新鮮なホヤをさまざまな料理法で食べまくれる #ホヤナイト でホヤ充してきた

※この記事は5年以上前に書かれたため、情報が古い可能性があります

募集開始と同時に申し込み、当日を楽しみにまっていた「ホヤナイト」、予想以上に楽しくおいしく、そしてホヤのポテンシャルを目の当たりにした一夜でした。

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ホヤナイトというイベント名から公的機関とか団体の開催するイベントに思われるかもしれませんが、イベント自体は新鮮なホヤのおいしさに目覚めるも、毎年大量のホヤが食べられずにそのまま廃棄されているという事態を知ったWADA-blogのわださんが2年前から始めた個人主催のイベントです。

若洲公園キャンプ場でホヤナイト開催
https://wadablog.com/event/post-169.php

最高に新鮮な絶品ホヤを君はもう食べたか?〜「ホヤナイト2017」をYahoo!ロッジにて開催
https://wadablog.com/event/hoyanight2017.php

元々珍味的な味が割と好みであり、ホヤも日本酒のアテとして大好物だった自分にとって憧れのイベントだったのですが以前のイベントは日程の関係で参加できず、今年は開催の告知を見た瞬間に申し込みを完了、無事にホヤ尽くしを堪能して参りました。

生産しても8割が廃棄されるホヤの現状

たのしおいしかったイベントレポートに入る前に、なぜそんなにホヤが大量廃棄されているのかという話から。当日いろいろとお話を伺って知ったのですが、ホヤは日本を代表する珍味の1つであるものの、国内生産の8割を占める宮城県のホヤの水揚げ量のうち、その7〜8割はキムチの具材として韓国へ出荷されていたんだとか。

(韓国にはたくさん出荷されてるけどキムチとして使われるのはごくわずかで、ほとんど生食で食べられるとの解説をいただきましたので修正)

ところが2011年の東日本大震災の影響を受け、原子力発電所の事故による汚染水流出問題に対する措置、を理由として、韓国が2013年からホヤの輸入を全面的に禁止、そのためせっかく作った大量のホヤを廃棄せざるを得ない状況に陥った、ということのようです。

そのあたりの詳細はこちらの記事をご覧下さい。

韓国の禁輸が解けねば、今年もホヤが大量廃棄に:日経ビジネスオンライン
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/15/279177/031600017/

韓国の輸入禁止が解除されれば無問題なのかもしれませんが、そんな他力本願な状況をただ待つわけにもいかず、いまは国内需要の拡大を積極的に図っているとのこと。その甲斐あってか国内の需要は伸びているようですが、それでも震災前の生産量にはまったく届かず、今年は焼却処分こそ免れたものの生産調整で大幅に生産数を落として対応するようです。

養殖ホヤ今季生産調整 宮城県漁協方針焼却処分を回避 | 河北新報オンラインニュース
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201802/20180210_12052.html

料理のバリエーションも豊富、日本酒以外にもよくあうホヤのポテンシャル

そんな背景もありつつ、ホヤはおいしいという純粋な魅力を伝えるために開催されたこのイベント。20名程度の定員が告知から1日を待たずに満員御礼となった人気ぶりでしたが、開場から閉場まであますところなく堪能してきました。

入り口では謎の怪獣がお出迎え。

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これはデザインがホヤにしか見えないというウルトラマンコスモスの怪獣ラグストーンのソフビだそうです。

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円谷プロウルトラ怪獣シリーズソフビラグストーン 2001年版全高約16cm

ちなみに検索してみるとウルトラマンにしか見えないホヤ、その名も「ウルトラマンホヤ」というのもいるそうで、ホヤとウルトラマンは割と関連深いのかもしれませんね。

ウルトラマンホヤ(俗称) おきなわ図鑑−沖縄の水中生物図鑑
http://okinawa-zukan.com/o_Clavelina_diminuta.htm

そんな余談はさておき、会場には前日夕方に氷詰めして直送された大量のホヤ。魚屋さんなどで売っているのをときおり見かけることはあったけれど、これだけ大量のホヤを見るのは始めてです。

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手に持つとそのおおきさがよくわかりますが、かなり大ぶりなホヤ。今年のホヤは身が詰まっていてとてもいいデキだそうです。

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仕入れたホヤは全部で11kg。これだけ鮮度のいいホヤを直送してもらえるなんてさぞかしお高いんでしょう……、と思っていたけど、かかった費用は送料込みで7850円と、1kgあたり700円ちょっととのこと。

今回ホヤを提供してくれた山内鮮魚店のWebを見ると、要は送料が1200円固定で、ホヤが1kgあたり600円という計算式のようです。1kgでだいたい46個くらいのホヤが食べられるということ、東北から東京への送料はそもそも高いことを考えると、これ相当リーズナブルなお値段ですね。

【送料込み】三陸産 殻付生ほや |ホヤの通販なら山内鮮魚店
https://www.yamauchi-f.com/fs/yamauchi/hoya/karahoya

まずは新鮮なホヤのさばき方を実演していただきます。ちょっと趣向を凝らしてタイプラプスで撮影してみました。

さばき方をテキストで補足すると、ホヤの突起物はプラスマークに見えるものとマイナスマークに見えるものがあり、プラスのほうは入水管、マイナスのほうが出水管で排泄物が出る口になっています。

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まずはプラスのほうを包丁でそぎ落とし、出てくる汁はおいしく飲めるので別にとりわけ。その後マイナスのほうをそぎおとし、こちらは排泄物なので中の水分を捨ててしまいます。

その後根っこのような部分を切り落とし、最後に内側から外側に向けて1カ所切り落としたらあとはぺろりと綺麗に皮を剥がすことができます。より丁寧なさばき方は、ほやの認知向上と消費拡大を目指して立ち上がったというほやほや学会公式の動画をあわせてご覧下さい。

こちらが綺麗に切り分けられたホヤの刺身。こんなに大ぶりのホヤは初めての体験でしたが、味わいも初めてに近いおいしさ。ホヤってもっと潮の香りが鮮烈で、それゆえにどっしり系日本酒との相性が最高、と思っていたのですが、このホヤはそういう潮くささみたいなものがほとんどなく、肉厚でプリプリとしていてすごくうまい。新鮮なホヤってこういう味なのか……、と目からうろこでした。

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こちらは根っこのような部分を切り取った、通称「へそほや」。こちらのほうがホヤのうまみが凝縮されていて通にはたまらないみたい。

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やっぱりホヤは日本酒と合わせたいよね、ということでお気に入りの太陽を持ち込み。一番好きな酒と言われるとやっぱりエースの而今なのですが、一番人に勧めたいお酒という意味では自分ランキングナンバーワンにうまい酒です。

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こちらの紹介もちょこっとだけ。いわゆる熟成古酒でちょっと茶色い色がついた日本酒なのですが日本酒が苦手という人も、洋酒が好きな人にも好まれる、飲みやすくもしっかりした味わいが特徴的なお店。なかなか見かけることもないとは思いますが、興味ある人は通販もやっているのでお試し下さい。ちなみに都内では大塚の有名酒店「こだま」が太陽を唯一取り扱っている酒屋だそうです。

秘蔵酒 純米「太陽」 720ml | 太陽酒造株式会社
http://taiyoshuzo.sunnyday.jp/%e7%a7%98%e8%94%b5%e9%85%92%e3%80%80%e7%b4%94%e7%b1%b3%e3%80%8c%e5%a4%aa%e9%99%bd%e3%80%8d-720ml-3/

本題に戻りましていろんな薬味でホヤの刺身をアレンジ。新鮮で癖がないといっても完全にないわけではなく、こういう薬味と合わせることでその癖もうまくおいしさに昇華しています。みょうがもよかったけど大葉との組み合わせが実に絶妙でした。

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そしてびっくりしたのがホヤのカルパッチョ。ホヤといえば日本食、合わせるのは日本酒という既成概念をぶち壊すような洋風の仕上がりで、いい意味でホヤっぽさがなく、知らずに食べたらこれ外国の料理としか思えない。大の日本酒党である自分ですら、これは白ワインと合わせたくなりました。ホヤのポテンシャルおそるべしだな……。

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そしてこちらはホヤの燻製。とれたてのホヤを半分に切ってそのまま燻製したもので、大きかったホヤが燻製するとここまで縮んでしまうことに驚き。

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皮を手でぺろりと剥いていただきます!

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燻製にしたことでチーズっぽさが出つつ、新鮮なホヤのうまさも閉じ込められていてこれはうまい! 刺身と違って鮮度もそこまで気にしなくてすむお手軽さも嬉しい上に、この量で540円は安すぎやしないか……。

ほや燻製 (殻付燻製ホヤ)|ホヤの通販なら山内鮮魚店
https://www.yamauchi-f.com/fs/yamauchi/hoya/smoked_hoya

新鮮でもうまいのに燻製にして長期保存用にしてもうまいという、いままで自分が知っていたホヤはなんだったのかという思いが何度も胸中を去来するイベントでした。

こちらはホヤの酒蒸し。燻製と同様にきゅっと縮まりつつ、して火を通すことで刺身とはまた違った旨味があってこれまたうまい。これはもう日本酒があいまくるやつや……!

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ホヤといえば定番とも言えるホヤ酢。さっぱりしていておいしいのはもちろんだけど、新鮮なホヤの存在感がすごい。今まで食べたことあるホヤ酢とは別物です。

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こちらはホヤとトマトの冷製カッペリーニ。カッペリーニはパスタの中でも素麺のごとく細いタイプのパスタですね。ホヤの黄色とミニトマトの赤が見ていて綺麗なだけでなく、濃厚なホヤの味にさわやかな酸味のミニトマトが相性抜群。細麺大好きなこともあり、これは夏場にすばらしいレシピでした。

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イベントで1、2を争ううまさだったのがこのホヤのアヒージョ。とりあえずなんでもアヒージョにしてみました系の料理とは一線を画す、アヒージョにしたからこそうまい! と思えるしあがり。知らずに食べたらホヤとはわからないような洋風にしあがっていて、これまたワイン片手に堪能したくなる味でした。カルパッチョもそうなんだけど、ホヤとオリーブオイルは相性がいいんだなあ。

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最後はホヤの炊き込みご飯で締め! ホヤの風味がしっかりご飯に伝わってこれもうまい! ホヤの味がダイレクトにご飯に伝わるので、ホヤが苦手な人だとちょっと厳しいのかもしれないなと思いましたが、逆に言えばホヤ好きにはたまらない最高の炊き込みご飯でした。

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ホヤと言えば塩辛、ホヤといえば日本酒という固定観念をあっさりとぶち壊し、ホヤのポテンシャルを大いに感じた1日でした。さばき方もうまくやらないと水がブシャーっと飛び出してしまう危険性はありつつ、手順としてはさほど難しくないので、数kgくらいお取り寄せしてホヤパーティーしてみたくなりました。

そして通販はハードルが高いという人への朗報として、2018年7月5日、つまりこのブログが公開された日から3日間に渡って、JR上野駅中央改札付近にある「のもの」で、今回ホヤを提供してくれた山内鮮魚店の山内さんが参加する宮城産直市が開催されます。

のもの > のもの上野店:JR東日本
https://www.jreast.co.jp/nomono/ueno/

さすがに新鮮なホヤの刺身を買えるわけではないですが、刺身と並ぶくらいうまかったホヤの燻製も買えるそうなので、上野を通る人はぜひ足を運んでみてください。私も期間中せっかくなのでホヤはもちろん、ホヤ以外の食べ物も目当てに行ってみたいと思います。

最後にイベント主催者である和田さんの言葉をお借りして、このブログを見てちょっとでもホヤが気になって試してくれる人がいれば嬉しいなと思いつつ締めたいと思います。

「ホヤは臭い、まずい、自分には無理」

そう思っている人が、世の中にはたくさんいます。好みの問題だけでなく流通の問題(鮮度の低いホヤは実際すごくまずい)が大きいので、もったいないなと思っています。

1人が3人に「新鮮なホヤは試してみる価値あるよ」と伝え、そのうちの1人が実際にホヤを食べて気に入って、また3人に伝える。そんな地味な拡散でも効果はあると思います。

ぜひ、ホヤの魅力や食べ方をご家族や周囲の方に伝えていただけたら。美味しいだけでなく栄養価も満点。養殖で安定的に収穫できる非常に優秀な食材です。


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