NXという謎の型番の頃から期待し、これまでの数々のプレゼンテーションですっかり魅了されていたNintendo Switch。無事発売日購入できて数日遊んだ最初の所感などを記しておきたいと思います。
「携帯ゲーム機」ではない、「Wii U後継」だったSwitch
発売前までは据え置き機なのか携帯機なのか位置付けが微妙、という印象のあったSwitchですが、実際に体感してみて痛感したのがやはりこれは任天堂の言うとおり「持ち運ぶこともできる据え置き機」であって携帯機ではなかった。
まず携帯機として見るとサイズが大きすぎる。本体だけならさほどの大きさでは無いけれど、両サイドにJoy-Con装着すると横幅はWii UのGamePad並み。数値で比較するとGamePadの横幅が255.4mm、Joy-Con取り付け時のSwitchが239mmなので、GamePadより若干小さいくらい。ちなみに横幅大きめの携帯ゲーム機であるPlayStation Vitaの横幅が183.6mmなので、横幅だけで50mm以上の違いがあることに。
で、実際に持ち歩いてみたけれど、かなり大きめのダウンジャケットでもポケットに入れるのは厳しいサイズ。鞄に入れるにしてもケースにいれないとアナログスティック周りが不安すぎる。Vitaもアナログスティックあるので同じように見えて、Vitaのはサイズが小さい分多少ポケットにいれてもなんとかなるんだけど、Joy-Conのスティックサイズは壊れないか不安になる。
バッテリーも全然持たず、ゼルダやってると1時間くらいで1/3は消費している。どこかで聞いた「ゼルダはバッテリーで3時間くらい」ってのは確かにそんなものかも。携帯機として使うにはちょっと心許ないバッテリーです。
また、実際に携帯機として家庭内に複数台Switchが存在したとするとこれは運用に困ることに。ゲーム機の数だけテレビやディスプレイがある家というのもそうはないだろうから、テレビでプレイしたいときはドックの取り合いになるし、ドックの設置場所も大変。もちろん複数台運用が不可能というわけではないけれど、現実的には1つの家に1台、というのがSwitchの理想的な運用形態ではないかと。
実際にプレイして感じたのは、これWii Uでやりたかったことのリメイクなんだなと。本体とコントローラが一体化されているとはいえ、テレビ画面でプレイしたものをコントローラでもプレイする、という体験はWii Uそのまま。もちろんGamePadに比べると横幅は同等ながら重量は軽くなって本体もスリム化しているので取り回しは楽になっているものの、本体デザインが違うことを除けばやっていることはほぼWii Uだった。
これは以前にもブログで書いてたのだけれど、Wii Uの2画面は「テレビと同じゲームをコントローラでプレイする」「2画面ならではのゲームを実現する」という2匹の兎を狙った結果、何ができるゲームなのかが曖昧になってしまった感がある。その点Switchは「2画面ならでは」を省略し、「テレビと同じゲームを持ち歩き時でもプレイできる」という方向に割り切ったことで、Wii Uよりもコンセプトがわかりやすくなった感がある。
とはいえWii Uの場合はWiiリモコンを切ってしまったにもかかわらず、結局他のゲームでWiiリモコンも必要だったりと方向性がいまいち定まっていなかったのに対し、SwitchはJoy-Conを使えばWiiリモコン的なこともしっかりできる、WiiとWii Uのおいしいとこどり、というハードウェアに仕上がっています。とはいえこのいいとこ取りが後述する課題にもつながるのですが。
タッチスクリーンなのにゲームに使わないのはもったいないなあという思いもあったけれど、実際に使ってみるとこれはこれでありというか、タッチ操作できるときは多少便利になるよ、くらいの落としどころは結構シンプルでわかりやすい。Windowsのタッチ対応モデルを使っている人なら、「普段はキーボード操作、画面スクロールや拡大はタッチ」という使い分けが便利だということがわかる通り、Switchのタッチも「文字操作やスクロールに使うと便利」というくらいでちょうどよかった。ただまあタッチスクリーンについては今後タッチ専用ゲームとかの可能性もあるのでまだ結論は保留ですが。
周辺機器に見るSwitchの理想と現実
据え置きと携帯の住み分けについては実際に使ってみて納得した一方、周辺機器周りは結構なちぐはぐ感を感じる。結論からいうとこれ3万円を超えないというプライスキャップの中でなんとか落としどころを見つけた結果なんだろうなと感じた。
例えばTVモードと携帯モードの使い分けでいうと、携帯モードはさほどバッテリーが持たないのでこまめに充電しないといけないものの、ドックに装着すると携帯モードで遊べないのでJoy-Conを取り外してJoy-Conグリップに取り付けなければいけない。じゃあTVモードだけで遊んでればいいかというと、Joy-Conグリップには充電機能がないので、Joy-Conのバッテリーが切れないよう、こまめに本体に装着して充電しなければいけない。
では携帯モードで充電しながら遊べばいいかというと、充電用のType-Cはドックの内側に収容する仕組みになっていて、取り外しも若干手間がかかる。また、ドックの仕様上仕方ないのですがType-Cコネクタが本体下部にあるため、Joy-Conを本体から外し、本体はテーブルの上に置いて遊ぶ「テーブルモード」中は充電ができないという、どのプレイスタイルでも課題が残る仕組みに。
TVモード時の問題を解決するためにはJoy-Conグリップに充電機能を搭載しつつ、Joy-Con用に電源アダプタをもう1つ用意すれば解決。Wii Uは実際本体とコントローラ用にアダプタがあったわけだし。Proコンのような専用コントローラを同梱してもよかったのかもしれないけど、Switchのよさを損なってしまう可能性もあるのでここはJoy-Conグリップの充電対応のほうがいいかな。
で、それを解決するために周辺機器の「Joy-Con充電グリップ」が別売されていて、この充電グリップは専用USBケーブルも付属するので、携帯モードのままでも充電できそうなのですが、これが同梱されないあたりがコスト面で苦労したのかな……。充電グリップは2480円ですがJoy-Conグリップは単体発売されていないので価格差がわからず、とはいえLEDや通信機能も搭載しているのでそこまで安くはないと思われるのですが、その差分を削るほどに価格設定厳しかったのかな。
【追記】
知人に指摘いただいたのですが、Joy-ConグリップはLED機能がついているわけじゃなくて、Joy-ConのLEDをうまいこと表示しているだけなのね……。ますます電気的機構がないので原価はお安いんだろうな。
ちなみにJoy-Con充電グリップは発売前から大人気であり、Amazonでは大変に高騰していることもあってリンク先はマイニンテンドーストアにしておきます。
Joy-Con充電グリップ | My Nintendo Store(マイニンテンドーストア)
https://store.nintendo.co.jp/category/ACCESSORY/HAC_A_ESSKA.html
「1人プレイ」に物足りなさを感じるローンチタイトル
ローンチタイトルの看板であるゼルダについてはすでにエントリーしているのでファーストインプレッションはそちらをご覧いただくとして。
「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」ファーストインプレッション | カイ士伝
https://bloggingfrom.tv/wp/2017/03/05/15101
1-2-Switchはいろいろ惜しい。ゲーム自体は面白いんだけど、最初にプレイできるゲームが少なくて、プレイを重ねると実績解除ですべてのゲームがプレイできる、という仕組みはある程度わかっている人でないと理解できないし、最初にできるゲームだけで飽きる人も出てしまいそう。すべてのゲームを動画で説明するくらい説明重視なのに、ゲームをプレイし続けるとゲームが増えるという説明がないのは実に惜しい。
また、パーティーゲームとしては非常に盛り上がるんだけど、Wii Sportsのように1人でひたすらプレイし続けるゲームがないのも惜しい。複数人でプレイする楽しさを伝えたいのはわかるんだけど、Wii Sportsは「1人でも楽しいけど対戦はもっと楽しい」だったのに対し、1-2-Switchは「2人でしかできない」という差があって、結果として1人プレイでじっくりやるときに起動されなくなってしまう。
一方、ゼルダは面白いんだけど大作過ぎて万人受けとは言いがたい。Wiiの場合はゼルダもあったけれどWii SportsもあってはじめてのWiiもあっておどるメイド イン ワリオもあった。Wii Uはマリオもあったしニンテンドーランドで1人でも楽しめたのですが、Switchのローンチは「1人で楽しむ」ときの選択肢がちょっと厳しいかな。サードパーティーのもリメイクだったり複数人数プレイ前提のものが多いし。ドラクエヒーローズI・IIはいいんだけど、もうPSでクリアしちゃったしな……。
ちなみに隠れたローンチタイトルの名作として評価高いのが、ダウンロード専用の「いっしょにチョキッと スニッパーズ」。2人でやるとそのもどかしさでわーわー楽しめるし、1人プレイだとじっくり考えながらプレイできる。ひとまず体験版でだいたいのことはわかるので、Switch買った人はとりあえずインストールしておくと良いと思います。
いっしょにチョキッと スニッパーズ | Nintendo Switch | 任天堂
https://www.nintendo.co.jp/switch/baawa/index.html
ゲーム機としては大変満足。周辺機器とラインアップ拡充に期待
いろいろ書いてきましたが、実際に手に取ることでSwitchがどんなゲーム機なのかの体感はだいたいできたし、そこに大きな不満はなし。Wii Uの課題を解消しつつ、Joy-Conを活用すればWiiリモコン的な楽しみ方もできる。何より最初からコントローラが2つあるというのは、Wii的な遊び方を提案する対戦ゲームの拡充が大きく期待できるところ。
とはいえ初期状態の周辺機器ではSwitchを満足に遊べないのでいろいろと周辺機器が必要。Switch使い込むなら充電グリップは必需品といっていいというか、これモデルチェンジのタイミングで同梱されるんじゃなかろうか。あとはテーブルモードで充電しやくなるアタッチメントとか出るといいですね。本体下部に取り付けてUSBの向きだけを変えるアタッチメントとかどうだろうか。
ラインアップについては今まで以上に物寂しいですが、発表から発売までの期間を考えると現状しかたないところかも。夏発売予定のスプラトゥーン2までにARMSやマリオカート8デラックスでどこまでつなげるか、が鍵でしょうか。個人的にもう1回マリオカート8買うのは微妙なので、マリオカート8購入者向けの割引も検討いただきたいところです。
あと地味にウルトラストリートファイターII ザ・ファイナルチャレンジャーズが楽しそう、なんだけど、Switchのアナログスティックで昇竜拳出せる自信がないぞ……。
CAPCOM:ULTRA STREET FIGHTER II The Final Challengers 公式サイト
http://www.capcom.co.jp/usf2/