話題のHD-2Dリメイク版ドラクエIII、空いた時間を見つけてなんとかクリアしました。
ドラゴンクエストIII そして伝説へ… | SQUARE ENIX
https://www.dragonquest.jp/roto-trilogy/dq3/
リアルタイムでドラクエIIIに触れた世代としてはもう何周したかわからないし、しあわせのくつでどれだけレベル上げまくったかも数え切れないほどで、正直最初はスルーしようと思っていたんだけど、堀井雄二の「I・IIにつながる」的発言に加えて、発売前の予告動画で、IIIではいるはずのないフレイム・ブリザード形態のモンスターが出てくるのを見て「オリジナル要素があるならそれは気になる」と購入を決意。興味のある方は以下のYouTube動画をご覧ください。
なお大前提として本作は途中で開発会社が変わっており、画面含めて大幅にやり直しがかかっています。なので実際に開発期間は短く、やりたくてもできなかったことも多々あるんだろうな……、というのは頭の中に入れつつクリアしてみての感想を以下ざっくばらんに。
まずは新要素まもの使い。とりあえず戦闘のバランスに関してはまもの使いがすべてぶっこわしてしまったといっても過言ではない。はぐれモンスターを集めることで攻撃力が上がる「まものよび」は、相手の防御力に関係なくダメージを与えられ、1度で2回攻撃できるようになる「ビーストモード」を使えばさらにダメージが倍になる。
今作は敵がかなり固く、普通の攻撃だと育てまくった戦士や勇者でも数十くらいのダメージのところをまものよびではきちんとまものを集めていれば400とか500ダメージ、さらにビーストモードで倍になるのでインフレどころではない。しかも今作ではルカニ・ルカナン系の仕様が変わっており、相手の防御力を下げるのではなく「ダメージを倍にする」仕様らしく、そもそもダメージが低かったらルカニも全然通用しないという謎仕様。
ゲーム画面上ではルカニについて防御力を下げる呪文とありますが、これは正しい説明ではありません。実際にはダメージ量をn倍にする呪文となっています。
バイキルトと似た効果になったということですね。重ねがけをすると倍率が少しずつ増えていきます。いや防御力下げてないじゃん。ドラクエ3HD-2Dの戦闘システムの「不備」を指摘する|イカダさん
https://note.com/drifting_raft/n/n5197a4a30f4b
まものよびははぐれモンスターを10体以上、ビーストモードは50体以上集めれば習得できてしまい、本作では転職しても特技は残るので、結果として「一度まもの使いに転職してレベル20までにまものびを覚えさせてまた転職」しておけばどの職業でも最強のまものよびを使えてしまう。結果として一度も転職させてもらえない勇者が最弱という悲しい仕様でした。がんばってギガデイン使って300行かないダメージのところをまものよびは平気で1000ダメージいくんだもんな……。
パーティーの名前を「アバン」「ロカ」「レイラ」「マトリフ」にしてしまった手前、なんとかオーソドックス職業で行きたかったのですが途中からモンスターが強くなることに加え、興味本位で試したまもの使いが強すぎてさすがにもうこれは無理だわと途中でまもの使いに移行してしまいました。結果として職業選択の自由が狭まっている。
また、まもの使いの強さははぐれモンスターの数で決まるので、旅の目的はいい武器を手に入れるよりはぐれモンスターをいかに見つけるかにかかっている。街やダンジョンにいるモンスターはともかくひみつの場所にいるモンスターとか調べきれないので結局攻略サイトに頼ってしまい、ただただサイトに載っている場所へ行くという単純作業でした。もうこれドラゴンをクエストするよりまものをクエストするまものクエストだよね。
まもの使いにならないと先々のモンスターを倒せず、まもの使いの道を選べばはぐれモンスターをひたすら集めるしかなくなるのでゲームがとても単調になる。せめて他の職業がもう少しまともに強ければいままでのドラクエ的に遊べたのですが、まもの使いのゲームバランスの悪さはさすがにひどすぎた。これは開発期間とは関係なくなんとかなったんじゃないですかねえ……。だれかルカニ・ルカナンの仕様変更についてインタビューしてきてほしいよ。
その他ゲーム面ではHD-2Dということでマップやダンジョンは美麗になったものの、キャラクターはドットみ溢れるデザインなのでちぐはぐ感がすごい。これなら無理にドットにせずキャラももうちょっとグラフィック上げて良かったんじゃないかな。
あとはボイスですね、ドット絵なのにいきなりしゃべりだす母親は違和感がとんでもなかったし、まさか主人公キャラまで戦闘中にかけ声上げるとは思わなかった。あまりの違和感でオフにしちゃいましたが、あのドットグラフィックでボイスが出るのは違和感ありすぎたなあ。せめて最初に選択させてほしかった。
なおドラクエXI Sも追加要素でボイスが搭載されたのですが、ボイスは3Dモードのみで2Dモードでは出ないという仕様らしい。なぜそれをXIでできてIIIではできなかったのか……。XIで2Dでもボイス聴きたい要望が多かったんだろうか。
あとは最初のルックスを男女ではなくABにしたけど装備できる武器道具は男女差があったり平気で男女分けた名前が出てくるなど、とってつけた感ある多様性とかもありましたが、ゲームの本質的なところに比べると些末な話かな。
ゲーム自体もすべてのダンジョンでマップが出てどこに行けばいいかも案内してくれる親切仕様。これ自身はいまどきでいいなと思ったんですがどうせなら宝箱の位置も表示してほしかった。ダンジョンいちいち当てもなく歩き回らなくていいよ、というマップに対して結局宝箱探しに回るんだと、その親切の意味あまりないんじゃないかな。
と、ゲームシステムはさておき一番の目的だったシナリオについては、正直期待ほどではなかった。見たこともないモンスターは全体的に「ただアイテム取って終わりのところにボスを置いた」程度でしかないので、ストーリーが大幅に変わるというほどのものではない。
一方オルテガの話はかなり丁寧に描かれていて、ここはこだわりもってストーリー作り込まれているし納得感は強い。けれどオルテガ以外の細かいキャラや設定がかなりあっさりなので、「オルテガさえやっとけばいい」みたいな雰囲気も感じてしまった。まあこのあたりは開発期間の問題もあり、オルテガ以外に深掘りできる余裕はなかったのかもしれないけど。
と、あまり評価高くないまま単純作業で進み、あまりにまもの使いが強すぎるので試しにゾーマもひかりのたまを使わずに挑戦したらあっさり倒せてしまって拍子抜けしたままエンディングに入り、「ああとりあえずクリアできたな」というタスク片付けた感覚で眺めていたエンディングの最後に出てきた一言! ほんとにタスクでやっつけだった終盤でしたが、がんばってクリアしてよかったという追加要素でした。
というわけでここからはエンディング見た人向けのネタバレトークです。
当時を知る懐古厨と言われようともさすがにこれはなかろうというまもの使い優遇措置を始めとしてちぐはぐ感あったリメイク版IIIでしたが、もともとストーリーやI・IIに繋がる要素を期待して買った自分としては最後の最後で評価がかなり回復。続編を楽しみに待ちたいと思います。