJoy-Conがマグネットで本当に着脱が楽になったし、すぐにバランス崩して倒れるし何なら外れてどこかへ行ってしまう背面スタンドも安定感がでた。本体サイズは大きくなったけどボタンはむしろ押しやすい。PROコン 2は本体がややコンパクトになって前モデルより使いやすくなりました。そういや細かいけどPROコン2の正式名称は「Nintendo Switch 2 Proコントローラー」であってコントローラー自体は2じゃないのね。
とはいえ良くも悪くも前モデルからのアップデート中心だったハードの新機能の中で唯一と言っていい完全新作のマウスもすごいよい出来。もうちょっとやっつけマウスでオマケレベルかなと思ってたけど思うとおりに動かせるし、ソファーやズボンでも操作できるからリビングでも使いやすい。マウス操作の面白いゲームという点でSwitch 2の新しいソフトが出てくるのも期待できそう。
ユーザー管理は前モデルのまま。多人数利用へのアップデートに期待
一方のソフト面については残念なところも多い。特にユーザー周りがSwitchそのままでアカウント管理が弱いまま。具体例を挙げると家族で複数ユーザーが使うときは、本体共通のパスワードはかけられるけどユーザー個別にパスワードを管理できない。みまもり設定も本体にかかるので、みまもり対象ではない大人がプレイするときもいちいちパスワード解除しなければいけない。新バージョンでこのあたりの改善期待してたのにまんまSwitchだったのはとても残念。
複数ユーザーで言うとSwitch 2に先行して実装されたバーチャルゲームカードは、かなり面白い取り組みだけどこれも複数ユーザーで考えるともう一息惜しい。いままで自分が買ったダウンロードゲームを家族がプレイする場合、「自分のアカウントでログインしておいてネット接続で本人認証」というスタイルだったのですが、結果自分のアカウントで入る必要あるし、自分が買ったゲームがすべて表示されてしまう。子供がいる家庭において、ちょっと子供には見せたくないよな、なんてゲームも表示されちゃうし、こっそり買ったゲームも新着で自動表示されてしまう。
一方バーチャルゲームカードも自分のアカウントでログインする必要はあるものの「自分の持ってるゲームのうちどのゲームを見せるか」を個別に指定できるので、自分の買ったゲームが全部表示されてしまうことはない。自分のアカウントにロックかけておけば勝手にバーチャルゲームカードを追加されることもないので、この仕様自体はなかなか面白いしいい仕組みだと思います。
ただ前述の通りもう一息だなと思うのが、バーチャルゲームカードは2台1組が上限ということ。3台目を追加したい場合、個別にゲームを割り当てることはできず、すでに登録した1台を解除しないといけない。つまりこれ、子供が2人以上いる家庭だとどっちがバーチャルゲームカード設定するかでまあケンカになるよね。
一方で旧来の仕組みもユーザー設定から「オンラインライセンスを使う」をオンにすれば使えるのですが、これは自分で2台持ってる人はいいけど家族に使わせようとすると前述の問題が起きる。バーチャルゲームカードは一度設定すればオフラインでも遊べるメリットはありつつ、オンラインラインセンスはネット接続が必要だけどすべてのゲームが遊べてしまうので、子供が2人いる家庭でどっちがバーチャルゲームカードにするかオンラインライセンスにするかでもひともめしそう。
バーチャルゲームカードを増やしすぎたら不正利用につながる、という懸念もあるんだろうけど、いまの仕様だと家族が多い家庭が不便になってしまう。バーチャルゲームカードは複数台ペアリングできるけどゲームは1台にしかセットできない(兄のゲーム機にマリオカートをセットしたら弟は遊べない)とか、もうちょっと融通を効かせてあげてほしいところです。そもそも低年齢のユーザーが多いゲーム機なので、ペアレンタルコントロールもそろそろしっかりして欲しい。
「10年以上ぶりの新作」だったマリオカートワールド
本体の感想はこのあたりにして個別の感想を。本体発売同時のキラータイトルとして期待されていたマリオカートワールド。これはね、もう待ってましたの一言です。正直オープンワールドとかどうでもいい。マリオカートの新作なのが嬉しい。
というのもですよ、こちとら任天堂ゲーム好きとしてWii Uもしっかり発売日買いし、マリオカート8は全コース星3出すくらいにはやりこんでいるわけですよ。そんな身からすると、Switchのマリオカート 8DXはリメイク以前に同じゲームのやり直しさせられている気分なわけです。
ゲーム自体はほぼ一緒で新しさがほとんどないのに、せっかくWii Uでやりこんで増やしたキャラクターや車も全部リセット。追加コースはあるけど、あれだけ走りまくったいつものコースをまた攻略するのかよという気持ちが重くて、大好きなゲームタイトルではあるのにおそらく一番やりこんでないマリオカートシリーズだったのがマリオカート 8DXでした。
マリオカート 8の発売は2014年。つまりWii Uからのマリオカートファンからしたら10年以上ぶりの新作なわけで、これが楽しみでないはずがない。新コースももちろんなんだけど、細かいアップデートがいちいちバランス良くて、こういう新作をSwitchで出してほしかったぜ……、と今更ながらに思ってしまいます。まあそれだけWii Uのマリオカート 8をプレイした人数が少なかったんだろうけどね……。
細かな改善点で言うとアイテムホールドが自動になっていちいちボタンでキープしなくて良くなったのと、カートやバイクの細かいカスタムがなくなって、キャラクターと車選びというシンプルな構成に。あのカスタマイズ地味に面倒だったのでこのシンプル回帰はとてもいい。DS時代にやりこんでた懐かしのコースが復帰してて、なんとなく体が走り方覚えてたのも楽しかった。
あとはマリオカート 8の無重力がなんというか速く走りたいのにぶつからなきゃいけない操作感にいまいちなじめないままだったのですが、今回は無重力をとっぱらい、その代わりに橋や電線の上に乗る新たなクションが追加。まだこれうまく使いこなせてないんだけど、今までより走りの幅が広がりそうで楽しみ。
24人対戦に加えて新たに追加されたサバイバルモード。CPU戦だと単調なんだけどオンラインでやるとめちゃくちゃカオスで楽しい。友達とプレイするときはこっちのほうがもりあがるんじゃないかな。人数こそ違うけどスプラトゥーンみたいなわちゃわちゃカオス感があっていい。
50ccはさくっと星3つ取って100ccの星3つ集めているくらいの段階ですがいまのところ不満がほとんど無い。歴代のいいところしっかり集めてアップデートした良作だなと思います。まだあんまりオープンワールド堪能してないのでそっちで不満出てくるかもだけど。
マニュアルに振り切った仕様が逆に楽しい「ひみつ展」
スーパーマリオワールドと並びローンチタイトルとして発売されたのが「Nintendo Switch 2 のひみつ展」。Wiiあたりから普通のゲーム機とはちょっと違う操作や体験を持ち込んできた任天堂の据置きゲーム機は、「このゲーム機はこうやって遊ぶんだよ」というマニュアルのようなソフトをローンチタイトルにおいてきました。Wiiの頃は「はじめてのWii」「Wii Sports」、Wii Uは「ニンテンドーランド」、そしてSwitchは「1-2-Switch」で、その流れを汲むのがこの「ひみつ展」だと思いますが、ゲームよりもマニュアルを優先したこのゲームシステムが思ったより楽しい。
基本的にはSwitch 2の新しい機能やこだわりの機構をただただ紹介するソフトなのですが、ちょっとしたスタンプラリー機能入れてみたり、新しい機能を使ったミニゲームでHD振動2やマウスなどを体験できるのがなかなかに楽しい。1-2-Switchの時は新しいゲームに拘りすぎて肝心のゲーム性がいまいちというか、言葉を選ばずに言えば只のパーティーゲームだな、みたいなのが多かったのですが、ひみつ展はすがすがしいくらいマニュアル感を出した結果むしろコンテンツとして「新ハードの面白さ」を伝えることに成功していると思う。
とくにいいなとおもったのが60FPSと120FPSの見比べゲーム。どっちも十分きれいなので単体で見ると意外とわからないんだけど、これを比べて違いを見極めるというコンセプトがもう面白い。新しい技術をゲームに落とし込んで体験できるのなかなかに楽しいです。
スマホ連携にWii Uを感じたゼルダのSwitch 2アップデート
ゲームとしての新作ではないものの、Switch 2専用のアップデートが提供されたゼルダもプレイ。スマホ連動のナビシステムが結構楽しくて、ほこらめぐり途中で飽きちゃってたんだけどナビシステムメインでまた楽しくプレイできそう。
というかこれ、ある意味Wii Uでやりたかった2画面ゲーム、コンパニオンゲームだよなあ。Wii Uは本当に斬新で好きなハードだったのですが、2画面の良さを出すのが難しすぎた結果、Switchでは2画面ではなく1画面に特化することで大成功を収めるわけですが、Wii Uだからこそ面白かった2画面ソフトの体験も強烈にあるだけに、任天堂がスマホを使ってこういうコンパニオンゲームもっと増やしてくれるといいなと思います。時間があったらWii Uの2画面ゲーム名作3選みたいなエントリーも書きたい。
サードパーティーの映像出力は軒並みNG。今後の対応機種に期待
公式ではない映像系機器との接続でいうと、いまのところ公式ドック以外の出力はだめっぽい。Switch時代にGENKIのSwitch用ドックを使ってディスプレイ出力していたんですが、Switch 2は動作しませんでした。
Switchドックが1/10に!遊びにも仕事にも万能すぎるGENKI Dock|マクアケ – アタラシイものや体験の応援購入サービス
https://www.makuake.com/project/genki_dock/
また、最近買って大変に愛用しているARグラスのXreal Oneも、周辺機器のXreal HubとモバイルバッテリーでSwitchは動作したのですが、Switch 2では動作せず。モバイルバテッテリーはドックと同じ60W出力できる製品使ってもダメでした。Xreal Oneでプレイできるととてもありがたいので、モバイルバッテリーでプレイできるやり方が見つかること期待しています。65W出力とか100W出力とかだったらいけたりしないだろうか。
Switch 2の目玉機能であるビデオチャットはまだ買ったばかりなので未体験。とはいえ周りでもちょろちょろと買えている人いるので、近日中に希望者集めてビデオチャットも体験してみたいと思います。
「2」ならではの着実なアップデートでシンプルに「面白いゲーム機」へ
売れに売れた前モデルSwitchの販売台数は発売初月に全世界で274万台だったのに対し、後継たるSwitch 2は発売からたった4日で350万台を突破。1カ月だともっと数字が伸びそうでどえらいハードになりそうです。
Switchの改善点を細かく潰してアップデートし、他のゲーム機ともマルチでソフトが出せるよう4Kにも対応したことでゲーム機として隙が無くなったSwitch 2。面白みがないという人がいるかもしれないけど、ゲーム機としての円熟味を感じさせる新ハードでもあります。
振り変えればWiiもWii Uも本当に面白い試みのゲーム機だったんだけど、面白すぎてそのスペックを本当に活用できるのが結局任天堂だけだよね、みたいなことになってサードパーティーが広がらなかった。Wiiリモコンは英断だったけど、結局普通のゲームコントローラが欲しい人向けにクラシックコントローラが発売され、Wii UのGamePadは2画面ならではのゲームには最高にいいコントローラだけど、普通のゲームやるにはさすがに重たすぎて結局クラコン使うことになってしまった。
その点で1画面に回帰し、新機軸であるJoy-Conも「単にコントローラが2つになるだけ」というシンプルに割り切ったSwitchは結果として「普通に面白いゲーム」がたくさん出てくるようになった。あまりに尖りすぎた環境だとそこで才能出せる人も限られるよな、という人生の学びみたいなところもあります。
Wii Uの尖りを落として「据置き機と携帯機の融合」に注力したSwitchのスペックでの物足りなさを着実に潰してきたSwitch 2は、ゲーム機としての新しさはそこまでないかもしれないけど、本質である「面白いゲームをプレイする」ゲーム機として素晴らしいアップデートの次世代機であり、だからこそ任天堂としても珍しい「2」というゲーム機のナンバリングなんだろうな、ということを実感しました。
ただ繰り返しながらソフト面が前世代のままなので、このあたりアップデートでどこまで改善できるのか、してくれるのかも、新たなタイトルで遊びながら期待したいところであります。