ブログが更新できなくなってたり、Android Wearがバージョンアップしたり、さらにはスプラトゥーンが発売されてしまったりといった理由でなんだかんだ更新できていなかったApple WatchとAndroid Wearのスマートウォッチ比較。せっかくApple Watchを発売日に買ったのにもったいないということで、一時期は片腕にApple Watch、もう片腕にAndroid Wearを装着してまで比較したスマートウォッチ比較エントリーを書いてみたいと思います。
なお、Apple Watchは画面サイズの違いがあるとはいえ基本的に1種類しかないのに対し、Android Wearはメーカーにより多数の種類が存在します。今回比較したのはそのうちの1つであるソニーのSmart Watch 3であり、その他の製品だと多少仕様が違う可能性があることはあらかじめご了承ください。
質感: 圧倒的にApple Watch
すべてのAndroid Wearを触ったわけではないですが、Apple Watchの質感は素晴らしい。とりあえず体験できればいいという目的で一番安いApple Watch Sportを購入したのですが、それでも手首へのフィット感がSmartWatch 3とは段違い。Sportで採用されているフルオロエラストマーはゴムのようでいて質感しっとり、手首に巻いていても嫌味がありません。
ディスプレイの大きさも実にいい塩梅。SmartWatchは液晶ディスプレイが大きく、いかにも「腕にガジェット巻いてます」感が強いのですが、38mmはサイズ感が時計としてちょうどいい。42mmのほうが見やすいしバッテリーが持つという話もありますが、時計としてのサイズ感だと38mmがしっくりきます。
画素密度はそこまで高くないながらRetinaを名乗るディスプレイも非常に美しい。文字もグラフィックも画面小さいながらとても綺麗に表示されます。まあ全体的に価格がSmartWatch 3よりも倍近く高いから当たり前という話ではありつつ、「つけてる気持ちよさ」はApple Watchに軍配です。
画面表示: 常に時計表示するAndroid Wear、傾け必須のApple Watch
画面の時計表示については先日こんなエントリーが話題になりましたが。
[徳力]アップルウォッチを72時間使ってみて、自分には完全に宝の持ち腐れになりそうなことが分かってきた件について
http://blog.tokuriki.com/2015/04/72.html
どちらも手首を傾けると画面表示という機能を搭載しているものの、その感度の良さはApple Watchのほうが上。手首を軽く傾けるだけでさっとかざすと心地よく画面が表示されます。
それに対してSmartWatch 3はけっこうしっかり腕を傾けないとディスプレイが表示されない。
Android Wear使ってからApple Watchに切り替えると画面表示のタイミングが絶妙すぎてさすがハードとソフト一体で作れるアップルは違うなあと思うわけですが、とはいえ常に画面表示されている時計と比べれば見たい時すぐに見られないのは一緒。なお、Android Wearは画面によって動作異なるようで、どうも反応遅いなあと思っていたら使い続けていたパックマンが重すぎるだけでした。久々に画面表示切り替えたらさくさく動いたよ……。
PAC-MAN Watch Face – Google Play の Android アプリ
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.bandainamcogames.pacmanwatchface&hl=ja
ただし、Apple Watchは画面オフの時一切表示されないのに対し、Android Wearは省電力モードの時も画面に時間を表示できる。時計なんだからいつでも一瞬にして時間を確認したい、という人はAndroid Wearがお勧めです。
【追記】画面オフの時に表示できるのはSmartWatch 3くらいで、他のAndroid Wearでも省電力は非表示またはずっと画面つきっぱなし、だそうです。SmartWatch 3意外とやるな。
バッテリー: どちらも同じくらい
1日を18時間と再定義したと話題のApple Watchでしたが、蓋を開けたら1日は余裕で持ちます。バッテリーの持ちはApple WatchもAndroid Wearも体感だと同じくらい。2日丸々というと辛いけど、朝充電したのに夜はもう使えない! なんてことにはなっておりません。
ただし充電方法は大きな違いで、Apple Watchはマグネットの専用充電器を使うのに対し、Smart Watch 3はmicroUSBで充電できるのでオフィスで気軽に追加充電できる。Apple Watchは専用なだけでなくマグネットが非常に取れやすいので、気がついたら充電台から外れていて充電できていなかった、なんてことも。Android WearもSmart Watch 3以外は専用充電器のものが多いのでこれはSmart Watch 3に限った話ですが、やっぱりmicro USB充電はいざというときに取り回しができて便利です。
通知: 一部を通知のApple Watch、なんでも通知のAndroid Wear
ハードウェアの違いはこのあたりにして本題であるソフトウェア周りですが、この点はさすがにハードウェア以上に思想の違いが表れています。
Android Wearの通知はわかりやすいくらいスマートフォンそのまま。スマートフォンでの通知をそのままAndroid Wearで受けられ、通知をオフにしたいアプリは個別にカスタマイズできます。
一方Apple Watchで受けるのはアップル謹製アプリを含めた一部アプリのみ。サードパーティーアプリもApple Watchに対応すれば通知できますが、今はまだごく一部のアプリのみ。自分が通知して欲しいアプリがApple Watch非対応だとあまり便利に感じないかもしれません。
【追記】Apple Watchも通知センターに表示される通知であれば設定オンにしてApple Watchで表示できるとのご指摘いただきましたので反映
アプリ: アプリによって一長一短
アプリの使い勝手は正直なところ一長一短で、OSどうこうというよりアプリがどのくらい作り込まれているのか次第。例えばGmailの使い勝手は圧倒的にAndroid Wearが上です。
Apple Watchの場合、Gmail対応はしているのですが本文すべてを読むことができないだけでなく、HTMLの場合本文がそもそも表示されないので何が送られているのかわかりません。標準のメールアプリであれば全文読めるのですが、メールアプリでGmailを利用する場合はフェッチしか対応していないので新着メールが見られるのは15分おき。しかもメールアプリはまだ動作が重いのか読み込みに時間がかかるので結構待たされます。
一方のAndroid WearならGoogle謹製だけにGmailは本文をすべて読めるし、HTMLメールであればその旨を通知してくれる。通知だけで便利とはいうものの、やっぱり両方比べると本文がぜんぶ読めるに超したことはないんですよね。Gmailの使い勝手は圧倒的にAndroid Wearが上。
一方、FacebookについてはAndroid Wearは通知のみなのに対し、Apple Watchだと1対1のメッセージなら内容も読むことができます。LINEもAndroid Wearは同様に通知のみですが、LINEは新着のみなら閲覧できるしスタンプでの返事も可能。このあたりはまだスマートフォンが発展途上なので、時代が進めば対応アプリもきのが充実していくことを期待しています。
Android Wearの中でよくできているなと思うのはNAVITIMEアプリ。これから向かう行き先を通知に保存できるほか、Android Wearでもその行き先を確認できます。行き先も駅の乗り換えごと、徒歩ルートごと細かく確認できるので地味に便利。スマートフォンとスマートウォッチの連携として1つの形かなと思います。
一方、Apple Watchで良かったのはCookpadアプリ。スマートフォンで検索したレシピを料理中に段階を踏んで確認できるだけでなく、タイマーまで使える至れり尽くせり。「スマートフォンはどんなシチュエーションで使うのか」をしっかり考えてあるアプリだと思います。
セキュリティ: AndroidのSmart Lockが神便利
ここまでAndroid WearとApple Watchは一長一短だったのですが、セキュリティ面ではSmart Lockの存在がAndroid Wearの評価を大幅に押し上げます。とはいえSmart Lockを利用できるのはAndroid 5.0以上の端末に限られ、その恩恵にありついたのもここ最近の話なのですが。
Smart Lockというのはスマートフォン本体と連携している端末が側にある場合、端末ロックを解除しっぱなしにしておくという機能です。Smart Watch 3と連携しておけば、自分の鞄やポケット、デスクの側にあるときにはロックがかからないし、本体を置いてどこか別のところにいったり、端末をどこかに忘れた時にはロックがかかるという仕組み。自分の近くに端末がある時は誰にでもオープンできてしまいますが、実際に使ってみると非常にバランス感のいい便利な機能です。
一方、Apple Watchの場合はSmartLockのようなセキュリティ連携は持っておらず、Apple Watchのロック解除も10キーの数字入力というかなり古めの仕組み。あの小さい画面で10キーを押させるという仕様はアップルとしてはちょっと残念な仕様でした。こうしたセキュリティ周りの連携はAndroid Wearに一日の長ありです。
【追記】ここちょっとわかりにくかったので追記。Apple Watchには「iPhoneのロック解除するとApple Watchのロックも解除する」という連携はあるんですが、使ってて便利なのは「スマートフォンとペアリングしてたらそもそもロックすらかけない」というAndroidの仕様なんですね。そしてセキュリティ連携とは別としてせっかくおしゃれなApple Watchのデザインにこの10キーはちょっとダサいな、という主旨でした。ちなみにSmart Lockは別にAndroid Wearである必要もなく、Bluetoothイヤフォンでも普通に使えます。ただ、身につけておく端末と連携しておいたほうが使いやすいという点ではAndroid Wearが便利ですが。
結局のところ: どっちも「ならでは」感はない
だらだらといろいろと機能を比べてきましたが、正直をいえばどちらにしてもスマートウォッチであるべきという存在意義があるかといわれると首をかしげてしまう。繰り返しながらなぜ時計なのか、時計に変わるだけの何かを導きだせているのかというと、「身につけるなら時計だよね」感を脱し切れていないなというのが、スマートウォッチに期待しつつ満足していない自分としての正直な評価です。
時計好きからしたらわざわざ時計を外してまでスマートウォッチに変える理由がない。その感覚はまさに前述のエントリーに表れています。
[徳力]アップルウォッチを72時間使ってみて、自分には完全に宝の持ち腐れになりそうなことが分かってきた件について
http://blog.tokuriki.com/2015/04/72.html
一方、時計をしない人に時計をさせるだけのモチベーションを生み出しているかというとそれも疑問。普段時計をしない人がApple Watchだと身につけられるというのは正直申し上げましてアップル補正に加え、デザインとしておしゃれという要素もあってこそだと思いますが、それでも時計が面倒な人にまではまだまだ届いていない印象。
携帯電話からスマートフォンへの移行が進んだとき、携帯電話のメインであったはずの音声通話は1つの機能として扱われ、今やチャット機能と同等かそれよりも優先順位の低いアプリとしての扱いになってしまった。それに対してまだスマートウォッチは時計にとらわれている感があって、時計なんておまけとして追い出してしまうくらいの勢いで「スマートフォンと連携する機能が腕にあることのメリット」を追求して欲しい。
そういう意味でこのエントリーはネタエントリーに見えつつ、示唆に富んでいて面白い。しかし日本語URLはリンクするとほんとにひどいなw
100円ショップのキャンドゥで売っていた「アナログウォッチ モノトーン」。半透明の、スポーツバンド ホワイト(そうは書いてないけど)。ぼくのApple Watch Sportにカラーリングもぴったり。半透明だからApple WatchよりAppleらしいと言っていい。これを装着すればいいのです。
自分のほうに向ければApple Watchが時計表示してくれるので、反対側に108円のウォッチフェイスを向けておけば、どの方向に手首があろうが時間を確認することができます。
たった108円追加投資するだけでApple Watchが宝の持ち腐れでなくなった件について ? Backstage of Backspace ? Medium
https://medium.com/backstage-of-backspace/%E3%81%9F%E3%81%A3%E3%81%9F108%E5%86%86%E8%BF%BD%E5%8A%A0%E6%8A%95%E8%B3%87%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%A0%E3%81%91%E3%81%A7apple-watch%E3%81%8C%E5%AE%9D%E3%81%AE%E6%8C%81%E3%81%A1%E8%85%90%E3%82%8C%E3%81%A7%E3%81%AA%E3%81%8F%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%9F%E4%BB%B6%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6-eba802851525
時計機能があるのに時計見られないから時計追加しちゃえというこの発想、実は冷静に考えると携帯電話でも同じ道をたどってるんですよね。携帯電話の折りたたみ式が人気になった時期、開けば時計があるのに背面で見られないのが不便だから背面にも液晶がついた。これ、当時ものすごい機能美として美しくないなと苦手だったんですが、利便性の結果その後の折りたたみ携帯電話はほとんど背面に液晶がつくようになりました。
スマートウォッチも同じことで、もうリストバンドに時計埋め込んでおけばいい。先日海外旅行行った際、ホテルにあったテレビの右下に時計が内蔵されていて、テレビを消しているときでも時間がわかり「ああこれ地味に便利だな」と思ったのですが、スマートウォッチも時計として使えないというなら時計機能をいっそのこと外に出してしまえばいい。
そういう意味でこれから面白くなるのはスマートウォッチよりもバンドかもしれない。バンド部分はただ腕に固定するだけには惜しいほど面積も取るので、もうちょっと中に機能を詰め込んだら面白くなりそう。すでにクラウドファンディングではバンドをスマートウォッチ化する取り組みも進んでいて、もしかしたら本命は時計そのものよりバンドという未来もあるかもしれません。
ふつうの腕時計をスマートウォッチに変えるKairos T-Band、バンドを電脳化 | TechCrunch Japan
http://jp.techcrunch.com/2014/12/31/20141230the-kairos-t-band-turns-your-dumb-watch-into-a-smart-watch/
繰り返しながら携帯電話やスマートフォンの普及により、時計はもういらないと思っている人たちに装着してもらうガジェットとして時計型は本当に正しいのか。腕に装着するというコンセプト自体は、通知がわかりやすく確認も簡単という点でメリットはあると思っているので、もう少し「手に巻く」ならではのスマートウォッチのあり方を期待しつつ、Apple Watchもさすがに第1世代ではそこまで達してなかったというのが最終的な感想です。
今スマートウォッチが便利な人
とはいえ、だからといって現状のスマートウォッチが全否定かというとそうでもなく、万人に便利なものではないかもしれないけれど便利な人もいそう。特に仕事で普段からスマートフォンを取り出しにくい人は腕でメールや通知を見られるのは今までにない便利さを体験できそうかと思いました。
例えば飲食業で接客していたり、美容師でお客さんの髪を切っていたりする最中、スマートフォンは取り出すのは難しいけどお客さんからの連絡はチェックしたい。通常だったら休み時間ごとにチェックしなければいけないところを、スマートウォッチだったらちょっとしたタイミングにさっとチェックできる。普段からいつでもスマートフォンを取り出せる人はともかく、なかなか仕事の都合でスマートフォンをチェックできない、でもチェックできたら便利なのに、という人は現状のスマートウォッチも便利に使えそうです。
結果どっちを使ってる?
最終的なまとめですが装着感はApple Watch、充電しやすさはAndroid Wearと一長一短、アプリ周りも対応アプリ次第で一長一短なのですが、Smart Lockの便利さゆえに最近はAndroid Wearメインとなりました。とはいえApple WatchもさっそくOSの次バージョンが発表されており、まだまだ今後の進化が期待できる段階。スマートウォッチがおまけではなくスマートウォッチならではのガジェットに成熟する日を楽しみにしつつ、これからもスマートウォッチをチェックしていきたいと思います。
セキュリティの連携ですがiOSのプロファイルを利用したパスコード設定の強制機能を有効にしている場合、Apple Watchを外した時点で自動的にロックし、iPhoneのロック解除と連動してApple Watchもロック解除するという機能が使えるようですよ。
androidwearではlineの返信は音声入力でのテキスト形式の返信は出来ますよ。またline通知wearというアプリを入れればあらかじめ設定した定型文も返信できるようになりますよ